2011年2月22日火曜日

大湯温泉の屋上露天風呂に浸かりながら、朝日を見る。

    □魚沼三山の雄峰・駒ケ岳を右に、朝日を浴びる雪の山々、絶景の露天風呂! All Photo by TAKA

「ゆっくり、温泉につかりた~ぃ!!」という願いは、時折心の内から勃然と湧き上がるものだが、6年前の正月明けに訪れたことがある越後魚沼の大湯温泉に再びやって来た。その年の前年暮れに、10年ほど勤めた銀座の版権会社を退き、年明けの下旬、新設の商社系企画会社に迎えられて入るまで、丁度一ヶ月の休暇があり、その間を利用して゛冬の越後・湯殿巡り゛に出かけたのだった。ぶらりきままなひとり旅で、豪雪の大湯温泉、寺泊の海浜温泉、神社のある弥彦温泉を巡りながら、雪見の露天風呂と地酒と日本海の幸を堪能したくつろぎの旅だった。なかでも、降りしきる越後特有の湿って重たい雪を浴びながら、ゆったりと浸かった大湯温泉(村上屋旅館)の屋上露天風呂が忘れがたく、゛またいつか来たい゛と思っていたのだ。


今回は、色々な宿泊プランの中から「朝食付き一泊」を選び、日曜の午後ゆっくりと出かけた。上越新幹線(東京ー浦佐)ー上越線(浦佐ー小出)と乗り継ぎ、小出からバスで大湯温泉まで、東京駅からだとスムーズに行けば現地まで2時間半で行けるのだが、この日は上越線架線事故があり1時間余計に掛かった。

湯気の立ちこめる大展望風呂、泉質は弱アルカリ性の単純泉でとてもなめらか。神経痛・筋肉痛・慢性消化器病や冷え性などに効果あり、と紹介されている(左)。



現地では、ここ2~3日好天に恵まれている、ということで、残念ながら降る雪は見られなかったが、1月に降った大雪のため積雪は2メートルを越え、車道の脇には背丈以上の雪がある。風のない穏やかな日和で、積雪のせいか湿度が意外に高く空気がやわらかい。家を出る前日、関東の乾いた北風にさらされて喉をやられ微熱もあったのだが、この温泉の空気は身体にいいようだ。屋上の露天風呂、大展望風呂、最下階の渓谷貸切り風呂、と入浴を繰り返すうちに、風邪も治ってしまった。


清流佐梨川に面した貸しきり風呂、宿泊客は誰でも利用できる。朝湯にゆったりと浸かって(右)。




さすがに日本一の豪雪地帯、1月はもっと多かったとのこと。車道だけはきれいに片付けられている(上)。
宿の朝食は、日本旅館の正しい朝食で、魚沼産のご飯と大根のお味噌汁、山魚女の甘露煮とシラスおろし、納豆と焼き海苔、温泉卵となぜかハムと千切りキャベツのサラダ。ご飯がとても美味しくて(しっとり・もちもち)、お代わりをしてたっぷり食べてしまった。

宿ご主人のお奨めで、帰りは無料周遊バスの「ゆのたに温泉号」に乗って浦佐駅まで出た。これがなかなか良かった。途中、「道の駅ゆのたに」と西福寺・開山堂にワンストップするのだが、西福寺では思いもかけぬ美術品と出会った。


室町時代(1534年)に開山したこの禅寺は、代々の禅師が美術に造詣が深かったと見えて、寺の各所に書画・彫刻を配している。特に、幕末の名匠石川雲蝶(私も初めて知った)の作品は素晴らしいものだった。
伽藍の襖絵『孔雀遊戯の図』は、、桜と牡丹花の庭園中央に極彩の孔雀を配し、極楽浄土はかくの如し、とも言いたげな気品ある作品だ(上)。

そして、茅葺屋根の別棟・開山堂には、雲蝶終生の大作・『道元禅師猛虎調伏の図』という名の極彩色・木彫透かし彫りが、天井一杯に飾られていた(右:西福寺案内リーフレットより)。
スケールと言い、木彫の細密さといい、左甚五郎作・日光東照宮の木彫や、小布施町に残る葛飾北斎作・天井絵鳳凰の図、などと肩を並べられる傑作と思えた。

さて、「雪を見ながら露天風呂三昧」という今回の旅を満喫した後のお土産は二品。純米吟醸酒使用の地酒ケーキと、絞りたて生乳87%の「ヤスダのヨーグルト」、ともに雪国の香りがするやさしい味でした。













左より、駒ケ岳・中ノ岳・八海山の魚沼三山、晴れた空にくっきりときれいでした(上)。

2011年2月12日土曜日

寒中には、鮮魚と野菜の味噌粕漬けを味わって

味噌粕漬けの銀鱈・鱒・ナス・セロリを燗酒でいただく。至福のとき。 Photo by TAKA 
昨年暮れに、日本酒の新酒が市場に出廻った後、絞った後の酒粕がこの時期、お店に出てくる。純米酒や吟醸酒の良い酒粕が手に入ると、それで毎年味噌粕漬けを作るのが楽しみだ。私は適量の粕にお酒を加えて一晩冷蔵庫で寝かし、やわらかくなった粕に玄米味噌を加えてよく練り、その味噌粕で鮮魚(銀ダラ・ブリ・鮭・マス・マナ鰹・スルメイカなど)と野菜(ナス・キュウリ・セロリなど)を漬ける。作り方に興味がある方は、このブログの 08/12/16「冬魚の味噌粕漬け」の項を参考にしていただきたい。

ちょうど新潟酒造メーカーの酒粕が見つかったので、早速味噌粕漬けを作った。今回は鱒とブリと銀鱈にナス・セロリを用意した。パットに味噌粕床を敷き身にもよく塗って上からガーゼを掛け、冷蔵庫で3~4日寝かす。食べるときは身に付いた酒粕を取り除き、魚はレンジで両面を焼き、野菜は適宜に切ってから食べる。日本酒の燗酒や焼酎のお湯割りなどとともにいただくと、美味い事この上なし、冬の夜の楽しみであります。
パットで漬けた野菜の味噌粕漬け、魚とともにコクのあるしっとり味、ねっとり味が楽しめる(右)。

たまたま、4chの「世界で一番受けたい授業」という番組を見ていたら、武庫川女子大学教授の松井徳光先生(醸造学専門)が出ていて、『酒粕と味噌の組み合わせは栄養学的に最強の組み合わせ』、と言われていた。なんでも、人間が体内合成できずに食品から摂らねばならない8種の゛必須アミノ酸゛がすべて含まれている、とのこと。味噌粕漬けや味噌粕鍋を推奨されるとともに、「キムチ・納豆入り餃子」とか、「ひとさじヨーグルト入り味噌汁」とか、「キュウリのヨーグルト漬け」など、身体の栄養や新陳代謝に良い発酵食品の組み合わせを紹介していた。おおいにわが意を得たのと、伝統の日本食の素晴らしさを改めて感じもした。野菜のヨーグルト漬けは、色々試してみたいと思うし、エリンギや椎茸もよさそうだ。とてもグットタイミングでまた食の楽しみが増えた。

2011年2月6日日曜日

早咲きの紅梅・白梅の下には、日本水仙が香って

早咲き種の「冬至」、白加賀・白難波とともに咲き始め、いい香りを辺りに漂わせている。神代植物園にて
All Photo by TAKA
ようやく寒さも少し緩んできた休日の朝、例によって電動チャリに乗り神代植物園に出かけた。お目当ては早咲きの梅だ。各地の梅便りも聞かれ始め、河津桜の開花もTVのニュースで聞いた。朝晩はまだまだ寒いが、立春を過ぎ季節はゆっくりと春に向かっている。落葉樹はまだ葉を落としたままだが、梅林は白と紅の花でうっすらと色付きはじめていた。
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紅梅の「道知辺」は、紅色がやや濃いが香りはさほど強くない。よく伸びた立ち枝にびっしりと蕾を付け花を次々に開いている(写真上)。枝垂れ梅も早咲きの「白滝枝垂」は、細長く伸びた枝に上から下に花を開いていた(写真右)。咲き初めということもあり、梅林の過半数の木はまだ蕾のままで、私の好きな緑顎種(月影や月の桂)は、顎の緑色も見えない。
梅林の木の下には日本水仙が咲く一角があり、沢山の花たちが春の光を浴びて花開いていた。逆光の中で、花弁の白・花芯の黄色・垂直葉の濃い緑とのコントラストがきれいで、しばし見とれてしまった(写真下)。香りを嗅ぐと、野趣溢れる良い香りがする。少しきついが、これが春の香りだ。
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梅林には、マンサクと蝋梅の林が隣接しているのだが、蝋梅は満開、マンサクは未開花、サンシュユもこれからだ。日刊紙の記事紹介でコラムニストの川柳で、「蝋梅の あわてふためき 咲きにけり」というのがあったが、春に先駆けて咲く様を、狼狽にかけてあって面白かった。蝋梅はさほどに春早い花なのだ。

さて、梅見の後は例によって植物園横の松葉茶屋で深大寺蕎麦をいただくことに。蕎麦入り豆腐を肴に熱燗の日本酒でちょっと温まった後、歯ざわりのよい手打ち蕎麦をいただいた。このまま暖かい春にすぐなるとは思えないが、春の訪れを感じられる梅の花を見られるのは幸せなこと。
ちょっと良い気分になって、園を後にした。


2011年2月1日火曜日

車力通りのイパネマに、ボッサは流れる


ボサノヴァのスタンダード曲にオリジナル曲を加えて弾き語りするSATOKOさん Photo by TAKA
前々から案内をもらっていたボサ友SATOKOさんのライブを訪れた。場所は四谷三丁目の車力通りにある゛イパネマ゛、座席・カウンター合わせて14~5人の小さなライブ・バーだ。ここで定期的にライブをしているとの案内をもらっていたのだが、なかなか出ていく機会がなく延び延びになってた。1月末の寒い夜だったが、思い切って出かけてみた。
SATOKOさんとは、中村善郎を師匠とする同じ門下生だった。ボサノヴァの歌とギター演奏を習う仲だったが、ご本人はピアニスト・ギタリストであり、自身のオリジナル曲を持つシンガー・ソング・ライターでもある。ここイパネマでは、ギターの弾き語りでボサノヴァ曲を歌うとともに、自分のオリジナル曲を挟んで歌っていた。
「美味しい水」・「イパネマの娘」・「トリステーザ」などのボサノヴァ・サンバのスタンダード曲を、伸びやかな歌声と巧みなギターのカットワークで次々披露したが、このお店の名前にちなんで「イパネマの娘」は毎回歌う、とのこと。やはり歌い込んでいる曲は声もギターも滑らかで、聴いていてもとても心地が良かった。「宮古の風」や「あいたくて」など、間に挟むオリジナル曲も素敵で、ボサノヴァ・アレンジの「あいたくて」は私も好きな曲だ。クリエーターとしての楽曲創りが、当初からボサノヴァ的なサウンドを志向していたことが注目される。

この夜は、最後の3ステージを聴けずにお店を出たが、定期的に自身の歌と演奏を披露しながら、独自の゛SATOKOワールド゛の表現を深めている彼女に好感を持った。
彼女とは以前荻窪のアルカフェでコラボし、ショートライブに二人で出演したことがある。(09/02/24 TAKAのコラボ第一弾:SATOKOさんを迎えて)
休憩の合間に話したことがきっかけで、5月に私と彼女でジョイント・ライブやろうか!という話が持ち上がっている。詳細が決まれば、また皆さんにご案内をする予定です。お楽しみに!
お客さんに撮ってもらったツーショット、今宵弾いていた彼女のGtはエレアコでした。