2008年9月28日日曜日

食養生その⑤:出し汁


食養生の理念(08'7.5の項)からすると、避けたほうが良い食べ物・には、牛肉・豚肉・鶏肉、卵・ハム・ベーコン、砂糖・精製塩・化学調味料、マグロ・ブリ・キャビア、アイスクリーム・砂糖菓子など、飲み物では、コーラ・牛乳・合成日本酒などが挙げられている。
野菜の煮しめ 調理と撮影 by TAKA
皆さんの好きな食べ物のオンパレードだが、かく言う私はどうかというと、肉を食べたいときは食べるし、卵やアイスクリームも食べる。ただ、とても食べたいときに限って食べるようにし、毎日習慣的に食べないようにしている。ちょっとしたことだが、このあたりの心がけと言うか計画性が、食養生を10年以上続けてこれた訳かもしれない。何事も理念にとらわれすぎてはいけないし、自分が無理せずゆとりをもって食事を続け、それを楽しむようなスタンスが大事だと思う。
朝晩の気温が20℃以下になり、ようやく秋も深まってきた。温かい煮物の美味しい季節だ。料理の基本は出し汁にある。中華料理の鶏ガラの出し汁、フランス料理のブイヨンと同様に、昆布の出し汁はあらゆる日本料理のベースとなっている。私は、羅臼昆布焼き海老を使っているが、昆布も各種、鰹節・鯖節・鰯の煮干・トビウオの煮干など色々試したあとで、この組み合わせにたどり着いた。
カットした羅臼昆布と焼き海老ひとつまみを行平鍋で30分水出してから、出し汁を沸かし沸騰する前に具を取り出し、冷まして2ℓの容器で冷蔵庫に保存する。これを凡そ一週間で使い切るようにしている。
お味噌汁、野菜や魚の煮物、練り味噌、ほうれん草や菜の花の和え、うどんやソーメンの出し汁等々、あらゆる料理に活躍してくれる。昆布は味の奥深さを、海老はほんのりとした甘味を出してくれるので、料理が本当に美味しくなる。市販の即席だしでは味わえない天然の旨みだ。
昆布と海老は冷凍庫に保存しておき、溜まったら、昆布は小さくカットして実山椒と玄米黒酢とお酒で煮込んで佃煮にする。海老は、ピーマンやレンコンなどと煮て常備采としてご飯のおかず、酒のつまみとなる。捨てるものが何もないばかりか、美味しい食材に換えてしまう祖先の知恵を受け継いでいきたいものだ。
煮物の基本は、下ごしらえを丁寧にして(きれいな水でよく洗う、形・大きさを揃えて切る、皮は丸ごと)から、出し汁10・お酒2・本みりん1・醤油1の割合で落し蓋をしてじっくり煮る。味が染みた根菜を出し汁も飲んでいただけるくらいが美味しい。ここに、自家製の実山椒が加わると味の奥行きが出て美味しさは倍増する。味の好みで出し汁の割合を変えればよい。ただ、砂糖は使わないほうが良いね。唯一の例外として、カボチャを煮るときは、甘味を出すために洗双糖を使うけれども。
もうしばらくすれば、今年の銀杏がお店に出てくる。銀杏は採れて一ヶ月は野菜だが、それを過ぎると乾物になるのをご存知かな? その境目は、焼いたり炊き込んだりしたとき、実が薄緑色の内は野菜、黄色は乾物ということ。薄緑色の実は少し粘り気があって美味しい。黄色の果肉とともに木から落ちたときの実の臭さとは想像もつかない滋味だ。
銀杏の炊き込みご飯とブリ大根の山椒煮


羅臼昆布:利尻昆布・日高昆布と共に北海道産の天然昆布で、幅・厚み・長さ・味ともに日本一。5cm幅にカットして使用。300gで3,000円位、半年程使える。築地外市場大東水産にて。
焼き海老大分一村一品社が芝海老の良いものを扱っていたのだが、不漁と原価高で首都圏市場には出回らなくなってしまった。今は、千葉県産のものを使っている。カドヤ㈱製(東京都町田市朝日町2-4-16)、50370

2008年9月23日火曜日

夏から秋へ...季節の狭間

私の住む狛江市は人口8万余人、東京都で1番小さな自治体、全国では3番目に小さい。何も自慢にはならないが、造園業や都市野菜の栽培農家が多いためか、緑が溢れる街で気に入っている。公園や街路樹、個人のお庭にも花々を見かけることが多く、借景で楽しめるのもなかなか良い。

季節はちょうど夏から秋へ移っていこうという変わり目。界隈を散策すると色々な花が楽しめた。


黄花コスモスの蜜を吸うウラギンヒョウモン蝶 Photo by TAKA
黄花コスモスは、玉川大学の園芸部が菊とコスモスを交配して作り出した、というのは確かな話だ。私自身が一時この大学に籍を置いていた(通信教育だが)ことがあり、大学の展示でこのことを知ったのがもう10年程前の話だが、そのときの意外な印象は今もよく覚えている。コスモス状の花びらの色がオレンヂ掛かった黄色で美しいが、葉の形はあくまで菊、コスモスのひげ状の葉型は受け継がなかった。これがコスモスと呼ぶのにちょっとはばかる所以。でも、この花が群生していると、とても鮮明で印象深い。

トロロアオイ(黄蜀葵・おうしょっき)とおなじみのコスモス(秋桜)
公園の一角に都会では珍しいトロロアオイが、黄色の五弁花を開いていた。根に粘液を含み、和紙を造るときの糊料として使われることからこの別名が付いたというが、黄蜀葵という立派な名がある、アオイ属フヨウ科の一日花で、朝咲いて夕にはしぼんで花を閉じる。ちょっとはかなげな花色が魅力だね。

近くの公園では、菊・コスモス・ムクゲ
トロロアオイなどが、秋の強い日差しと爽やかな風の中で咲き競い、タテハチョウやアゲハチョウが蜜を求めて花から花へと飛び交っていた。
ようやく、秋の気配が強くなってきて心が弾んでくる。
菊花とコスモス Photo by TAKA









2008年9月21日日曜日

ふわ~っと、イリアーヌ


イリアーヌ・イリアスの名前を、エリアンヌと言ったり、イライアスと書いてあったりだが、私もようやくこの名前に慣れてきた。音友のヒデさんにCDをコピーしてもらうまで彼女を知らなかったが、この「Bossa Nova Stories」を聴いてみてとても気に入ってしまい、このところこればっかり聴いている。
イリアーヌはサンパウロ生まれの生粋のブラジル人で、ピアニスト、シンガー、ソングライターとHPのバイオグラフィーに紹介されている。JAZZの世界で長年ピアニストとして活躍してきたので、ジャズピアニストとしての印象が強いが、ヴィニシウス・ジ・モライスやトッキーニョと一緒にボサノヴァシーンで活動していた時期もあり、根っからのボサノヴァ・シンガーでもある。
ふわ~っと包み込むようなアルト系の柔らかな歌声は、とてもくつろげる。私は、この手の声にめちゃ弱い。しびれてしまう。曲のキーも低めで、Garôta De Ipanema などはB♭で歌っているから、通常のDよりも二つも低い。中村師匠がイリアーヌのことをプログでちょっと紹介していて、゛アメリカ中心にJAZZをやっている時はキーは高めで声を張り上げねばならないが、ブラジルに戻ってボサノヴァを歌うときはキーを低くしてゆったり歌えて楽な気持ちになる゛ と言うことを書いていたが、どこで聞いてきたのかなぁ? まさか、本人からではないだろうが...
この件は後日課後、師匠に聞いてみたら、イリアーヌを取材した読売新聞のS記者との対談で彼から聞いた話と判明!
Eliane Elias : Bossa Nova Stories
1.Garôta de Ipanema 5:20 Tom Jobim - Vinicius de Moraes
2.Chega de Saudade 3:21 Tom Jobim - Vinicius de Moraes
3.The More I See You 4:12 Gordon - Warren
4.They Can't Take That Away From me 3:45 George Garshwin - Ira Garshwin
5.Desafinado 4:25 Tom Jobim - Newton Mendonça
6.Estate (Summer) 5:18 Bruno Martino - Bruno Brighetti
7.Day in Day Out 4:19 Johnny Mercer - Rube Bloom
8.I'm Not Alone (Who Loves You?) 4:48 Ivan Lins - Victor Martins
9.Too Marvelous For Words 3:53 Johnny Mercer - Richard A. Whiting
10.Superwoman 3:38 Stevie Wonder
11.Falsa Baiana 4:01 Geraldo Pereira
12.Minha Saudade 2:09 João Donato - João Gilberto
13.A Rã (The Frog) 4:12 João Donato - Caetano Veloso
14.Day by Day 5:28 Sammy Cahn - Axel Stordahl - Paul Weston
Estate と I'm Not Alone は、自分のレパートリーに加えたい位素敵な曲だね。
HPには、グラビア写真並みの彼女のカットがたくさん掲載されているので、気になる方は覗いてみて!

2008年9月10日水曜日

食養生その④:魚捌き


ようやく、朝夕の気温が秋の気配となった。日中こそ夏日を思わせる日もあるが
空の雲は、高層雲となり空気も乾いてきた。
しめ鯖 : 玄米黒酢とグレープフルーツで 調理と撮影 by TAKA
私の朝は、毎日のストレッチで始まる。起きてすぐ、20分位の運動は、プッシュアップやスクワットを加えて、全身の筋肉と筋をチェックしながらゆっくりと行う。昨日の疲れやギターの弾きすぎで凝った部分がないか? などを確かめながら全身をほぐす。もう習慣となっているので、これをやらないと気持ちが落ち着かない。年に何度か、風邪で熱を出しているときなどストレッチが出来なくなる。これも体調のバロメーターだ。
ひげを剃り、シャワーを浴びてからの朝食は、大体同じメニュー。まず、季節の果物をたっぷり・・・今だと、ブドウ・梨・イチジクなど。玄米のスープ(ブラックジンガーとリブレフラワーを混ぜてお湯で溶いたもの)を大きなカップで飲みながら、水で戻した三陸のワカメと季節野菜のサラダ・・・自家製のドレッシング(玄米黒酢天然醸造醤油エキストラバージン・オリーブオイル1:1:1で合せたもの)をかけて。それから、パンは長方形のモーニング・ブレッド(トロワグロのは実がびっしり入っていて美味しい)をカットしてオーブンでトーストし、自家製ジャムを塗って。ジャムは季節の果物に蜂蜜のみを加えて煮込んだもの、たっぷり作って容器保存している。夏みかんが終わりそうなので、次はリンゴかキーウィ・フルーツで作ろうかな。最後にヨーグルト、一時ケフィア・ヨーグルトを牛乳に混ぜて作っていたが、ちょっと飽きて、最近はビヒダスとか、ブルガリアなどにしている。
移動手段は、まず歩く。自転車かバスで駅まで、そして電車。車の運転はここ10年ほどしていない、同乗させてもらうこともめったにない。時折タクシーを利用。この春から介護福祉の仕事のため、自転車移動が多くなった。毎日ダイエットしているようなもんだね。
この項その①で食材入手について触れたが、私は魚が好きなので土曜日に買出しに出ることが多い。
築地市場は水曜と日曜が休みなので、その日に魚は買わない。近くの食品スーパーオオゼキにはその日築地から仕入れた新鮮な魚が午後には店頭に並ぶので、買うのが楽しみ。青魚(鯖・鰯・鯵・細魚など)やメバル・イサキ・鱸・鰹、また、鮑・サザエ・シジミ・浅利などの貝類、銀鱈・鮭・マナ鰹・鰤などの切り身・・・などなど、何でも食べますよ!
基本的には、魚は丸ごと一匹を買い、自分でさばく。出刃包丁で腹を割き、エラと内臓を取り出す、この時に魚の鮮度がはっきり分かる。新鮮なものは、内臓も味噌汁や澄まし汁の具に使える。三枚におろして、半身はその日の刺身に、半身は二分して冷凍保存し焼き魚に、あるいは煮魚に、頭は冷凍保存し汁物の具に、と言うことになる。これが、魚の一番美味しい、しかも安上がりな食べ方ですね。手間は少々かかるけれど、日本人はそうして海の恵みを得てきた。何時とれて調理したか分からないパックの切り身を買い、魚をさばくことを面倒くさがる女性たちを見ると(ほとんどそうだが)、あ~もったいない! 一番いいところを食べてないよ! と思ってしまう。「生か、焼くか、煮るか、捨てるか!」という、魚の鮮度にあわせて様々な調理法を培ってきた日本の家庭料理の伝統は、戦後数十年の間に廃れてしまい、ごく少数派にしか受け継がれていない。流通業者と輸入業者が太っただけか?



焼き鯖とウドの酢味噌のせ / 巾着ナスと隠元の山椒醤
油漬け
調理と撮影 by TAKA
三陸のワカメ:宮城県宮古市重茂(おもえ)7-29 JF重茂産の肉厚ワカメ、水で10分ほど戻していただく。サラダだけでなく、味噌汁の具やうどんの具にも使え、やわらかくて美味しい。しかし、今年の春から
原油などの高騰を受け、500g525円が倍の1,050円に跳ね上がってしまった。
玄米黒酢:玄米を原料にした天然醸造酢、酢度4,5%、石山味噌醤油㈱製(新潟県中央区本町通7-1146)。しっかりとした酸味と天然素材の旨みがあり、酢味噌・オリーブオイル和え・餃子のタレなど使い勝手良し。500cc985
天然醸造醤油:オーサワジャパン製の「茜醤油」を愛用、煮物・炒め物・豆腐にかけたり・刺身につけたり...上品でまろやかな味で日々の食卓の名脇役を務める。1,81,155
エキストラバージン・オリーブオイル:イタリア・サンテラモ社製、スパイシーでややコクがある。パスタやドレッシングに愛用。光が丘興産(練馬区高松5-8-20)の輸入もの、250cc1,100円。小豆島産の国産ものも使ってみたが、ちょいと価格が高いのが難。
この項続く