2016年10月29日土曜日

白根・小諸紅葉紀行(その3)




JR小諸駅隣りに在る「懐古園」正面入り口、江戸時代末期の大洪水で門が流されてしまったのを、明治2年
に再建したもの。石垣は新しいが趣ある扁額が掲げられていた。(入園案内より)。 All Photo by TAKA



部屋の窓に朝日が当たって明るくなってきたのを機に起きてみると、東に向いた窓からは丘に沿って広がる小諸の

街並みと、二つの高い山が見えた。私は、歌友サイトウさんが作ったオリジナル曲『ビューティあだたら』を

思い出した。故郷の安達太良山は別名「おっぱい山」と呼ばれていて、二つの山の連なりが隆起する゛おっぱい゛

のように見えることを懐かしく思い出した歌だ。「なんか、似ているなぁ!?」と思いつつ、帰ってから地図をよく

見てみたら、向かって左が黒斑山(2,404m)、右が剣ヶ峰(2,281m)、その奥に山頂だけがちらっと見えるのが浅間山

(2,568m)だと分かった。下から見上げているので、浅間山は前の山にほぼ隠れていたのだ。昨日の青空とは打って

変わって空には雲がかかり、予報では午後から雨になるとTVが伝えていた。



朝6時の小諸の街姿、空には雲がかかり薄日が差していた。左右二つの山(黒斑山と剣が峰)の奥に、浅間山が
わずかに顔を出していた。


バイキングスタイルで和食・洋食取り混ぜの朝食をしっかりといただき、ゆっくりコーヒーとヨーグルトを食べて

から出発の支度をしてチェックアウトした(朝食付きで6,000円とは割安!)。車はそのままホテルの駐車場に置き、歩いて

すぐの懐古園に入った。開園の8時30分直後だったので、園内は2~3人しか入園者がいなかった。思ったよりかなり

広い敷地のあちこちには、16世紀の後半に武田信玄(縄張りは山本勘助)と仙石秀久が築いた当時の石垣が残されていて、

大小の不規則な大きさの石を積み上げたまんまが苔むしたまま残っていた。明治維新と廃藩置県の折、日本各地の

城壁と建物は取り壊されたり、石垣だけが残されたりしてしまった。後年、観光や歴史遺産の復興のため、再建された

石垣や城は多いが、上田城祉や松代城祉は、近代的な石垣で再建されたものだ。そう言う意味では、懐古園の城壁や

空堀などの保存状態は貴重なものと感じた。



天守台の石垣は、古色蒼然とした趣があり見応えがあった。「よくもまぁ、こんな不ぞろいの石を
積み上げたものだねぇ~!」


天守台から見下ろした樹齢400年のケヤキの大樹、葉が色づき始めていた。標高が高く朝晩と昼間の寒暖差が
大きいこの地では、ケヤキの葉はきれいに紅葉する。関東地区では、ただ茶褐色に変化して落葉するだけだが。


HIさんの思い出話によると、子供の頃駅近くの北国街道沿いに親戚の家があり、懐古園には良く遊びに来ていた。

その時、園内で草笛を吹くおじさんがいて、島崎藤村の『千曲川旅情の歌』をよく聞かせてくれた。 小諸なる

古城のほとり 雲白く遊子悲しむ  「あの方は、横山祖道という禅師さんだったのね~!」。最近またこれに

一つ偶然が重なって、お住まい近くの「ふるさとむら」という里村保全地区に時折スケッチに行くのだが、田圃の

中を草笛を吹いて歩いているおじさんにバッタリ会い、聞いてみたらその草笛の師匠がかの千曲川旅情の歌を吹く

「草笛禅師」だということが解り、「お互い奇遇ですね~!?」と言い合ったそうな。


園内に設けられた演奏録音再生器によって、生前の「草笛禅師」の演奏が聞けるので、ボタンを押してしばしその音

(草笛とアカペラの歌声)に耳を傾けた。「千曲川旅情の歌」は、藤村による情緒あふれる古文調の歌詞もさることな

がら、ドとソ(西洋音階のメジャー音)を極力省いた日本音階でメロディが作られており、江戸時代の謡曲のような雰囲

気を残しているのが魅力だろう。懐古園で思いもよらないエンターテイメントに出逢った気がして楽しかった。



「草笛禅師 横山祖道」氏の紹介と、「千曲川旅情の歌」の歌詞、下は音声再生器のミュージック・ボックス。




「水の手展望台」からは、藤村が眺望したであろう千曲川の流れが蛇行して見渡せた。画面左には水門が築られて
いたが、藤村が見た当時はそれもなかっただろう。川底の白石のせいか、澄んだ川水が水色に輝いていた。



園内にある「藤村記念館」の入口脇に設置された藤村の銅像(内堀功作)、「小諸は何と言っても懐古園と
島崎藤村が目玉だね~!」と話した。


さて、子供の頃や以前訪れた場所も、時を経てまた出かけてみると新たな発見や出逢いがあるものだと思った。白根

山や山田牧場もしかり、小諸懐古園も思っていた以上に面白かった。旅の目的もほぼ達成したので、帰路につくこと

にした。私の運転で141号道路(佐久往還)を南にに向かい、JR小海線に沿って山間の道を登り続けた。途中、松原湖

辺りから山々には濃い雲がかかり始め、野辺山に着いた時には細かい雨が降り出してしまった。野辺山の産地野菜

販売店に寄って一休みし、お土産に大きなブルーベリーのジャムと柿の実を買った。晴れていれば、眼前に八ヶ岳が

連なる様を見られたのに、今回もそれができなかったのはやや心残り。雨や霧のために、山姿を拝めなかったのは

これで連続3回目だ。何やら、好意を持った相手にふられ続けた気分! 「また今回、袖にされたわね!」とHIさんにも

冷やかされてしまった。

運転を代わり山を下って中央道長坂ICに行く途中、大泉町で道路脇の「定食屋 木亭」の看板を見つけ、駐車場に車を

入れて昼食にした。落ち着いた木のテーブルとカウンター席があるお店で、地元の人たちがお昼を食べたり夜食事に

来るお店らしく、種々の定食やサンドウィッチがメニューにあった。そこで、ツナサンドとハンバーグサンド(珍しい!)

を頼み、コーヒーを飲みながらのランチとした。SAのフードコーナーと違い、ゆっくり静かに食べられるのがいいな

と思った。そのまま、長坂ICから中央道に入り談合坂SAで一休みし、最後は私の運転で中央道調布IC →狛江の自宅

まで夕方早目に戻り、2日間のドライブ旅行を終えた。走行距離は凡そ600㎞、2人で交代しながらのドライブだった

ので、さほど疲れは感じなかった。高原の紅葉を堪能した楽しい旅だった。


<この項終わり>

白根・小諸紅葉紀行(その2)

 
 

白根山麗の道路脇で見たイロハモミジの紅葉、オオカエデの隣りで緑を残した紅葉7分の色づきがきれい
だった。 All Photo by TAKA
 
 
今回のドライブルートは、長野原町でロマンチック街道から別れ、292号道路を上って白根山まで来たが、吾妻渓谷から
 
145号道路を西上し万座・鹿沢口駅まで行けば、軽井沢から北上している「浅間・白根火山ルート」と合流し、そのまま
 
万座温泉まで来られる。白根山頂付近から山道を下り、万座温泉についた。そろそろ昼時なので、食堂かレストランを
 
探してみたがこれという店がなかったので、とりあえずプリンスホテルの駐車場に車を入れてホテル内で食事ができる
 
か当たってみた。中華の麺類が一杯1,500~1,800円という御高地値段だったので諦め、トイレだけ借用して失礼した。
 
山を下りてから食事しようと、HIさん持参の柿・お煎餅・チョコでまたお腹をごまかして、運転を交代し再び山を
 
登り渋峠に向かった。
 
見晴らしのいい山頂道路をしばらく走ると、渋峠に到着。山頂(長野県と群馬県の境に建っている)の渋峠ホテルにもこれ
 
といった食べ物ものがなく、しばらくホテル脇の高台から景色を眺めた。外気温は2℃、晴れてはいても風は冷たくて、
 
意して来た冬コートを着ていてもかなり寒かった。しかし、これがまことに素晴らしかった(その1のフォト参照)。
 
眼下に見下ろす善光寺平の遥か彼方に、白雲を棚引かせた北アルプスの連峰が宙に浮かぶように姿を見せていた。快晴
 
の青空・澄み切った高原の空気、薄紫の大気に染まった連峰の雄姿、生涯忘れられない素晴らしい光景だった。今年の
 
初夏に、鬼無里から白馬に抜ける途中、白沢峠で見た残雪残る北アルプスの絶景に勝るとも劣らぬ眺望だった。これだ
 
から旅は止められないのだ!
 
 
 

渋峠から山田牧場に向かう途中で見た北アルプスの眺望。眼下の山田牧場ののどかな景色、右の笠ヶ岳の
こんもりとした山姿、はるか彼方の北アルプスは高度が下がったせいか、棚引く白雲に隠れていた。
 
 
毎年11月から翌年3月まで、白根山頂を走る道路は雪と悪天候のため封鎖されるとのこと。その寸前に訪れた甲斐が
 
あって、素晴らしい眺めを味わえたのを2人で喜んだ。渋峠から横手山を抜けて道をだらだらと下り、熊の湯で温泉
 
旅館の従業員の方に道を訪ねたら、山田牧場へ抜ける山道があり通れる、というので行ってみた。山中をくねくねと
 
走るその道は、地元の人しか通らないすれ違うのがやっとの狭路だった。車載のNAVIにも載っていない道だったが
 
無事山田牧場にたどり着いた。大分山を下りてきたが、この辺りが紅葉の最盛期で、ブナやナラの広葉樹・糸杉など
 
の針葉樹の紅葉をたっぷり味わうことが出来た。山田牧場と松川渓谷は、去年の紅葉紀行で訪れてみようと思って
 
いたスポットだったが、すでに紅葉のピークが過ぎていたのでパスした場所だった。けれども今回、素晴らしい広葉
 
樹の紅葉を見られたのはとても幸運だった。紅葉狩りを楽しむ中高年の方達を横目に山道を下りながら、助手席の
 
私は車窓の絶景を眺め続けた。
 
 


左上の笠ヶ岳から山裾が拡がる山田牧場の景色(上)、もっと下の牛舎付近には放牧されている牛がちらほら
見えた。針葉樹の緑と広葉樹の紅葉が織りなすのどかな風景が、気分をとてもリラックスさせてくれた。
(下も同じ)
 
 
熊の湯 →山田牧場 →五味温泉 →山田温泉と紅葉街道を堪能した後、さすがお腹もへってきたので、遅い昼食をとれる
 
スポットを探しながら山道を下り、なだらかな丘陵地帯に出たところで、頃合いのお店を見つけた。こういうことに
 
なると私の鼻は効くのだ。「和食・そば処 高山亭」というお店で、土蔵造りのクラシカルな風貌と広い駐車場を備えた
 
お店だった。2時を周っていたのにお店は結構混んでいた。お店のメニューの中から二人とも「季節のランチ(そば定食)」
 
を選び、ほどなく出されたお蕎麦と炊き込みご飯・天ぷら・キノコくるみ和え・きくらげ煮しめなどのランチをいただ
 
いた。ボリュウムたっぷりのうえ、しこしこした蕎麦の噛み応えも申し分なく、満腹・満足の昼食となった。そば湯を
 
飲みながらこれでやっと人心地がついた。 



高山亭の季節のランチ・一人前1,050円也、このボリュウムと味でこの値段はコスパものです! 画像はHPより
 
 
目と脳は、紅葉のカラフルさで満腹となり、お腹もお蕎麦ランチで満腹となり、これで今回のドライブ目的は8割方
 
達成できた気分になり、今夜の宿泊先の小諸に向かうことにした。私の運転に変わって、道路両脇にリンゴ畑が連なる
 
農道をしばらく走り、須坂・長野東ICから上信越自動車道に入り、山裾の道路とトンネルが続く高速道を走った。山
 
並みは夕方の時間でもくっきりと見え、雲一つない好天気が一日つづいた。小諸インターで降りてから、ほどなくで
 
駅前のビジネスホテルに着き、地下の駐車場に車を入れた。ホテルは結構古い建物だったが、1階の受付も広々として
 
いたし、2階からの赤じゅうたんを敷いたらせん階段が、何だか宝塚風に見えて面白かった。部屋で1時間程一眠り
 
したらすっきりした。朝食つきのプランなので、夜は近所の居酒屋で軽く一杯やろうと目論んでいた。ホテルの受付
 
で頃合いの居酒屋を訪ねると、近辺の居酒屋案内の地図を渡してくれ、地元で評判のいいお店を3軒紹介してくれた。
 
 
まことに手回しのいいことで感心しきり。早速歩いて出かけてみると、「酔心」というお店が良さそうなので入って
 
みた。赤と黒を基調にしたモダンな感じのお店で、夫婦(親子?)で創作和食料理を出してくれる店だった。メニューの
 
中から飲み物は上田丸子町の地酒「瀧澤」の純米大吟醸を選び、食べ物は遅い昼食であまりお腹が減っていなかった
 
ので、「酔心風ポテトサラダ」と「まろやか手作り豆腐」、それに「福味鶏のおろしポン酢唐揚げ」の3品を頼み、
 
辛口でキレのいい日本酒を飲みながらのゆっくりとした夕食をとった。旅館やホテルの品数の多い夕食も、時として
 
は食べきれないので、夜は外でこういう食事もいいね、と話しあった。
 
それ後ホテルに戻り、大浴場で温泉に浸かって温まってから、早目に眠りについた。
 
 
 
居酒屋酔心での一献、お酒も食べ物もとても美味しかった
 
<この項つづく>
 

2016年10月28日金曜日

白根・小諸紅葉紀行(その1)




長野県と群馬県の境界に建つ渋峠ホテル(標高2,152m)の脇から眺めた絶景。志賀高原の山並みの眼下に善光寺平
が拡がり、その遥か彼方には北アルプス連峰が棚引く白雲の上に臨めた。雲一つない秋晴れは、奇跡的な眺望を
恵んでくれた。 All Photo by TAKA


今年の紅葉をどこで見ようかと色々検討したが、車の運転免許を再取得したのでドライブの小旅行にした。栃木

県日光市と群馬県と長野県上田市を結ぶ「日本ロマンチック街道」をメインルートにして、その周辺の紅葉ス

ポットを訪れてみよう、というのが主な目的。天気が良ければ白根山や志賀高原にまで足を延ばしてもいいし、

軽井沢や小諸周辺をうろうろしたりして、帰りは野辺山や八ヶ岳周辺を訪れてみるのもいいか。気ままなドラ

イブ旅行だから、あちこちに立ち寄りしてもいいだろう、ぐらいの計画だった。とりあえず宿は小諸のビジネ

スホテルを取ってもらった。旅の友はドライブ好きのHIさんで、出発日(10/24)は秋晴れの好天に恵まれた。



吾妻渓谷の紅葉はまだ早く、吾妻川両脇にそそり立つ広葉樹の森はまだ色づき始めたばかりだった。


朝早起きしてHIさんが自宅に迎えに来てくれたので、6時には都内を出発した。「早起きは三文の得だね!」など言いな

がら、私がハンドルを握って、甲州街道(20号) →環状8号線 →練馬インターで東関東自動車道に乗り、一路沼田を目指

した。雲一つない快晴の青空の下を走るのはとても爽快だった。途中、高坂SAで休憩し軽い朝食をとった。まだ8時前

ということもあり、外の売店のシャッターは閉っていたし、中の食堂のざわつきと注文出来上がりアナウンスのマイク

音がやけに大きくてゲンナリし、中の売店で焼き餅と菓子パンを買ってコーヒーを飲んでお腹をちょっと満たした。

東名高速の海老名SAや中央道の談合坂SAのような新しくこぎれいなSAを見慣れているので、ここの古さ加減には

ちょっと驚いた。ここで運転を交代し、吾妻渓谷をまずの目的地にしたら、NAVIが一つ手前の渋川伊香保ICから草津

に向かうルートを示したので、ここで高速を降りJR吾妻線に沿って県道353号線・145号線を走り吾妻渓谷に着いた。

川に掛かる大橋から渓谷を覗いてみると、周囲の広葉樹は紅葉が始まったばかりでまだ色が乏しかった。今年は9月の

台風と大雨のため、例年より紅葉は遅れているようだった。天気もいいし、もっと標高の高い山に行ってみよう、と

いうことになり、白根山まで足を延ばすことにした。



白根山麗のオオカエデ(オオモミジ)の紅葉がきれいに色づいていた。青空との色コントラストも素晴らしく、
「天気がいいと紅葉もきれいだね!」と言い合った。


吾妻渓谷から万座温泉までは私が交代して車の運転をした。八ツ場ダム工事の副産物というか、途中の道路は吾妻川

にかかる真新しい橋の連続と新しく長いトンネルが続き、公共工事が落とす莫大な金額と山村の景観の激変を見る

ことになった。道路が良くなるのはいいのだけれど、余りに無機的な眺めには気分が沈んでしまった。川原湯温泉 →

長野原町 →草津温泉を抜けて、11時頃白根火山ロープウェイの山麗駅付近についた。オオカエデの葉が真っ赤に色づい

ているのを見つけ、車を道路脇に止めてしばし眺めた。地元の方らしきおばさんが近づいてきて、「ロープウェイ付

近はたくさん紅葉しているよ!」と教えてくれた。



紫陽花の花も、標高の高い山ではきれいに紅葉するのを見た。とても珍しい。


白根火山ロープウェイは運転中だったが、山麓駅付近は人が多かったのでそのまま白根山に向かってくねくねと

続く登り道を走った。白根山手前の駐車場で車を止めて外に出てみると、強烈な風が吹き渡っており、外気温も

かなり冷たかった(後で2℃という気温を渋峠で確認することになったが)。その中で、赤い実を付けた「ナナカマド」

の樹を何本か見つけ、山頂付近の不思議な光景を見ることが出来た。今年6月の小噴火により、気象庁は白根山

(日光白根山と区別して草津白根山という)の火山噴火警戒レベルを「レベル2」に引き上げている。その影響で山頂

付近(1km四方)は入山禁止となっていた!! 従がって、白い山頂にもあの不思議で不気味な色の湯釜にも近づくこと

はできなかった。ロープが張られた道路もすべて駐停車禁止だった。やれやれだが、危険を冒してまで行くこと

もないので、そのまま万座温泉に向かって山道を下った。






 白根山頂とナナカマドの赤い実と抜けるような青空の不思議なコントラスト!(上)
入山禁止でなければ見られた湯釜の景色、硫黄含有独特の湖色だ(下)。画像はWikiより
万座温泉の湯川、湧き出た硫黄を含んだ温泉水が滔々と流れていた。
<この項つづく>

2016年10月22日土曜日

鶴見川源流の湧水と、昭和記念公園のコスモス




「鶴見川源流泉の広場」の池からこんこんと湧き出る水は、鶴見川となって東京都町田市から神奈川県鶴見区河口で
東京湾に注ぐ全長42,5㎞の川となる。 All Photo by TAKA


ある日健康オタクのYKさんと地図を見ていたら、「鶴見川の源流」という表記が目に飛び込んできた。何故そんなものを

見つけてしまったのか全く分からない。偶然としか言いようがないのだが、とにかく目に入ってしまった。そうなると

何やら気になる。私はこの初夏に、長野県白馬町の「姫川源流」を探訪して大いに面白かったので、「源流」という

フレーズに無意識的に敏感になっていたのかもしれない。「そんならちょいと行ってみようか!」と車で出かけてみた。

場所は、世田谷通りを東にずっと下り、多摩川を渡って鶴川の先で図師町まで行き、北上して小山田町の田園と山林の

谷戸にある。ここからは、山越えして多摩センターの唐木田に道は続いている。



町田市の案内によると、一日1,300トンの水が湧き出ているとのこと。脇の小川に注ぎ出る水も、
滔々と流れていた。


車で通り過ぎたら、ふと見落としてしまいそうな場所だったが、近所のお宅の聞いてみたら場所がわかりしばらく見物

した。池の周りは町田市が遊歩道や柵を整備中のため、無粋な鉄パイプで囲われていたが、湧き出る水の量は豊富で

なかなか見応えがあった。「これが鶴見川の源流かぁ~!」とつぶやいたが、鬱蒼とした森の中ではなく、なだらかな

山林のふもとの田んぼの脇ににあり、周囲がとても開けた感じだったので、ちょっと拍子抜けした。後で調べてみたら、

その先の山道の奥に「鶴見川源源流」という場所があり、湧き水と細流が数本あるらしい。ただ、近隣の山からの地下

伏流水が集まってこの泉で湧き出していることは間違いないので、この場所が「鶴見川源流」と呼ばれているのだ。この

泉は、平成元年の川崎市による水道トンネル工事の影響でいったん枯れてしまったが、工事終了後再び湧き出し現在に

至っている。町田市と市民グループが保全管理して、源流の泉と水辺の生物を守っているとのこと。詳細を知りたい方は、

以下のHPにアクセスしてしてご覧あれ。
http://www.env.go.jp/water/junkan/case2/pdf/44.pdf




昭和記念公園の「花の丘」一面に咲き揃うピンク系のコスモス(400万本とか)、品種は「ドワーフセンセイション」と
入園案内に紹介されていた。この色がやはり一番コスモスらしく感じる。秋晴れの空の青と白い秋雲に映えていた。


さて、その日(10/18)はまた夏日が戻ってきて昼間はとても暑かったのだが、風が吹き渡っていて気持ち良かった。
 
何よりも抜けるような青空だったので、明るい陽射しが空から注いでいた。鶴見川源流を後にして、私が運転を代わり
 
「昭和記念公園」に向かった。多摩センターの広い道と団地を抜け、日野橋を渡って立川の街並みを過ぎるとすぐ目的
 
地に着いた。ただっ広い駐車場には、まだ車が少なかった。入園料はシニア割引で一人210円(大人の半額)、古稀
 
間近の私はこういう時にメリットを感じますね~! この公園は、昭和天皇の在位50周年を記念して、旧米軍立川基地の
 
跡地に開園(1983年)以来、多くの来園者を集めているが、何よりも165ヘクタールという広大な広さなので、歩いて
 
回るだけでも数時間かかる。私自身も何度か訪れているが、春のサクラ・秋のコスモス畑は有名なので、今回もコス
 
モスを見に来たのだった。
 

「原っぱ東花畑」には、沢山の「黄花コスモス」が咲いていた(70万本とか)が、ややピークを過ぎたようだった。品種は
明るい黄色の「レモンブライト」、他にもオレンジ系の「マンダリン」や「サンライズ」も群生していた。

 
「かなり広いから、チャリを借りて周ってみよう!」ということになり、入園口脇のサイクルセンターで二人とも自転車
 
を借りた。3時間で420円也。サイクリング道路が整備されており、遊歩道とは区別されているのでまことに走りやすい。
 
所々に駐輪スポットがあり、自転車を置いて歩いたり見物したりできるので都合よかった。なだらかな坂を上ったり
 
下りたりしながら樹林の中を抜け、「原っぱ東花畑」に行ってみると、一面黄花コスモス畑だった。ここで写真撮影
 
したりしてしばらく咲き揃った花を見物した。それから、もう一ケ所の大きな花畑に移動した。「花の丘」は、小高い
 
丘の斜面一帯にピンク系のコスモスが植えられ、中を遊歩道が通っていた。青い空と白い雲(秋の筋雲)・咲き揃うピン
 
クのコスモス、色のコントラストがまことにきれいで、秋の風景を堪能した。木陰の芝生に腰を下ろしてしばし休憩。
 
丘を吹き渡ってくる風が気持ち良かった。広場脇の売店で、「多摩黒焼きそば」(ご当地B級グルメ?)とおでんを買って
 
軽い昼食にした。まあまあおいしかった。最近は競争が激しいせいか、こういう売店やサービスエリアの食べ物も
 
そこそおいしいのには感心する。帰りは走り慣れた甲州街道を通ってYKさんに自宅まで送ってもらった。心地よい
 
秋の一日だった。


サイクリングロード脇で見つけた「飯桐」の赤い実、沢山の実房を枝から垂らしていた(実はメスの樹にしかならない)。
飯桐の赤い実も、最近は植物園や公園でしか見られなくなった。樹木の下には、赤紫色の「ホトトギス」や、薄紫色の
「シオン」も咲いていたので、秋の花実が見られてなかなか楽しかった。

2016年10月17日月曜日

最近の歌会から




新宿のカラオケハウスで音合わせする『タカ and ダブル・エイチ(TAKA and WH)』のトリオメンバー、右よりタカ・
原ちゃん(1H)・hirokoさん(2H)、午後の明るい陽ざしの中で高層ビル街がガラス越しに見られる心地よい時間だ。
All Photo by TAKA


この夏は、運転免許再取得のために多くの時間を取られたため(このブログにも7回の連載をアップしたが)、歌会の記事

はほとんど載せられなかった。ギターやウクレレを弾き語りしたり、好みの歌の譜面を作ったり、ともに音楽を演れる

メンバー達と集ったりすることは、日々楽しみとなっているが、少しさかのぼって最近の歌会についてちょっと触れて

みたい。

『タカ and ダブル・エイチ』は、原ちゃんのマンドリン・ソロとhirokoさんのピアニカ・ソロ、それに私のギター伴奏

と歌を組み合わせたユニットで、基本的にはトリオなのだが、ゲストメンバー(ピアノとかの他楽器)が入る時は、『タカ

andダブルエイチプラス』となる。まことにゆるい編成トリオだが、要するにメンバー同士でどうにでもなるという

ユニットなのだ。月に1回程度の音合わせをしているが、これがなかなか楽しい。新宿のカラオケハウスに週末の午後

集うのだが、窓越しに外の高層ビルの景色が見える部屋を予約するので、明るくてまことに気持ちが良いのだ。最近は、

夜遅くのライブハウスで、酒とたばこの匂いに塗れるのは何だか不健康で疲れるので気が乗らなくなっている。


課題曲の編曲は私が担当しているが、譜面ソフト(プリント・ミュージック)を駆使してパート譜を作るので、それぞれ

が弾きやすい譜面を用意する。パート譜も4枚続き(A4)ともなると譜面台一杯に拡がるので、これがちと難点ではあるが。

トリオのレパートリーは、『第三の男』(映画『第三の男のテーマ曲』・恵比寿ビールのコマソンでもよく知られている)、

『ムーン・リバー』(これも、オードリー・ヘプバーン主演の映画『ティファニーで朝食を』のテーマ曲)、『スカボロー

・フェア』(サイモンとガーファンクルのヒット曲、古いイギリス民謡の詠唱版)、『黒いオルフェ』(これも映画の主題歌

でボサノヴァの名曲)等々。ふたりのHさんはコーラスも得意なので、私のオリジナル曲『ブラッドムーン』も歌とコー

ラスでレパートリーに加えている。

インストの場合は、原ちゃんのマンドリン・ソロにhirokoさんのピアニカ・オブリガードを重ねて伴奏を私がするのだが、

歌バージョンの時は、私のギター弾き語りにマンドリンとピアニカが加わる。何回か音合わせを重ねて来たら、段々ハー

モニーが出来上がってきた。まず、自分のパートをしっかり弾けるようになると、伴奏や相手の音と歌も聞こえるように

なり、全体の音がまとまってくる。これがとても気持ち良いのだ。音楽を一緒にやる醍醐味といえるだろう。その内3人

で、他の歌会や集いに参加して、私達のレパートリーを披露しようと目論んでいる。原ちゃんはクラシックの合唱団を

しながら、マンドリンも2年ほど前から復活演奏し、老人ホームへの慰問演奏もしているというし、hirokoさんは絵画

グループで絵を描きながら定期的に作品展に出品しながら、最近ピアニカを演奏始めた。だから、高校同期生同志の元気な

面々が3人で演奏するときは、『We are 古稀~ず(Kokeis)!』と言ってトリオの紹介をしてから始めよう、と思っている

(アハハ!)。




久し振りにサイトウさん(Trampet)と音合わせした。ジャズのスタンダードナンバーを歌ったり・演奏したり、
とても楽しかった。(画像は他の歌会のもの)


この所、椿珈琲店でのどようかいは、某バンドのリハやらなんやらで、ゆったりと歌いたい歌を唄ったり、他の方の好みの

歌を伴奏して一緒に楽しむ雰囲気がなくなってしまったので、しばらくお休みしていた。サイトウさんから連絡があった

ので、久し振りに店を訪れてみた。演った曲は、『I Remebar Cliffrd 』(アート・ブレイキーの演奏などでお馴染みの

バラード)、『Caravan』(デューク・エリントンの名曲)、『いそしぎ(The Shadow of Your Smile)』などなど。私の

伴奏に合わせてのトランペット・ソロとGt弾き語りを一緒に楽しんだ。当日来ていたキリさんは、『涙をふいて』(三好

鉄生)や『別れの予感』(テレサ・テン)などを弾き語り、マリさんは『Sweet Memories』(松田聖子)や『異邦人』(久保田

早紀)などを歌ってくれた。ハジメちゃんは『Mary Jane』(つのだひろ)を歌い、私へのリクエストで『あなたの側で』

(通称゛あなそば゛TAKAオリジナル)と『黄昏のビギン』(ちあきなおみ)を一緒に歌った。私からのリクエストでタカコさん

は『舟唄』(八代亜紀)や『ラストダンスはわたしに』(越路吹雪)を歌い、店主茂子さんも『Crying Time』(レイ・チャー

ルズ)を力強く歌った。私も、『喝采』(ちあきなおみ)や『黄昏マイラブ』(大橋純子)などを弾き語りした。私が作ったコード

入りの曲集が3冊あり、人数分を茂子さんがコピー作成して店置きにしているので、気軽に選曲して楽しめるのがいい。



『昭和枯れすすき』をデュエットするヤタマリさん(左)とタッキー(右)、本邦初公開にして2度とないツーショット?!
8月の歌会から。



「つばき・リハビリ楽団」の面々(タカコさん・Hm、イズミちゃん・Gt/Vo、ハジメちゃん・Uk、マリさん・Pf)は、
『Stand by Me』(Ben E. King)を合奏。こういう皆が知っている曲は乗りがいいです! 8月の歌会から。



ほろ酔い加減でGt伴奏するTAKA、リラックスしてできる歌会は楽しい。Photo by Yatmari


この夜は、皆さんで次から次へと歌が飛び出し、一緒に演奏したり歌ったり、デュエットしたりリクエストしたりでおおいに

くつろげた時間だった。7時頃から初めて気がつけば11時を周っていた。こんなに遅くまでいることはめったにないのだが、

やはり歌会は、雑音なしで静かにゆったりと皆で一緒に楽しめるのが一番いい。久し振りのくつろぎタイムだった。