2009年5月15日金曜日

サムライ、マチルダ、フィデーリオ




    □輪のフィデーリオ(仏FL系)、咲き揃うと鮮やかな赤が美しく、このままの色で散っていく All Photo by TAKA


バラの名所の花便りが各地から寄せられ、またガーデニングショーなども開かれて、夏バラのシーズンとなった。桜と同様に、ベストチャンスでバラの花を見ることが出来るのはなかなかないのだが、神代植物園に出かけてみると、素敵なバラの開花に出会えた。


関東地区のバラ名所を挙げてみると、大船フラワーセンター・横浜港の見える丘公園・駒込旧古河庭園・生田緑地バラ園(旧向ヶ丘遊園)・六会日大バラ園...など枚挙にいとまがないが、神代植物園は種類の多さと手入れの良さ、バラ園の広さと設計の良さではやはりNO,1であろう。広い庭園を巡って、蕾で開花前・咲き始め・咲き終わり、色々なバラを楽しめる。
私の好きなマチルダ(仏FL系)、咲き初め:左と花弁が開ききった姿:下がともに美しいのは貴重






この日(5/10)は、暑い夏日でバラの開花にはとてもいい条件だったが、前週に4日間雨が続いたため、ほとんどのバラの花弁が痛んでいた。外側の花弁が茶色に変色し虫食いのような状態で無残だった。バラは咲き始めはきれいなのだが、ほとんどの種類が開くと形が崩れ、途中から色を失い、散って茶褐色に朽ちていく。゛美しいもののはかなさ゛を、人は皆嘆くのだが、どっこい、美しいままで散っていくバラもあるのだ!!











:黒赤の芳香種パパメイアン(仏HT系)、コスメチック系の華やかな香り、花開いてもビロードのような花弁は色を失わない

:中輪四季咲きの蔓バラ、アイスバーグ(独HT系)、純白の花色とやさしい丸型花容が可憐、丈夫で四季花が絶えない







私の好きなもうひとつのバラ:サムライは仏GR系の中輪花で、蕾は漆黒に近い赤、開くと見事な深紅に変身する。このバラを知る人は少ない。私も各地のばら園を訪ねているが、関東では神代植物園のみでしか見ていない。GRとは、グランディフローラ、の意味で、ハイブリット系の中でも花形が゛房咲き゛、゛花房の茎が長い゛、゛剛健゛で、きれいな花がたくさん採れる、という特徴を持つモダン・ローズなのだ。Scarlet Knight: 深紅の騎士、という別名を持つが、気品があるこのバラに、フランスのバラ作出者もずいぶんと洒落た名前をつけたものだと思う。










左:鮮やかな黄色のフリージア(独HT系)。黄色系では、六会日大バラ園に゛ヘンリー・フォンダ゛という名前の黄バラがあるが、香り・花姿ともに気品があって素晴らしくも珍しい種類だ。
下:サムライ(仏GR系)、もっと黒い赤の印象があるのだが、今年はビロードのような赤味が強い







過酷な気象条件にもかかわらず、毎年美しい花を咲かせることができるのは、その種のバラ自体が健康で
逞しいという事だろう。この日出会えた華麗な花は、大半がフランス作出のHT(GR)系だった。きれいな花姿と芳香を楽しみながら、爽やかな初夏の午前のひと時をゆったりと過ごすことができた。







2009年5月2日土曜日

ONE SIDE LOVE

              One Side Love
                                       作詞:カルロス美希 作曲:TAKA


    □Umm~ Umm~ Sahra~ Umm~

     夏の陽射しがカンカン 浜辺の砂はヒリヒリと

     背中を焼いたジリジリ テープで刻んだきみのなまえ

     Sahra  きみが好きだった

     忘れはしない ぼくのエンゼル

     Sahra  きみが好きだった

     肌に残った 白いなまえ


     乾いた風が吹きわたる  けだるい時が過ぎてゆく

     夏が終わったら消えるなまえ それできみを忘れるはず


     Sahra  きみが好きだった

     いついつまでも ぼくのエンゼル

     Sahra  きみが好きだった

     きみはぼくを 見ていなかった...

□□□□Umm ~ Umm ~ Sahra ~ Umm ~ □□□□□□□□08/11/17 by TAKA


荻窪のアルカフェでの1人2曲ライブ(4/29)に出演し、オリジナル曲「ONE SIDE LOVE」を披露した。この曲を歌うのは3度目となるが、この夜は風邪が治りかけでやや声がかすれたとはいえ、とても気持ちよく唄えた。会場は満員の客と演奏者で一杯、唄い終えてとても大きな拍手をいただき嬉しかった。私のレレ友(ウクレレ友だち)のMIKIさんも応援に来てくれて、とてもいい写真を撮ってくれた。


用のYAMAHA Gtでの弾き語り Photo by MIKI
19才の夏、私は男の学友4人と千葉の海辺に海水浴に出かけた。海までは、クーラーの付いてない車に同乗して、丘を越え畑道で砂埃を上げながらの楽しいドライブだった。犬吠埼の海でひと泳ぎした後浜辺で身体を焼くときに、KRちゃんに頼み、セロテープで憧れていた一人の女性の名前を背中に書いてもらった。

彼女は小柄だけれども笑くぼのかわいい素敵な女性だった。彼女が鼓笛隊の先頭に立ってミニスカートででバトンを振る姿はとてもまぶしかった。教室やカフェテリアで会うと胸がときめいた。ウクレレを通じて少し交流があったが、何時まで経っても私の熱い思いは彼女に届かなかった。温度差があったのね、こちらとあちらでは。そういう場合はよく言うでしょう...゛片思い゛ってやつ。


カルロス美希と話していたら、その時の記憶が鮮やかによみがえって来た。背中の皮膚を焼くひりひりとした感覚と海辺を渡る午後の風、゛もう、あきらめよう゛ というほろ苦い思い、潮の香りと潮騒のザワ~っという音...あらゆるものが一瞬に立ち現れるものだ。


アンジェラ・アキの「手紙~拝啓、十五の君へ~」は、悩み多き十五歳の僕が未来の私に向かって素直に心を打ち明ける姿と、今の私がその十五の君を励ます姿を重ね合わせて作った素敵な歌だ。未来の私とあの頃の私両方を想い描きながら、嵐に騒ぐ心の波立ちや柔らかな光と微風で鎮まる心を感じるような作品だ。


この曲を初めてadd9thで唄った時、音友のRYOさん(09.4/15と 08.4.27に掲載)が、「タカさん、この歌はいい歌だよ。なんか俺の昔の女を思い出すよ! 男はさぁ、いつまでも覚えているんだよ。女にはわからんけれどもね! ゛男のリリシズム゛を感じるよ、琴線に触れたね!」 と言ってくれた。とても嬉しかったけれど、なんか、ずばり言い当てられたようで胸騒ぎがした。


人はそれぞれ、色々な思いを抱きながら今を生きている。40年近くを経て、再び彼女会うことが出来たことがきっかけでこの歌が生まれたが、今は外国で暮らす彼女の元気な姿を拝見して私の心は安堵した。サンビーニャ(サンバの小作品)の様なコンパクトで凝縮された詞の世界を、軽快なリズムで唄ってみようと思い、私はこの曲を作った。今の私があの夏の19才の私に向けたレクレイム(鎮魂歌)は、私のオリジナル曲の中でもとても印象深い曲となった。

2009年5月1日金曜日

クレマチス、そしてアカシア蜂蜜と石垣島ラー油


今年も鉢一杯に薄紫の花を咲かせてくれたクレマチスの花 All Photo by TAKA
昨年の暮れに植え替えをしたクレマチスの鉢二つが、ベランダで咲き始めた。根を整理し土に少し肥料を入れたせいか、枝や葉付きも良くなってすっかり元気になった。手入れにさほど手間はかからないが、花が咲いている期間は水遣りを欠かせない。
鉄線(テッセン:6弁花)花の由来は、つる性の茎が固く針金のようであることからだが、同じキンポウゲ科の日本産テッセンと風車(8弁花)、中国産のC.ラヌギノーザを交配してヨーロッパで作られたのがクレマチスと聞いている。私は鉄線花のやや細身の花弁と濃い紫色が好みなのだが、園芸店では交配種のクレマチスがほとんどで鉄線にはなかなかお目にかかれない。クレマチスの花弁は巾広なので、華やかに見えるのだろう。
左:花芯の黄と紫が花弁の白とコントラストして美しい゛フロリダ゛    
 下:花弁が先広の゛マーモリ゛、縁の赤色が濃く不思議な奥行きがある

クレマチス好きが高じて、数年前静岡県三島の゛クレマチスの丘゛を訪れたことがある。JR三島駅から無料シャトルバスに乗って25分ほど、クレマチスの丘一帯は、木村圭吾さくら美術館やヴァンジ彫刻園美術館、ビュッフェ美術館や井上靖文学館などが点在する人気の観光スポットで、地元の駿河銀行がプロデュースしている。Clematis White Gardenには、内外の約300種のクレマチスが集められ、庭園の中を巡回しながらゆっくりと種々の花を見ることができる。こんなに多くのクレマチスを主役にした庭園は珍しく、日本でもここだけだ。
クレマチスの咲くさわやかな初夏の日に、学友のMaちゃんと久し振りにランチを一緒に楽しんだ。場所は恵比寿アトレの6階にある゛豆腐百珍由庵゛、店内に豆腐の自家製工房があり作り立ての美味しい豆腐を食べさせてくれる。ランチメニューの中から野菜の蒸籠と黒米にビールを添えて、ゆっくり食べながら近況を語り合った。Maちゃんはここ数年ホームヘルパーの仕事を続けていたが、父上も100歳になられ、介護のこともありこの春仕事を引退した。仕事では先輩なのだ。Maちゃんから旅のお土産で、信州アカシアの蜂蜜と石垣島ラー油をいただいた。この取り合わせもすごく面白いのだが、ナチュラル志向の強ぉ~ぃ私にとってはうれしいお土産だった。

つい先日、長野の高校同窓生HO君から、同じマンドリン・ギタークラブのメンバーだったNI君が急死した、との知らせがあった。メタボ解消のためサイクリングに乗っこんでいたのだが、旅先で心臓発作のため倒れそのまま帰らぬ人となった。ご無沙汰のまま、会いたいなと思っていた友が早々と向こう側に行ってしまった。ご冥福を祈る。
:石榴花の様な形のプリンセス・ダイアナ、愛らしいピンク色  
右下:咲き始めは6弁花、開ききるとダリアのような花弁が重なる白万重

今年に入って、終末介護でお世話していた女性お二人が相次いで他界した。今もベッドとデイサービスセンターを行き来しながら、何時あの世に行かれるかを待つ方もいる。こんな風に死と隣り合わせの日常が続いている。友とのつながりも、足し算よりは引き算の年代に入りつつあるようだ。健康に留意して、日々元気で暮らせることができて初めて、色々な楽しみもある。クレマチスのさわやかな薄紫を見ながら、ふとそのことを思う。

豆腐百珍由庵 http://r.gnavi.co.jp/g411105/

クレマチスの丘 http://www.clematis-no-oka.co.jp/index2.html
高遠の桜を見に行ったときのお土産:信州アカシア蜂蜜と石垣島ラー油、(有)ペンギン食堂謹製というのがちょっと笑える。沖縄でペンギンかい? 玄米黒酢と天然醸造醤油に合わせて、餃子のタレとするとことのほか美味しい。辛いがまろやかな味だ。