2015年12月29日火曜日

2015年(平成27年)も、ようやく暮れて



師走の冬晴れの朝、家のベランダからは冠雪した富士山がすっきりと見える。All Photo by TAKA


今年もあと3日で暮れようとしている。この秋関東では、河川の堤防決壊による大水害があったり、中東では戦禍は治まらず、

フランス・パリでも、大規模なテロ事件が発生したりした。地球の温暖化は治まらず、気候変動の激しさに身が追い付かない

こともしばしばだが、私事を言わせていただければ、概ね穏やかで平安な日々を過ごしている。地域サービスの仕事(じい様

・ばあ様・障害者の方・難病の方のケア)は、続けてもう8年目になるが、週の半分ほどの時間なのでマイペースでやらせて

いただいている。これからも自分のできる範囲で続けて行こうと思っているが、私の居る事業所でも私が最年長者なので、

無理をせずに世の中のお役に立てばよいと思っている。

今年はまた、私の周りに居る趣味友達のお蔭で、一緒に楽しい時間を過ごすことが多かった。音楽(歌会とライブ)・花巡り

とフォト撮影・近隣への小旅行・季節の料理・美術鑑賞と多摩川での遊び・フィギュアスケートなど、巡る季節の中で楽しみ

見出す機会に恵まれた一年だったと言える。その多くは、このブログにもフォトとともに載せて皆さんに見て頂いているが、

恐らく、来年もこの基調は変わらないと思う。何はともあれ健康に気を付け、毎朝のストレッチや身体に取り込む食材などに

留意しながら、バランスの良い身体管理を心掛けて行くつもりだ。やはり、病気やケガをしてしまうと、思い通りに物事を為せ

ない。身内や友達の中にも、今年は他界した方に遭遇したが、その人の不在を思うと寂しいものだ。



師走の夕暮れ時、家のベランダから見た富士山のシルエット。棚引く雲が紅に染まっていた。


明けて1月(31日)には、経堂のマレットで『タカ・トリオ』のライブがあるし、2月(20日)には、大学時代の『詩集紫陽花

・同人会』(現代詩のサークル)を予定している。また、3月(12日)には長野で高校時代のマンドリン班の『音楽の集いと

同期会』がある。4月は再びシルク・ド・ソレイユの『TOTEM東京公演』があるし...何だか遊んだり楽しんだりの予定が

控えているのだ。このブログに載せられるものは、フォトとともにまた皆さんに見て楽しんでいただこうと目論んでいる。

来る年の皆様のご多幸をお祈りして、今年のブログの最終回としたい。

2015年12月26日土曜日

G Flats(ジーフラッツ) クリスマス・ジャズ・ライブ訪問記




音友ウッチーが参加しているジャズ・バンド:G.Flats

(ジーフラッツ)のクリスマス・ライブがあるということで、

取手の会場「Cafe じゅんべりー」まで出かけてみた。

ゲストで3~4曲歌ってほしいとの要請があり、少々遠い

けれど、音友の頼みとあれば行かずばなるまい、という

わけだった。会場は「漬物のさわと」というショップの2階、

若主人とスタッフたちが運営するギャラリーとカフェを兼

ねた多目的ホールで、毎月2回ほどクラシックやジャズ

のライブが開かれているとのこと。グランド・ピアノが

ホールの奥にデンと置かれていた。

今回ライブのプログラム、中にはクリスマス・ソングの
歌詞が載せられ、会場の皆さんと一緒に歌った。




メトロ千代田線とJR常磐線を乗り継いで、取手駅からタクシーに乗り会場に着くと、2階のホールはすでに40人程のお客

さんで埋まっていた。後で聞いたら、マネージャー役の女性が地元出身で、近隣のオバ様・オジ様達をご案内したとのこと。

賑やかな雰囲気でライブは始まったのだった。コーヒーやワインのドリンクと軽いおつまみ付きの参加費(3千円)なので、

ゆったりと椅子に座って飲み物をいただきながら演奏を聞けるのは良かった。ベース担当の吉村さんは、実は私の高校

(長野高校)の4年先輩。キャンパスではお会いしたことはなかったが、長野放送でディスクジョッキーをしているTDくんや、

今回ご一緒した音友HIさんの兄上や、高校同期生バンドのメンバー・ヨッシーとも知己があるというので、親しみがある

のだ。会場の席に座っていると、吉村さんが同じ高校の友人Nさんを伴って声をかけに来てくれた。





バンドメンバーは左より、ウッチー(Pf)・津田さん(Gt)・中村さん(Col)・吉村さん(Ba)・早坂さん(Dr)の男性5人、
年齢は70歳前後。吉村さんによると、女性メンバーは居ないので「ずっと女日照りが続いている」、とのこと(?!)



今回ライプの構成は、一部がジャズのスタンダード中心で、「You'd be so nice to come home」・「The Nearness 

of You」・「Take the A Train」など7曲をを軽快に演奏した。昨年3月に開催した藤沢でのライブに較べて、全体の音が

まとまってきていて、なかなか良かった。各演奏者の音もそれぞれはっきり聞こえたし、レベルが一つ上がった感じを受けた。

きっと毎月一回の定例リハで、一生懸命練習を重ねたのだろう。メンバーの皆さんは、実は練習よりもその後の飲み会が

楽しみで(練習より飲み会の時間が長いとのこと!)集まるそうな。70代のメンバーもおられる中で、楽しみながらバンドを

続け、自分たちの音表現に磨きをかけているのは素敵なことだと思う。

休憩をはさんでの2部は、クリスマス・ソングのオンパレード。「ママがサンタにキスをした」・「赤鼻のトナカイ」・「ジングルベル」・

「きよしこの夜」など7曲を、バンドの伴奏で会場の皆さんと一緒に歌った。メンバーたちは赤いサンタ帽子を被ったりして

クリスマスの雰囲気を盛り上げていたので、とても和やかな気分だった。




会場がさほど大きくないので、ゲストとしての弾き語りは生音でやった。会場の皆さんの
「聴く気」がじわ~っと伝わってくる様な手応えがあった。


ライブの2部が終わり、「本日のゲストを紹介します。」のお知らせが、MCの津田さんからあるかと思いきや、ご案内が何も

ないものだから、お客さんが席を立ち始めてしまった。「バンドの演奏が無事終わったので、ゲスト紹介を忘れたか!?」

と察して、私はギターを持って前のステージに歩き出した。やっと気が付いてメンバーの誰かが「ゲストの歌と演奏があり

ます!!」と叫んだが、半分近くのお客さんがすでに帰ってしまった。椅子に座りギターを抱えて、開口一番私は「残って

いただいた皆さんは大変ラッキーな方達です!」と言い、用意していた譜面をウッチーに渡し曲紹介をして弾き語りを始めた。

最初の曲は『黒いオルフェ(カーニヴァルの朝)』、心を込めてGt伴奏をしながら歌った。1コーラス弾き語りして、次の

1コーラスをウッチーのPFソロに渡そうとしたら、コルネットの中村さんがソロを吹き始め、後半をウッチーが弾き継いだ。

いつの間にか、Baの吉村さんとDrの早坂さんが加わり、とても素敵なセッションが続いた。3コーラス目をアドリブで〆て、

静かなエンディングで曲を終えた。会場からは大きな拍手が湧き起こり、バントメンバーの各位もとても楽しそうな笑顔

だった。ボサノヴァの名曲で、演奏者もお客さんも、皆が知っている曲だったのが良かったのだろう。そして、何時の間にか

スッと入ってセッションができる力をメンバーたちが備えてきているのが嬉しかった。私も大いに楽しめた。

そのようにして、『オルフェのサンバ』・『あなたの側で』(オリジナル曲の通称゛あなそば゛)・『黄昏のビギン』を続けて弾き

語りした。後の2曲は、ご一緒したHIさんに、追っかけコーラスとデュエットをしてもらった。とてもいい感じに曲表現出来た。

メンバーの皆さんたちと一緒に4曲もコラボ出来たし、HIさんとのコラボも楽しかったので、はるばる取手まで来た甲斐が

あったというものだった。

ライブ終了後、同じ2階の別コーナーで打ち上げがあり、食事をとるメンバーの皆さんとは別に、店のオーナーから漬物

盛り合わせを出していただき、美味しいビールとともにいただいた。ウッチーや皆さんにお礼を言って、打ち上げ会が続く

会場をお先に失礼させていただいた。バンド名のG.Flats(ジーフラッツ)のごとく、いつまでもジーさん以前(ジーさんには

なるまいぞ!)で、お元気に音楽を続けてもらいたいと思った。

2015年12月17日木曜日

2015 ISU フィギュアスケート グランプリ・ファイナル戦を見終えて(その2)




女子シングルの表彰台は、エフゲニア・メドベデワ(金・中央16歳)、宮原知子(銀・左17歳)、エレーナ・ラジオノワ
(銅・右17歳)の3選手、10代の若手台頭組が独占した。 All Photo by MSN


今回GPSファイナル・女子シングル戦の構図は、男子と同様にベテラン復帰者(浅田真央・日)と中堅実力組(アシュリー

・ワグナーとグレイシー・ゴールド:共に米)、そして若手台頭組(エフゲニア・メドベデワとエレーナ・ラジオノワ:ともに露、

宮原知子:日)の三つ巴となった。昨シーズンのチャンピオンで世界選手権を制したE.ツクタミシェワは、カナダ杯で2位に

食い込んだものの、エリックボンパール杯(仏)では振るわずファイナル戦には残れなかった。同じく、本郷理香(日)も、

中国杯で2位だったが、ロステルコム杯(露)で振るわず出場を逃した。E.メドベデワと宮原知子の出場は私の予想外

だったが、それだけ若手の台頭が顕著だったに尽きる。終わってみれば、10代の3選手が表彰台を独占してしまった。



ファイナル戦女子シングルのチャンピオンは、ジュニアから上がってきたばかりのE.メドベデワ(露)、
SP74,58/FS147,96 計222,54の高得点をたたき出した。


昨シーズンのジュニアGPS戦とファイナル、そして世界選手権に出場し、全ての試合で優勝したメべドデワの実力は本物

だった。その勢いをそのままシニア戦に持ち込み、GPS戦ではアメリカ杯優勝・ロステレコム杯2位でファイナルに出場して

来た。SPのテーマ曲は映画『白夜の調べ』、ジャンプは3フリップ+3トゥループのコンビネーションと3ルッツ、2アクスル。

全てのジャンプをノーミスで飛び、片手を挙げての高難度も成功させた。いやはや、凄い若手が出て来たな、とびっくりした

が、FSのテーマ曲は同じく映画の『ヴォリスとエドワード』。3回転ジャンプは、トゥループ・フリップ・ルッツ・サルコウ・ループ

アクスル以外の全種類をコンビネーションと合わせて飛んだから、その技術的なレベルは相当高度なものだ。これは、

表彰台に上がった宮原知子やE.ラジオノワにも共通で、ジュニア時代からしのぎを削ってきた有力選手の技術力は、一昔

前に較べるとガラリと変わってしまった。メドべドワのFSでの演技構成点(芸術点)も6人中トップの72.37だから、ステップ

スピンを駆使したテーマ曲世界の表現でも、優れていたことを物語っている。

しかし、次から次へと有力選手を輩出するロシア女子選手の中で、ソチ五輪金メダリストのA.ソトニコワはその後低迷して

いるし、J.リプニツカヤも今回GPSの表彰台には上がれなかった。すでに、ジュニアGPSファイナル戦では、ポリーナ・ツルスカヤ

とマリア・ソツコワが金・銀で表彰台に上がっているから、さらに若い選手が下から上がってくるのだ。激しい競争の中で

トップ選手であり続けることは、ロシア女子選手にとっては至難の技と見受けられる。



女子シングルファイナル戦・銀メダルの宮原知子は、今回大健闘だった。自己ベストの200点越え(208.85)を
実現し、表彰台に立った。画像はエキジビションより。


小柄で細身(身長150㎝)の高校生が、いつの間にこんなに強くなったの? と思える位、今シーズンの宮原知子の活躍は

目覚ましいものがある。元々練習熱心なのは有名だが、演技の正確さでは定評がある。ただ、恥ずかしがり屋で、歯科矯正

のリングをしていたり、風貌がちょっと゛おばさん゛ぽかったり、決して華やかさはないのだが、日本女子選手の中でも、一番

安心して見ていられる選手だ。SPのテーマ曲は『ファイアー・ダンス』(フラメンコ)、FSのテーマ曲はF.リストのピアノ曲

『ため息』、色々な雰囲気の曲に乗って演技表現が出来るようになってきた。今回、FSの演技はノーミスで、ジャンプも

3アクスル以外の3回転ジャンプ全種類を飛んでみせた。優勝したメデべドワに対抗できたのは彼女だけだったのだ。

今後の課題としては、正確な演技を心掛けながら表現力をもっと磨くことだろう。芯の強さと言うか、精神力のたくましさ

では、群を抜いていると思うし、最後はこれが物を言うから、「おんな羽生」になったら良いのだ!(かなり大胆な提言かも!?)



ジュニアからシニアに転戦して3シーズン目、エレーナ・ラジオノワ(露)は表彰台を争う安定した成績を残してきている。
今回も200点越え(201,13)を達成して銅メダルだった。


昨シーズンに較べて身長が10㎝も伸びた! と話題のE.ラジオノワ、少女期から大人への移行期にどの女子選手も経験する

困難を彼女は何とか克服していると思われる。身長が伸び体重が増えれば、自分の身体のコントロールは大変だろう。

今まで飛べていたジャンプは不安定になるし、スピンだってうまく廻らないのが常だ。今回ファイナル戦のSPテーマ曲は

『ジュテ―ム』、FSテーマ曲は映画『タイタニック』、ともに笑顔で明るい彼女のキャラクターに合っていた。SPはノーミスで、

スピンもステップも良かったが、FSでジャンプの細かいミスを2つ出してしまったのが残念だった。しかし、成長期にうまく

自分をコントロールして安定した成績を続けているのは、今後も彼女の活躍を見られる楽しみがあるというものだ。


アシュリーワグナー(24歳)とグレイシー・ゴールド(20歳)のアメリカ勢2人は、今回の表彰台にどちらかが上がるだろう、

と私は予測していたのだが、二人ともSPでのジャンプミスが祟って200点越え出来ず表彰台を逃した。わずかに、A.ワグナー

のFS演技がほぼノーミスだったのが救いだったか。ダイナミックでキレの良い演技はA・ワグナーの持ち味、優雅で品の

ある滑走はG・ゴールドの魅力、これからも中堅実力派選手として、スケートリンクに立ち続けて欲しいと私は思う。

1年間の休養の後、ベテランとして競技に復帰した浅田真央、GPS中国杯の優勝にファンも今シーズンに大きな期待を

寄せたが、その後のNHK杯はかろうじて3位、今回ファイナル戦は6位の残念な結果だった。男子の復帰組P・チャンも

しかりだが、やはりスタミナ切れだろうか。そして、ジュニアも含めて、フィギュアスケートでメダルを目指す選手層の拡がり

もあると思う。年々、競争も激しく演技レベルも上がってきている。ベテランたちの演技尺度では太刀打ちできないような

高度な技も増えている。言わば、次元が違ってきているのだ。そういう状況の中で、競技を続けるモチベーション(動機)が、

とても大切なのだ。羽生結弦のように、常に自分の技術のレベルを上げることに挑戦し、己の中に己を超える新たな目標を

見出すことが出来なければ、表彰台に立ち続けることは困難だろう。フィギュアスケートも、『心・技・体』すべてが揃った

上での強靭な精神力が問われる時代になってきているように思うのだ。


<この項終わり>

2015年12月15日火曜日

2015 ISU フィギュアスケート グランプリ・ファイナル戦を見終えて(その1)



グランプリ・ファイナル戦男子シングルの表彰台は、羽生結弦(金・中央)とハビエル・フェルナンデス(銀・左)と宇野昌磨
(銅・右)の3人。羽生の驚異的な高得点(SP110,95/FS219,48計330,43)は、異次元のスコアと話題になった。
 All Photo by MSN


前回のブログ(11/15 「グランプリ・シリーズ後半戦とファイナル戦を予測する」)で、ファイナル戦の男女シングルの出場者

を予測してみたが、男子6人は日本勢3人(羽生結弦・宇野昌磨・村上大介)とH・フェルナンデス(スペ)、パトリック・

チャン(カ)、金博洋(中)となり、アメリカ勢の2人(ジェソン・ブラウンとマックス・アーロン)とロシア勢2人(マキシム・コフトンと

セルゲイ・ボロノフ)は出場できなかった。私の予測になかった2人の内、金博洋は、ジュニア戦で宇野昌磨と争ってきた

実力者、村上大介は健闘してファイナル戦出場を勝ち取った。しかし、ベテラン復帰者と中堅実力組と若手台頭組ががっぷり

4つで熾烈な戦いを繰り広げるという構図はズバリ実現したので、ハイレベルな戦いを堪能することが出来た




心・技・体が全て揃った完璧な演技、というものをこれからも見られるのだろうか? 330,43という超高得点の
羽生結弦の演技は、これからもフィギュアスケートの歴史の中で語り続けられるだろう。


「磨き上げたプログラム」を見せてもらった気がする。羽生結弦のSPはショパンのピアノ曲『バラード第一番』がテーマ曲、

冒頭の4回転サルコウ・ジャンプを見事に決め、その後の4回転+3回転のトゥループとトリプル・アクセルもきれいに決めた。

テーマ世界に乗った流れるような演技の中でのジャンプ、ステップもスピンも、何一つ滞ることなく、滑らかで力強く

そして美しかった。FSのテーマ曲は、映画『陰陽師』の『SEIMEI』、彼は陰陽師になり切って全てのジャンプをミス無く、

高く・ダイナミックに飛んだ。4回転はサルコウとトゥループ2種だが、3回転はフリップ・ループ・ルッツ・3アクスルの4種を

完璧に決め、コンビネーションも鮮やかだった。今シーズンのGPSを戦う中で、ブライアン・オーサーコーチとともに演技を

磨き上げてきたが、ファイナル戦でここまでの高得点を獲得するとは、コーチの彼も予測しなかっただろう。キスandクライ

でのコーチの驚きの表情と、羽生本人の溢れる涙がとても印象に残った。一つ一つの技を最高レベルにまで高める練習と、

そのための肉体の酷使に耐えること、そして己に打ち勝ち己を超えようとする精神力、その『心・技・体』が一体となった

最高のパフォーマンスを観客に見せられる様努力する姿は、アスリートとしての鑑だ。私自身は、礼節正しく強靭な心と

肉体を持った『サムライ』を彼の中に見た。今時の若い日本人でも、素晴らしい人間がいることを改めて知らしめてくれた。

おじさんたちも、まったくオチオチしていられないよ、と感じさせてくれた気がする。




日本のファンだけでなく、国境を越えた世界のファンたちが彼の演技に酔いしれた。
いや~まったくすごい日本人の若者がいるもんだ!


羽生選手の試合後のインタビューを聞いても、彼には常に自分を支えてくれるファンや関係者に対する感謝の言葉がある。

それと同時に、自分の演技を完成させようとする強い意欲と、さらなる芸の高みを目指しての目標を表現する。有言実行で

自分を追い込んで克己努力する姿勢は清々しささえ感じられるのだ。恐らく、キスand クライでの溢れ出た涙は、自分の

目指した高みを達成できたことの感涙だったと思う。ファイナル戦のNHK杯で出した初めての300点越え(322,40点)を

見たTV解説者の2人(織田信成と鈴木明子)が、その瞬間に「開いた口がふさがらず」、しばらくポカンとしていた映像の

記憶も新しいが、フィギュアスケートは300点という今までにない異次元の世界に突入してしまった。競技から引退した

高橋大輔も、「もう(競技には)帰れない!」と嘆いたものだ。彼は恐らく、コーチのブライアンとともに総てのジャンプ(6種類)

の4回転に今後挑んでくるだろう。エキシビジョンでトライした4回転ループはその皮きりだと思う。そして、FSのテーマ世界

陰陽師は、日本古代に存在した神の領域と人間界を繋ぐ呪術師あるいは祭祀師であり、厳しい修行によって陰陽道を極め、

神の領域に届かんとする陰陽師の姿は、「フィギュア道」を探求してさらなる高みに近づこうとする羽生選手の姿と、重ね

合わされたイメージを感じたのは、決して私だけではなかったと思う。その意味で、あのプログラムは彼のパーフォマンスの

中でも秀逸だった。



地元スペインのファンを沸かせたH・フェルナンデス、ほぼノーミスの素晴らしい演技ながら、
羽生の高得点にやや影が薄れてしまった。


今シーズンのGPS戦で2勝しているのは彼だけだ(中国杯とロステレコム杯)。昨シーズンの世界選手権優勝者は、素晴ら

しい演技で観客を沸せた。SP(テーマ曲:ラ・マラゲーニヤ)はフラメンコ、FS(テーマ曲:野郎どもと女たち)はジャズアレンジ、

彼の表現力は多彩で活き活きしている。ジャンプの安定性、スピン・ステップの滑らかな滑り、彼の演技の正確さと洗練性を

誰もが評価するだろう。FSの得点は201,43、彼の初めての200点越えも羽生の高得点の前にかすんでしまったが、彼も

超一流のスケーターであることを誰もが認めている。FSの演技を終え、宇野昌磨とともに表彰台を待つ彼が、羽生の信じ

られないような高得点を目にして、「参りましたぁ~!」とひれ伏した仕草はとても印象的で面白かった。今後も、彼と羽生の

戦いは見物だし、同じコーチ(B.オーサー)の元よきライバルとしてしのぎを削っていくと思う。





今回のダークホースは宇野昌磨、ジュニアからシニアに転戦した初シーズンで表彰台に立つ快挙だった。


宇野昌磨の何が良かったかと言えば、やはり思い切りの良さと身体の柔らかさだと思う。小柄な体躯(身長159㎝)ながら、

スピードに乗った滑走と、キレの良い身ごなし、身体全体を大きく使った演技は、観客に躍動感を与えてくれる。FS(テーマ曲

はあのトゥーランドット)のジャンプはノーミス、4回転のトゥループとコンビネーションを見事に決め、ルッツ・ループ・サルコウ・

アクスルの3回転もすべてきれいに飛んだ。「恐るべし17歳スケーター! 」とTV解説者にも言わしめたのだ。ファイナル戦を

転戦するうちに、顔つきも勝負師の顔に引き締まってきた。今後も、トップスケーターたちを脅かす存在として、活躍が期待

される。

私自身も予想していなかった金博洋(中国18歳)が、ファイナル戦6人の中に入ってきた。ジュニア戦で宇野昌磨とライ

バル同士として競い合ってきた選手と聞くが、果敢に4回転に挑戦する姿は見物だった。回転スピードも速く、今時若手選手

の実力を改めて確認することとなった。羽生結弦のジャンプの凄さは、高度と回転軸のブレのなさだが、加えてシャンブに

入る前の演技だ。ブリッジや軽いステップの後、流れるようなジャンプが入ってくる。その繋がりの滑らかさと、飛んだ後の

姿勢・身体の動きが実に美しいのだ。金博洋の場合、「これから飛びますよー」の待機時間が長い。精神を集中しミスの

無いようにタイミングを計っているのだろうが、これは他の多くの選手にも見られることだ。羽生選手のレベルに達するには、

まだまだジャンプ演技を磨く必要を感じるが、彼も演技を磨いてトップスケーターの仲間入りを目指してほしい。フィギュア

スケートも男子はすでに4回転ジャンプ時代に入ってしまった感があるが、高度な演技を楽しめる機会が増えることは大いに

歓迎したい。

パトリック・チャン(カ)は、1年間の休養を経て試合に復帰し、SPでの演技失敗を取り返すべくFSでは高得点(192,84)

を出して気を吐いた。ジャンプもノーミス、「最高のステップ」と評されたステップも健在だった。しかし、羽生結弦の一つ次元が

違う演技を見てしまった我々からすると、チャン自身の演技がやや重たるく感じられたのは私だけではないだろうと思う。

若手選手の台頭と、高度な演技に磨きをかける中堅実力選手たちの前では、いかに前五輪金メダリスト・前世界選手権者と

言えども、太刀打ちが困難な状況が見えているように感じるのだ。ベテランの復帰(女子の浅田真央もしかり)は、話題と

してはよろしいけれども、現実はかなり厳しいことも解ってきたのだ。村上大介のファイナル戦初進出は6位に終わった

けれど、FSでYoshikiの『Anniversary』に乗っての滑走は、日本のアーチストの曲表現にチャレンジした新しい可能性を

提示してくれて良かったと思う。

<この項つづく>

2015年12月7日月曜日

Jovial TAKA Trio Live のご案内


Jovial TAKA Trio LIVE(第7回)
開催日平成28131
開演18:30 閉演20:30
会場経堂・カフェマレット


156-0052 東京都世田谷区経堂2-16-2 http://malleth.exblog.jp/
小田急線経堂駅北口徒歩2Tel03-3427-7171

出  演:ジョビアゥ・タカ(Vo/Gt)、ウッチー(Pf)、KAZABa

M C2,000(ドリンク別) フードメニュー:キーマカレーやハンバーガー・ロコモコなど揃っています。         
予  TAKA携帯090-2914-2567 または、メールJovialtaka@ace.ocn.ne.jp まで

会場は、20座席の小さなライブハウスです。事前予約をお願いします。



カ(Vo/Gt
ライブ歴10年、「Jovial TAKA Band(結成は2010)Vo/Gtを担当。
ボサノヴァとオリジナル曲を歌い続けている。 


ウッチー(Pf
早稲田ダンモ(ジャズ研)出身、ライブ歴30年以上。現在も他二つのバンドで
ピアニスト・アレンジャーとして活躍中。 



 KAZABa
プロのベーシスト、多くのバンドに参加して活動しながらBaのレッスンプロも。
ファンキーで乗りのいいウッドベースは定評がある。


■首都圏で活躍するミュージシャン2人と、ボサノヴァ・ジャズ・J-POPS・オリジナルをジョビアウ・タカが歌います。
トリオ・メンバー達の演奏と心地よいサウンドをお楽しみください。

YouTube動画とブログのご案内
今までのライブの歌と演奏は、「takasantafe neo」と「Luriirocho」でご覧ください。
ブログ:「Jovialidade Do TAKAhttp://jovialtaka.blogspot.jp

<演奏予定曲> 第1部はTAKAオリジナル曲を中心にJ-POPSも、第2部はボサノヴァ・ジャズナンバーを歌います。

「あなたをずっとー夏の終わりのサンバ(新曲)」、「Beside You あなたの側で」、「愛とも知らないで」、「ブラッド・ムーン」、
「君に酔ってしまいそうな夜」、「One Side Love」、「恋のフーガ(ポルトガル語版)」、「ワインレッドの心(ポルトガル語版)

O Pato アヒル」、「Antonico アントニコ」、「Corcovado コルコヴァード」、「Misty」、「Manhã de Carnaval(黒いオルフェ)」、
Desafinado音痴」、「Samba de Orfeuオルフェのサンバ」「Trem Das Onge 11時の汽車」、「Autumn Leaves」、etc
   
ボサノヴァ曲(ポルトガル語)は、TAKA訳の日本語詞でも歌います。

皆様のご来場をお待ちしております!