2015年6月21日日曜日

回転椅子修理・始末記




回転盤が壊れた我が家のラタン(籐)製回転椅子、回転盤の中のプラスチックとベアリングが
経年変化で劣化し、水平に回らなくなってしまった。 All Photo by TAKA


10年位前に、友達が引越しすることになり、使っていたラタンの椅子を2脚譲り受けた。使ってくれればよい、

ということで無料だった。それ以来、PCを置いた机の前と食堂のTV前で使ってきたが、作りがしっかりして

いるうえ、360度座ったまま回れるので重宝していた。譜面台を前に置いてギターを弾く時にもこの椅子を

使っているのだ。ところが、先週の週末にうまく回らなくなり、横から覗いてみると、金具の間からボロボロに

なったプラスチックが飛び出していた。ガタガタするし、水平に回らないので、座り心地がとても悪い! もう

10年も毎日使っているから、金具が劣化したものと思い、思い切って回転盤を取り付けているネジをゆるめて

外してみた。



上下2枚の回転盤は、ベアリングとプラスチック板を円周の溝の中に入れて留め金具でしっかり
締めてある。これで、上の椅子部分と下の足部分が、水平に回るようになっているのだ。


金具(回転盤)を交換すれば、まだまだ十分使えると思い、壊れた金具を持って近所のホーム・センター

(ユニディ)のサービス・カウンターに行ってみた。交換できる金具を扱っていないか、と係員にたずねると、

「メーカーと品番を教えて下さい。」との返事だった。譲り受けたものだし、金具には何も表記がなく、恐らく

輸入品だと思われることを言うと、「それでは調べようもないし、納入メーカーから取り寄せることも出来ない。」

とつれない返事だった。まあ、製品は売るが、どこのものとも分からないパーツなどは扱いようがないか、と

諦めた。

それではと、次に寄ったのはやはり近所で椅子の張替えを専門にしているお店だった。地域サービスで

自転車に乗って廻っているとき、時折通りかかるお店だし、今時珍しい職種の店なので覚えていたのだ。お店

で、椅子の張替えのため中のアンコを取り出す作業していた年配のご主人に金具を見せると、やはり、品番

とメーカーが解らないと探すのは大変だ、という返事だった。ちょっと待ってて、と店の裏の倉庫に行ってから

帰ってきて、「中古の回転椅子があったのだが、処分してしまった。金具だけ取り出して交換できるかと思った

がね...」というわけで、このお店でも駄目だった。

はてさて、どうしたものか? と思案をしたが、とりあえずネットで調べてみよう、と思い、2日程かけていろいろ

調べてみた。『回転椅子用金具』で検索してみると、金具は出てこずに、インテリアショップの回転椅子が

ズラズラ出てくるばかり!どこを調べても同じ結果だった。「これはもう、買い替えた方が早いかなぁ?」という

のが頭を過ぎったが、まあ、代わりの椅子もあるし、急ぐわけでもないからゆっくり調べよう、と検索を続けて

みた。それで行き当ったのが『回転盤』という名前だった。


この『回転盤』で調べてみると、国産の金具が沢山ネット上で売られていた。幾つかのサイトで、回転盤の

サイズ(タテ×ヨコ)・ビス止めの穴の位置とサイズ・上盤と下盤の空きサイズ・締め金具の位置(飛び出して

いないか)などを、商品紹介の展開図を確認しながら調べてみると、ズバリ同じものがないのだ!回転盤が

同じサイズでないと、交換取り付けもうまくいかないし、最悪の場合金具を削ったり、椅子板の部分を削ったり

する羽目になる。これは弱ったなぁ~ と思いながら検索を続けていたら、ラタン家具の修理専門店のHPに

行き当たった。ここに、ラタン回転椅子の回転盤は色々なサイズと種類があるので、要注意の案内があった。

思い切ってその店(山川家具店)に電話してみると、若店主が応対に出てくれ、「壊れた金具を送ってみて

ください。それに合うものがあれば発送しますし、ない場合は返送します。」とのこと。早速宅急便で店宛てに

送ると、翌日に携帯に留守録が入っていて、交換できる金具2本と請求書を送ったので、代金を銀行振り込み

してください、とのことだった。


回転盤を取り換え、また使えるようになった回転椅子。背当てにタオルをプラ・ロック止めし、脚に
ニット・ソックスを履かせて仕上げた。もう5~6年は充分使えそう。


この週末を利用して、壊れた回転盤を取り外し、新しい回転盤を椅子に取り付けた。水平にスムーズに廻る

回転椅子は、なかなか座り心地が良くなった。おかげさまで、この椅子に座る快適な時間を取り戻すことが

出来た。散々探した挙句に、専門店のお世話で部品が交換できたが、色々な教訓を得られた気がする。

<1.>信頼できるお店で商品を購入し、修理やリサイクルも引き続き扱ってもらうのが望ましい。

<2.>安いだけの輸入製品は、結果として銭失いになりがちである。

<3.>ネットでの検索は、的確に検索内容を表す『なまえ』を設定しないと時間がかかる。

<4.>簡単に物を捨てたり、買い変えたりしないで、使えるものは修理して使い続けよう! etc...


私自身としては、壊れた金具を持って店を周ったり、ネットで調べたり、交換に合った金具を探したり、結果

として椅子を処分せずに修理して、また使えるようになったのが嬉しかったし、その過程を楽しむことが出来た

のだから、これ以上のことはなかった。回転盤(1個2,400円也+運賃)のコストも負担が少なかったことを付け

加えておきます。

興味ある方のために、以下が山川家具店のHP。

http://www.yamakawa-kagu.com/repair.html


2015年6月13日土曜日

ローカル線各駅停車の旅・アヤメと岬(その2)



銚子電鉄・銚子駅の不思議な形状の駅舎、私は『とんがり駅舎』と名付けたが、何か設計やデザインの
由来があるのかもしれない。 All Photo by TAKA


TVの旅番組の中では、首都圏のJR・私鉄電車で巡る『ぶらり途中下車の旅』(4ch、おひょうさんの解説で

お馴染み)や、『鶴瓶の家族に乾杯』(NHK、MCは小野文恵と笑福亭鶴瓶)、『通りの達人』(4ch、「メレンゲの

気持ち」の中の石ちゃんの喰い歩きコーナー)などは時々覗くが、最近では徳さんの『路線バスで寄り道の旅』

(4ch、徳光和夫と田中律子他の゛行き当たり・ばったり旅゛)もたまに見たりする。けれども、銚子電鉄について

は、私自身良く知らなかった。何かのニュースで紹介されていたのだろうが、ちゃんと見てはいなかったのだ。


水郷潮来あやめ園を見た後、ゆっくりとした昼食を取り潮来駅に戻ってみると、お昼の時間帯は電車の運行が

なく、次の銚子方面行は約1時間後と判明。ローカル電車の常で、朝夕の通勤・通学の時間帯以外は運行

本数が1時間に1本程度なのだ。満腹満足の後なので、しばらく風通しの良いあやめ園のベンチで休憩し

YKさんと四方山話。時間はたっぷりあるので、のんびり行くことにした。

午後の一番電車に乗りまずはJR鹿島線で香取まで(7分)、香取神宮の社殿を模した無人駅舎で待つこと40分。

不思議なことに上り方向(成田方面)と同じホームに逆方向から来た下り(成田線銚子行)電車に乗り込んで、

終点の銚子駅を目指した。電車はボックス席とベンチシートの混合型で車内トイレも備えられ、空いた車内

から窓外風景をしばし楽しんだ。丘陵の端を縫うようにして走る電車の両側は、延々と続く広大な水稲田、

日本有数の大きな区画の稲田は、伸びた葉茎がグリーンのベルトのように鮮やかできれいだった。お腹も

一杯だったので、梅塩飴を頬張りながら、飽きもせずに緑の風景を眺め続けた。


香取駅から約45分の乗車で銚子駅に到着、お目当ての銚子電鉄(銚子電気鉄道の略称)は40分後だったので、

JRの駅舎内待合室でしばらく休憩した。駅コンビニの100円コーヒーを飲んでみようか、ということになり、

セルフのコーヒー・サーバーで紙コップにドリップして飲んでみた。これが意外に香りもよく美味しかった。一頃

街中で幅を利かせていたスタバやドトールのコーヒーが、コンビニ100円コーヒーにお客を食われているとの

ニュースを確認する機会となった。こちとらは、自宅近所の堀口珈琲店で豆を選んで挽いてもらったコーヒー

自分で湯落として飲んでいるので、なかなかコンビニ・コーヒーにを飲む機会がなかったのだ。




この日乗ったのは、元営団地下鉄銀座線のオレンジ・カラーに塗装された車両(デハ1001系)。
他にも、元丸の内線の赤に白一本線の車両(デハ1002系)や元京王電鉄の2000系・グリーン色の
車両なども走っているとのこと。懐かしい車両を見に訪れるファンも多いのだろう。



銚子⇔外川 間を走る銚子電鉄も凡そ1時間に1本程度、乗車時間も出発から終点まで15分位の短い路線だ。

午後の電車の乗客も、平日なのでちらほら程度、住宅とキャベツ畑の中をゆっくりと走る。ローカル電車の

常で、この路線も営業開始当時(大正12年・1923年)は、犬吠埼への観光路線や沿線の醤油メーカーの輸送

路線(結果的に利用がなかった)として期待されたが、車社会の発達の影響で乗り降り客が激減し、廃線の

危機を何度か経験している。それを何とか救ったのが、『銚電のぬれ煎餅』や銚子特産品の販売(駅舎や

インターネットにて)だったことは、皆さんもよくご存知のことだろう。

車内の座席は、ハドソン(ゲームソフト・メーカー)と提携した時のラッピングのままで、キャラクターがあしら

われ賑やか。路線の駅案内は、銚子⇔外川の他に、地下鉄銀座線の路線案内図まであったのには笑って

しまった ! 


オレンジ色の車両の中が、この青のツートン・カラーだからど派手 !



降りた犬吠駅は、駅舎がポルトガル風の不思議な風貌(平成2年竣工)、売店の係員のおじさんに
勧められて『ぬれ煎餅』試食をし、美味しかったので1袋お土産に買い求めた。



前線の影響で霧のような細かい雨が舞い始めた中、犬吠駅から歩いて数分の宿泊先(ぎょうけい館)に着いた

のは夕方4時頃。創業明治7年(1874年)、140年以上の歴史を持つ老舗宿で、全室から太平洋が一望でき、

銚子港から水揚げされた食材をふんだんに使った海鮮料理が自慢の宿だ。YKさんがシーズン・オフの割安

一流旅館のクーポン券を探してくれたのだが、この宿は高村幸太郎や智恵子、徳富蘆花など、多くの文人の

投宿先としても知られているのだ。早速、大浴場と露天風呂に入って見ると、降り始めた雨と強い風で高波が

立つ太平洋と、岬の突端にそびえ立つ犬吠埼灯台が遠望できた。天気が良ければこれまた絶景だろうが、

少し塩分が入った温泉水を舌に感じながらゆっくりとお湯に浸かった。外の小さな露天風呂にも入って見たが、

雨風が強くて長い時間は居られなかった。



露天風呂から太平洋の荒波を望む。



夕食のお品書き、一品ごとの量は少ないが、数多くの海鮮料理を地酒『銚子の誉(ほまれ)』の
冷酒とともにいただいた。割烹の味付けが程よく、旨さこの上なし !



この宿で食べた夕食も朝食も、地元で取れた新鮮な魚と貝類・野菜類がふんだんに出てきて、満足・満腹の

食事だったのはとても嬉しかった。特に、夕食の「蕎麦湯葉巻き揚げ」と鱸・勘八の「海鮮しゃぶしゃぶ」、それに

「黒眼張の煮つけ」と揚げ物の「鱚の梅肉挟み」は、私好みだった。朝食に出てきた干物は「サンマ」だったし、

「とろろ昆布」と小振りの「縮緬ジャコ」、「若芽と油揚げの味噌汁」など、どれも皆美味しく、朝からご飯をお変わり

して食べてしまった ! (フォト下)





真夜中に、夕食のお酒のせいか喉が渇き冷たい水をコップで一杯飲んだ。海側の窓を開けると外は激しい

雨風に海が゛ザバンッ・ザバンッ゛と鳴っていた。暗闇の中に、一条の光が灯台から発せられ、360度に回転

しながらゆっくりと海を照らしていた。ちょっと幻想的で、初めて見た「真夜中の荒れる海と灯台の光」シーン

だった。翌朝は夜の雨が止まず荒れた天気だったので、午前中に予定していた銚子港の魚市場訪問や、

犬吠埼灯台見学をせずに、雨の中を宿の送迎車で銚子駅まで送ってもらい、早目に銚子を後にした。銚子

から総武本線に乗り、成東で東金線に入り、大網で外房線、千葉で総武横須賀線快速と乗り継ないで東京

に戻った。行きは高速バスを利用したが、移動のほとんどはローカル線各駅を乗り継いでの゛のんびり旅゛

だった。時間に追われることもなく、急いで何かをすることもなく、ゆったりした時間の中で寛げたのはとても

良かった。日常と違う時間の流れに身を任せていることが、殊の外心地よかった。またどこか、のんびり

したローカル線各駅停車の旅に出てみたいと思った。



朝の荒れる海に向かって佇む犬吠埼灯台の姿、今回は見学をパスした。


銚子電鉄と濡れ煎餅については、ホームページがあるのでここに載せておきます。興味のある方は覗いてみて下さい。
http://www.choshi-dentetsu.jp/

<この項終わり>

2015年6月12日金曜日

ローカル線各駅停車の旅・アヤメと岬(その1)




広大な菖蒲田に咲く『水郷潮来あやめ園』の花菖蒲、寄せ植えが専らなので、白・赤紫・薄紅・青紫色の
花々が入り混じり、満開の風景はとても見事だった。 All Photo by TAKA


花菖蒲(はなしょうぶ)は私の好きな花の一つで、関東近辺各地のあやめ園を今までに何か所か訪れてきて

いる。小石川植物園・水元公園(葛飾区)・堀切菖蒲園・大船フラワーセンター・薬師池公園(町田市)など...

中でも明治神宮御苑の菖蒲田は、江戸系花菖蒲の古花が集められ生育されている貴重なあやめ園であり、

花株の維持・管理も充分にされているので、ここ10年程は御苑を訪れることが多かった。凡そ150種ある

という江戸系花菖蒲の名前や形状も、撮影した写真とともに覚えることが出来たので、今年は別のあやめ園

に行ってみたいと思っていた。そんな話を健康オタクのYKさんと話していたら、どこか鄙びた田舎を走って

いるローカル電車に乗ってみたいという話が出て、それでは水郷潮来のあやめ園で花菖蒲を見てから、

各駅停車の電車で潮来から銚子に行き、その先話題の銚子電気鉄道で犬吠埼まで行ってみよう、ということ

になった。銚子は日本有数の漁港だから、美味しい魚も食べられるに違いないし、のんびり電車に乗って

田舎の風景を眺めるのもいっか! と話は決まったのだった。



やや青紫色がかっているが、中輪で三英(3枚の外花弁)は白地に紫の細脈入り、鉾(中央の小さな立花弁)は
濃い紫、茎と葉は細身で60㎝位の特徴から、『小町娘』かその同系の花菖蒲と思われる。咲き姿が粋な風情だ。



JR東京駅八重洲南口発・鹿島神宮駅行(カシマ・サッカースタジアム行もあり)の高速バスを利用して、早朝

の定期便に乗り込んだ。バスはすぐ首都高速に入り、湾岸線・東関東自動車道路を何の渋滞もなく走り続け、

10時半頃には水郷潮来バス・ターミナルに着いてしまった。所要時間は1時間20分、JR電車を利用する手も

あったが、こちらの方が早くて安い。そこから待機していたタクシーに乗り(10分程)、JR潮来駅側の『水郷潮来

あやめ園』に着いた。梅雨入り間近の関東地方は、この日だけ晴天に恵まれたので、あやめ園を見て楽しむ

には格好の日よりだった。



アヤメとカキツバタとハナショウブの違いを解説するあやめ園の紹介ボード。解りやすくて良かったが、
この園で咲いていたのはハナショウブの種類がほとんどのように見えた。



丁度「水郷潮来あやめ祭り」の最中ということもあり、広大な園内(1,3ヘクタール)は訪れた観光客も多かった

が、平日だったので混雑はさほどでもなかった。まず、ほぼ満開の白・赤紫・青紫・薄紅・黄色のハナショウブ

が一面に咲く様に圧倒されたが、一辺約25mの菖蒲田が500mほど続く園を順繰りに廻ってみると、ほとんど

菖蒲田が色とりどりのハナショウブを寄せ植えしているので、見た印象がさほど変わらないのが残念だった。

また、500種と案内されている種類についても、花の種別を示す花札などがないので、覚え様もなかった。

ただ、広大な敷地に連なって咲くハナショウブの風景は、他のあやめ園ではなかなか見られないものなので、

それを見ることが出来たのは良かった。何枚かの花写真を撮り、家に戻ってから名前と種類を検索してみる

ことにしたが、花株を江戸系・肥後系・伊勢系の系統ごとに揃えたり、各種類毎にまとめたり、あるいは色系統

毎に(白・薄紫・濃い紫・薄紅色など)まとめたり...菖蒲田のレイアウトを工夫して変化を持たせたらもっと

見甲斐があるのになぁ ! と私には少々もったいなく感じられた。ただし、入園無料だし植物園でもないのだから

きれいな花菖蒲を沢山見られればそれでいいのかもしれない。



咲き終わった花枝を整理する゛あやめ娘゛ならぬオバサマたち、矢がすり柄のユニフォームと
赤い帯・菅の笠の出で立ちがいい雰囲気でした。


1時間程で園内を周り終えたので、このあやめ園横の水路が繋がる常陸利根川脇にある「いこい食堂」で

昼食にした。朝早起きだったのと、園内を歩き回ったのでお腹がとても空いていた。メニューの中から川魚を

選び、鯉の洗いとワカサギ定食を頼み、冷たいビールを飲んだ。酢味噌でいただく鯉の洗いは、一度湯通し

をしてあったので、さっぱり味で美味しかった。揚げたての子持ちワカサギは、お腹がぷっくらと膨れていて、

旨さこの上なし、ビールを飲みながらいただき、シジミのお味噌汁とご飯も美味しくいただいた。川の魚介類

を堪能したお昼ご飯だった。

<この項つづく>

2015年6月4日木曜日

孔雀サボテンとヒスイカズラの咲く頃




ベランダに置いている孔雀サボテンの花が一輪満開となった。この後数輪が順次開花しそう。
極彩色の大輪花は、とても豪華絢爛だ。 All Photo by TAKA


我が家の孔雀サボテンは、10年ほど前に友人から葉を3枚もらって植木鉢に葉差しして増やしたものだが、

増えた親株がカイガラムシにやられたり、夏の酷暑に負けたりしたのをまた葉差しして、今は三代目だ。

葉差しした年は花は咲かないが、株がしっかりして葉が伸びると、2年めの初夏には見事な花を咲かせて

くれる。自分でも、よくまあ育てて来たもんだと感心する面もあるが、この花が咲く時はとても心が躍るような

気持ちになる。蕾からは想像できないような゛ど派手゛な花の開き方、例えは何だが、まるで歌舞伎の十八番

「勧進帳」で弁慶の見得の切り方を見るようだ(個人的な感想ですが...)。外側の尖った顎片の深紅、内側

花弁の濃いピンクと赤のダブル・トーン、花芯の両シベのクリーム色、なかなか他には見られない南国

ジャングル原産の極彩色だ。しかも花芯からは、とてもバタ臭い香りが漂ってくる。孔雀サボテンは昼咲きで、

朝花が開いてその日と翌日まで咲いて夜には花を閉じる。同じ属の「月下美人」は夜咲きで、白い気品の

ある花を夜中に開いて数時間だけ咲いて閉じてしまう。だから、花の開花になかなか遭遇できないと言わ

れる。幸運なことに、私は昨年椿珈琲店で月下美人の開花を存分楽しむことが出来たが(2014年7月

13日の項を参照のこと)。



ヒスイカズラの翡翠(宝石)色の花房、数ある花々の中でも本当に珍しい花色だ。
2013年5月、フラワーセンター大船植物園にて。


熱帯雨林原産の孔雀サボテン繋がりで思い出したのだが、同じく熱帯雨林(フィリピン)原産の『ヒスイカズラ』

も、なかなかお目に掛かれない花だろう。植物園の温室(熱帯植物専門の)には生育されているケースが

あるけれども、そこまで出かけないと見られない花だ。勾玉を連ねたような不思議な花姿は、小さなランの

花のようにも見えるし、蔓からバナナのようにぶら下がって咲く様は、始めてみた時にはとてもビックリした

のを想い出した。今年は今が満開だろうか、それとも散り終わってしまっただろうか?




オーケストラと合唱団の共演、出し物はハイドン『テレーゼ・ミサ』とブラームス『ドイツ・レクレイム』
東京芸術劇場。コンサートホールの公演パンフレットより


5月の終わりに、以前高校同期生バンドを一緒にやっていたHAちゃんが合唱団の一員として出演する

コンサートが開かれるということで、池袋の東京芸術劇場まで出かけてみた。同じバンドでコーラスを

HAちやんと一緒にやっていたHIさんが招待され、ついでに私も招待いただいたので、とても楽しみにして

いたのだ。公演案内によると、指揮者の牧野成史さんが指導する48人のフル・オーケストラと、3つのコーラス

・グループ計63名の合唱団ハイドン『テレーゼ・ミサ』を、同じオーケストラ(ダヴィド・ティム指揮・)と

4つのコーラス・グループ(郡司博他合唱指導)計236名の合唱団でブラームス『ドイツ・レクレイム』を、

ということで、何だか何だか大変な規模の音楽隊なのであった。

HAちゃんによると、このような大規模コンサートは1年か2年に一度だというが、音響のいいホールで、弦楽器

を中心としたオーケストラの生音と、人声の集合体である合唱、そしてパイプ・オルガンの響きを聞くのは

とても気持ちが良かった。拡大された電気的音響(エレキギターやマイク音など)がまるでない生音がいかに

心地よいか ! おかげで私は途中途中、目を閉じてうとうと寝てしまった(よくあることです!)。こういう大掛かり

な出し物を練習し、ひとつのまとめていくのは時間がかかるし、とても大変なことだと思うが、やはり達成感

も大きいだろうな、と推察された。

公演の後、すっかりきれいに変わってしまった駅ビルの中の喫茶室で、3人揃って色々と四方山話が出来たのも

楽しかった。HAちゃんは地元のバッハ・アカデミーで毎週練習しながら、時折コンサートに出演する機会がある

とのことだが、こういう音楽活動を続けて行くのはとてもいいことだな、と改めて感じたのだった。