2016年11月22日火曜日

奥多摩は 紅葉きれいで 遠かった!




すっかり色づいた紅葉と対岸への釣り橋、手前の多摩川の水も澄んでいて冷たかった。゛絵葉書に
でもなりそうな゛(自分で言うのも何だが!) 御岳渓谷のワンショット、玉堂美術館側から撮影した。
All Photo by TAKA


今年の秋は、信州へのドライブで草津白根山と志賀高原・山田牧場の紅葉をたっぷりと鑑賞してきたので、気分的
 
には「紅葉はもうお腹一杯!」なのだが、ふと思いついて近場の奥多摩の紅葉を見に行ってみよう ! という気になり
 
出かけてみた。今までに何度か奥多摩には出かけているが、この時期の週末は繰り出す人も多く、多摩川と奥多摩
 
湖周辺の山道は車で大変混雑するのが通例だ。でも平日の午前中ならさほどでもないだろう、という読みだった。
 
鶴川でHIさんの車に拾ってもらい、相模原市内を抜けて1時間ほど走り、相模原インターで圏央道に入り、トンネル
 
多い道を走ってから日の出インターで道を降りた。ここで運転を私が替わって、多摩川に沿って南岸ずっと走り、
 
10時前には御岳渓谷に着いた。




多摩川岸辺の紅葉も丁度いい頃の紅葉だった。玉堂美術館界隈は遊歩道も整備されていて、ハイキングや
散策する人も多くにぎわっていたが、釣り人が2人竿を出していたのにはビックリ! 禁漁期間がないのだろ
うか? 後で調べてみたらニジマスは12月末まで、ヤマメ・イワナは9月末までとのことだが、川岸で水に
手を入れてみたらかなり冷たかった。「あ、魚が居る!」というHIさんの声に流れの溜まりを見ると、20数
cmのヤマメがすっと寄ってきて、また流心に戻っていった。これはきっと挨拶に来たに違いない! 来春の
いい時期に、竿を出しに来ようと心に決めた。
 
 
 
玉堂美術館の駐車場に車を止めるために車道から坂を下りようとしたら、入り口にロープが張ってあり、警備員さん
 
が道の落葉を掃いていたので、まだ開きませんか? と訊ねると、「10時オープンです」と返答があり、今10時3分です
 
が、と問いただすと、「あ、いけね~!」とロープを外す姿が滑稽だった。朝方まで降っていた小雨も止み、明るい秋
 
の陽射しが照ってきたのでとても爽快な気分だった。多摩川に掛かる吊り橋を渡ると、紅葉したイロハモミジが沢山
 
散見され、とてもきれいだった。「奥多摩もいい時期に来るとモミジがはんぱないね!」と二人で感心しきり。しかし、
 
これは奥多摩の紅葉のほんの始まりで、その後多摩川を遡り、小河内ダム周辺を巡り、特に「奥多摩周遊道路」を通
 
って、その日一日中、奥多摩の山々を周っての素晴らしい紅葉を堪能することになった。
 
 


月夜見峠(標高1,147m)から見下ろした奥多摩湖と小河内ダムの眺望、山々の紅葉がきれいだった。
特に周遊道路脇に続くイロハモミジの紅葉が格段に素晴らしかった。
 
 
 
玉堂美術館脇の「いもうとや」で紅茶とケーキを食べてしばらく休憩し、再び私の運転で多摩川を遡った。対岸の
 
北側道路を走り、川井→ 鳩ノ巣→ 奥多摩へと抜けていくと、道路両側の広葉樹の紅葉は益々色鮮やかで美しかった。
 
東京都の水源地として、多摩川とダム湖周辺の山林は、水源保存林として守られているので、貴重な景観を今も残し
 
ているのだ。小河内ダムでしばし休憩し、ここからはHIさんがハンドルを握った。私は助手席で車道の両脇の眺め
 
を堪能することとなった。ダム湖を一回りしてから奥多摩周遊道路に入った。私が以前通った時にはまだ「奥多摩
 
有料道路」(1990年に廃止して一般道路となった)だったのだが、当時から「Long and Winding Road」として、
 
整備された広い片道1車線道路が、ドライバーやライダーに人気だったのを思い出した。そして、両側に拡がるイロハ
 
モミジの連なりが半端でなく、箱根やそこんじょらの紅葉名所が霞んでしまう位の素晴らしさだった。とにかく、
 
奥多摩湖の三頭橋から最上地点の風張峠、そして山を下りた秋川沿いの数馬までの約20㎞の周遊コースは、延々と
 
連なる紅葉の名所であることは間違いなしの太鼓判だった。久し振りに訪れた私も゛びっくりポン゛だった。
 
 
ただ、ここを周遊する車やバイクには注意しなければならない重要ポイントがある。それはふもとの一番近い消防
 
から救急車や救急ヘリが到着するのにはとても時間がかかるので、万一重大事故を起こして負傷した場合、連絡
 
から病院収容までに2時間はかかる、ということだ。慎重な運転を促す看板も設置されているから、くれぐれもスピ
 
ード出し過ぎやセンターラインオーバー等にならないよう安全運転に徹しなければならない。救急車が到着する
 
前にお陀仏になった例が多くあるとのことだ。
 
 
さて、帰路は私が運転を代わり、秋川沿いに山を下って五日市 →拝島(奥多摩街道) →日野(甲州街道) →狛江の自宅、
 
と戻って来たが、これがなかなか時間がかかった。日の出インターで圏央道に入り、八王子で中央道→ 調布(甲州街道)
 
 →自宅、というルートもあったが、ずっと下を通ってきたら結構長時間運転となってしまった。朝八時から途中
 
休憩を挟んで午後4時まで、ずっと車の運転を交代しながら続けてきたのでやや疲れた気がした。ただ、奥多摩の紅葉
 
は例えようもなく素晴らしくきれいだった。しかし、「東京の秘境」と呼ばれる奥多摩へのドライブはとても遠かっ
 
た ! と言うのが正直な感想というところだ。
 


相模原公園で見た『サルビアレウカンサ』(アメジストセージ)の群咲き、これだけまとまって
咲いていると見応えがあった。
 
 

2016年11月11日金曜日

ISU フィギュアスケート・GPS 前半戦3試合より(その3)

 
GPS・6戦中、出場資格のある選手は2回エントリーしてくるから、前半戦3試合で1回りしたことになるが、宇野昌磨
 
のように1戦と3戦に出場したり、H.フェルナンデスのように連戦でロステレコムカップとトロフィフランスに出てく
 
る場合もある。現在男子シングル選手の中では、フェルナンデスが羽生結弦を抑えて1番の実力者だろう。世界選手権
 
2連覇・欧州選手権5連覇の実績は、彼を「王者」と呼びにふさわしいと思う。ジャンプの切れと安定性・多彩なス
 
テップ・高速で軸のブレないスピン、テーマ曲の表現においても、クラシックのみならずジャズやコミカルな曲を表
 
現する身体能力は実に多彩だ。そして、如何にもスケーティングを楽しんでいるかに見える雰囲気は、多くのファン
 
を魅了してやまないのだ。
 
 

 ロステレコムカップ男子シングル優勝のハビエル・フェルナンデス(ス25歳)、SPはフラメンコの『ラ・マラ
ゲーニヤ』・FSは『E.プレスリーメドレー』がテーマ曲。ロックのリズムに乗った曲表現は、彼の芸達者ぶり
をおおいにアピールした。観ている当方も楽しい雰囲気に嬉しくなってしまった。次回第4戦・トロフィフラン
スで再び表彰台に上がれば、ファイナル戦に出場しメダル争いのトップに立つ可能性は大だ。来年3月の世界
選手権まで、P.チャン・羽生結弦との三つ巴のバトルが楽しみだ。恐らく、計300点台の争いとなるだろう。
 
 

 初戦スケートアメリカ優勝の勢いをそのままに今回の試合に出場してきた宇野昌磨(日18歳)、2014年のJr世界
選手権を制し、シニア戦2シーズン目でトップ選手たちと互角に戦えるまで成長してきたのは驚異。実際トップ
H.フェルナンデスに次ぐ2位を獲得した。SPで挑んだ4Fは着地で手をついてしまったが、FSではそれを
に成功させた。ジャンプ着地の後両足をイーグルにしたまま身体を後ろに大きくそらす「クリムキン・イー
グル」も彼の見せ技となっている。SP98,54は歴代3位の高得点、1戦1位・3戦2位で、いち早くファイナル戦へ
出場を決めたのは素晴らしい。
 
 

ロステレコムカップ3位は、私もノーマークだったベテランのオレクシイ・ビチェンコ(イス28歳)、シニア戦
10年目・出身はウクライナとのこと。FSのテーマ曲『道化師』に乗った演技も、果敢に4Tを2回飛び成功させ、
3F以外のすべての3回転ジャンプを見事に飛んだ。まだまだこんな凄い選手がいるのにびっくり。第6戦のNHK
杯にも出てくるから、彼の演技は見物だ。
 
 
 
ロステレコムカップの女子シングル戦は、地元ロシアの女子選手3人の戦いとなるかに見えたが、ユリア・リプニツ
 
ヤ(ロ18歳)がFS競技中に足故障のため演技中断となり、戦列を離れてしまったため、コートニー・ヒックス(米20
 
歳)が、アンナ・パゴリラヤ(1位)・エレーナ・ラジオノワ(2位)に次いでで3位に上がってきた。E.メドベジェワを加え
 
たロシア3選手の熾烈な戦いは、GPSファイナル戦まで続くものと思われる。
 
 
 
ロステレコムカップを優勝したA.パゴリラヤ(ロ18歳)、167㎝の長身から繰り出すジャンプは迫力があり、
しかも安定してきた。今年の世界選手権で銅メダルの実績に加えて、長い足先・指先まで意識がこめられた
演技は伸びやかで、全体に大きなイメージの創出が可能になってきた。FSテーマ曲・映画『モジリアーニ・
真実の愛』に乗った演技では、3A以外のすべての3回転ジャンプを成功させ、Stのコレオシークエンス・
Spのフライングキャメル・スピンも高評価を得て141,28を獲得し、SPとの計215,2を叩きだした。エキゾ
チックで華やかな風貌は、衣装映えする体躯と共に人気が出て来た。
 
 
 
E.ラジオノワ(ロ17歳)は、今回もまた手堅く2位で表彰台に上った。2013年の世界Jr.選手権を優勝後シニア戦
に転戦して以来3年間、大崩れすることなく常に表彰台にいた彼女(今年の世界選手権だけ6位)は、その間に身長
が10㎝以上伸びているというから、本当に順調な成長を遂げた数少ない若手選手かもしれない。最近、お姉
さん的雰囲気も出て来た。現在、パゴリラーヤと同じ167㎝、ジャンプもステップ・スピンも総合的に高いレベ
ルでこなせるのが魅力。FSテーマ曲はお馴染みの歌劇『トゥーランドット』。

 
 
今回3位に飛び込んできたコートニー・ヒックス(米20歳)、シニア戦に入ってからの成績は昨年のNHK杯2位
があるくらいで、大きな大会での実績はこれからだ。ただ、今回のFSでは、テーマ曲『ノートルダムの鐘』
に乗ってジャンプをノーミスですべて成功させ、Spのスピードも速く全体に切れがあった。次回のエントリ
ーは第5戦中国杯、A.ワグナー・K.オズモンド・E.ラジオノワ・三原舞依・本郷理香らが出場する激戦だ。
ここで再び表彰台に上がれれば、ファイナル戦出場が見えてくるが...
 
 
 
さて、GPS前半3戦を振り返ってみて、ファイナル戦出場有力選手を探ってきたが、男子シングルでは、H.フェルナン
 
デス・P.チャン・羽生結弦のトップ3選手に、若手の宇野昌磨・アメリカ勢のJ.ブラウン・A.リッボンがどう絡んで
 
くるか? ダークホースはA.ビチェンコだろう。
 
女子シングルでは、ロシア若手3選手のE.メドベジェワ・A.ポゴリラヤ・E.ラジオノワに加えて、アメリカ勢のA.ワグ
 
ナー・C.ヒックス・カナダのK.オズモンド、そして日本の宮原知子・三原舞依らの争いになるだろう。G.ゴールド
 
(米)とE.トゥクタミシェワ(ロ)はややきついか?
 
本日から第4戦のトロフィーフランスがパリで開催される。参戦する浅田真央の健闘を祈るが、どんな結果になるか?
 
 後半3戦とファイナル戦(12/8~)を楽しみにしたいと思う。
 
 
<この項おわり>

 

ISU フィギュアスケート・GPS 前半戦3試合より(その2)


現在、フィギュアスケート・GPS戦は国内ではTV朝日の独占中継となっているが、最近のインターネット・サイトの

フィギュアスケートHPも充実してきて、選手の競技結果の採点表や演技の動画も瞬時に見られるようになった。TV

中継を見逃す場合もあるので、まことに喜ばしい状況だ。動画プログラムも、イギリス版・アメリカ版・ロシア版・

たまに中国版など、各国言語に対応しているので、応援する選手の演技を後からゆっくりと見られるのは、ファンに

とっても嬉しいかぎりだ。一応主だったサイトの紹介をしておきたい。画像はZIMBIOより。

【 フィギュアスケートYuoTube 動画blog 】   http://www.fgsk8.com/

【 フィギュアスケートSport Navi 】   http://sports.yahoo.co.jp/figureskate/ 
              
【 Wiki 2016/2017 ISUグランプリシリーズ】https://ja.wikipedia.org/wiki/2016/2017_ISU%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%97%E3%83%AA%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA#.E6.A6.82.E8.A6.81


各国選手の素晴らしい演技を比較してみることが出来る現在の状況では、やたらに日本選手の名前を連呼して「がん

ばれ! 頑張れ!」というようなTV中継解説者(MC?)のスタンスは、ちょっとずれているような気がする。視聴者はすで

に自国を問わず世界レベルで選手の演技を楽しんでいるのに、と思うのは私だけかも知れないが。



第2戦のスケートカナダ・男子シングルでは、パトリック・チャン(カ25歳)がベテランの味を充分に見せてくれたの

が良かった。シニア戦9シーズン目、世界選手権3連覇の実績を持つ彼も、ソチオリンピック(2014年)後1年間の休養

を経て競技に復帰している。今回FS冒頭の4T+3Tジャンプを見事に決めて健在ぶりを示し、ステップ・スピンで

もレベル4の高得点を重ねて優勝し、スケートカナダ3連覇を成し遂げた。A.ワグナーしかり、P.チャンしかり、円熟

味を増したベテラン選手の演技を見られることはとても嬉しいものだ。一つ一つの確実で丁寧な演技は、熟練した

職人の仕事ぶりを見るようで楽しい。


 P.チャンのFSテーマ曲はオーケストラによる『A Journey』、ゆったりとした調べに乗って滑らかな
スケーティングを見せてくれた。第5戦の中国杯でも彼の演技が見られるが、ジャンプの細かなミス
を修正してくれば、再び表彰台に上る可能性は大だ。
 
 

カナダ杯2位の羽生結弦(日21歳) 、前戦の「オータムクラシック」(今年9月)で、ISU公認記録初めての
「4回転ループジャンプ」を成功させ、今回もSP・FS合せて6本の4回転ジャンプを組み込んだ高難度の
プログラムに挑戦してきた。しかし、転倒やミスがあり全部成功は叶わず、FSの後半は完全に息が上が
ってしまった。テーマ曲は久石譲の『Hope and Legacy』、昨シーズンのキャラクター(陰陽師)に代わ
って、自分自身の表現を追求するようなテーマだ。
 
 
今年3月の世界選手権で痛めた左足甲の靭帯、さらに高難度のプログラムを実現させるための体力、羽生にとっての
 
身体的課題は、今後の競技にも大きな影響を及ぼすと思われる。「フィギュアスケート道」を追求する修行僧の
 
ような、克己的なスタイルもわからないではないが、F.フェルナンデスやP.チャンは、もっとスケーティングを
 
楽しんでいるように見える。あまりに自分を追い込みすぎて、また身体の故障に繋がらないことを祈るが、彼はとこ
 
とん自分が満足するまでやってしまうような気もする。B.オーサーコーチもそれを心配しているというニュースも
 
耳に入っているが...昨年のGPSファイナルで叩きだした世界最高得点(SP110,95 /FS219,48 計330,43)に迫るスコ
 
アを今シーズンも出せるかは、大いに興味を引くところだ。次回は、第6戦NHK杯に登場予定。
 
 

 ▢スケートカナダ3位に食い込んだベテラン・ケビンレイノルズ(カ26歳)、4Sは失敗したものの他の2本の4T
成功させ、3回転ジャンプは6種すべて成功する素晴らしい出来だった。177cmの長身を生かしたダイナミ
ックな演技は、FSテーマ曲の『狙われた黒髪』(映画・グランドピアノより)に乗って見応えがあった。GPS戦
初めての表彰台を果たしたが、後半戦へのエントリーがなく、ファイナル戦出場は無理かと思われる。


スケートカナダ・女子シングル戦では、エフゲニア・メドべジェワ(ロ16歳)の圧倒的な強さが目立った。SP76,24

/FS144,41 計220,65 という得点は、昨シーズンのGPファイナル222,54・世界選手権223,86 に続く安定したものだ。

実際前半戦3試合で200点を超えたのは、彼女の他ケイトリン・オズモンド(206,45)とアンナ・パゴリラヤ(215,21)

の計3人だけだ。女子の競技もも、ほぼノーミスのジャンプ・200点越えの得点を達成できないと表彰台には登れ

ないという、まことにハイレベルな戦いになってきた。
 

スケート・カナダ優勝のE.メドベジェワ(ロ16歳)、2015年の世界ジュニア選手権優勝の後、昨シーズンの
シニア戦参加初戦でGPSファイナルと世界選手権を制するという驚異的な成績を残している。その勢いその
ままに今シーズンを戦っているが、3A以外の3回転ジャンㇷ゚のすべてを成功させ、その多くが片手を挙げたま
回転するという高難度技が加点に繋がっている。FSテーマ曲も映画『ものすごくうるさくて、ありえない
ほど近い』という珍しいタイトル。ドラマチックな振り付けで主人公を演じきった。次回は第4戦トロフィー
フランスに出場予定。
 
 
今回2位の表彰台に上ったケイトリン・オズモンド(カ20歳)、FSでは3A以外の3回転ジャンプをすべてを
左利きで飛び、3Lを除いて成功させた。シニア戦4戦目の彼女は、ケガで1年間の休養を経て昨年競技に復
ているが、今シーズンは調子を上げてきているのでダークホース的存在。FSテーマ曲・シャンソンの
『ラ・ボエーム』に乗っての演技は笑顔と共に愛くるしかった。次回は第5戦中国杯に出場予定。
 
 
 
 
 全日本選手権2連覇と昨年GPS2戦を優勝し、日本女子フィギュアの第1人者になった宮原知子(日18歳)は、今
シーズン初戦USクラシックを優勝して今回のスケートカナダに臨んできた。ファンの期待とは別に、ジャンプ
の回転不足やステップの減点(リンクの長辺と短辺を一杯に使わなければならない)のため得点が伸びず、3位に
留まった。私から見ても、慎重に飛び過ぎていて、回転スピードが足りず身体も回り切れていないように感じ
た。次回GPS第6戦のNHK杯出場で、どう巻き返してくるか? FSテーマ曲・ホルストの『惑星』の乗った思
切りのいい演技を期待したい。
 
<この項つづく>
 

2016年11月10日木曜日

ISU フィギュアスケート・GPS 前半戦3試合より(その1)


ISU(国際スケート連盟)主催のフィギュアスケート競技会・GPS戦(グランプリ・シリーズ)の前半戦3試合が終わった。

GPS戦は、世界6ヶ国(カナダ・アメリカ・ロシア・フランス・中国・日本)を転戦し、最終戦(グランプリ・ファイナル)

は、12月にフランス・マルセイユで開かれ、今シーズンのチャンピオンが決まる。フィギュアスケートをこよなく

愛する1ファンとして、前半3試合の成績から今年の最終戦出場者を展望してみよう、というのが今回のテーマだ。

各6試合の成績により獲得点のトータルが順位の決め手になる。1位から6位までは、15/13/11/9/7点が与えられ、

7位と8位には4/3点だから、表彰台に1度以上乗らないとファイナル出場資格者(上位6選手)にはなれない。あくまで

私的な見解なので、意にそわないコメントは見過ごしてほしいと思う。画像は例によってZIMBIO他からであること

をお断りしておく。



初戦・スケートアメリカを制した宇野昌磨(日18歳)、世界初の4回転フリップを決め、計3回の4回転
(トゥループと同コンビネーション/FS)も成功させて優勝した。SPとFSの合計点279.34も立派。テー
:ビアソラの『ブエノスアイレスの午前零時~』(FS)に乗った演技にもキレがあり、トップレベ
ルの選手に成長したことをアピールした。


男子シングル戦は「4回転時代」と言われるように、6種類のジャンプ中どの4回転ジャンプをプログラムに組み入れ

るか、そしてそれを技術的(回転軸・速度・高度)にも芸術的にも(美しさ・見栄え)決められるかが各得点の大きな要素

となってきた。そのジャンプを組み合わせて連続して決める「コンビネーション・ジャンプ」も、どこで組み入れるか?

特に後半戦でのジャンプ成功は加点要素となるので、各選手はコーチと共に入念な戦略で試合に臨んでくる。もち

ろん、スピンやステップの出来具合も大切なポイントとなるので、SP(ショートプログラム/2分40秒)・FS(フリー

スタイル/4分30秒)の競技時間の中で、選んだ競技曲の曲想に合わせて各選手は表現に工夫を凝らして演技すること

になる。


ジェイソン・ブラウン(米21歳)の持ち味は、柔らかな身体全体で表現する伸びやかさだ。SPで4T(4回転
トゥループ)に挑戦したものの(転倒!)、基本は多様な3回転ジャンプの演技完成度で勝負する戦略を取って
いる。FSのテーマ曲は映画『ピアノレッスン』からピアノ曲「愛の香気」、3回転ジャンプをすべてきれ
に決めてスケートアメリカ2位を獲得。しなやかでメリハリのあるステップ表現も巧みだ。



ベテランのアダム・リッポン(米26歳)がスケートアメリカ3位に食い込んできたのは、J.ブラウンと共に
アメリカ勢健在をアピールした。彼もやはり演技完成度と構成点に重きを置くタイプで、その多彩な表
を見ると、フィギュアスケートの魅力の別な方向性を感じさせてくれる。FSテーマ曲も映画『Mystery
of Flamingos』ピアノ曲「Arrival of Birds」、美しいバラードは彼の演技とマッチしていた。
 
 
スケートアメリカの女子シングル戦をみると、ベテラン勢・中堅勢・若手勢の凌ぎあいが見物で、シニア戦の10代
 
後半をどう乗り切って円熟した選手に成長してくるかが鍵となっている。身体の成長に伴って、身長は伸び体重
 
増え皮下脂肪も増えていく女性特有の課題をどう乗り切ってくるか? それまで軽く飛べていたジャンプも困難と
 
なったり、足や腰のケガになやまされることも増える。有望な10代若手選手が競技会を辞退したり引退するケース
 
も多く見られるのだ。
 

シニア戦9シーズン目のベテラン:アシュリー・ワグナー(米25歳)、初戦スケートアメリカを制して優勝
した。円熟味を増した演技、キレのあるダイナミックな表現力には定評があり、ジャンプの安定が高得点
繋がっている。SP/FS合計点196,44もさすが。左利きジャンパー(時計回りの回転)のFSテーマ曲は交響
曲3番『エクソジェネシス』、この曲に合わせて滑走する鍛え上げた筋肉美は、細身の多い選手の中でひ
光る。「ドライ・マティーニ」のようなパンチの効いた極上のカクテルを飲んだような酩酊感がある。
 
 

マライア・ベル(米20歳)の2位獲得と、FSの得点130,67にはビックリ! 今回故障選手の代役で出場権が転が
込んできたラッキーガールは、終始愛くるしい笑顔の演技で観客を魅了した。FSテーマ曲は映画の
『エデンの東』、6種類の3回転ジャンプとコンビネーションををすべて成功させ高得点に輝いた。ステップ
・スピンも申し分なかった。ただ、後半戦のGPSにはエントリーがないので、ファイナル戦出場は無理だろう。
 
 
女子選手にとってもジャンプは大きな課題だが、かつての安藤美姫の4S(4回転サルコウ)や、浅田真央の代名詞3A
 
(トリプルアクセル)のような「一発大技」の時代から、6種類すべての3回転ジャンプを確実に飛べる総合力の時代に
 
なっていると思う。一瞬の回転技なので、TV中継の画面でも瞬時にその種類を判別するのは素人の私には無理だが、
 
スローの再生画面では最近は少しづつ解るようになってきた。大まかに言うと、踏切を前向きか後ろ向きか、踏切
 
エッヂを左足外側か内側かあるいは右足外側か、右足か左足のトゥを突くかに、よって6種類の違いが出てくる。着氷
 
は全て後ろ向きだ。この回転技術は相当難しいものだが、繰り返されるコーチとの練習で選手は身に付けていくのだ。
 
男子選手の場合は、4A(4回転半)を除いて5種類の4回転ジャンプが全て競技会で実現されているし、女子選手も、6種
 
全部の3回転ジャンプ(A:アクセル・Lz:ルッツ・F:フリップ・S:サルコウ・Lo:ループ・T:トゥループ)を飛ぶ選手が
 
出てきている。いやはや、大変な時代になったものだ!!
 
 
 
三原舞依(日17歳)も3位に食い込んで新星シンデレラガールの一人となった。シニア戦初出場でSP2位・
FS3位はご立派! FSテーマ曲が、映画『シンデレラ』というのも符丁があって面白い。第5戦の中国杯に
も出場するので、強豪が集まるこの試合で表彰台に上れるかどうかがファイナル戦出場の条件となる。
 
 
ソチオリンピック(2014年)後1年間の休養を経て復帰し、シニア戦11年目となるベテラン浅田真央は、今回ジャンプ
 
に精彩を欠き6位に終わった。長らく日本のフィギュア界のトップを走ってきた彼女を応援する気持ちは分かるが、
 
故障であろうか足に力が入っていないと感じた。また、ジャンプを含め総合的な技術力で競う現在の採点基準から
 
すると、彼女のレベルでは表彰台に上がるのは難しいだろう。有力な若手選手が次々に台頭している現在、競技会
 
で順位を争うよりも、プロ転向も視野に入れて、表現力豊かなスケーティングを見せてくれる方がファンも喜ぶと思う。
 
 
<この項つづく>
 

2016年11月7日月曜日

追悼:フルート吹きシロー


暦が11月に変わった途端、音友急逝の知らせがあった。高校同期生で音楽バンド『ザ・タペストリー』を組んだ仲間

のフルート吹きシローが、介護施設での音楽活動中に、慰問先の舞台で倒れ、そのまま帰らぬ人となった。死因は

急性大動脈解離、人工呼吸やAEDの手当ても空しく、医師の診断では即死状態だったことを、同じバンドの音友

(トランペット吹き)のタカオちゃんが連絡してくれた。来年2月で古希を迎える前の突然の逝去、享年69歳だった。




小田急線梅ヶ丘の音楽スタジオに集まってリハをしていた頃のシロー、きれいな銀髪がトレードマーク
だった。後ろで缶ビールを旨そうに飲んでいるのはヨッシー(バンジョウ弾き)。All Photo by TAKA

 

バンド結成当時のメンバーは、左からQP村山(Dr) /マッキー(As) /ヨッシー(Bj) 以上後列、TAKA(Gt)
 /AYA(Ba) /シロー(Fl) 以上前列、マッキーとシロー以外は皆歌も歌った。その後、歌い手やコーラスや
ラッパ吹き・ハモニカ吹きも加わって、総勢13名の大所帯となってしまった。(同じスタジオにて)


 
高校時代の彼は、ブラスバンド部の指揮者として活躍していたが、その後は私とは交流がなかったので、2010年の

高校同期会(東京開催)の折に音楽クラブをしていた同期の仲間と意気投合してバンドを組むことになるまで、彼のこと

は全く知らなかった。『ザ・タペストリー』は、2011年から2014年まで丸4年間活動し、計6回のバンドライブを

長野や都内で開催して、毎回多くの高校同期生やその友人・知人を集めて賑やかで楽しいライブをすることが出来た。



メルパルク長野での同期会に特別出演し、第1回のライブを開催したメンバー達。シローは中央で、
『All of Me』『Take the A Train』のジャズナンバーを吹いた。
  
 
六本木アロハステーションでの第3回ライブ、シローは All Memberでやるジャズスタンダード曲や
『Amasing Grace』に参加、だんだんバンドにも溶け込んでいった。
 

彼は、バンド結成直後から参加し、途中抜けたり入ったりしながら、最後のライブまで仲間として加わっていた。

彼の演奏では、ボサノヴァの名曲『O Grande Amor 大きな愛』を、彼のフルート・ソロ(テーマとアドリブ)と私の

ギター弾き語りで共演した(第5回のライブ)のが思い出に残っている。還暦を過ぎてからフルートを吹き始めた彼に

とって、クラシックスタイルとは違ったジャズやボサノヴァのバンドリズムに乗って、メロディを吹くことはとても

大変だったと思うが、何度もリハをしてこの「愛の不可思議さ」をテーマにした陰影に富んだこの曲に取り組んで、

テーマとアドリブを吹き切ったことに仲間たちも拍手を送った。聞いていたお客さんたちにもしっかり表現出来たと

いう印象を与えたと思った。



 ▢経堂・音楽酒場ピックでの第4回ライブ、彼はレパートリーの『大いなる愛』とハワイアン曲
『Akaka Falls』(AYAさんの歌と共演)、ジャズナンバーの演奏で参加した。
  

ザ・タペストリーメンバー達との最後の共演となった第5回ライブ(新宿レストランパペラにて開催)、
ラストナンバーで演奏した『Caravan』は、バンド・レパートリーとしても出色の出来で、お客さんを
大いに沸かせた。シローのフルート演奏も収録、視聴は以下のYouTube動画から。

https://www.youtube.com/watch?v=tlShQNnw6cA
 


バンド活動を終えてからは、同じ高校同期生の音楽仲間(タカオちゃんとナッケン、共にトランペット吹き)でトリオ

を組んで、定期的にリハしながら、介護施設への慰問演奏に取り組んでいた。その他にも、探鳥の会やシルバー

人材センターの仕事などに従事し、一番元気に活動していたのに、仲間の中で一番早く往ってしまうなんて! !

本当に人の運命というものは、誰にもわからないものだ、とつくづく知らされた思いがする。


 
ラストライブ(レストランパペラで2014年10月開催)では、シロー(Fl) /タカオちゃん(Tr1) /ナッケン(Tr2)の
トリオで『花は咲く』の三重奏を披露、この活動がその後も続いていた。
 

ご家族の強い希望で、親族とごく親しい友人だけの葬儀を営まれたことを聞き、式に参列し最後のお別れを言う事

は叶わなかったが、ここに、手元にある画像を掲載し彼の冥福を祈るとともに、彼を偲ぶよすがとしていただけ

れば幸いと思う。


合掌...


AYAさんのハワイアンショーで演奏とフラダンスを楽しんだ時のワンショット(2011年7月)、
あの頃は皆元気で若かった...