2008年4月27日日曜日

生涯、ロックシンガー

渋谷のライブハウスKABUTOで、音友
RYOさんのライブがあり、聴きに出かけた。

バンド名は゛HONEY BEE゛というキュートな名前だが、「俺、生涯、ロックシンガーです!」と宣言する彼のバンド(Vo&Gt、Ba、Dr)は3人編成ながら、ガンガン行くハードロックなのだ。
Live at add9th. photo by TAKA

オリジナル・ナンバーを唄うRYOさんの声は、高音域が良く伸びる甘い声で、シャウトすると迫力がある。愛用のFender-Stratocasterをかき鳴らしながら、リードとバックを弾きつつ唄うのだから一人三役である。ピンク&白のコンビカラーのヴィンテージモデルは?百万と言う高価なもので、「稼いだ金をみんなつぎ込んじゃいました!」と笑いながら語る姿は、ロック・フリークそのものだ。


この夜は、別のGtを持ち出してきていたが、3人の演奏・歌共によくまとまっていて、ベースとの歌のハモリも良かった。

「ハニー・ビー」や「俺は眠れない」など、私の好きなナンバーも聴けた。

「ピンク・ムーン」というタイトルのスローバラードも好きな曲なのだが、残念ながらこの夜は聴けなかった。あっという間の45分ライブは終わって、熱気のこもるホールから街路に出た。


渋谷の町は、今夜も雨だった。
http://www.livehouse-kabuto.com



2008年4月23日水曜日

マメなくらし


♪人はいくども 愛に出会い
終わりのない 愛を信じた
ある日気がつく 愛の終わりに
人はいくども 泣いた♪

この歌は加藤登紀子の「愛のくらし」、心に染み入るシャンスォーンだが、今日はマメなくらしの話、豆なくらし...
調理と撮影 by TAKA
周期的に築地の外市場へ買出しに行く。お目当ては、チリメン雑魚と豆類(白花豆、金時豆、大豆、黒豆など)、利尻昆布や鰹節、それにおまけで松露の出汁巻き卵や佃權のおでん種、生きのいい車海老
や実山椒などが混じる。ジャコや豆類は概ね500g~1kgの単位で買うのだが、大体市価の半値。ガバッと口に放り込んで食べたいので、まとめ買いするのだ!周期的というのはジャコが切れたときで、これらを常備采として調味し楽しんでいる。

白花豆は、一晩(8時間位)きれいな水で戻してから、戻した水ごと雪平鍋に落し蓋をして茹でる。この時、茹で始めの灰汁取りと途中の水差しがポイントで、およそ45分位でやわらかく茹で上がる。火のそばを離れられないので、私は休みの日に、゛王様のブランチ゛とか、゛メレンゲの気持ち゛など見ながら、アイロンかけなどしつつ、豆を煮ることが多い。
ちなみに、リリコの゛映画コーナー゛と石ちゃんの゛通りの達人゛がお気に入り(どうでもいいことだけれど...)。

茹で上がった白花豆は、煮汁を別の容器に移し(これは薄めてみそ汁等の出汁に使える)、鍋ごと玄米黒酢とエキストラ・バージンオイルで和える。これだけで、豆の柔らかな旨みと適度な酸味・オイルのいい口当たりが楽しめる。お好みで青海苔を振ったり、ジャコを乗せたり、粉チーズをかけたり、色々出来る。素材の持つ自然の旨みは、焼酎・日本酒・白赤ワイン・ビールを飲みながらのつまみにもぴったり合う。ほんとに不思議!サラダみたいに豆を食べられるのも気に入っている。

ほかの豆類も、同じ調理の仕方で美味しく食べられますよ!
とてもお通じが良くなるのも、体調管理には嬉しいことです。

築地買出しのもうひとつの楽しみは、朝飯を外市場の賑やかな食堂で食べること。何時も寄るのはどんぶり市場、12~13種の新鮮な魚ネタを酢飯に乗せた゛市場丼゛と熱々のアサリの味噌汁。う~ん、旨いよ~!!
かくして、早起きの買出しと豪華な食事の後、事務所に出勤となる。
ま、朝飯前の仕事ですね!
TAKAお奨めのお店を紹介しときます。
塩干物・海産物  中富水産           どんぶりもの  築地どんぶり市場
雑穀類       三栄商会           そばと天婦羅  深大寺そば・まるよ
鮮魚         三宅水産           寿司屋      各店
青果     ベジタブル石橋           鰹節       伊勢啓
出し巻き卵     つきじ松露
佃煮・おでん種   佃權市場橋工房店

2008年4月20日日曜日

ミュゼ浜口陽三


その小さな個人美術館は、安産祈願で有名な水天宮の近く、高速道路脇のビルの中にある(1階と地下1階)。「ミュゼ浜口陽三・ヤマサコレクション」、名のとおり生家・ヤマサ醤油が開いた私設美術館で開館は1998年


私はこのカラー・メゾチントの版画作家にとても惹かれていて、1990年に東京都庭園美術館で開かれた「浜口陽三展」も見ているし、何よりも漆黒の闇から浮かび上がるスイカやさくらんぼ、レモンやテントウムシのモチーフが大好きだった。


今回は、陽三夫人で版画作家でもある南桂子との二人展で、それぞれ30作品づつを出品して゛ひびきあう詩゛というタイトルがついた企画展である。こういう個人美術館のよさは、国立なんとか美術館のように人を見ているのか作品を見ているのかわからん!ということは一切なく、思うがままゆっくりと作品と向き合って楽しめることにある。メゾチント作品は概してサイズが小さい。銅版を作るのに大変手間がかかるし、細かいグラデーションを彫るのにも繊細な神経を使う。近寄ってしげしげと見て初めてマチエールの細部がわかるのだ。
そして、収蔵された多くの作品は散逸することなく、周期的に色々な作品を見ることが出来る。         
                        ■22のさくらんぼ 浜口陽三展カタログより

私の好きな「22のさくらんぼ」もあった。闇に浮遊するがごとき赤い実と緑のヘタが心地よいリズム感で縦に並び、二つの実とヘタが左に飛び出している。まるで、グレン・グールドの弾くマルチェルロのイタリアン協奏曲のような、静かな詩情に込められた躍動感を感じる。


とても贅沢な時間を過ごした後のゆったりとした充足感とともに、ミュゼを後にした。

2008年4月13日日曜日

妖精ルリタテハ

photo by TAKA

作家北杜夫に係わるのをライフワークとしているMIさんの案内で、はるばる日光まで出かけて「どくとるマンボウ昆虫展」を見てきた。マロニエ昆虫館の昆虫好き県職員N氏が企画し、日本昆虫協会が協力した珍しい昆虫展であったが、会場の緑の相談所展示ホールはダイヤ川の側にある自然に囲まれた立派な建物で、辺りには桜が咲き水仙や三椏が咲き乱れる春の景色が拡がっていた。
「どくとるマンボウ昆虫記」に登場する185種の昆虫の内183種を揃えるのに、北杜夫氏のコレクションが約半分(旧制松本高校時代に集めたものから出品)、助っ人のコレクター数名からが半分、かくして蜂・トンボ・蝶、セミ・バッタ・カブトムシなど、そうそうたる主役が出揃っていた。中には゛生きている宝石゛と言われるモルフォチョウや30cmもあるナナフシなど、貴重な標本も交じっていた。
信州善光寺の山裾町で少年時代を過ごした私は、裏山のゴウロ山(採石場があり石がごろごろ転がっていた)や朝日山、その間を流れる裾花川(戸隠鬼無里に水源を発す)で、釣りと昆虫採集に精を出し川魚と虫たちに遊んでもらって、四季を過ごした。
蝶の中でも、タテハチョウ族が格別に好きだった。赤タテハ・黄縁タテハ・孔雀タテハ、一文字チョウ・コヒオドシ・コムラサキ、そしてあのルリタテハ... これらのスピード狂のタテハ族は、スーッと飛んできて岩の上に止まり、2~3度翅を開閉すると電光石火、空に舞い上がりどこかへ消えてしまう。「積乱雲のわきたつ空、イワツバメのとびかう岩峰、雪渓の溶けたあとに咲き乱れる数限りない花々、そうしたものを背景に、彼女らは地上に遺された最後の妖精のごとくかるやかに風とたわむれる。」(~昆虫記・高山の蝶より)
標本の中にルリタテハを見つけた私の心臓は一瞬激しく鼓動し、そしてゆるゆると少年の日の記憶に戻って行った。高原のさらっと乾いた空気、昼下がり太陽の輝き、響きわたるセミの声、木々を渡ってくる涼しい風... ビロードのような漆黒の翅にルリ色の線と白点が二つ刻まれた美しい姿体...
゛BOSSA BALADA゛と呼んでいるオリジナル曲の2番目に、「シマフクロウとルリタテハ」という曲を作った。その時記憶のみで描いたルリタテハの実物標本を、ここで見ることが出来たのも何かの巡り会わせだろうか?帰路の電車の中、「~昆虫記」を読みながら、次から次へと沸き起こってくるチョウたちの姿に、記憶の中の濃密な至福の時間を重ね合わせて、小旅行は終着駅に向かっていった。

2008年4月8日火曜日

古いガットギター


ここ10年ほど、ギターの弾き語りを楽しんでいる。弾いているのは古いYAMAHAのガットギターで、ウン10年前の高校生の頃叔母に買ってもらったものだ。その頃私は、信州の高校でギター・マンドリンクラブとハワイアン・クラブでギターとウクレレを弾いていた。山国でハワイアン?今考えると、ちと可笑しいかも。その叔母は自分が運転していたスバル360で交通事故に逢い若くして亡くなった。いわば、形見のギターというわけです。
photo by yoshizawa


ボサノヴァに傾倒し始めた2年ほど前に、弾きにくかった部分をギター工房で直してもらった。ネックを削って厚みをやや薄くし、握りやすくした。弦高を下げ指を押さえやすくし、フレット金具も削って調整した。音はやや柔らかくなったが、格段に弾きやすくなった。ボディの木が乾いて軽くなっているので、透明感のある柔らかな音が出る。ボサノヴァのテンションコードを鳴らすと、複雑で奥行きのある和音が響き渡る。なんか、古女房(私は独身だが...)をエステに通わせてボディをすっきりさせ、磨きをかけたような気になって、ちと嬉しい。


弦は、4.5.6にAUGUSTINを、1.2.3にPRO-ARTE張っているが、今のところこの組み合わせが気に入っている。これに、茶位幸信のコンサー・トウクレレ(弦はMARTIN)と中出輝明のガットギターが最近加わった。


■TAKAのライブ演奏予定

4月27日 荻窪アルカフェ ALCAFESTA(若いミュージシャンたちのパフォーマンス)
゛BOSSA BALADA゛で作っているオリジナル曲・2曲をギターで弾き語り
19:30~22:00のどこかで charge500円+1ドリンク

5月3日  狛江add9th 店に集まる音楽好きのセッション日(貸切・入場自由)
ボサノヴァ・スタンダード曲のギター弾き語りと、井上陽水の曲コラボ
20:00~深夜? chargeなし(飲み代のみ)

      



2008年4月2日水曜日

魔法の木灰

毎年、桜の咲く時期になると
春山菜が出回ってきて食べごろとなる。
初物は値段の高い割りに味がいまひとつ
なのでパスすることにしている。

こちとら、江戸っ子じゃないのでね。

こごみ、わらび、
ぜんまい、たらの芽、
浅葱や筍も
美味しい季節です。

調理と撮影 by TAKA
私の贔屓にしている近くの食品スーパーOZで、こごみとわらびに木灰の小さな袋をつけ店頭に並べていた。これにはちょっと感激、筍もぬかの袋を付けて(もちろん無料!)販売している。こういうこまやかな心遣いは百貨店でもなかなかない。
沸かしたお湯に木灰を入れて、こごみは3~4分、わらびは7~8分茹でてから冷水で洗う。このとき根の部分は先に2分ほど茹でておく。水気を取ってわらびは適当な長さに切りそろえ、シコシコと鰹節を削って(箱型削り器を愛用!)醤油と共にかけて頂く。こごみもやや短めに切りそろえ、胡麻を炒ってすり鉢でゴリゴリしてから出汁と醤油と共に和える。

単純な料理だが、゛春の生命の息吹゛のようなほんのりとした苦味を引き出すことで美味しさが倍増する。木灰は、こごみの緑の鮮やかさとぬめり、そしてわらびの薄紫色とねっとり味を引き出してくれる魔法の灰だ。

美味しい地酒(純米吟醸など)でいただくと、至福のひとときです。
重曹ではこういうわけにいかない。
祖先の知恵に敬意を表したい。

そういえば、冬眠する熊などの動物たちも、春の木の芽や山菜の葉を食べてからだに溜まった毒素と糞を体外に出すという。あの苦味が万物の春を告げている、ということですね。