2009年12月22日火曜日

ダンディライオンとポテトサラダ


ダンディライオンとは、私の学友NAさんが開いているギフトの店の名前だ。゛ダンディなライオン゛かと思いきや、゛たんぽぽ゛の意味で、カラフルな手編みの毛糸製品やアクセサリー、作家物の陶器類などを、自由が丘のギャラリーで扱っている。今回は聖跡桜ヶ丘に出店しているとの案内をもらったので、寒晴れの日曜日(12/20)に出かけてみた。
聖蹟桜ヶ丘のショッピングモール:ザ・スクウェアのお店は結構広く、製品が沢山揃っていたが、丁度六人の作家による陶器展示がされていて目を惹いた。白磁・黒柚・常滑など、いろいろあった中で、森下さんという作家のシリーズが気に入った。器の外側が明るい土色、内側が水色柚で薄手の軽い器だ。その器を手にとって眺めながら、「そう言えば最近、料理の敷物(ランチマット)のいいものがないなぁ~!」と思い当たった。料理撮影の時には、雰囲気を出すのに、いい敷物と箸・箸立てが不可欠なのだが、手持ちのものも限られているので新しいものを探していたのだ。

ふと隣の店を見ると、゛リサイクル着物ショップ・たんす屋゛とあるではないか! 早速店に入り、黄八丈や大島紬などを見ながら店員のおば様に聞いてみると、敷物はないが帯の端切れがあると言う。見せてもらったらなかなか良いものがあったので3枚購入した。なんと、31,000円!!

かくして、水色の器と着物帯ランチマットが手に入った。丁度、大地の宅配で新じゃがのメイクイーンが届いていたので、これを煮て柔らかくし、鹿児島産のグリーンピースと埼玉産の人参を加え、同じく大地の生ウィンナー(中津ミート産、トマトバジル入り)を薄く刻み両面をフライパンで焦げ目をつけて和えた。味付けは塩・白胡椒、松田のマヨネーズにE.V.オリーブオイル。あまりベタベタにしないで、じゃがのホクホク感が舌に残る程度が美味しいのですよ!

器にポテトサラダを盛り、着物帯ランチマットに置くと、なんとも不思議な゛リッチ感゛が漂うではないか!帯独特の艶が彩りを与えてくれるようだ。沢山の料理を撮影してきたが、こんなショットも楽しい。他の2枚も、いずれここに登場させるつもりだ。もちろん、ポテトサラダも、とても美味だった。


      □色々な織物をはぎ合わせた着物帯、ポテトサラダの器と面白い取り合わせ Photo by TAKA

2009年12月21日月曜日

江戸の心意気、仕事人の矜持


司馬遼太郎 ー 藤沢周平 ー 佐伯泰英、と続いている私の時代小説好きは、その作家のほぼ全作品を網羅して読み、好きな作品は三度くらい読み返す、というものだ。さすがにどっぷり浸かって読むと、しばらくはその作家から離れたくなる。 

ところが最近、書店で何か面白い本は、と探していたときに、山本一力(いちりき)の本と出会った。これがまた、楽しい。読み終わると何かすっきりとした気持ちになる。こんな作家も珍しいと思う。
氏の存在は、私のブログで「飽食の五段活用」(2008.5.16)を書いてから、なぜかいつも頭の隅に引っかかっていたのだが、ようやくのこと対峙することが出来た。

舞台はほとんど江戸深川が中心、庶民の町だ。ただ、大橋を渡れば浅草や日本橋の繁華街、お城の周りの武家屋敷や札差の米蔵などもある。『道三堀のさくら』は、深川の大店や長屋に水を売る゛水売り龍太郎゛が主人公。当時埋立地で開拓された深川は、井戸を掘っても塩水で飲料水がなかったので、商売の水も普段の飲み水も水売り人から毎日買ったのだ。そんな商売があること自体とても興味を引かれる。龍太郎が毎日お客に美味い水を届けるための苦労が描かれるとともに、日本橋の大店が蕎麦屋を出すときに、美味いそばを打ち、美味い漬け汁を作るための、一ランク上の水を作り出す工夫がまた面白い。水売りの仕事に誇りを持って、次から次に起こってくる難問に立ち向かう龍太郎の姿に、江戸職人の心意気を感じる佳作となっている。


山本氏の作品はまだまだ沢山あるので、楽しんでこれからも読んで行こうと思うが、『梅咲きぬ』は山本作品にも度々登場する、深川の料亭「江戸屋」の三代目秀弥とその娘玉枝の物語。老舗の女将秀弥は、江戸女の典型とも言える゛いいおんな゛、立ち居姿のみならず、客へ気使い、女将としての矜持、その心意気など、今の日本人の多くが失ってしまったものを考えさせてくれる稀有のキャラクターだ。その母から娘へ受け継いでゆく゛志ーこころざし゛は、巻末で女優の田中美里が解説しているように「生きる姿勢を正してくれる教本」と言うのもうなずける。


『損料屋喜八郎』の商いは、今で言う゛質屋゛のようなもの、庶民相手に鍋釜や小銭を貸して生業としている。この゛損料屋゛という商いも耳新しいのだか、実は元同心。上司の不始末の責めを負って職を辞したが、表の商売を続けながら様々な職についた仲間を束ねて探索組織を動かし、難事件を次々と解決する。でもそこには、損料屋としてのプライドとわきまえがあり、人情味溢れる結末はには心がとても和む。


山本氏は、土佐の高知出身の゛いごっそう(頑固者)゛だとのこと。都内高校卒業後、旅行代理店、広告制作会社、コピーライター、航空会社関連の商社勤務など十数種の職を経た後、49歳で作家デビューをした。作家になった理由が、自分で経営していた会社が背負った二億円の借金を返すため、というのが振るっている。こんな作家も珍しい。エッセイ集の『おらんくの海』は、あの、゛おらんくの池には、塩吹く魚がおよぎよる゛、という゛おれの家゛がタイトルになっているが、抱腹絶倒、ほのぼのにして、これはしたり! というエピソードが一杯。氏のキャラクターのいごっそう振りと誠実さがうかがえて楽しい。

海の向こうでは、゛金融工学゛というあたかも高尚な美名を元に、まやかしの金融マジックが生んだ「マネー・モンスター」が暴れまくった。その害毒が世界を空前の不況に陥れた。マネー資本主義は、恐らく金が金を生む幻想を追い求め続けるだろう。人間は同じ過ちを何度も犯す。上昇主義と一握りの人間が成功し巨額の富を得る構図は、自分の日々の仕事に汗をながしつつも、助け合いながら慎ましくまた誇り高く生きる江戸職人の姿の対極にある。

しばらく氏の作品で、時代小説の面白さを味合わせてもらえそうでわくわくしている。「魂の仕事人」というインタビューシリーズで、氏のことを紹介しているので、気になる方は覗いてみてください。
http://www.jinzai-bank.net/careerlab/info.cfm/tm/041/

2009年12月1日火曜日

おとこの昼飯会は、料理撮影をしながら


  白身魚とサーモンの青紫蘇サンドは、剥がしながらお醤油・わさびなしでいただく。紫蘇・とろろ昆布・白身・とろ身が溶け合い、吟醸酒を一口含むと味の五重奏となる。う~ん、旨い!! All Photo by TAKA

ライブの写真撮影でお世話になったヒデさんを自宅に招き、お礼を兼ねての昼飯会を開いた。゛ご馳走゛とは、いい食材を求めてあちらこちら駆け巡って探す、との意味だが、近辺の食材スーパーや和菓子屋などを周って頃合の食材が手に入った。もう一人来る予定だったRYOさんは、急な仕事が入ったため残念ながら欠席となった。料理を作りながら、お酒を飲みながら、話をしつつ、料理写真も撮ってしまおう! という、まことに豪華でくつろいだ昼飯会となった。
゛おとこの昼飯会゛のお品書は、以下のとおり。
①前菜:大根のサラダ、柿・チーズ・イクラ添え
この季節には水気たっぷりの大根を2~3㎜厚に薄切りし、柿とナチュラルチーズ、柿とイクラを挟んでいただく。柿はヒテさん宅の庭で取れたものを沢山いただいたので、皮を剥き薄切りにして挟む。
さっぱりとしてパリパリした大根の味は、恵比寿ビールと合わせて(左)
②お造り:白身魚とサーモンの青紫蘇サンド
切り身のカンパチ・青紫蘇・とろろ昆布・サーモンを四段重ねにし、それを3~4重にしラップする。別仕立てで、平目・青紫蘇・マグロの大トロ・のりを重ねてみたが、これも大変美味しい。食べるときにラップごと切り分ける。(上)
③お浸し:春菊の柿・ゴマ和え
冬野菜の春菊を茹でて、炒りゴマ・和辛子・刷り柿と合えたもの。ゴマ辛合えに柿の甘味が加わって、やわらかな味となる。

④雪化粧カボチャ焼き
青森産の白い皮付きカボチャを薄切りにし、両面に刷毛でごま油を塗る。ガスレンジで片面づつ焦げ目がつくくらいに焼いて塩・コショウをする。
春菊のほのかな苦味と、カボチャのホッコリした甘味が、黒糖焼酎のピリッとした味と合い、とても美味しい。(右)
⑤鴨ご飯とネギ・つみれの味噌汁
このブログでも紹介した鴨ご飯(09.1.28、興味のある方はレシピを覗いてみて!)、冬場の鴨は脂が乗っていてとても旨い。漬け汁から取り出した鴨肉を薄切りにし、ご飯とセリの上に乗せ漬け汁をかける。鴨肉のむっちりとした味とセリのさっぱり味とともにいただく。鴨と言えば゛ネギ゛、取り合わせの味噌汁にはネギとつみれを入れた。
鴨肉を美味しく食べるポイントは、煮汁に入れる時間を表裏各1分程度にすること。外側がやや固めのシコシコ味、中が柔らかなむっちり味となる。私は隠し味として煮汁に干した山椒の実を入れて煮込む。゛味のハーモニーやぁ~゛(彦麿呂?)

⑥栗羊羹・紅葉あんと茎茶
料理を美味しくいただいた後は、和菓子と緑茶で口直し、アンの柔らかな甘味と茎茶のほのかな苦味が溶け合って、すっきりとした気分になる。
ごひいきの今木屋特製和菓子、紅葉をイメージした包みあんが季節を彩る。(左)
卓前にビーグラス・焼酎グラス・お酒猪口を並べて、一品ごとに飲み比べながら料理との相性を確かめながらの食事。すっかりいい気持ちになってしまった!

味わったお酒を記しておきます。
<日本酒>純米吟醸・翠露(諏訪舞姫酒造)
この酒が発する芳香は、華やかで柔らかい。゛舞姫゛の名のごとく、生酒のフレッシュ感が加わった゛艶やかさ゛がある。しかも、ヴォリュウム感もたっぷり、コシ・コクもしっかり、のど越しもよい。和食との相性は抜群、ブルーのビンはファンタジーが漂う。
<焼酎>浜千鳥の詩(奄美大島酒造)黒糖と米こうじで出来たすっきりとした味わいの焼酎、30度とやや高いアルコール度数。
<焼酎>薩摩七夕(鹿児島田崎酒造)さつま芋と米こうじ(黒麹)で出来たシャープな味の焼酎、黒麹特有の切れのよさが旨い。両方とも料理全般に合うので、食中酒には最適。
<ビール>ご存知麦芽100%の恵比寿ビール、私はこのビールが好み、ナチュラルでコクがあって美味しい。生・琥珀・ホップ・黒とそろえたみたが、全部は飲みきれなかった。
ライブが終わって、節目を越えた後の゛おとこの昼飯会゛は、お酒と料理と会話を楽しみながら、ゆったりとした時間が流れる至福のひとときだった。