2013年2月24日日曜日

今年の梅・寒桜もようやく開花



八重咲きの「未開紅」はすでに5部咲き、桃色の愛らしい花を沢山開かせていた。
小石川植物園にて All Photo by TAKA
愛用のデジカメ(RICOH CX3)のズームレバーが故障し作動しなくなってしまい、メーカーの修理サービスに出していたのが、修理を終えてようやく戻って来た。前後約2週間、デジカメ無しの日々であり、また、北日本は大雪、関東地区は例年にない冷え込みの日々だったので、春の花を訪ねて出かけられずにいた。まだ肌寒いが、日中の陽射しは暖かさを強めてきた晴天の土曜日、久し振りに小石川植物園を訪ねてみた。
東京メトロの茗荷谷駅に近いこの植物園は、私の大好きな花と植物のスポットなのだが、この所はしばらくご無沙汰していた。10年程前には、約4年近く有楽町線の小竹向原に部屋を借りて住んでいたことがあり、池袋から近いこの植物園へは、ほんとに良く来ていた。江戸幕府時代には小石川養生所の歴史を持ち、その後東京大学(今は、大学院理学系研究科)の付属植物園となっているこの園は、都心にあるとはとても思えないような、鬱蒼とした樹林と静かな佇まいを持っている。湧き水を利用して作った日本庭園も美しく、季節の花が楽しめる。明治の初めに海外から移植された珍しい木々が、今は巨木となってそびえ、研究を兼ねた珍しい草木と花々を見ることも出来る。私はここで随分と沢山の花木の名前を覚えることが出来た。
白梅の「扇流し」も開き始めている。名前は風流だがやや凝り過ぎか(上)
 梅の開花具合は、全体としては3~4部咲きと言う所か。すでに満開に近い種類もあれば、まだ蕾が膨らんでいないものもある。例年だと2月上旬には開花し始めるわけだから、今年は2週間ほど遅れているように感じる。梅園には午前中の陽射しの中で梅花の香りが漂い、雲ひとつない青空をバックに花を楽しむことが出来た。
薄桃色の「故郷の錦」(右)はほぼ満開、びっしりと付いた花房が咲き揃う様はとてもきれいだった。梅の花は゛咲き姿゛を見るのもさることながら、付けられた名前もいろいろあって面白い。『故郷に錦を飾る』というが、晴れやかな高揚感を現すようなこの花の名前は、見ていて気持ちがいい。

 私の好きな「おもいのまま」(白梅と紅梅が同じ樹に咲き揃う)や、ガク片が緑色の「緑ガク」はまだ蕾の状態だったが、一時間ほど梅花を楽しんだ後、高台の上にある寒桜の樹を見に坂を登った。鬱蒼とした林は、この時期、葉を落として晴天に枝を広げて辺りの見通しはいいが、夏の時期は昼なお暗い樹林となる。花梨の木や、スズカケ・ユリの樹、シマサルスベリや菩提樹など、葉を落とした巨木の間を縫う様にして遊歩道が続いている。落ち葉を踏みしめて歩いていると、何故か懐かしい気持ちになる。ふるさとの高原の落葉道を歩いているような、不思議な気持ちだ。
シナマンサクの黄色い花(左)はすでに満開、お菓子の゛モンブラン゛のような細い糸状花を枝につけていた。枝に枯葉をつけたまま開花するこの樹は、花の形とともにその珍しさに何時も驚かされる。

旧 養生所井戸の脇にある寒桜の巨木は、例年びっしりと花蕾をつけるが、この日はまだ2~3部咲きと言ったところ。ソメイヨシノのように、花弁は開ききらず、満開でも筒状花を保つ(大島桜と同じ性質)。咲き姿もやや下向きで風情がある。花期は長く3週間ほど、関東地区では河津桜とともに、早咲き桜として親しまれているが、咲きスポットは少ない。新宿御苑にも4~5本の見事な寒桜があり、知る人々には人気がある。寒緋桜と大島桜の交配種という素性ゆえ、花色もやや濃い桃色が特徴だ。


寒桜の周りには、カメラを携えたおじさんとおばさんたちが数人、コーチ役のカメラマンに教わって写真撮影を楽しんでいた。結構なことです。
さて、梅と寒桜を楽しんだ後は、途中で食材を入手し、ご一緒した食友RKさんのお宅で台所を借りて、春の料理を楽しんだ。メニューは、「菜の花の黒胡麻粉山椒和え」、「真イワシの梅紫蘇巻き」、「煮タコの黒胡麻味噌和え」、「出汁豆腐紫蘇乗せ」など。春野菜も出回り始めてはいるが、寒さのせいで入荷数が少なく、値段もまだ高い。それでも、暖かい春を待ちわびる気持ちは、日々強くなっている。春の先駆けの素敵旅だった。


煮ダコは、すり鉢ですった黒胡麻に味噌とみりんを加え、沸騰したお湯に酒を少々加えて煮たタコをぶつ切りにしてからすり鉢の中で和える。温かい内に和えると、黒胡麻味噌がよく絡んで美味となる。イワシは、内臓を取ってから手開きで骨をとり、薄皮を剥いでから、身にほぐした梅肉を塗り、洗った紫蘇の葉を置いてぐるぐると巻く。楊枝で最後に串刺しにすると、一口で腔内に放り込める。脂の乗った春イワシは、これまた美味。
菜の花は、和製溶きカラシを和えても美味しいが、最近いい粉カラシが入手しにくくなっている。今回は粉山椒を使ったが、黒胡麻と出し汁と一体になって香りが良く、とても美味しかった。