2009年12月22日火曜日

ダンディライオンとポテトサラダ


ダンディライオンとは、私の学友NAさんが開いているギフトの店の名前だ。゛ダンディなライオン゛かと思いきや、゛たんぽぽ゛の意味で、カラフルな手編みの毛糸製品やアクセサリー、作家物の陶器類などを、自由が丘のギャラリーで扱っている。今回は聖跡桜ヶ丘に出店しているとの案内をもらったので、寒晴れの日曜日(12/20)に出かけてみた。
聖蹟桜ヶ丘のショッピングモール:ザ・スクウェアのお店は結構広く、製品が沢山揃っていたが、丁度六人の作家による陶器展示がされていて目を惹いた。白磁・黒柚・常滑など、いろいろあった中で、森下さんという作家のシリーズが気に入った。器の外側が明るい土色、内側が水色柚で薄手の軽い器だ。その器を手にとって眺めながら、「そう言えば最近、料理の敷物(ランチマット)のいいものがないなぁ~!」と思い当たった。料理撮影の時には、雰囲気を出すのに、いい敷物と箸・箸立てが不可欠なのだが、手持ちのものも限られているので新しいものを探していたのだ。

ふと隣の店を見ると、゛リサイクル着物ショップ・たんす屋゛とあるではないか! 早速店に入り、黄八丈や大島紬などを見ながら店員のおば様に聞いてみると、敷物はないが帯の端切れがあると言う。見せてもらったらなかなか良いものがあったので3枚購入した。なんと、31,000円!!

かくして、水色の器と着物帯ランチマットが手に入った。丁度、大地の宅配で新じゃがのメイクイーンが届いていたので、これを煮て柔らかくし、鹿児島産のグリーンピースと埼玉産の人参を加え、同じく大地の生ウィンナー(中津ミート産、トマトバジル入り)を薄く刻み両面をフライパンで焦げ目をつけて和えた。味付けは塩・白胡椒、松田のマヨネーズにE.V.オリーブオイル。あまりベタベタにしないで、じゃがのホクホク感が舌に残る程度が美味しいのですよ!

器にポテトサラダを盛り、着物帯ランチマットに置くと、なんとも不思議な゛リッチ感゛が漂うではないか!帯独特の艶が彩りを与えてくれるようだ。沢山の料理を撮影してきたが、こんなショットも楽しい。他の2枚も、いずれここに登場させるつもりだ。もちろん、ポテトサラダも、とても美味だった。


      □色々な織物をはぎ合わせた着物帯、ポテトサラダの器と面白い取り合わせ Photo by TAKA

2009年12月21日月曜日

江戸の心意気、仕事人の矜持


司馬遼太郎 ー 藤沢周平 ー 佐伯泰英、と続いている私の時代小説好きは、その作家のほぼ全作品を網羅して読み、好きな作品は三度くらい読み返す、というものだ。さすがにどっぷり浸かって読むと、しばらくはその作家から離れたくなる。 

ところが最近、書店で何か面白い本は、と探していたときに、山本一力(いちりき)の本と出会った。これがまた、楽しい。読み終わると何かすっきりとした気持ちになる。こんな作家も珍しいと思う。
氏の存在は、私のブログで「飽食の五段活用」(2008.5.16)を書いてから、なぜかいつも頭の隅に引っかかっていたのだが、ようやくのこと対峙することが出来た。

舞台はほとんど江戸深川が中心、庶民の町だ。ただ、大橋を渡れば浅草や日本橋の繁華街、お城の周りの武家屋敷や札差の米蔵などもある。『道三堀のさくら』は、深川の大店や長屋に水を売る゛水売り龍太郎゛が主人公。当時埋立地で開拓された深川は、井戸を掘っても塩水で飲料水がなかったので、商売の水も普段の飲み水も水売り人から毎日買ったのだ。そんな商売があること自体とても興味を引かれる。龍太郎が毎日お客に美味い水を届けるための苦労が描かれるとともに、日本橋の大店が蕎麦屋を出すときに、美味いそばを打ち、美味い漬け汁を作るための、一ランク上の水を作り出す工夫がまた面白い。水売りの仕事に誇りを持って、次から次に起こってくる難問に立ち向かう龍太郎の姿に、江戸職人の心意気を感じる佳作となっている。


山本氏の作品はまだまだ沢山あるので、楽しんでこれからも読んで行こうと思うが、『梅咲きぬ』は山本作品にも度々登場する、深川の料亭「江戸屋」の三代目秀弥とその娘玉枝の物語。老舗の女将秀弥は、江戸女の典型とも言える゛いいおんな゛、立ち居姿のみならず、客へ気使い、女将としての矜持、その心意気など、今の日本人の多くが失ってしまったものを考えさせてくれる稀有のキャラクターだ。その母から娘へ受け継いでゆく゛志ーこころざし゛は、巻末で女優の田中美里が解説しているように「生きる姿勢を正してくれる教本」と言うのもうなずける。


『損料屋喜八郎』の商いは、今で言う゛質屋゛のようなもの、庶民相手に鍋釜や小銭を貸して生業としている。この゛損料屋゛という商いも耳新しいのだか、実は元同心。上司の不始末の責めを負って職を辞したが、表の商売を続けながら様々な職についた仲間を束ねて探索組織を動かし、難事件を次々と解決する。でもそこには、損料屋としてのプライドとわきまえがあり、人情味溢れる結末はには心がとても和む。


山本氏は、土佐の高知出身の゛いごっそう(頑固者)゛だとのこと。都内高校卒業後、旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空会社関連の商社勤務など十数種の職を経た後、49歳で作家デビューをした。作家になった理由が、自分で経営していた会社が背負った二億円の借金を返すため、というのが振るっている。こんな作家も珍しい。エッセイ集の『おらんくの海』は、あの、゛おらんくの池には、塩吹く魚がおよぎよる゛、という゛おれの家゛がタイトルになっているが、抱腹絶倒、ほのぼのにして、これはしたり! というエピソードが一杯。氏のキャラクターのいごっそう振りと誠実さがうかがえて楽しい。

海の向こうでは、゛金融工学゛というあたかも高尚な美名を元に、まやかしの金融マジックが生んだ「マネー・モンスター」が暴れまくった。その害毒が世界を空前の不況に陥れた。マネー資本主義は、恐らく金が金を生む幻想を追い求め続けるだろう。人間は同じ過ちを何度も犯す。上昇主義と一握りの人間が成功し巨額の富を得る構図は、自分の日々の仕事に汗をながしつつも、助け合いながら慎ましくまた誇り高く生きる江戸職人の姿の対極にある。

しばらく氏の作品で、時代小説の面白さを味合わせてもらえそうでわくわくしている。「魂の仕事人」というインタビューシリーズで、氏のことを紹介しているので、気になる方は覗いてみてください。
http://www.jinzai-bank.net/careerlab/info.cfm/tm/041/

2009年12月1日火曜日

おとこの昼飯会は、料理撮影をしながら


  白身魚とサーモンの青紫蘇サンドは、剥がしながらお醤油・わさびなしでいただく。紫蘇・とろろ昆布・白身・とろ身が溶け合い、吟醸酒を一口含むと味の五重奏となる。う~ん、旨い!! All Photo by TAKA

ライブの写真撮影でお世話になったヒデさんを自宅に招き、お礼を兼ねての昼飯会を開いた。゛ご馳走゛とは、いい食材を求めてあちらこちら駆け巡って探す、との意味だが、近辺の食材スーパーや和菓子屋などを周って頃合の食材が手に入った。もう一人来る予定だったRYOさんは、急な仕事が入ったため残念ながら欠席となった。料理を作りながら、お酒を飲みながら、話をしつつ、料理写真も撮ってしまおう! という、まことに豪華でくつろいだ昼飯会となった。
゛おとこの昼飯会゛のお品書は、以下のとおり。
①前菜:大根のサラダ、柿・チーズ・イクラ添え
この季節には水気たっぷりの大根を2~3㎜厚に薄切りし、柿とナチュラルチーズ、柿とイクラを挟んでいただく。柿はヒテさん宅の庭で取れたものを沢山いただいたので、皮を剥き薄切りにして挟む。
さっぱりとしてパリパリした大根の味は、恵比寿ビールと合わせて(左)
②お造り:白身魚とサーモンの青紫蘇サンド
切り身のカンパチ・青紫蘇・とろろ昆布・サーモンを四段重ねにし、それを3~4重にしラップする。別仕立てで、平目・青紫蘇・マグロの大トロ・のりを重ねてみたが、これも大変美味しい。食べるときにラップごと切り分ける。(上)
③お浸し:春菊の柿・ゴマ和え
冬野菜の春菊を茹でて、炒りゴマ・和辛子・刷り柿と合えたもの。ゴマ辛合えに柿の甘味が加わって、やわらかな味となる。

④雪化粧カボチャ焼き
青森産の白い皮付きカボチャを薄切りにし、両面に刷毛でごま油を塗る。ガスレンジで片面づつ焦げ目がつくくらいに焼いて塩・コショウをする。
春菊のほのかな苦味と、カボチャのホッコリした甘味が、黒糖焼酎のピリッとした味と合い、とても美味しい。(右)
⑤鴨ご飯とネギ・つみれの味噌汁
このブログでも紹介した鴨ご飯(09.1.28、興味のある方はレシピを覗いてみて!)、冬場の鴨は脂が乗っていてとても旨い。漬け汁から取り出した鴨肉を薄切りにし、ご飯とセリの上に乗せ漬け汁をかける。鴨肉のむっちりとした味とセリのさっぱり味とともにいただく。鴨と言えば゛ネギ゛、取り合わせの味噌汁にはネギとつみれを入れた。
鴨肉を美味しく食べるポイントは、煮汁に入れる時間を表裏各1分程度にすること。外側がやや固めのシコシコ味、中が柔らかなむっちり味となる。私は隠し味として煮汁に干した山椒の実を入れて煮込む。゛味のハーモニーやぁ~゛(彦麿呂?)

⑥栗羊羹・紅葉あんと茎茶
料理を美味しくいただいた後は、和菓子と緑茶で口直し、アンの柔らかな甘味と茎茶のほのかな苦味が溶け合って、すっきりとした気分になる。
ごひいきの今木屋特製和菓子、紅葉をイメージした包みあんが季節を彩る。(左)
卓前にビーグラス・焼酎グラス・お酒猪口を並べて、一品ごとに飲み比べながら料理との相性を確かめながらの食事。すっかりいい気持ちになってしまった!

味わったお酒を記しておきます。
<日本酒>純米吟醸・翠露(諏訪舞姫酒造)
この酒が発する芳香は、華やかで柔らかい。゛舞姫゛の名のごとく、生酒のフレッシュ感が加わった゛艶やかさ゛がある。しかも、ヴォリュウム感もたっぷり、コシ・コクもしっかり、のど越しもよい。和食との相性は抜群、ブルーのビンはファンタジーが漂う。
<焼酎>浜千鳥の詩(奄美大島酒造)黒糖と米こうじで出来たすっきりとした味わいの焼酎、30度とやや高いアルコール度数。
<焼酎>薩摩七夕(鹿児島田崎酒造)さつま芋と米こうじ(黒麹)で出来たシャープな味の焼酎、黒麹特有の切れのよさが旨い。両方とも料理全般に合うので、食中酒には最適。
<ビール>ご存知麦芽100%の恵比寿ビール、私はこのビールが好み、ナチュラルでコクがあって美味しい。生・琥珀・ホップ・黒とそろえたみたが、全部は飲みきれなかった。
ライブが終わって、節目を越えた後の゛おとこの昼飯会゛は、お酒と料理と会話を楽しみながら、ゆったりとした時間が流れる至福のひとときだった。

2009年11月29日日曜日

TAKA LIVE in add9th 09.11.21

    この夜の演奏をすべて終えてお客様にごあいさつ、思わず笑顔がこぼれた。 All Photo by Yoshizawa


3回にわたって開催したこの秋冬のライブの閉めは、地元狛江のBlues & Jazz add9thでだった。私の音楽仲間や知人が駆けつけてくれ、人数はさほど多くはなかったが、じっくりと聴いて楽しんでいってくれた。

その一人、ヒデさんとはこの店がご縁で知り合い、この店恒例のセッションでは一緒にバンドを組んだり、歌をハモッたり、楽器演奏をして楽しむ仲で、親しくつき合いをしてもらっている。彼は写真が趣味で、愛用のNIKONのデジタル一眼レフで雰囲気のあるいい写真を撮る。今回掲載したライブ写真は、すべて彼に撮ってもらったもので、演奏者の表情を捉えるのはことさら難しいライブ演奏撮影の中から、気に入ったものを選んで載させてもらった。



この夜も歯切れのいいフルートを聴かせてくれたTamtam、゛柔らかな音色は ボサノヴァとよく合っている゛とUTさんからも好評(左)。


MISIAみたいにあまり歌い上げないところがいいねぇ!、と RYOさんにも気に入られたTomo さん、BOSSA NATURAL の歌声は健在。ハモリの歌あわせも、目でバッチリ! (右)
MCを控えめに! と思いつつも、今宵も語ってしまったわたし。う~ん、でも語り足りなかったなぁ! (左)
素早い手の動きで電光石火の゛三連譜゛をウクレレで披露、VOLARE はやはり乗りのいい曲だった! (中)
2nd Stage ともなると調子が出てきて、歌も演奏も、語りも滑らかになって来たではないか! (右)この夜のライブのために、私はプログラムを兼ねた小冊子を用意した。演奏17曲の簡単な解説を載せたプログラムと、ボサノヴァ各曲・ポルトガル語歌詞と和訳、オリジナル曲の歌詞を綴じたA5サイズ版18ページのものだった。歌の内容が解ると、これはとても好評だった。歌と演奏は、1st StageTaka & Tamtam のボサノヴァとオリジナル曲を6曲、TAKAのギター弾き語りで3曲。2nd Stageで、TAKAのギター・ウクレレの弾き語りを3曲、Taka e Tomo のデュオで3曲、最後に三人のBanda Pequena(バンダ・ピッケーナ:小さなバンドの意)でアンコールを入れて3曲、盛り沢山の計18曲の熱演だった。

当夜の演目を、以下記しておきます。
1st Stage>
①Wave(Vou te contar 君に告げよう)・DMaj Taka & Tamtam(Fl)
②Sábado Em Copacabana 土曜日のコパカバーナ・GMaj  〃

③Vivo Sonhando 夢ばかり見ている人・GMaj  〃
④Manhã De Carnaval カーニバルの朝・Am  〃
⑤Chega De Saudade 募る想い・Dm  〃
⑥Heart On Heart 想い重ねて・Gm TAKA Original
Comment Te Dire Adieu さよならを言うために・Am TAKA Gt 弾き語り
Falando De Amor 愛の語らい・Gm  〃
One Side Love 片想い・GMaj TAKA Original 〃

  <2nd Stage>
①シマフクロウとルリタテハ・Am TAKA Original TAKA Gt 弾き語り
②小春おばさん・Gm 井上陽水   〃
Volare ヴォラーレ・GMaj TAKA Ukulele弾き語り
④Saudade Da Bahia 懐かしいバイーア・CMaj Ukulele Taka e Tomo
⑤Estrada Do Sol 太陽の道・Am  〃
Samba De Verão '夏のサンバ・EMaj  〃
Água De Beber '美味しい水・Bm Banda Pequena(Taka/Tomo/Tamtam)
Corcovado コーコヴァードゥ・Am  〃
⑨Tristeza 悲しみ・CMaj (アンコール曲)  

Tomoさんとのウクレレボッサ曲「懐かしいバイーア」は、゛ハモリが良かった!゛UT)と好評、「太陽の道」のリズムアレンジとGt演奏も好評だった(UT)。オリジナル曲の「シマフクロウとルリタテハ」は、゛続編を聴かせてほしい゛(Kenyaマスター)との要望が出て、これは創らねばと気持ちを新たにしている。゛フレンチポップスを次回もっと演ってよ゛(Ryo)とか、゛TomoさんとのTw.Gtをもっと聴きたい!゛(HD)とか、演奏の後でみなさんから色々な声をいただいた。ありがとうございます、とても励みになります!!また次回のライブで楽しんでもらえるよう精進します。


Taka e Tomo のウクレレボッサ、好評につきレパートリーを増やしたいなぁ!(上)
バンダ・ピッケーナの3人での歌と演奏は、音のふくらみも出ていいサウンドが作れた。今後も機会を作ってこのユニットのライブ演奏を続けて行きたい。


お二人に共演してもらいながら、1回のデュオライブと2回のソロライブを9・10・11月と完了することが出来、約2時間の歌と演奏をやりきる自信がついたのは嬉しい。選曲や構成、アレンジや演出に色々工夫を凝らしてみたが、何よりも嬉しかったのは来て頂いた方たちにほんとに楽しんでもらえたことだった。ただ、集客についてはもう少し工夫が必要。
歌と演奏については、その曲世界の中心と流れをしっかり捕らえて曲の中に入れたものと、イントロが上手くは入れなかったり、Gt伴奏のコードが上手く運べなかったりで、それを捕らえられずヤキモキしたものとがあり、この辺の質をもっと高めることが今後の課題だと感じている。゛息のあった歌と演奏だね゛と感じてもらえるパフォーマンスを目指して、精進していこうと思う。
来年の春はまたここadd9thでライブをやりますので、皆さんお楽しみに!

2009年11月18日水曜日

ショーロは、素敵なサロンミュージック


五人で素敵なアンサンブルを聴かせてくれた、ホーザホーシャのメンバーたち Photo by TAKA


以前から聴きたかったホーザ・ホーシャ(ROSA ROXA:ポルトガル語の゛紫色のバラ゛の意味)のライブに行ってきた(09/11/12)。グループ名・゛紫色のバラ゛とはなかなか洒落た名前だが、名前に違わずとても心地よいサウンド世界を作っていて、上質なサロン・ミュージックを楽しめた。場所は下北沢のCafe 音倉、ゆったりとしたスペースの会場も心地よかった。

「ショーロは、ヨーロッパから持ち込まれたバロックやポルカなど、アフリカから運ばれたリズムが、19世紀末リオ・デ・ジャネイロでダイナミックに結合した音楽。軽妙で上質な味わいが゛ブラジルの室内楽゛と呼ばれる。」と、「saryo's collection vol.5」のCD解説に記されているが、この夜の演奏には、その楽器に精通した音楽家たちが一夜主催者宅に集まり、音楽愛好家たちと食事や会話をしながら、歌や演奏を楽しんでいるパーティの雰囲気を感じた。

この夜のバンド編成は、バンドリン(中沼浩)・カバキーニョ(大道寺栄)・六弦ギターと歌(山本のりこ)・六弦ギター(田嶌道生)・パンデイロ(栗山豊二)の5人、各氏ともにその楽器の達人と見受けられた。演目はピシンギーニャの「Carinhoso」やヴィラ・ロボスの「Trenzinho Caipira(田舎の汽車)」などのショーロの名曲 に加えて、メンバーたちのオリジナル曲、ガホートの「Gente Humilde」などのボサノヴァ曲も含めて、全16曲の歌と演奏であった。
「saryo's collection vol.5」CD解説に紹介されている編成楽器
2時間を越える演奏を終えた後で、カバキーニョ奏者の大道寺さんと少しお話が出来た。曲ごとのリズムカッティングが、それぞれの曲調にあわせて変えられているのに感心したことを伝えると、「よく聴いていただいたですねぇ~!」、と嬉しそうに語られた。バンドリンとのソロ・メロディのハモリ、カウンターメロディの活き活きとしたやり取り、コード和音とリズムカッティングの多彩さ...それが、五つの楽器とハーモニーし呼応し合って、とても心地よいサウンドを醸しだしていた。そして、彼のカバキーニョ演奏の楽しさを大いに味わうことが出来た。楽器にも触らせていただいたが、まさにギターの超小型版で、調弦は゛レ・ソ・シ・レ゛。ピンと張り詰めたスチール弦を小さなピックで弾く。この楽器を弾きこなすのはなかなか大変だと感じた。氏も「10年このバンドで演奏しているが、初めは大変だった!」と話してくれた。
ホーザ・ホーシャのアンサンブルを聴きながら、私はバロック音楽のことを思い浮かべていた。17世紀から18世紀にかけて、ベネチアで生まれたバロック音楽は、貴族のサロンにヴィルトゥーゾ(その楽器に精通した達人)たちが集まり、食事や会話をしながら音楽を楽しむ中から生まれたという。トマソ・アルビノーニは貴族でありながら流麗なコンチェルトとオペラ作品を沢山後世に残しているし、アントニオ・ヴィバルディはピエタの孤児院の司祭職にありながら、優れたソナタとコンチェルト、オペラ作品を世に送り出した。彼は、自身がヴァイオリンの優れた奏者であり、ピエタの音楽会でカデンツァ(即興演奏)で驚異的な演奏技法も披露したりしたという。
クラッシック音楽の帝国主義的な大編成の交響楽団(ファンの方にはごめんなさいだが...)とは違って、バロックの合奏団は、ヴァイオリン・ヴィオラ・チェロ・チェンバロが基本の楽器構成で、第一第二ヴァイオリンとかコントラバスとかが加わり、作品によってはオーボエが入る。多くても10人位の編成、指揮はヴァイオリンかチェンバロ奏者がする。2時間以上の演奏も立ったまま、しかし、少数精鋭の奏者たちは、皆ヴィルトゥーゾだ。素晴らしい!! と聴衆をうならす演奏が次ぎ々と飛び出してくる。


私は、ボサノヴァ(特にトム・ジョビン)の持つ流麗で美しいメロディラインのルーツはバロック音楽である、と密かに確信しているのだが、対位法やフーガ(遁走曲)の技法を駆使した優雅なテーマと大胆な転調・リズムの柔軟性は、イタリアンバロック⇒バッハ⇒ヴィラ・ロボス⇒トム・ジョビン、と継承された音楽の素晴しい遺産と思っている。パウリーノ・ノゲイラが弾く、ヴィラ・ロボスの「Bachianas No.1」も素敵だが、ホーザ・ホーシャ演奏するの「田舎の汽車 Bachiana No.2」も軽快で楽しげで良かった。
私の好きな゛ファビオ・ビオンディとエウローパ・ガランテ、ヴィバルディ「四季」のCDジャケット

2009年11月15日日曜日

ふと見れば、冬桜


            □車や自転車に乗っていたら見過ごしてしまう、冬桜の花 Photo by TAKA
花の少ない季節となった。もちろん、花屋さんに行けば色々な切花や鉢植えがお店を賑わしているが、こと戸外の自然の中では、初冬のこの時期に咲く花はサザンカやツワブキなど位で、彩りも南天や千両などの実物が目立つぐらいだ。
仕事で成城学園の地域を自転車で廻っていたら、小さな花をつけた街路樹を見つけた。珍しい冬桜の並木だった。八重の小振りな花びらは薄紅色で、春に咲くソメイヨシノと較べると、花弁の大きさ・花の紅色・枝にびっしり咲く様など、どれをとっても存在感が薄い。ただ、ソメイヨシノは゛傾城゛のたとえのごとく、満開の艶やかな咲きっ振りで人の心を惑わすが、地味な冬桜にはその色香はない。しかし、枝に付いた蕾から次から次へと2~3ヶ月に渡って花を咲かすので、寒風の中に咲く冬桜を見ると心が和む。
















木の肌も花の形もれっきとした桜、前日の強い雨で小さな花びらを散らしていたが、これから花が咲き続ける。

そう言えば、湯原昌幸が歌う「冬桜」という歌があるが、有線放送でよく流れていた演歌だ。

  ♪ 桜 桜 冬桜  春に背いて咲くがいい
   桜 桜 冬桜  歩いた道を恥じるなと
   ただひそやかに こころにそっと ふり注ぐ ♪

作詞がたきのえいじ、作曲が杉本眞人だが、つつましく咲く冬桜をうまく表現していると思う。

同じすぎもとまさとの曲(作詞はちあき哲也)で「吾亦紅」という曲がある。本人がTVの歌謡番組でよく弾き語りしていた記憶があるが、田舎にある母の墓を訪れて、墓の廻りに咲く吾亦紅を見ながら懺悔する歌だ。

  ♪ あなたに あなたに謝りたくて
   山裾の秋 ひとり会いに来た
   ただあなたに あやまりたくて ♪

二曲とも、私は聞くのみで歌うこともないのだが、花をテーマとした歌としてなぜか気になる曲ではある。

2009年10月21日水曜日

TAKA LIVE in Alcafe 09.10.18


Taka(Gt/Vo)・Tomo(Vo)・Tamtam(Fl)、3人で組んだ゛Banda Pequena(小さなバンドの意)゛で「Corcovado」をエンディングに演奏、盛り上がりました~!! 遠路を駆けつけてくれたHDさんの撮ってくれた写真は、いい雰囲気が漂っています。 All Photo by Yoshizawa
東京は西の荻窪・Acoustic Live Cafe Alcafe で、私のワンマンライブを開いた(10/18)。日曜日の夜にもかかわらず、ボッサ仲間・学友・勤め先の同僚・音友たちが出張ってくれて、アットホームでくつろいだ雰囲気のライブとなった。
当日、私の喉の調子はいまひとつで、ベスト時の80%くらい。けれども、とてもリラックスして歌い、演奏できたので、演奏曲の世界に入って心を込めて表現することが出来た。全部で17曲をパフォーマンスしたが、ボサノヴァの魅力とか、テンションコードの解説とか、その曲その曲の内容や自分との係わりなど、MCでの語りにけっこう時間を費やし、用意した曲を全部紹介できなかった。「語りが軽妙でTakaらしくて良かった!」(MAっちゃん)、という感想と「2曲歌ってMC、でいいんじゃない?」(HDさん)、などの助言もあり、今後の課題としたいと思う。
この日のために、私は歌い演奏するボサノヴァ曲のポルトガル語歌詞と自分で訳した日本語歌詞を用意し、併せて私のオリジナル曲歌詞をコピーして来店者に配布した。ボサノヴァ曲の内容をぜひ知ってほしいとの思いからだった。
この夜、Tomoさんはベレー帽を頭に載せて登場、とても似合っていた。私とTamtamのハンチング帽と合わせて、「ボウシようもないトリオ!?」という声もあったが、今回のライブに共演してくれたお二人のおかげで、とてもいいライブとなった。Tamtamは今回バスフルートを持ってきてくれた。「Manhã De Carnaval」や、「Corcovado」は、このB.Fl の奥行きある響きとメロディラインの美しさが加わり、曲の世界が拡がって心地よいサウンドとなった。また、Tomoさんとの゛BOSSA DUO゛は、ウクレレで私が伴奏した「Saudage Da Bahia」や、TomoさんのGt & Vo と私のGt & Voで演奏した「Samba De Verão」など、軽快にリズムに乗れたのでとても楽しく曲表現が出来た。
















とは言え、17曲も演奏すると、バッチリGOOD! なものと、やや伴奏のリズムが乱れたり、出だしが上手く入れなかったりしたものがあったので、1曲ごとの質を高めることにも今後留意していきたい。3人のBanada Pequena バンダ・ピッケーナ で演ったアンコール曲「Tristeza」は、Gt、Fl、Vo、ハモリが一体となって、伸びやかに楽しくサンバに乗れたので、大いに盛り上がって嬉しかった。今後機会があれば、バンダ・ピッケーナのバージョンを増やしていきたい。同じ曲でも、ソロの弾き語りと二人でのデュエット、また3人バンドでのアレンジと表現は全然違うので、これからも色々な曲表現にチャレンジしてみたい。とても楽しいからね!
゛BOSSA & BALLADE TAKA LIVE゛、この夜の演奏曲を以下ラインアップしておきます。
<1st Stage>
①Wave(Vou Te Contar・ 君に告げよう) DMaj
②Sábado Em Copacabana・土曜日のコパカバーナ GMaj
③Água De Beber・美味しい水 Bm
④Manhã De Carnaval・カーニヴァルの朝 Am
⑤Vivo Sonhãndo・夢ばかり見ている人 GMaj
⑥Heart On Heart・想い重ねて Gm [Original]
⑦Aquarela Do Brasil・ブラジルの水彩画 EMaj
⑧One Side Love・片想い GMaj [Original]
<2nd Stage>
①シマフクロウとルリタテハ Am [Original]
②海を見ていた午後 FMaj 荒井由美 [J-POP]
③Volare ヴォラーレ GMaj ジプシー・キングス[SP-POP] Ukulele
④天使たちの場所 CMaj 矢沢永~ちゃん [J-POP] Ukulele
⑤Saudage Da Bahia・懐かしいバイーア CMaj Ukulele
⑥Eu Não Existo Sem Você・あなたなしでは生きられない AMaj-Am
⑦Samba De Verão・夏のサンバ EMaj
⑧Corcovado・コルコバード Am [Banda Pequena]
⑨Tristeza・悲しみ CMaj [Banda Pequena] アンコール曲
2nd Stageの最後まで、みなさんが残って聴いてくれました。本当にありがとう!! これからも、年に2回のライブツァー(都内だけだから、ちと大げさ!)をやっていきます。
オリジナル曲の制作や新しいボサノヴァ表現などに精進して取り組んでいきますので、どうか応援をよろしくお願いします。
ODさんが言ってくれたように、「肩の力が抜け、ほぐれて、軽~い気持ちになれる」サウンドをみなさんにお届けしていきたいと、心を新たにしています。
それではまた、ライブでお会いしましょう!

2009年10月11日日曜日

多摩川干物パーティ

        □ 炭火バーベキューセットを持ち込んでの本格的焼き干物パーティーだ!皆に大好評 Photo by Mayumi

秋晴れの一日、多摩川は小田急線にかかる橋近くで、地元の音楽仲間が集まり、壮大な゛干物パーティー゛と相成った。RYOさん知り合いの、千葉の爺さんばあさんがやっている干物屋から以下の食材が取り寄せられた。上鯵15枚、生干し烏賊3枚、大金目5枚、つぼ鯛7枚、いぼ鯛10枚、鯵みりん干し15枚、合計2万円の豪華版だ。これに加えて、焼肉用牛ロース、アスパラやナス、生野菜のトマト、セロリも加わり、私が持参した特製ローストビーフもあるという、願ったり適ったりのラインナップ。ビールや焼酎、ワインに日本酒もあって、焼き始める前からすでにわくわくムード!

その日の集合場所に行ってまず驚いたのは、バーベキューに来ている人の多さ、あちこちに人の塊が出来て、即製の石カマドを囲んでわいわいにぎやかなこと!20代~30代の若い人たちが多いのにも驚いた。中には、国際交流で集まったグループ、台湾・中国・東南アジアの人たちばかりで多摩川のバーベキューとは、見慣れぬ光景とはいえ時代は変わったね、と思わざるを得ない。

HDさん持参のバーベキューセットは炭火専用で、バーナーで炭に火をつけすぐに強力な火力となった。次々と魚の干物焼きながら、熱々をいただく。「う~ん、美味い!」、塩気が柔らかく、身もよくほぐれて美味しい干物だ!冷たいビールを喉に流し込みながら、次々と魚をいただく。途中で持参したローストビーフをまな板の上で適宜な厚さで切り分けて皿に盛る。ジューシーで柔らかな味は皆に大好評だった。

すぐ側の線路橋を小田急線の電車が走っていく。皆で童心に帰り三角ベース野球で対戦、ビールの酔いで走るのもふらふらだった。

子供たちも加わって、皆でよく食べよく飲んだ。腹いっぱいで゛もう、食べられませ~ん゛となっても、干物は少し余ってしまったので、各自少しづつ持ち帰り。それでも一人頭男性3,000円女性2,500円(炭代・食材・飲み物全部で)の会費だったから、大いに満足の秋の一日だった。
またやりたいですね 今度は゛新米パーティ゛の声も出て、色々趣向を凝らして集まろう!ということになった
           □多摩川の河原は広くていいね。干物焼きの煙も心配ないし。秋刀魚を焼いてもOKだね!

2009年9月25日金曜日

ルネ・ラリックの飾りピン゛芥子゛と酔芙蓉






ルネ・ラリックの飾りピン゛芥子゛、素材は金・銀・ブリリアントカットのダイヤモンド・七宝を使い、有線・省略七宝・半透明つや消し釉及び不透明光沢釉などの技法で作られた逸品。花びらは光に透けて見え、雌しべや雄しべの造作が、芥子の花をしっかり見つめた上での抽象的な美しさを表現しつくしている。(美術館展カタログより)
世田谷美術館で開催中のオルセー美術館展のチケット。アール・ヌーボーの名品・逸品150点を集めて開催中
世田谷区の砧公園の一角にある世田谷美術館までは、自宅から自転車で約25分、連休の秋晴れの午前中、さらっとした風を感じながら例によって電動チャリを漕いで出かけた。緑の木立ちに囲まれたこの美術館を訪れるのは久し振りで、アンドリュー・ワイエスの三世代展「アメリカン・ビジョン」を見て以来だから10年以上もご無沙汰であった。
本展はアール・ヌーボーのコレクションを、サロン・ダイニング・書斎・貴婦人の部屋などのテーマに別け、それに加えて、建築家エクトル・ギマールと女優サラ・ベルナールを特集しているので、20世紀初めのパリ高級工芸産業の粋を見ることが出来るという訳だ。

美しい金工や陶芸・七宝作品を見ながら感じたのは、ルネ・ラリックやエミール・ガレ、リュシアン・ガイヤールなどの工芸作家たちの゛自然観察の深さと鋭さ゛だった。芥子やスカンポ、西洋オダマキや丸葉朝顔などの花や、蜻蛉やかえるなどの虫や生き物をモチーフにしているが、素材を駆使した表現は見事に抽象に高められていて、当時の新興市民の家庭空間で使用できる家具や食器、髪飾りや扇子などに製品化されている。生活工芸品を上質なアートに凝縮した創作行為に、作家たちの創意工夫を大いに感じることが出来た。

江戸浮世絵版画の巨匠たちが描く「花鳥図」や「魚介図」(北斎)、「四季の花尽くし」や「絵本手引草」(広重)のみならず、若冲の「動植綵絵」などに登場する動物・虫・花・魚たちは、類まれなる自然観察と絵画技法から生み出された優れた作品だと私は思う。西欧の印象派の画家やアール・ヌーボウ工芸作家達が、ジャポニズムに対して強い関心と熱い思いを抱き、模倣と吸収の中から多くの素晴らしい作品を残したが、洋の東西で展開された創作活動の根源に、「ナチュラリスト」の確かな視線を感じた、そんな展覧会であった。

話は変わるが、先日神代植物園に行った折、門前の花屋さんで紫式部と酔芙蓉の鉢植えを入手した。ベランダの鉢が数年経って弱ったり暑さで枯らしてしまったりで、新しいものを欲しかったのだ。その、酔芙蓉の花が開き始めた。朝の咲き始めは純白、昼頃には薄桃色に染まり、夕刻には濃い赤になる。まるで、佳人が薫り芳しいお酒に酔っていくような花、という謂れで゛酔芙蓉゛である。夜にはしぼんでしまうので一日花、というところも美人薄命のたとえでなかなか洒落た名前であるのだ! もっとも、今時美人は健康でタフだけれどもね!

刻々と変わりゆく花の色を、1日中眺めているのは何故か浮世離れしている感があり、私も時を過ごす達人の域に入ったのかなぁ?  とふと思ったりもする。
左:あさ7時の咲き始め / 右:昼午後一時にはほんのり薄桃色 All Photo by TAKA




















下左:夕刻5時、赤色が濃くなりすっかり出来上がった趣き / 下右:まれに、半分素面で半分酔ったような部分酔もある。

2009年9月22日火曜日

゛BOSSA DUO゛Taka e Tomo LIVE





上:ライブを終えて、二人で撮ってもらったショット、会場の熱気とGtの熱い演奏で私のシャツは汗にまみれていたのだ!! Tomoさんは涼しい顔?

右:Twin Gt で歌い奏でるボサノヴァ、「密やかで甘いひびきに耳をすますひとときでした」と、店のライブレポートにも紹介されました! Photos by MU-San




この秋のファーストライブ・゛Taka e Tomo(タカ イ トモ)゛を荻窪アルカフェで開いた。前のグループの流れ客もあり、その夜の会場は満員御礼!Tomoさんの友だちや私の仲間も駆けつけてくれて、熱気の溢れる45分のライブとなった。

アルカフェは20人ほどで満席のちいさなライブハウスではあるが、佐々木マスターのPAコントロールとスピーカーセッティングも良く、とても気持ちよく唄い演奏できる会場なので、私もTomoさんも気に入っている。座席とライティングされたステージのレイアウトも程良く、歌と演奏をじっくり聴いてもらえるのが特徴。この夜も、静かな中にも聴いている人たちの思いが、拍手を通してビンビン伝わってきた。

この夜の演奏曲目は以下のとおり。

①オープニング: Samba de Verâo 夏のサンバ(EMaj)
②Vivo Sonhando 夢ばかり見ている人(AMaj)

③Estrada Do Sol 太陽の道(Am)

④Saudage Da Bahia バイーアが懐かしい(CMaj)Ukulele Bossa

⑤Eu Não Existo Sem Você あなたなしでは生きられない(AMaj - Am)

⑥They Long To Be Close To You (BMaj)遥かなる影 70's POPS

⑦Sabado Em Copacabana コパカバーナの土曜日(GMaj):Taka Gt弾き語り

⑧Samba De Uma Nota Só ひとつだけの音で出来たサンバ(Bm):Tomo Gt 弾き語り

⑨エンディング:Corcovado コルコバード(Am)

ボサノヴァを初めて聴く人もいるだろう、ということで、曲の作詞・作曲者や歌の内容を紹介しながらの歌と演奏だった。演奏後の歓談の中で、ゴスペルの大御所YDさんとGtの名手チャーリー、そしてTomoさんの学友KYさんからは、Tomoさんの歌への高い評価をいただいた。また、オリジナル曲を唄うMUさんとチャーリーからは、私のGtの音色と高音でのハモリに対するお褒めの言葉をいただいた。まことに身に余る光栄だった。

これも、くり返し熱心なリハに取り組んできたTomoさんの精進の成果だと思う。そのリハを通じて曲のアレンジや表現を工夫し二人でしか出来ないサウンドを、ライブステージに集約できたことの結果と受け止めて、静かな喜びが胸に溢れた。歌のレベルもGtのテクニックも、またポルトガル語も、すべての表現はまだまだ稚拙ではあるけれども、上を見れば切りがないし、この時点でのベストをお互いに自己表現できたことが最大の成果だったと思う。来ていただいた方たちに楽しんでもらえたのが嬉しかった。
 ライブの後で、荻窪まで出張ってくれた仲間たちと乾杯し記念ショット! 家が遠方だったり、所用で早く帰らなければならなかったTomoさんの友だち夫婦と私の学友ODさんにも感謝! Photo by Teruo
私のライブに始めて来てくれた学友のODさんは、「ボサノヴァは、肩の力が抜け、ほぐれ、軽やかな気持ちになれる音楽ですね ♪ たか い ともさんのハーモニーはhappyでした!」と、後日メールを送ってくれた。ハイッ~ そうなんですよ! ずばり本質を衝いていますね、私もビックリするやら嬉しいやら...
さぁ~!次は10月と11月のワンマンライブです。フルートのTamtamも加わってくれるし、Tomoさんも来てくれるし、私のオリジナル曲も歌うぞ~! 乞うご期待です!

2009年9月7日月曜日

武蔵野の森を渡って来る涼風は、心地よく

木立ちの中を渡ってくる風はサラッとしていて、風鈴をチリチリンと鳴らした 神代植物園深大寺口の蕎麦屋で All Photo by TAKA
秋晴れの日曜日、電動チャリに乗って神代植物園に出かけた。日中の日差しはまだ強くちょっと汗ばむくらいだが、肌に触れる北からの風は乾いていてまことに気持ちがいい。鯉が泳ぎ野草が遊歩道の側に生い茂る野川の清流を見ながら、サイクリングロードを約20分で深大寺境内に着く。朝早い門前の店々の準備を横目に隣接する神代植物園の深大寺口の入り口に自転車を置き、入場料500円のチケットで園内に入る。

夏から秋の端境期なので、開花の種類は少ないが、女郎花・タチアオイ・芙蓉・ダリア・熱帯睡蓮などの花が楽しめる。秋バラは開花が10月半ばなので、手入れの行き届いたバラ園には花の姿はなく、新芽の枝が伸びつつあるを見ながら隣の大きな温室館に向かった。今日のお目当ては熱帯睡蓮だ。

睡蓮を見た後でいただいた名物の深大寺蕎麦は、手打ちのシコシコとした歯ざわりが身上。更科や砂場などの白い江戸前蕎麦と違って蕎麦色が残る野趣溢れた麺だ。お汁たっぷりの出汁巻き卵を肴に地ビールの深大寺ビールをいただいた後、蕎麦をすすっていると、軒に下げられた風鈴がチリチリンッと鳴った。う~ん、極楽!(入り口脇の松葉茶屋にて)

睡蓮も春咲きと秋咲きがあるが、やはり春咲きの方
が花数は多い。花は少ないが、年に2回楽しめるのだから秋咲きに出会えるのは嬉しいものだ。熱帯睡蓮は白・黄色・ピンク・紅・薄紫・紫と花の色も多く、とても鮮やかな色彩が人気だ。日本産のものは白か紅が主流でやや地味ではあるが。
きれいな睡蓮の花と、美味しい地ビールと蕎麦を楽しんだ休日は、涼風でとてもくつろげた時間だった。
右:黄色も鮮やかな、セントルイス・ゴールド(米産)、花が一挙に咲いている姿はとても珍しい(写真は大船植物園で撮った同種)。

下左:ピンク色の愛らしいピンクフラッター、丁度咲き始めのところ

下中:薄紫のとんがった花弁は、カペんシス・ザンジバリエンシス・アズレアという長~い名前、舌がもつれそう。
下右:折しも、シオカラトンボが飛来、目の前で見るのは何十年振りか?




2009年8月31日月曜日

人から人へ、コンセプトは パーソナル


関東地方を台風が通過中のこの日、自民党は大敗し民主党が圧勝した。政権交代が現実のことになった。民主党を中心とする連立政権には、山積する難問をひとつづつ解決し、民意をしっかり受け止めて今より少しでも良い社会の実現に努力してほしいと思う。

かく言う私は、久し振りに体調を崩した。オーバーワーク気味(仕事と音楽レッスン)だったところに、介護福祉の仕事中、よろけた爺様をとっさに支えるのに右足とふくらはぎに負荷がかかり、関節を痛めてしまった。医者に見てもらい、骨に異常はないのがわかったが、炎症を抑える薬の服用と湿布薬の貼付、アルコール断ちで3日間静養に努めねばならなかった。ようやく、今日になって腫れも引き痛みもなくなったのだが...健康に留意し細心の注意を払っていても、こういうケースも起こりうるのが世の中、また気を引き締めて日々過ごして行きたいと思う。
長年、マーケティング(市場調査と商品企画)とライセンス(ブランド・キャラクター)の仕事を専門にしてきたが、世の中の構造と人の気持ちの在り様がずいぶん変化してきているのを感じる。まあ、個人的な感想だが、言ってみれば「マスから個へ」、「量から質へ」、ということだろうか。「物から心の満足へ」ということでもある。大衆、あるいは市民という名前で量と傾向で捉えていくと、ことの本質が見えてこない。欧米の有名ブランドを借りて作った商品よりも、生活のコンセプトをしっかり持ったオリジナル品に人は魅力を感じているし(もちろんそうでない人もいるが)、地球の環境を見据えたエコ製品により関心が高まっているのも事実。1人ひとりの価値観の違いはもちろんあるが、今の政治や政策のどこに有権者が満足しているのかが見えなかった自民党の大敗は、避けられないものだったと思う。
日々接する介護福祉の利用者さんたちも、年齢・性別・生活環境・家族構成・既往症・身体状況も1人ひとりまったくちがうし、また、どんなサービスを受けたら喜ばれるかも1人ひとりちがっている。極めてパーソナルな仕事なので、今までやってきたマーケティングとは対極にある゛人対人゛の仕事といえる。
やはり大切なのは、コミュニケーション。あいさつに始まり、体調の把握やちょっとした声かけの中から利用者さんの満足のポイントを捕らえていく。地味な作業だが、「ありがとう、ほんとに助かります!」といわれたときの嬉しさは、何事にも換えられないものだ。

パーソナルといえば、Wilma De Oliveira さんにポルトガル語の個人レッスンを受け始めた。三軒茶屋のJAZZ & LIVE BAR Obsounds に出演したヴィウマさんのライブを聴いて、その素晴らしい歌声とサンパウロ出身のネイティブなポルトガル語にとても感動した結果、ライブの後で申し出たところ、快くレッスンを承知してくれたのだ。私自身はボサノヴァの素晴らしいスタンダード曲を、残念ながらきちんと教えてもらったことがない。独力で覚えてレパートリーに加えてきたのだが、ポルトガル語の基本を教えてもらう機会がなかったので、随分いい加減な発音やイントネーションが身に付いてしまった。この゛お掃除゛をして、きれいなポルトガル語でボサノヴァを唄うレッスンが今進行中。一対一で細かなところを心行くまで教えていただくレッスンはとても楽しい。目からうろこ、見たいな事も多々あって、やはり、知らないということは恐ろしい、と感じている。当面、20曲程の歌がレパートリーとして加わる予定で、毎回のレッスンがとても楽しみだ!
もうひとつの話題。先々週末(8/22)リカバンドの解散ライブが狛江add9thであり、9年間続いた活動に終止符を打った。この店で一番人気のバンドであったが、看板歌手とバンドメンバーとの意気投合が薄れ、それぞれちがう道を歩むこととなった。残念ではあるが、最近のメンバーたちの活動を見ると結構バラバラにそれぞれのユニットを組んでの演奏活動であったから、致し方ないように思う。むしろ、長年ひとつのバンドを続けられる方が奇跡に近い。人はそれぞれ価値観がちがうからね。それを前提でやっていかねばならないのが世の中。皆さん、お疲れ様でした!
上:ヴィウマさんのポートレイト、YOU-TUBE の`AMAZONES`を唄う彼女の画像よりちゃっかりいただいたもの
  右:リカバンド解散ライブ in add9th Photo by TAKA

2009年8月16日日曜日

夕空に筋雲と毛状雲が棚引いて...


        晴れ上がった西の夕空に筋雲がくっきりと現れて、秋を告げている All Photo by TAKA


秋のライブ出演に向けて、演奏曲の整理やポルトガル語のブラッシュアップ、また、TomoさんとTamtamとのリハーサルなどに余念がないが、音楽に多くの時間が費やされる分、花時間や料理時間にしわ寄せが来てしまい、花名所への訪問や自宅での創作料理をゆっくりと楽しむことが少なくなっている。まぁ、しばらくの辛抱ですかね!

旧盆時期の帰省ラッシュや行楽地の混雑とはまるで無縁の私だが、近所の食品スーパーへの買い物の帰り、ふと空を見ると、抜けるように晴れ渡った夏空に筋雲が幾つも棚引いていた。一番上空にレンズ雲、その下に放射状雲、左に房状雲が、沈みゆく夕陽ととも見ることが出来てとてもきれいだった。(上の写真)

筋雲(巻雲)は、刷毛でさっと掃いたような白い雲で、高度5千~1万3千mの空に現れる。北の高気圧が強くなる時期に登場するから、秋の雲とも呼ばれる。この日、北の空には毛状雲も現れて、毛髪や繊維のような薄いベール状の形が楽しめた(写真左)。季節はもう秋に変わり始めている。



私が雲の形に興味を持って眺めるようになったのは、「空の名前」という写真集(光琳社出版・高橋健司著)がきっかけだった。高橋さんは、元日本気象協会に勤務していた方だから、道理でよく雲のことを知っているわけだ。おかげで、気象状況や季節によって変わる様々な形の雲のことを教えてもらった。
                                                                                  馬追虫(うまおい)の髭のそよろに来る秋は まなこを閉ぢて想ひ見るべし  長塚 節 
 
□ この夏、出かけられずにいる花巡りを手元の写真でしてみようと思う。

桔梗の一番花は、七月の初めに花開く。秋の花と思われがちだが実は夏の花だ。例年、鎌倉の瑞泉寺を訪れて、この花の一番花を見るのが楽しみなのだが、鬱蒼とした木立に囲まれた古拙の日本庭園で静かに見られる桔梗花は風情がある。鶯の鳴き声が周りの山に木霊し、ひととき鳴いた後また静寂が戻ってくる。





 桔梗花を見た後は、段葛の蕎麦や小寿々に寄る。地元で上がった蛸のぶつ切りをわさび醤油をつけて
冷酒とともにいただくと美味いことこの上なし!自家製の出汁巻き卵や蕎麦味噌も美味しい。昼酒をしばし楽しんだ後、手打ちのざる蕎麦をいただく。腰のあるいい歯ごたえが身上。蕎麦湯もゆっくりといただく。
お土産には、この店特製の葛餅がいい。葛100%なのでネットリ感は相当な物で、黄な粉と黒蜜をかけて日本茶とともにいただくと香りと触感が楽しめる。う~ん、また出かけたいなぁ!
白桔梗はピント合わせがなかなか難しい(上)。虎の尾、アザミとともに撮った紫桔梗(左)、両方とも沼津のクレマチスの丘にて。


「サルビアの花]という素敵な歌がある。作詞:相川晴子/作曲:早川義夫の歌で、「♪ いつもいつも思っていた~サルビアの花を~ ♪」という出だし。唄っていたのは早川義夫で、うん10年前の曲だ。この歌は色んな歌手にカバーされて歌われているが、井上陽水の゛UNITED COVER゛というアルバムで私は知った。確か聴いたことのある曲だとは思っていたが、これでちゃんと歌詞を把握した。サイモンとガーファンクルの「Mrs. Robinson」のように、エレン(だったっけ)を奪って教会から逃げたりはせず、ただひたすら゛恨み節゛の歌なのだが、「サルビアの花をベッドにしきつめて、僕は君を死ぬまで抱きしめていよう」なんていうから、バラよりも素敵な花かな?と思う人もいるだろう。実際のサルビアは、小さいの花房がびっしりとついた錘状花で香りも良く、群生して咲くととてもきれいだ。

        □見事に造られたサルビアの花壇、これだけ沢山植えられているのは珍しい 大船フラワーセンターにて

唐藤ウツギは、木立ち状に長い枝を伸ばし先端に芳香を放つ房状の小花をびっしりとつける。赤紫の花色は艶やかで、花の少ない季節にひときわ目立つ。
たまたま、アゲハチョウが飛来して珍しいショットが撮れた。小石川植物園にて。










花の好みも人それぞれだが、ちょっと苦手の部類の花の二種。ダツラ(朝鮮朝顔)とカンナ、ともに暑い夏の季節に元気一杯に花を咲かす。外来種であることも共通。ダツラも鉢植えぐらいだとかわいらしいのだが、土におろすと木は巨大化し、花も沢山咲く。もともと野生のものだから環境に強いのだろう。
カンナの花も、炎天下で次々と花開くのを見ると、「どうしてそんなに元気なのぉ~?」と思ってしまう。百日紅などと同じく、暑さに強いDNAがしっかりと受け継がれているのだろう。

カンナとダツラのツーショット 調布近辺にて