2009年1月28日水曜日

冬の鴨料理二点


                 □ 鴨ご飯とカンパチ・エリンギの澄まし汁 調理と撮影 by TAKA


冬の鴨は脂が乗って、むっちり・ねっとりとしてほんとに美味い。つまり、肥えているのね。私はこの料理を(勝手に)師と仰ぐ近藤文夫氏から学んだ。学んだと言っても、近藤氏の料理作りで再現した『剣客商売包丁ごよみ・池波正太郎作・新潮文庫』に収録された゛江戸料理゛のレシピを私流に作り直したものだ。

池波正太郎小説の中には食事のシーンが必ずあって、旨い酒と料理が登場する。物語の進行とともに数々出てくる料理を想像するのがとても楽しみでだった。秋山小兵衛の『剣客商売』でも、梅安の『仕掛人・藤枝梅安』でも、鬼平の『鬼平犯科帖』でもそれは変わらない。梅安にも『梅安料理ごよみ』という文庫本(講談社文庫)がある。

近藤氏が作る江戸料理は、関東料理の常で出汁に対してやや醤油・味醂・酒味が濃い目である。それが本来の懐かしい味だろうが、私は出汁を効かせてやや薄味で醤油・味醂・酒も控えめ、もちろん砂糖は使わない。鴨は、田に放して雑草を食べさせ泳ぎ回させることで田の水がかき回され稲の生育に良い、という゛鴨農法゛が東北地方で増えて、都会の食品売り場にも供給が増えた(700円/100g位)が、まだやや値段が高い。

鴨肉は脂身をはがして細切りにし、水をなべで煮立てて脂だしをする。冷やしたこの出汁でご飯を炊く。煮汁(水3・醤3油・酒4)を煮立てて、鴨肉の表・裏をを1分位づつ煮る。この時、煮過ぎずに中身が赤身のままに仕上げると良い。鴨肉は煮すぎると硬くなる。これでは味が台無しになってしまう。身を取り出して煮汁をいったん冷まし、煮汁ごとパックに入れて冷蔵庫で一時間程漬け冷ます。


炊いたご飯を器にに盛り、味付けした鴨肉を薄切りにし、刻んだ芹とともにご飯にのせて煮汁を少々かける。これで出来上がり、澄まし汁などとともに食す。廻りがやや硬め、中は柔らかくジューシーに煮ると、むっちり・ねっとりが楽しめる。
『剣客商売 包丁ごよみ』の表紙 ⇒
もうひとつお薦めの鴨料理は、「鴨の小鍋立て」、二人で差し向かえに鍋を楽しむという、冬の風情ある鍋の食べ方。熱燗のお酒を差しつ差されつ飲みながらゆっくり食べる鴨鍋でありますよ。もちろん、一人で食べるのもオーケー。大勢で食べる鍋とちがって、鉄の小鍋に入れた具を一度食べ切り、出汁と具をまた入れて食べる、というゆったり鍋。やはりポイントは、鴨肉を煮すぎないこと。旨さを味わうには、鴨ご飯と同じ煮方が大切だよね。
鴨や冬野菜を美味しく食べた後は、ご飯と溶き卵を入れて雑炊にすると、鴨肉の出汁が効いて旨いこと請け合い、冬の楽しみだね。
過日、銀座にある近藤さんのお店で、近藤さんに゛おまかせ゛でてんぷらをいただいたことがある。サクサクと柔らかな歯ごたえの魚も野菜も、出てくる料理がすべて美味しくて至福のときであった。カウンター越しに見たネタを作り油で揚げる氏の姿は、動きに何の無駄がなく美しくさえあった。30分位毎に、揚げ油を全取替えして新しい油でネタを揚げる。一斗缶には、「太白ごま油」と書かれていた。国産の最高級油だ。新鮮な油で揚げたてんぷらなのだから美味い筈だと納得した。氏には見も知らぬオジサンであったろうが、私にはいい思い出である。

また機会を作って、氏の店で美味しいてんぷらを食べたい、と思いを強くしている。

2009年1月21日水曜日

ボサノヴァ・ギター・ウクレレの日々は続いて


add9thでのギター弾き語り Photo by Yoshizawa
中村善郎師匠に学ぶボサノヴァギターも、速いものでもう一年を越えた。おかげ様でボサノヴァ・テンションコードの基本構造とパターンがわかってきて、割とスムーズにコードチェンジが出来るようになった。半音づつ変化するコードのニュアンスも把握できてきたので、曲のコード進行の組み立てやオリジナル曲のコード作りもより明確に意識できるようになった。レッスンも最近はフレット・パターンなしで、コードネーム(AMaj9/B13とか)のみが書かれたものになっている。今年からギターに加えてヴォーカルのレッスンに参加し始めた。これがけっこう楽しい。ギターが上手くなるまでは、と封印していたのだが、毎月二回の教室に休まずに通うつもりだ。
年が明けてしまったが、昨年秋・冬のライブ演奏をまとめてみた。
9月17日(水) 原宿ONDENにて:Mas Que Nada, Vivo Sonhando, Tristeza, Volare, Água De BeberをGt弾き語り
9月30日(火) 原宿ONDENにて大学のクラス会:旅人よ、いい日旅立ち・西へ、恋のバカンスをUk伴奏&ハモリでKR君と歌う
10月4日(土) 狛江add9thにてSession:Sábado Em Copacabana, Mas Que Nada, Vivo SonhandoをGt弾き語り
10月5日(日) 荻窪Alcafeにてショートライブ:Sábado Em Copacabana, Mas Que Nada, Vivo Sonhando, Manhã De CarnavalをGt弾き語り
10月15日(水) 原宿ONDENにて:Felicidage, Manhã De CarnavalをGt弾き語り
10月26日(日) 江古田Buddyにて新宿教室発表会に参加:Vivo Sonahndo, Heart On Heart(Or)をGt弾き語り
11月30日(日) 荻窪Alcafeにて田町教室ボサノヴァ会をマネージメント:Tristeza, Manhã De CarnavalをGt弾き語り、Volare, 恋のバカンスをUk弾き語り
12月6日(日) 荻窪Alcafeの二周年記念ライブに参加:Mas Que Nada, コーヒールンバ(SH君とコラボ)をUk弾き語り
12月27日(土) 狛江add9thでのSession:Volare, をUk弾き語り、真赤な太陽(美空ひばり)をHideさん(Gt)、UDさん(Pf)、TAKA(Vo&Uk)でコラボ。
ボサノヴァも、本当に曲の内容に共感できて歌いたい曲というのはそう多いものではないが、1曲1曲とレパートリーを増やしていきたい。
また、今年は゛コラボ゛を課題として、ボサノヴ・ミュージシャンとのGt, 歌を一緒に演奏したり歌ったりしていきたいな、と思っている。特に、他楽器のフルート・ピアノ・オルガン奏者と一緒に演奏するのは前からの課題なので、実現したいなぁ!
NBさんとのadd9thでのSession: ♪ I Just Call To Say I Love You~♪ Photo by Yoshizawa

ウクレレ曲とボサノヴァ曲とは別けて考えていたのだが、Volare(ジプシー・キングス)などはGtでシンコペーションでもサンバでもいいし、Ukの8ビートで細かくリズムカットしてもいい。美空ひばりの名曲:真赤な太陽をサンバのリズムで歌ってみたが(Uk)、大変好評だった。名曲と言われるものは結構シンプルに出来ているので、色々工夫して自分の曲表現でこれからも歌っていこうと思う。
オリジナル曲の第三弾゛One Side Love゛が完成した。これを歌うのがとても楽しみだ。
この夜急造の超迫力ブルースバンド(日暮士SlGt、浅見Hm、謙哉Gt)、Me & Devil に皆おお乗りだった! In add9th Photo by TAKA

2009年1月19日月曜日

季節を告げる新春の花



真冬に香り高く咲くニホンズイセンの花、中心の房が白の貴重種、花芯まで白いタイプは゛ペーパーホワイト゛と呼ばれる。狛江界隈にて  All Photo by TAKA

昨日は南風が吹き込んで日中コート要らずだったが、今日はまた冬に戻った。そういえば今日は旧暦の゛大寒゛、寒さはこれからが本番だ。しかし、日中の暖かい陽射しの中ではすでに春の兆しが見える。

水仙の花は、私の好きな花のひとつ。暮れの12月から咲き始めるのを見ることができる。花の彩りが少ないこの時期に、木の下草や公園の花壇などで黄色の水仙を見ると心が和む。近づいて花の香りを嗅ぐと、野趣溢れるいい香りがする。香りを吸いこむとややきつい香気にはっとするが、すっと伸びた葉と茎の先に群れ咲く花たちは、なかなか姿見が良い。この花の香りについてはブログ(2008/6/8)ですでに触れているので、興味あるかたは覗いてみていただきたい。
水仙の名所は日本各地にあるけれども、数年前に訪れた静岡県爪木崎の群生地は見事だった。三百万株と言われるニホンズイセンの花畑が須崎半島の海岸丘陵地に広がっていて、冬の日差しを浴びた水仙の花たちが咲き誇り、遊歩道を歩いていくと甘い香りが一面に漂っていた。

鎌倉瑞泉寺も名所のひとつ。この寺は古拙で一年中花の彩りが絶えず、初夏の夏桔梗も趣きがあるが、
梅の名所でもあるので二月には水仙と梅が両方楽しめる。

開き始めた早咲きの白梅、事務所近くの千駄ヶ谷・瑞園寺にて


蝋梅(ろうばい)もやはりこの時期、春に先駆けて咲く薄黄色の花だが、小振りの花弁が゛つや消しプラスチック゛のようで不思議な質感を持っている。蜜蝋のような透明感のある花なので゛蝋梅゛と呼ばれる、との説があり、別名唐梅(からうめ)とも呼ばれている。地味な花なので気づかずに通り過ぎてしまうことも多いし、これも梅? と思う方が多いが、この花の香りはとても良い。


透明な花びらを見るために、敢えて夕闇で撮影してみた。狛江界隈にて



ラッパズイセンは、フランスの隣・ピレネー地方で16世紀に発見され、改良されて世界に広まったと言われる。花弁も大きく、突き出したラッパ型の中心花弁も華やかで見栄えがよろしい。゛幸せの黄色いハンカチ゛ではないけれども、黄色は人を幸せな気持ちににする色かもしれない。高揚感があるよね。


山形県置賜のさくら回廊巡りのときに出会ったラッパズイセン


ピレネー地方には、今も水仙の原種が数多く残されて自生しているという。一度、水仙巡りの旅に出かけてみたいものだ。

二月雨水(2/20)の頃になると、梅も咲き揃い春の花たちがいっせいに咲き始める。サンシュユ・マンサク・ミモザの花、木五倍子・三椏・レンギョウ・沈丁花...もうすぐだね!



事務所の近く、千駄ヶ谷で見つけたミモザの花(銀葉アカシア)、もう蕾をたくさんつけて開花も間近!



2009年1月2日金曜日

2009年のお節料理



               今年のおせちは丸い器に盛り合わせて 調理と撮影 by TAKA新年明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします。
毎年、暮れの2日間は、買出しとおせち料理作りをするのが恒例で、楽しみながら7~8品を作ることにしている。おせち料理は、日本の家庭料理の基本なので、出し汁や煮つけ、豆煮や酢和えなどの手順を確かめながらの調理となる。黒豆・田作り・数の子・車海老の旨煮・紅白なます・昆布巻きなど、おなじみの品目に加えて、蒲鉾の2色サンド(白にめんたいことスダチ、赤に紫蘇とナチュラルチーズ)やサーモンと白身魚の青じそ重ね(刺身の鯛・おぼろ昆布・スモークサーモン・紫蘇の葉を5段重ねする)のオリジナル品目も登場する。今年は松露の卵焼きとはぜの甘露煮を買い加えた。

左より: 紅鮭の昆布巻き / 蒲鉾(静岡のイチウロコ製)の2色サンド / 車海老(築地三宅水産)の旨煮
おせち料理には、新鮮なまた、良い素材の旨さを引き出す調理の仕方が求められるとともに、新しい年が健康で幸多く暮らせるように願いが込められている。黒豆:マメに(健康に)暮らせるように、昆布巻き:゛よろこぶ゛につながり一家の繁栄を願う、数の子:子沢山で子孫の繁栄を願う、海老:ひげが伸びるほど、腰が曲がるほど長生きできますように、などなど。相も変わらぬごく普通の庶民の願いなのだ。お正月におせち料理と美味しい日本酒をいただくと、しみじみ幸せを感じる。日本人であることの喜びも同時に湧いてくる。経済の不況や非正規雇用の労働者首切りなど、厳しく暗いニュースも多いが、まずはお節をいただける幸せを感謝すべきだと思う。
今年はおせち料理を改めて撮影した。盛り合わせた器はほとんど砥部焼きだ。私はこの砥部焼きが好きでいろいろ集めて日々使っている。割れにくい厚めの陶磁器製であり、白地に藍と朱の色付けが具象でなく抽象の図柄なので、和食にもイタリアンにもすんなりと合う。料理も器とのハーモニーが大切だと思う。都内に砥部焼きを扱う店は少ないので、毎年4月に開催される四国の゛砥部焼き祭り゛に出かけて窒元で買い求めたいと長年計画しているが、いまだに果たしていない。銀座の松屋が砥部焼きの窒元を集めて、毎年1~2月に゛砥部焼きフェア゛を開催している。ここで大方そろえてしまったのも、現地に行く機会を果たせないでいる理由かもしれない。
私の好きな日本酒: 左から石川県菊姫酒造の純米吟醸酒「加陽菊酒」 / 長野県舞姫酒造の純米吟醸酒「舞姫翠露」 / 同じく菊姫酒造の純米酒「菊姫先一杯」...なぜか姫ばかり。
昨年の12月に、狛江市の健康診断があってひと通りの検査をした。その結果を地元の医師に診断してもらいながら話した。私の場合は、やや血圧が高い(遺伝的なものでもある)のと、LDL(悪玉コレステロール)値がやや高いのを除いて正常な数値であった。いわゆるメタボには該当しない、とのこと。自身の健康状況の把握から当然とは思っているが、これも、食養生と毎日のストレッチのおかげである。医者の勧めで何かもうひとつ運動したら、ということなので、以前やっていた水泳を今年は復活しようかな。やはり、何をするに付けても、健康であることが第一だからね。
サーモンと白身魚の青じそサンド:青じその香味とおぼろ昆布の塩味が加わり、味の四重奏となる。極上の日本酒とともに食すと絶品の旨さ、レモンをかけて辛口の白ワインと合わせると旨さこの上なし。