2009年3月29日日曜日

心惹かれるのは、枝垂れ桜の古木・その①


              □新宿御苑の双子の枝垂桜・八分咲き All Photo by TAKA

ソメイヨシノの開花とお花見の話題で巷は賑やかだが、今年は開花が早い割に満開は花冷えで例年通りの時期となりそう。私の住む狛江の団地には、樹齢60年程の桜が30数本あり、近辺では桜の名所ということで訪れる人も多い。爛漫と咲き誇り、ぱ~っと散ってしまうソメイヨシノの花は約一週間の命、桜を愛でるのに他人には引けをとらないあなたも、マイ・サクラスポットをお持ちのことと推察しますが...
久し振りに花友MIさんと出かけた新宿御苑では、ソメイヨシノに先駆けて、下の池脇の枝垂れ桜が見事な花を開いていた。双子の桜はまだ若くて樹齢70年ほどだが、花すだれの様に長く伸びた枝先にびっしりと薄紅色の花をつけて見事な咲きっぷりだった。ソメイヨシノの花は開くと白っぽくなるが、エドヒガン系の枝垂れ桜は花色が薄紅色のまま続く。八分咲きのこんな綺麗な開花と出会えるのは幸せそのもの、う~ん若くてスタイルの良い元気娘に会った気分!
           左:エドヒガンの薄紅花、小振りで愛らしい / 右:オオシマザクラの白花、花弁が大きく華やか

ご存知のように、ソメイヨシノ(染井吉野)はエドヒガンとオオシマザクラの交配種から明治初期に染井村(現在の豊島区駒込)で作られ、全国に植樹されて広がった。しかし、寿命は60年位と言われていて、日本各地のサクラが枯れ始めたり害虫や病気で弱っている木が増えていると聞く。
一方、エドヒガンの変種である゛枝垂れ桜゛は、樹齢千数百年といわれるものもあり、その長寿振りと今なお元気に花を咲かせる生命力に多くの人が惹かれる。枝垂れ桜の古木は、桜名所として多くの観光客を集めているが、かく言う私も過ぎる数年間、枝垂れ桜の追っかけに精を出していた。 

毎年春のこの時期は、何処に出かけて古木を見ようか? と、開花予想と天気予報に一喜一憂しながら現地に出かけるのだか、なかなか満開の枝垂れ桜に遭遇できた機会は少ない。先方は自然の摂理で花開き、こちらは人間の都合で出かけるのだから致し方ないのだが、それでも素晴らしい開花に巡り会えた時の喜びはひとしおだった。
上: 身延山久遠寺の枝垂れ桜(樹齢400年)、樹高13m 幹周り3m、枝の垂れも長く風に揺れながら咲く様は妖艶ですらあった。/ 下: 久遠寺北の坊の枝垂れ桜、満開の花が逆光に美しかった
身延山の久遠寺は、山の中腹にある本堂を中心に多くの坊が点在し、本堂の庭にある3本の枝垂れ桜(樹齢400年)だけでなく、各坊の庭にも沢山の枝垂れ桜の古木があり、寺院と街全体が枝垂れ桜の名所となっている。長年をかけて桜を育て慈しんできた人々の熱意が感じられる街並みを、ゆっくりと散策し花を眺められるのは、心が寛げてとても楽しい。野天の茶会に加えてもらい、緋色の毛氈が敷かれたお席で抹茶をいただきながら枝垂れ花を見るという贅沢も経験したり...
三春の滝桜は樹齢1000年以上と言われ、日本三大桜のひとつだ。4年前、この枝垂れ桜の満開に出会えたのは幸運としか言いようがない。樹高12m根回り11m、南北18m、東西25mという巨木で、なだらかな丘の中腹で垂れた枝にびっしりと紅色の花を付け、天から滝水が流れるように咲き誇る。その様は゛生命の賛歌゛と呼ぶにふさわしい。人はこの桜の前では声を失い、只々眺め続ける。花の色もベニシダレと呼ばれるだけあって、鮮やかな紅色で芳醇な生命力を感じさせる。
三春の町には、2000本を越える枝垂れ桜があり樹齢100年を超えるものだけでも70本もあるという。この町のお寺や人家の庭々を巡って、巨樹に出会えることができるのも、やはり桜に格別の思いを抱く人々の長年にわたる熱意の賜物だろうとありがたい気持ちになる。桜の木の下や周りには、黄色のレンギョウ、白いユキヤナギ、スイセンや紫のハナズオウなどが咲きそろい、花を愛でる人々の暮らしぶりが覗かれるのも嬉しい。

上:古木を保護する為、周囲に廻された柵越しに見る三春の滝桜、人の大きさと比べるとその巨樹ぶりが分かる / 下:常楽院の枝垂れ桜、青い空と白い雲と桜花の対比が美しい。
●この項続く
※滝桜開花情報:
※身延町身延山観光案内

2009年3月16日月曜日

TAKAのコラボ第二弾 : CHARLIEと横浜で

            □Charlieとユニットを組んでの唄と演奏、♪ヤァ~! 楽しかったねぇ~!♪ Photo by Kaburagi

横浜のジャズスポットDOLPHYにボサノヴィスタたちが集まって、恒例のボサノヴァ会が開かれた(3/15)。主催は地元横浜・中村教室のメンバーたち、発表会は40人程でホール一杯となっていた。私とCharlieは二次会への参加だったが、前週に一度のリハーサルを経て意気揚々と会場に乗り込んだ。
せっかくユニットを組んでボサノヴァをやるのだから、何か趣向というか、テーマというか、それに沿って4曲やろういうことで、私が企画を立てた。「ほぼアラカン・ユニットが唄い奏でるCanção de Amor(恋歌)」...゛ほぼアラカン゛には、お若いCharlieが渋い顔だったが、おじさん二人でボサノヴァを楽しくやろう! ということで、これにCharlieが乗り、Charlie&Taka Collaboration が実現した。4曲は以下のとおり。
□「One Side Love」(Original ) TK:Gt弾き語り...19才の夏の思い出、片思いのサンビーニャ
□「Tristeza」(Samba) CH&TK:Gtと唄の掛け合い・ハモリ...恋の痛手からの立直り新しい歌を唄おう!
□「Garôta de Ipanema」(Bossa Nova) CH:Gtソロと 〃...若い水着美女を見た時の男のため息Ah~
□「Travessia」(M.P.B) CH&TK:Gtと唄の掛け合い・ハモリ...夢は破れても再び生きよう! 旅立ちの歌
というわけで、二人の演奏と歌が始まった。今回は
選曲も良かったし、CharlieのGt演奏と唄も良かった。私もGt伴奏と唄・ハモリを上手く表現できたと感じられた。最後のTravessia は二人で曲に良く乗れたと思った。ただ、私たちユニットの演奏は、丁度料理と飲み物が各テーブルに配られ、ほとんどの人がお喋りしながら飲み食いに盛り上がっている時間帯だった。私は唄い演奏しながら、耳をそばだてて聴いてくれるリスナーを祈る思いで探していた。二人の曲表現を受け止めてくれる、眼差しと耳を...

演奏が終わってCharlieと握手を交わした後、私はちょっと気落ちがして静かにビールを飲んでいた。その時柔らかなギターの音色と共に、ややしゃがれたハスキーヴォイスの歌が耳に飛び込んできた。Kõichiroだった(後で声を交わして名を教えてもらったのだが)。オリジナル・ソングを唄った後、もう1曲のアンコールに応えて唄ったのは上田正樹の「悲しい色やね~Oosaka Bay Blues」、心に染み入るブルースだった。ざわついていた客席の耳と視線を一身に集めてしまった彼の歌は、この日一番のパーフォーマンスだった。(フォトは彼のホームページより)
坂本龍一(元Y.M.O)がNHK・TVの番組(この人にトキメキ)に出演したときに話していた言葉が耳に残っている。彼独特の表現の仕方なのだが、「紙の上では音楽は成立しない。聴く人の胸の中で音楽は成立する」と。彼は作曲もするしピアノも演奏するけれども、楽譜の上でどんな凄い曲が出来たとしてもそれだけのことだと。発信→聴いて受けとめる→感動、これで始めて音楽になるのだと。そのような体験が可能な空間、そして表現する技量、聴く人と演奏する人とのコミュニケーションを求めて、これからも唄い演奏していきたいと思った。
そう言えば、今回参加していたミュージシャンの
Karen さんは、ざわついている客席を前にしばらくGtの爪弾きをしながら、静まるのも待ってから唄い始めた。そしてトム・ジョビンの「Fotografia」を、澄んだきれいな声で唄った。プロの良いお手本を見せてもらった気がする。
司会・進行にも活躍のChaeさん、Sábado Em Copacabana をきれいなPL語で熱唱 Photo by TAKA
とはいえ、これだけ多くのボサノヴィスタが集まり、上手い下手は別にして、熱意を持ってボサノヴァに取り組んでいるのを発表し合うなど稀有のことかもしれない。特別招待のMarcio氏(アレグリア・ラテン・ランゲージ・スクール代表)も、そのことに触れて感激していた。そして、楽しいお祭りは深夜まで続くのであった...
Charlie、素敵な唄とGt演奏をありがとう! またやろう!
そして、デジカメの連写でいい写真を撮ってくれたKBちゃん、ありがとうね~!

2009年3月13日金曜日

ソメイヨシノに先駆けて咲く春花たち




            □満開の白木蓮、撮影も゛イナバウァ~、Umm~゛:新宿御苑にてALL Photo by TAKA

昨夜からの強い南風と雨が続いている。春は一雨ごとに暖かくなると言うが、今日は春の嵐だ。

Milton Nascimentは、゛♪ 夢はそよ風で出来ているんだ でも、強い風がそれを消し去ってしまう ♪゛ と歌っているが(Travessia)、心に残る歌詞というものはこういうときにふっと出てくる。誰にもわかる平易な言葉でこころ模様を表現している。この曲は私も好きなので、ライブでも歌いたいと思っているが。

桜の開花予想がテレビニュースを賑わしているが、いわゆるソメイヨシノの前に咲く春の花々にも素敵なものがたくさんある。私は仕事柄、介護福祉のサービスで利用者宅を訪問することが多い。移動は自転車なので公園の木々や街路樹、個人宅の庭々で色々な花を見られるのが楽しみのひとつだ。

木蓮とコブシは、共に紫色と白色があるが、シデコブシの花は薄紅色と言っていい位紫色は淡い。白木蓮の緑褐色の固い蕾が開き始め白い花が枝一杯に咲くと、とても華やかで春爛漫の感じがする。青空に白花の乱舞は美しい。柔らかなナチュラルホワイトの花房の中に黄色の花芯が息づいている。ただ、この花の散り様はちょっと無残。白い花弁がすぐ褐色に変わり、地面にバラバラと落ちて散り敷くこととなる。

左から:白の小花が可憐な雪柳(狛江周辺) / 諸喝采(ハナダイコン)は四弁の紫花(成城学園周辺) / うつむき加減に花開く緋寒桜の鐘状花(新宿御苑)

桜というとパーッと咲いてパッと散るソメイヨシノが主役ではあるが、冬桜→河津桜→寒桜→緋寒桜→彼岸桜→枝垂桜→ソメイヨシノ→里桜(八重桜)→山桜など、真冬から初夏にかけて順を追って咲く桜群は、それぞれ花の形や色、咲きっ振り散り振りも様々で、季節の移り変わりと共に楽しめる。緋寒桜の花は、満開でも半開きでうつむき加減に咲くのに風情を感じる。九州・沖縄に多い早咲き種だが、花の色は濃~い緋色で多情多感な南国女を思わせる。


寒桜の花色はやや濃い薄紅色で、小さめの一重五弁花をびっしりと枝に咲かせる。春先の冷たい風の中でこの花を見るのはとても嬉しい。緋寒桜と山桜の混ざった雑種と言われるが、園芸栽培が難しいのかあまり身近には見られない。小石川植物園と新宿御苑には2・3本づつ銘木があって、この時期に見事な花を咲かせる。


新宿御苑の寒桜、後方のビルはNTT.DOCOMO本社。NYのエンパイヤステートビルにちょっと似ている。寒桜を主役に撮影したら、ビルが傾いてしまった!







雪柳は蔓状の枝にびっしりと小花を付け、新緑の葉の広がりと共に
花を咲かせる。心が洗われるような美しい白色花が枝先で風に揺れているのを見ると気持ちが弾んでくる。仲間種のコデマリ・オオデマリの開花も近い。畑の片隅や川の土手にハナダイコンの花を見つけると、そのきれいな薄紫色に見入ってしまう。中国原産名の゛諸喝采゛と大根の十字花に似ているのでつけられた゛ハナダイコン゛との名前の落差がこれほど大きい花も珍しい。

スノーフレークのスズランに似た鐘状花は、白花弁に緑の斑点が洒落ている。直径1.5cm程の小さな花なので、近くで覗かないと判らないが。葉状がスイセン、花形がスズランに似ているので、別名スズランスイセンと呼ばれるそうな。英名Snow Flakeば ゛ひとひらの雪゛、そんなにタイトルの渡辺淳一の小説があったように思う。同じヒガンバナ科のスノードロップは ゛雪のしずく゛、英国人も時には洒落た名前をつけますね!