2015年2月23日月曜日

春まだ浅い新宿御苑に、寒桜を訪ねる(その2)



福寿草の可憐な黄色い花は、春を告げる花として愛されている。梅林の一角で。All Photo by TAKA


遊歩道が整備された新宿御苑の広い苑内をゆっくり歩きながら、ふと思い出されたのは、「♪ 明日私は旅に

出ます~ ~春まだ浅い信濃路へ~ ♪」(狩人の『あずさ2号』)」だった。何故かわからないのだが、とっさに

出てきたのだった。新宿門脇の白木蓮はまだ蕾のままだったし、黄色の穂状花を枝から沢山垂らす木五倍子

(キブシ)の花もまだ開いていなかった。ヒマラヤスギや鈴懸の巨木が連なる林を抜けたり、枯れた芝生の

なだらかな丘を超えたりしながら、咲き始めの梅林やまだ花には早い桜の木々を見たりしていると、春は

まだ浅いな、と感じたからかもしれない。




花を沢山つけた紅梅(上)と、蕾が開き始めた緑顎梅(下)


でも、日当たりのいい梅林の一角では、梅の花がほころび始めていた。花付の良い白梅(白難波か白加賀)、

八重の紅梅、そして蕾は緑色で花開くと白梅になる緑顎種などが爽やかな香りを漂わせていた。千駄ヶ谷

門寄りの池の周りでは、金縷梅(マンサク)が糸状花をびっしりと付け、蕾を開き始めた山茱萸(サンシュユ)

が池を取り囲むように木を連ねていた。やはり、この黄金花を見ると春の訪れを実感するのだ。




見る度にお菓子のモンブランを連想してしまうマンサクの花(上)と、花開くと木全体が真っ黄色に
見えるので「春黄金花」と呼ばれるサンシュユの花(下)


新宿御苑は桜の名所であることも良く知られているが、染井吉野(ソメイヨシノ)だけでなく多種の桜が植え

られていて、訪れる人を楽しませてくれる。私も何度か桜の時期にここに来ているが、寒桜、早咲の大島桜、

陽光桜、遅咲きの江戸子彼岸桜(高遠の桜で有名な種)、里桜各種...などその花期は2月下旬から5月上旬

にまで及んでいるのだ。ソメイヨシノの開花期(3月下旬)は、さすがに苑内も花見客で混むけれども、それに

したって18万坪の広い庭はさほどの混雑を感じさせない位広いのだ。寒桜を楽しめた久し振りの新宿御苑

だったが、また改めて、桜の見物にここを訪れようと思った。


苑内に植えられている水仙(ペーパー・ホワイト)は、花壇や桜の下植えとして随所に見られる。
尖がった花弁と花の中心も白色という、清楚な花姿がいい。枝垂れ桜の一角で。



<ここからはおまけの画像です。>


ご近所の喜多見氷川神社の梅畑に咲く白梅の巨木。幹が二つに分かれているが、根本は
直径1m近い。恐らく樹齢何百年のものと思われるが、春の陽光の中びっしりと花をつける
くらい元気だ。私もそれにあやかりたいものだ。



紅梅も沢山の花をつけていた。同所の南向きの畑の一角で。

<この項終わり>

2015年2月22日日曜日

春まだ浅い新宿御苑に、寒桜を訪ねる(その1)。



新宿御苑の日本庭園の一角にある茶室・翔天亭横に咲く「寒桜」の古木は、今年も元気に花を咲かせ始めた。
南に向いて片流れの樹形が珍しい。後方のビルは、NTTドコモの建物。エンパイア・ステート・ビル(NY)
みたいな形と寒桜の組み合わせが面白い。私の好きな桜スポットのひとつだ。 All Photo by TAKA


久し振りに新宿御苑を訪ねてみた。今年は例年になく春が遅い。2月の下旬といえば、梅は咲いて満開にも

なろうという時期なのに、いまだに春先の梅花と香りを楽しめないでいた。気象予報士泣かせの天候は、北の

寒気(高気圧)がまだまだ強く、南の暖気(低気圧)がそれを押し上げられずにいるのだ。春の暖かい雨が、

一雨ごとに地面を温めていくのが例年だが、今年は雪やみぞれ・冷たい雨が周期的に関東地区を覆い、

暖かな春を遅らせている。



快晴の碧い空と薄紅色の寒桜の組み合わせはとてもきれいだ。折からメジロが飛来し、枝から
枝へと飛び移りながら、花の蜜を吸っていた。鶯色の羽色がそこに加わり、とても良い眺めだった。


寒桜は、カンヒザクラ(寒緋桜:緋紅色の花を鐘状に垂れ下げて咲く)の一種で、ソメイヨシノに先駆けて、

2月下旬から3月半ばにかけて咲く。この時期は梅の開花とも重なるので、春花の一番を楽しむのには格好

の花だ。新宿御苑には数本の寒桜と、緋寒桜が植えられているので(こちらはまだ開花していなかったが)、

この日は下向きに咲く寒桜の風情とやや濃い目の花色を楽しんだ。翔天亭の横にある寒桜の前には、カメラ

を抱えた人たちが沢山来ていて、この花の人気を改めて感じた。たまたま、ウェディング・ドレスのカップルが

記念撮影をしていたので、開発が進む新宿南口のビル群とNTTドコモの建物との不思議なショットが撮れた。



新宿御苑の日本庭園の芝生と不思議な樹形の松の向うに、代々木・新宿南口のビル群を望む。



ご一緒した絵友のHIさんと広い苑内を歩き、梅花・寒桜・山茱萸(サンシュユ)・満作(マンサク)・水仙・福寿草

などを見て廻った。北風も弱く、春の温かい光を浴びると、冬のコートが要らないくらいだった。「こんなに

いろいろ見るところがあると、スケッチにはちょうどいい場所ね!」と、HIさんの絵心を刺激したようだった。






上の2枚のフォトは、同じ場所で3年前の三月に撮った咲終わりころの寒桜。雨あがりに花弁は濡れて、

散った落ち花が地面を敷き詰めていた。薄紅色のジュータン。春霞の中に、うっすらとNTTドコモのビル

見える。花弁の茎の根元には、紅茶色の新葉がすでに広がり始めていた。寒桜の画像の中でも、私の

好きなショット2枚です(蔵出しのお宝映像!)。



サービスセンター前の寒桜はすでに満開。まだ若い木だけれど、花付はとても良かった。
見物客も大勢が群がっていた。

<この項つづく>

2015年2月5日木曜日

富士山三昧:真冬の河口湖と温泉旅





午後3時頃の富士山、快晴の空をバックに、頂上の白雪が南西からの陽に輝いていた。
湖畔にあるホテルの部屋からの眺め。 All Photo by TAKA


九州地区からは早咲きの梅、関東地区でも蝋梅の便りもあるが、春はまだ早く、寒さは今が本番だろう。

昨今の爆弾低気圧の動きから、北の高気圧の寒い空気と南からの湿って暖かい空気のぶつかり合いで、

先週は東京でも結構雪が降り積もった。今週に入って前半は冬晴れの天気に恵まれたので、前から予定

していた河口湖に行ってみた。お目当ては、温泉に浸かって富士山を眺めることだ。



午後5時頃の富士山、日暮れも伸びてきているが、空気がピンと張りつめた薄暮のなかで
すっきりとした山姿がきれいだった。


真冬のこの時期は、観光客が少ないこともあって、平日の割安な宿泊プランがあるのだ。それを入手して、

河口湖畔のホテルを利用してみた。私の自宅からも、車で中央道と県道を通って約1時間半で現地に着いて

しまう。まことに近いのだ。到着してチェックインし、部屋に案内されてみると、目の前にど~んと富士山が

見えるではないか ! これを見ているだけでも、来た価値があるというものだ。予想以上の眺めにすっかり

嬉しくなってしまった。静岡県側からの眺めは、山頂からの稜線が大沢崩れのため右側が凸凹している

のだが、こちら山梨県側からはほぼシンメトリーでとてもきれいだ。山頂もはっきりとこぶが三つあって、

バランスがとてもいい。



このリゾートホテルの温泉は、富士河口湖温泉郷の源泉(秀麗の湯)を引き込んだもの。硫黄臭はなく、
カルシウムやナトリウムなどを豊富に含んだ泉質、とのこと。雪を見ながらの露天風呂も良かった。


夕刻にはまだ早いので、喫茶室でシホンケーキを食べながらゆっくりコーヒーを飲んだ。広い庭の樹木に

飛来する小鳥たちを眺めたり、何本もある形の良いヒマラヤスギの大木の枝振りを眺めたり、ゆったりした

時間を楽しんだ。夕食前に温泉にたっぷり浸かろう、ということで地下の浴場に行き、3つある湯船に浸かって

みると、ジャグジーから勢いよく湯が噴出しているので、身体のあちこちに当ててみた。腰や肩や、手や腕

など、色々な個所に当てていると、すっかりと身体が解れていく気がした。外の露天風呂には、先週降った

雪がまだ残っていて、゛雪見風呂゛も楽しめた。夜の食事は簡単なコース料理だったが、コーンスープ・生

野菜・香草入りポークソテー・デザートとコーヒー、どれも皆美味しかった。感心したのは、係員たちのサー

ビス、ちゃんとしたホテル・スタイルで、料理を出したりお皿を下げるタイミングが申し分なかった。最近、

値段は安くても、しっかりしたサービスがおろそかで、何事も簡便化(手抜き・人手不足の別称)の傾向が、

世の中に蔓延しているが、「ここは、なかなかいいね ! 」と、ご一緒した健康オタクのYKさんとも話した。



夜明け前の河口湖畔の空、朝焼けの雲が棚引いた空は冷気に満ちていた。




朝7時頃、朝日が北側の山々から上り始めると、富士山の山頂の雪は紅に染まった。朝焼けの
雲とともに、まさに゛絶景゛の眺め。これを見れただけでも、ここに来た価値があった。



翌朝は、絶対朝日に輝く富士山を見ようと思い、その夜は早目に寝たのだが、寝る前にまた温泉に浸かった

のでぐっすりと寝てしまった。夜明けは7時少し前だったが、夜明けから日が昇るまでの富士山は、初めて

見る景色の連続で、部屋の南側の大きな窓を開けては眺め写真を撮り、ソファに座ってはまた眺め、こん

なに富士山を堪能できるとは思いも寄らなかったほどだった。



朝7時少し過ぎの富士山、ほぼ登り切った朝日を受けて、山頂の白雪が輝いていた。街燈の
灯りも消え、空の雲も色を失ったが、朝の冷気の中にそびえたつ姿は圧巻!




朝9時頃の富士山、刻々と姿を変える山姿。山頂上空を覆っていた雲は姿を消し、快晴の
青空と白い巻層雲(筋雲・上空1万m位)のコントラストが美しい。


時間とともに変化する富士山の雄姿を眺めて、すっかり満足した後は、もう一度朝湯にゆっくりと浸かった。

それからバイキング・スタイルの朝食をいただいた。和食・洋食どちらもOKなので、和食中心にサラダを

加えご飯とお味噌汁にしたが、味付けがしっかりしていたので何を食べても美味しかった。富士山にあや

かって、ご飯は茶碗の天辺にテンコ盛りにした(!)。



9品を入れられるプレートが珍しかったが、少しづつ色々盛り合わせてみた。



せっかく河口湖に来たのだから、湖と富士山が同時に見られるスポットへ行ってみよう!ということで、ホテル

をチェックアウトしてから対岸(湖の北側)に行ってみた。そこは、秋には紅葉回廊で人気の一角で、河口湖

美術館や古賀政男記念碑(影を慕いて)など、色々な施設が立ち並んでいた。湖の向うにそびえ立つ富士山

を眺めていると、地元の観光案内者らしき男性が近寄ってきて、「もう少し風が弱いと、午前中は逆さ富士

が見られますよ。」と話しかけてきたが、その日は湖面が波立っていて、残念ながら湖面に映る富士山は

拝めなかった。でも、快晴の青空をバックに見た河口湖と富士山の姿はとてもすっきりと美しかった。

晴天に恵まれて、時間を追って、様々な富士山を堪能できたのは素晴らしかった。富士山三昧の旅は、

真冬に温泉に浸かって楽しむ温泉旅でもあった。



「こんなにきれいな富士山は、そうそう見られまい」という位に、青空と冠雪の富士山と、湖と残る雪の4景セット。





おまけのワン・ショット:お土産に買った「チョコのふじさんシフォン」、う~む ! なかなか富士山です。