2008年10月30日木曜日

HEART ON HEART・歌詞


                         HEART ON HEART
                                       作詞:カルロス美希 / 作曲:TAKA   ① 朝のかがやくひかり 木々のやさしいみどり
     美しきもの すべて瞳に映して
     胸のときめき熱く 懐かしい想いあふれ
     永久に続け 夢よ逃げないで

     あぁ あのひとに会える  あぁ 風が呼んでいるよ
     触れて溶けた ふたつのいのち HEART ON HEART
     うす紅色 桜花の 散って は ら り

     あぁ あの人に会える  あぁ 風が呼んでいるよ
     触れて溶けた ふたつのいのち HEART ON HEART
     紅く滲む 酔芙蓉の 揺れて ゆ ら り

   ② 街のたそがれ淡く 通り過ぎゆくひとの
     影が薄れ やがて消えてゆくよ
     今日も悲しみ抱いて ひとりさ迷う小道
     失くした夢 帰ってきておくれ

     あぁ あのひとはいない  あぁ 月が陰ってゆく
     時が巡り 再び会えたら HEART ON HEART     むらさき色 桔梗花の たたずむ ひと り

     あぁ あのひとはいない  あぁ 月が陰ってゆく
     時が巡り 再び会えたら HEART ON HEART     白い花びら 寒牡丹の 落ちて ぱさ り

     あぁ あなたへの想い  あぁ 風よ運んでおくれ
     時が巡り 再び会えたら HEART ON HEART     ひかり和らか 水仙花の  匂って そ よ り

     ひかり和らか 水仙花の  匂って そよ り


    □□□触れ合い求め合いながら、出会いそして別れゆく人と人...    □□□その悦びと哀しみを、季節の花たちの姿に重ねながら詠った BOSSA BALADAです。                                

                                                07/11/29 by TAKA


江古田のライブハウスBUDDYで、中村門下生が集まりBOSSA NOVA曲を披露する恒例の発表会が開かれた(10/26)。会場は出演者やリスナーで埋まり、広いホールが70名ほどの人で一杯となる賑やかぶりだった。ステージでは、出演者20数名の熱気溢れる歌と演奏が続き、ボサノヴァ好きがこんなに居るんだなぁ、という感慨とともに皆さんの曲を聞いて楽しんだ。
かく言う私も2曲の弾き語りを披露した。ボサノヴァの小作品「Vivo Sonhando」とオリジナル曲の「Heart on Heart」だった。この曲は、゛Bossa Balada゛というシリーズで、私が初めて作った曲であり、詩はカルロス美希氏による。稚拙な歌ではあるけれども、副題に゛想い重ねて゛、あるいは゛落ちて、ばさり゛と付けられた想い入れの強い作品なのだ。
 
曲のメロディは、まず♪落ちて、ばさりーmi re mi re do~ra♪が浮かんだ。そこから、フーガのような追っかけメロディと、さびの♪あぁ~あの人に会えるーfa~ fa so ra so fa mi re mi~♪につながっていった。カルロス美希の詩も、やや古典的な言葉づかいの中に季節の花々が詠みこんであり、私は気に入っている。コード進行は自分で試みたが、もちろん、ボサノヴァの曲調とリズムを目指している。
この日、私の弾き語りはとても出来が良いとは言えなかったが、こころを込めて歌った。演奏を終えて席に戻るときに一人の男性が声をかけてくれた・・・「良かったよ、胸にジンと来たよ!」と。後日、この方からメールをいただいた。゛むーさん゛ことKN氏はメールの中で「歌詞がなんか胸に響きました」と書いてくれた。ほんのひと言だけれども、歌に込めた私の想いが人の琴線に触れるが出来たのは望外の悦びであった。
ボサノヴァの世界をこれからも探求しながら、私なりの゛美しい言葉と美しいメロディ、ちょっと複雑なコード進行゛をテーマに、オリジナル曲を作り続けていこうと思っている。現在、3作目の「One Side Love(片想い)」を作曲中で、詩はすでにカルロス美希からもらっている。いずれ皆さんの前で歌う機会があると思う。お楽しみに!

2008年10月25日土曜日

歌川派の浮世絵



             歌川国芳 東都富士見三十六景 昌平坂の遠景
原宿の太田記念美術館で、幕末歌川派の浮世絵展が開かれているので覗いてみた。この浮世絵専門美術館は私の好きな美術館のひとつで、収蔵の浮世絵版画コレクションが充実している。企画展としてテーマを変えては、色々な浮世絵の原画や版画が見られるのでとても楽しめる。JR原宿駅から明治通り交差点に続く大通りの裏(左側)にひっそりと建っているが、表通りの雑踏が嘘のような三階建ての静かな美術館だ。展示スペースも頃合で、ゆっくりと見られる。関心のある人しか来ないのであまり混んでいないのもいい。時折すっと着物を着こなした妙齢の婦人が居たりして、美人画と美人をそっと見比べたりなんかもする。
19世紀初頭から半ばにかけての江戸時代幕末は、文化・文政の江戸文化の爛熟と水野忠邦の天保の改革、ペリー来港と開国へと続く激動の時代であった。各出版元が競った浮世絵版画の隆盛はすさまじく、役者絵・美人画・風景画を庶民はこぞって買い求め楽しんだ。初代歌川豊国の弟子は60人を数え、絵師になりたい希望者が五万と居て門前が溢れ、なかなか弟子にしてもらえなかったというからすごい。
その中で、国芳は武者絵やユーモア溢れる戯画で知られ、国定(後の三代目豊国)は役者絵や美人画に秀で、広重は名所絵をシリーズ化した風景画でおなじみであるが、今回はこの三人の浮世絵版画と原画を一堂に集めて見られる好企画展なのだ。

自身は、広重の風景版画が大好きで、大判の「東海道五十三次(横53)」や「木曾海道六十九次(大判横70枚中46枚、24枚は英泉作)」、「東都名所(大判10枚)」などのシリーズ作品にとても魅かれる。中でも名作の「名所江戸百景(大判118枚)」は、その大胆な構図と色合い、江戸雪月花の風情が秀逸で飽かずに見入ってしまう。今回も、五十三次の中から゛箱根゛と゛蒲原゛が出品されていた。
東都名所の゛両国花火遠望の図゛はうちわ絵の形、゛木曽路之山川゛は三枚続きの雪景色、やはり三枚続きの゛大江山酒呑童子゛は度肝を抜く役者絵、そして始めて見た゛阿波の鳴門の風景゛は詩情溢れる渦巻き絵、などなど...やはり、広重はいいね、何時見てもこころが躍るよ!
広重 名所江戸百景 鎧の渡し小網町




浮世絵版画の出版は、絵師と彫師と刷師が作業分担して版木を作り、多色を重ねて一杯(200枚)を単位として重版された。保永堂版の五十三次は百杯刷られたというから20,000セットということで、大変な枚数となるベストセラーだった。当然版木は磨耗するから、刻線も調子が落ちて版ずれやボヤケが出てくる。こんな状態を作品で見るのもひそかな楽しみ。また、「名所江戸百景」の版元が゛魚栄゛と記されているが、魚屋栄吉のことであり、当時の日本橋で財をなした魚卸し業がスポンサーだったのか?こんな推理も的外れではないだろうと思う。                             
                                               国貞 美人画 歳暮の深雪
太田記念美術館 : http://www.ukiyoe-ota-muse.jp/

2008年10月17日金曜日

ONDENのボッサ友だち

今宵も賑やかなNakamura's Bossa Café'の面々、左より:奈良から駆けつけたOWさん、思いを込めた歌い方が素敵なNRさん、主催者にしてギターも歌もピカイチのPN氏、 何時も笑顔で楽しそうに弾き語りするKYさん、Photo by TAKA

 
中村善郎門下生が月に一度原宿のONDENに集まって、ボサノヴァを楽しむ会が開かれる。田町、新宿、青山、横浜の教室の垣根を越えて参加する面々は、主催者で大御所のPN氏を中心に女性・男性合わせて10人前後、多いときはお店が一杯になる時もある。私もここで弾き語りしたり、伴奏をしたりしながら、皆さんの歌と演奏を聴くのが楽しくて、時間が許すときは参加することにしている。

妙齢の女性たちが、ギターを弾き語りしながらボサノヴァを歌う姿、そしてPN氏の伴奏で歌う姿はまことに清々しく、ポルトガル語でボサノヴァのこころを表現することに取り組む姿勢には感動させられる。もちろん、年配の男性も例外でなく、レパートリーがだんだん増えていくのを聴くのも楽しい。一人2~3曲づつ歌いながら2廻りから3廻り、好きなお酒を飲みながら、あっという間に夜も更けていく。皆さんほんとにボサノヴァが好き。この店のママさんの美味しい手料理をいただけるのも毎回嬉しいことのひとつ。専門のライブハウスのように、PAやステージが整っているわけではないのでやや演奏しにくい面もあるが、同じ音楽趣味を持つ仲間の集まりの楽しさは何にも換えがたい。これからも機会を作って参加しようと思っている。



左より:愛用のギター持参のYAさん、♪リリー、マイラブ、ソースウィート♪ / 最近、CD発売とソロライブでご活躍のMAさん、♪Fry me to the moon~♪ / このところレパートリーを増やし乗っているHOさんと、リズムカルな曲がお得意のTMさん ♪Mas Que Nada~♪



左から:つい先月、この店で初ライブをしたSBさん、高音の伸びが美しい歌声 / ギターの構えもピタリと決まったTOさん、熱い思いで女性の弾き語リストを邁進 / 私も歌っちゃお~ ♪Manhã tão bonita manhã~♪ TAKA

ONDEN:http://g.pia.co.jp/shop/83311

2008年10月12日日曜日

居眠り磐音江戸双紙

私の時代小説好きは、司馬遼太郎に始まり、池波正太郎、藤沢周平と続いて、現在は佐伯泰英に至っている。その読み方は、作品をほとんど網羅して読みつくし、二度三度と読み返すというもので、関連するエッセイや料理本にも手を出し、また、記念館や作家展にも訪れてみる、という結構念のいったものだ。

CS放送の時代劇チャンネルで過去放映したTV時代劇の再放送をやっているので、ここ10年ほど楽しんできたが、この作家たちのものはほとんど見尽くしてしまった。したがってCSチャンネルも最近とうとう解約に至った。

双葉文庫から書き下ろしで出版されている「居眠り磐音江戸双紙」は、最新刊の「石榴の蝿」で28巻となり(同読本を入れて)、通算で700万部出版というから大ベストセラーであろう。単行本で出版してその後文庫本を出すのではなく、いきなり文語本で出版というスタイルを作ったのも佐伯泰英が最初で、彼が書き下ろしているほかのシリーズ、「酔いどれ小藤次留書」(幻冬舎文庫)、「古着屋総兵衛影始末」(徳間文庫)、「吉原裏同心」(光文社)、「鎌倉河岸捕物控」(ハルキ文庫)なども、それぞれファンがいて人気が高い。各シリーズ連載中の続編がこれからも出てくるのがとても楽しみだ。




何が魅力かといえば、まず主人公の剣捌きというか、戦い方がとても面白い。佐伯は剣道の極意や流派ごとの剣使いをよく知っていて、「ふ~む!」と驚かされることが度々ある。恐らく、古書の免許皆伝書や古武道諸流派の指南書などの研究に怠りないのであろう。坂崎磐音の場合も、後に佐々木玲円の道場を継いで佐々木磐音と名乗るのだが、゛居眠り磐音゛と称される様に、春風駘蕩とした受けの剣が一転して攻めに入る瞬間がハイライトでわくわくする。

故郷の豊後関前藩(大分県南部)の国家老を勤める父と家族、磐音が暮らした金兵衛長屋の住民たち、磐音が後見を勤める両替商の今津屋吉衛門と老分の由蔵、毎朝のうなぎ捌きで生計を立てている鰻処宮戸川の鉄五郎親方と幸吉、佐々木道場の主玲円と幕府の要人速水右近と門弟たち、南町奉行所の名物奉行笹塚孫一と定廻り同心たち、幼馴染で将来を誓い合ったが運命の流転により花の吉原で太夫となっている奈緒、そして今小町と呼ばれ磐音に思いを寄せる今津屋のおこん...多彩で魅力溢れる登場人物たちが繰りなすドラマは、彩り鮮やかで第一級のエンターテイメント小説なのだ。

毎週土曜日の夜に、NHK総合TVで「陽炎の辻・居眠り磐音江戸双紙」が現在放映中で毎週楽しんで見ている。第一回のシリーズ放映12回(各45分)が終わり、現在は第二シリーズ(各30分)なのだが好評のようだ。最初にこのドラマを見たときに、配役が、磐音役:山本耕史、おこん役:中越典子だったので、゛ずいぶん若いなぁ!゛ と思ったものだが、小説の中では二人とも二十歳そこそこであり、青春群像を描いているのだからこれでいいのかも、と納得した。舞台である江戸の街並みがうまく再現されていてなかなか雰囲気がある。

時代劇ドラマも、「鬼平犯科帳」や「剣客商売」、
「暴れん坊将軍」などの時代と違って、役者の世代交代があり新しいドラマもこれから出てくるだろうから、いいドラマをTV局に送り出してもらいたいものだ。最近12CHで、佐伯泰英の「密命」シリーズを榎木孝明主演で放映していたのを見たが、面白かった。゛寒月霞切り゛という秘剣が冴えていた。このシリーズは、まだ私は読んでいないので、いずれ読んでみようと思っている。


2008年10月3日金曜日

再会のバラ寿司

ONDENママさん特製のバラ寿司 Photo by TAKA
KMさんが、息子の婚礼でカナダのモントリオールから里帰りし、しばらく日本に滞在するのを機会に、学生時代の有志仲間が集まって一夜会食をともにした。私たちは、四谷のキャンパスで一緒にフランス語とフランス文学を学んだ。創設された学科の第一期生ということで、神父のフランス人教授と日本人教授たちの熱意はすざましく、当時としては珍しかったラボラトリーを使ったフランス語の発音と会話・文法のしごきは強烈で、毎日授業とレポートにふうふう言っている日々であった。
14名の仲間たちは、このキャンパスで青春時代を過ごした。もう、卒業してから30数年経っているが、学園紛争があった当時の懐かしい思い出や、現在の暮らしぶりについて話が飛び交い、懐かしくも楽しいひと時を過ごした。KMさんたちが蔵王でスキーを楽しんだこと、ドクターストップでお酒が飲めず半年振りにビールを飲んだCHさん、実家の作り酒屋と自ら経営してきたプレス会社を今後どう切り回すかの難題に直面するAKさん、現在ハワイの大学で教鞭をとっているHRさん、母の介護のため関西の実家と千葉の自宅を行き来するYOさん...等々。当のKMさんは、フランス系カナダ人の夫と再婚しモントリオール住んで20年になると言う。
この夜の会場となった゛原宿ONDEN゛は、この辺りが江戸から明治にかけて「隠田村」と呼ばれていた由緒ある名前を継いでいて、前身は日本料理店であった。1階のお店とは別に地下の和室もあり、当時首相で近くに住んでいた宮沢喜一氏や政財界の要人がお忍びでこの店の料理を楽しんだと聞く。現在はランチタイムは近所のサラリーマンや若者で賑わい、名物のカレー料理が人気だ。夜はママさん特製の家庭料理とプロのライブ演奏が楽しめる。私の音楽仲間が月に一度集まって、ボサノヴァの演奏と歌を楽しむ道場として使わせていただいている。
ママさんの料理も気合が入っていた。食材が新潟など産地直送のいい物を使っているのが嬉しい。当夜のメニューを挙げてみるが、お酒で記憶もあいまいだったので間違いがあったらご容赦を!まず、シャキッとした歯ごたえの茹でた新潟産枝豆、車海老の素揚げを塩味で(海老を真っ直ぐに揚げるのはコツが要る)、生鮭のマリネを野菜とともに、大根とガンモの煮付けはやや濃いしょうゆ味だった。次に、新潟産の根菜(ママさんも名前を忘れたので不明)のマヨネーズ和えはねっとりしてコリコリとした触感で不思議な美味しさ、小振りの鰆のチーズ焼きは水っぽくなくまた油濃くなく柔らかなお味、若鶏のから揚げはレモンを振って。メインは、見た目も美しい特製バラ寿司、皆からも歓声が上がった。酢飯と具(錦糸卵・レンコン・薄紅しょうが・椎茸・隠元・車海老・粒イクラなど)が一体となり、味と色彩のハーモニーを奏でる逸品だ!!やはり、料理はもてなしの心が第一だと改めて感じる。

プロのギタリスト・荒木さんにアコースティックな曲を演奏してもらい、柔らかなサウンドをB.G.Mに歓談が続いた。私のウクレレ伴奏でKR氏が懐メロ(旅人よ・いい日旅立ち・恋のバカンス)を歌ったが、皆は話に夢中でほとんど聴いていなかったようだ。私とKMさんは、ウクレレを介して当時ちょっと交流があったが、ご本人はすっかり忘れてしまったかの様子。

そけぞれの人生を歩む仲間たちだが、時折集まって元気な顔を見せ合えるのはこころ嬉しいひと時だと思う。もちろん、美味しい料理と飲み物(そう言えば、半数はノンアルコールだった)、そこにくつろげる音楽があり、こころ熾きない歓談があり...仲間たちは、またの機会を楽しみにしつつ、小雨降る原宿の街を三々五々家路についていった。