2018年1月30日火曜日

金博洋の復調と坂本花織の健闘:F.S.四大陸選手権2018より




怪我のためGPファイナル戦と中国選手権を欠場し、この大会に出場してきた金博洋(ボー・ヤン・ジン.中20歳)は、
ほとんどノーミスで全てのジャンプを決め、世界選手権連続3位(2016/2017)の実力と復調ぶりを見せて優勝した。
画像はISU.HPより。



今回の四大陸選手権男子シングルで際立ったのは、金博洋の復調とジャンプの成功だった。GPアメリカ杯FSでは、

4回転3本を含む8本のジャンプ(Coを含む)を飛んだが、回転不足やミスが5本あり得点が伸びなかった。何か足の故障

でもあるのか? と思ったが、やはりそうだった。しかし調整が上手く出来た今回の試合では、SP/FS計11本のジャン

プのほとんどを成功させ(3Lz+2TのみGOEマイナス)、しかも最高難度の4LzはGOE+2.71で計16.31を獲得している。

恐らくジャンプを集中的に調整してきたと思われる成果だが、その分ステップやスピンはレベル4を演技しながらも

GOEは伸びず、また芸術点(プログラム・コンポーネンツ)はすべて8点台で、ほとんど9点台を叩きだした宇野昌磨に

は及んでいない。FSのEL(エレメント・スコア)で10点近い差を付けられたのは、金博洋陣営の作戦勝ちで、この試合

での復帰の要点をジャンプに絞り、その後の平昌オリンピックと世界選手権を見据えたステップを踏んできた狙いが

私には見て取れた。前哨戦を300点越え(300.95)で終えた金博洋には、弾みが付いたように思う。


一方、ジャンプに転倒やミスはあっても大崩れしない宇野昌磨の試合運びは、リカバリー能力の高さも加えて、なか

なかしぶとい選手になってきたなぁ、という実感がある。今季(2017~2018)のGP戦などの国際大会では、カナダ杯の

SP/FS計301.10と今回の計297.94の得点を見ると、コンスタントに高得点を獲得するレベルに居るし、芸術点のレベ

ルも常に高得点を出している。今後の2大会の勝敗は、まさにジャンプの構成と出来栄えに掛かっていると思う。こ

の点ではオリンピックぶっつけ本番のソチ金メダリスト羽生結弦や、今大会を回避した全米選手権2018覇者のネイサ

ン・チェン、そして欧州選手権6連覇のJ.フェルナンデスとカナダ選手権2018覇者のP.チャンも同じだろう。4回転を

含む10~11本のジャンプを如何に出来栄え良く成功させられるか? 1本のミスとステップ・スピンの取りこぼしが明暗

を分けるだろう。ここに、今回優勝の金博洋も割って入ってきたから、2大会の300点台を巡る攻防がとても楽しみに

なっきた。



四大陸選手権2018の表彰台は、金博洋(ボーヤン・ジン中20歳)が金メダル、宇野昌磨(日19歳)が銀メダル、
ジェイソン・ブラウン(米22歳)は健闘して銅メダルだった。滑らかでしなやかな滑走と、多彩な表現で観客席を
一番沸かせたのはJ.ブラウンだった。彼のショーマンシップは、プロ選手としても大いに活躍できるだろう。





坂本花織(日17歳)の優勝は大健闘と讃えられる。筋力系のバネがある体型から繰り出すジャンプはスビードが
あり高さも充分だ。足指の痛み(魚の眼とか)も克服して、見事チャンピオンとなった。


今回の四大陸選手権女子シングルは、欧州勢(ザギトワ・メドベデワ・コストナー・ソツコワ等)とアメリカ・カナダ

勢(B.テンネル・長洲未来・カレンチェン・デールマン・オズモンド等)の有力選手が出場してこない試合だったので、

色々割り引いて見なければいけない。でもその中で、日本女子表彰台独占は快挙だった! 久しぶりに見る日の丸3本

上りは大いに讃えられるべきことだろう。坂本花織の良さは、バランスの取れた演技だ。ジャンプにほとんどミス

がなく、しかもGOEでよい出来栄え点を得ているのが強みだ。まだ高難度の3LzのCo(3Lz+3Tなど)が入っていない

ので、今後の伸びしろも見込める。また、ステップ・スピンのPC(演技構成点、芸術点とも言う)を磨いていくことも

今後の課題だと思う。今季大いに成長した勢いを今後の2大会でも見せて欲しいものだ。




四大陸選手権2018の表彰台は、坂本花織(日17歳)が金メダル、三原舞依(日18歳)が銀メダル、宮原知子(日19歳)が
銅メダルだった。坂本花織の成長振りが大きな話題となる一方、ジャンプにミスが多く出て3位に沈んだ宮原知子は
涙を流してオリンピックでのリベンジを誓った。三原舞依も復調して2位に上がったがジャンプ・ミス(3Lz)の回転
不足が明暗を分けた。



女子選手のジャンプ演技を見ると、現役選手で4回転ジャンプを飛ぶ選手は居ないが、3Aは長洲未来(米24歳)が国際

試合でも成功させているし、紀平梨花も国内大会での成功事例がある。ジャンプ演技の難易度から言うと、Coの

3Lz3Lo(ザギトワのみ)・3Lz+3T3F+3Tなどが各国選手の構成だが、これらのジャンプを如何にミス無くまた

出来栄え良く(加点を得て)跳べるかが勝敗の分かれ目になるだろう。また、他のジャンプやステップ・スピンに磨き

をかけて、技術点を得られるレベル4の演技とP.C.(演技構成点)をどれだけ上げられるかが、表彰台で讃えられる

分かれ目になると思う。

230点台を出してくるロシア勢のレベルはとても高いだろうが、試合では何が起こるかわからないのが常だから、オリ

ンピックあるいは世界選手権に向けて調整のピークをそこに持って行き、日本選手が大いに健闘することを期待し

たい。しかし、とんでもないハイレベルの戦いになることは避けられないだろう。ジャンプの採点にウェイトを置く

現行の採点基準からすれば致し方ないことではあるが、テーマ曲に乗ったフィギュア・スケーティングならではの

総合的な世界観と技術的表現をもっと見たいと思うファンも多いと思う。何本飛んだというような記録的な結果より

も、心に響く素晴らしい記憶を残してほしいものだ。やや゛荒っぽい゛試合運びよりも、しなやかで美しいスケー

ティングをもっと見られるように、採点基準の見直しも今後の大きな課題だと思う。


<略語内容>
F.S.:Figure Skate フィギュアスケート ▢ ISU:International Skating Union 国際スケート連盟  SP:ショート・
プログラム  FS:フリー・スタイル  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ
T:トゥループ ▢ FCSp:フライングキャメル・スピン ▢ LSp:レイバック・スピン ▢ CCoSp:チェンジフット・
コンビネーション・スピン ▢ StSq:ステップ・シ―クェンス ▢ GP:グランプリシリーズ戦 ▢ P.C.:Program Components
(演技構成点) ▢ EL:Element Score(技術点) ▢ Co:コンビネーション・ジャンプ ▢ GOE:各演技の出来栄え点(+3
から-3までのジャッジ平均点)


2018年1月24日水曜日

フェルナンデスの強さは圧倒的だった! F.S.欧州選手権2018(その2.男子シングル)




F.S.欧州選手権男子シングルの表彰台は、ハビエル・フェルナンデス(スペ26歳)が金メダル、ドミトリー・アリ
エフ(ロ18歳)が銀メダル、ミハイル・コリヤダ(ロ22歳)が銅メダル、欧州選手権6連覇を成し遂げたベテラン・フェ
ナンデスの強さが際立った試合だった。画像はISU・HPより。



今期(2017~2018シーズン)のJ.フェルナンデスは、GPシリーズ戦での成績はさほどのものではなかった。中国杯で

はジャンプの出来が今一つ決まらず得点が伸びなかった(SP/FS計273.06の6位)が、フランス杯ではSPの演技を完璧

に決めて107.86の高得点を叩きだし、宇野昌磨を抑えて優勝した(計283.71の得点)。それでもFSのジャンプは転倒や

ミスが多く得点は伸びなかった。私はどちらのフェルナンデスが実体なのだろうか? と訝しんだが、欧州選手権を

SP/FS合計295.55の高得点の圧倒的な強さで終えてみると、ベテランならではのしたたかな戦略(というか計算)が見

て取れた。それは、「肝心な試合を確実に勝つ!」という試合運びの強さだ。そのためには、世界選手権の前哨戦と

してGPシリーズ戦を位置づけ、スタミナ配分と集中力のピークを目指す試合の持ってくるという周到な準備と、試合

の中でミスが1プレイあっても直ぐリカバーして次の演技に集中する、という粘り強さだ。この部分は、勢いだけ

で試合に挑んで来る若手選手にはまだ無理なところだろう。ベテランの味はそこにあるのだ。

SPのテーマ曲「チャップリン・メドレー」にしても、FSのテーマ曲「ラマンチャの男」にしても、多彩なエッヂワー

クによるコミカルできびきびした演技は彼ならではのもので、キャラクター性が色濃いスケーターとしては彼の右に

出るものは居ないだろう。そして、観客を沸すエンターテーナーとしても超一流の存在だと思う。今回のFSで飛んだ

ジャンプの中で、4S4Tで手を突いたり転倒したりのミスが出たが、ここを調整して仕上げて来れば300点越えは可

能だろう。次の試合でのネイサン・チェンや宇野昌磨・羽生結弦との対決が楽しみだ。今季限りの引退を伝えるメディ

アもあるが(私には詳細は定かでない!)、まだまた活躍してほしい選手であることは間違いない。




J.フェルナンデスは、2009-10シーズン以来9シーズンに亘りブライアン・オーサーのコーチで戦ってきている。ご存
知のように、羽生結弦(日22歳)も同コーチの指導を受けているから兄弟子だし、2018カナダ選手権でK.オズモンドを
抑えて優勝したガブリエル・デールマンも同じコーチ(妹弟子ということか)だ。オリンピックと世界選手権では、ロシ
アのE.トゥトベリーゼ・コーチの元で参戦するザギトワ・メドベデワ・ツルスカヤ・コストロナイアたちと、フェル
ナンデス・羽生・デールマンたちの試合でコーチ対決を見られるのも楽しみだ。




D.アリエフの表彰台は、私も予想外だった。シニア参戦初シーズンで欧州選手権銀メダルは立派。それだけ急速に力を
つけて来たということだろう。伸びやかでミスの少ない滑走は、バランスの取れた演技を生んでいる。


今シーズン(2017-18)のGPシリーズ戦での彼の成績は、ロシア杯6位・NHK杯8位とあまりぱっとしないものだった。

しかし、欧州選手権ではSP/FS共にノーミス、合わせて3Aを3本、4Tを3本決めている。フェルナンデスに届かなかった

要因は、4回転ジャンプの種類が4Tしかないことと、ステップ・スピンはレベル4を取りながら、芸術点の評価がまだ

まだなことだ。もし、4Lz4F4Sなど成功させて来たら、もっと多彩な表現力を獲得して来たら、怖い存在になって

くるだろう。ネイサン・チェンや宇野昌磨のライバルになる可能性も大きいと思う。




M.コリヤダのFSテーマ曲「E.プレスリー・メドレー」は、スピードに乗ったきびきびとしてキレの良い演技とうま
くマッチしている。今回はSP/FSともにジャンプ(4Lz/4T)が決まらず、得点が伸びなかった。しかし、得意の3Aは
見事に決め、ジャンプの失敗からのリカバリーも速く、レベル4のステップやスピンに取りこぼしがなかったので、
銅メダルをキープした。なかなかしぶとくて良い選手になってきたと思う。



さて、本日(1/24)から台北アリーナで「四大陸選手権」の試合が始まるが、日本・アメリカ・カナダ・中国などの

有力選手の活躍を見ることができる。洋の東西での試合結果が、2月の平昌オリンピックと3月の世界選手権に反映さ

れると思うが、果たしてどんな試合になるだろうか? 女子シングルでは、圧倒的に強いロシア勢に対して、日本・

カナダ・アメリカ・イタリアの選手たちがどこまで食い込めるか? また、男子シングルでは、ベテラン勢と中堅勢

・若手選手が如何ガップリと組んで戦うのだろうか? 色々と興味は尽きないが、それらを楽しみに観戦したいと思う。

私的には、ペアやアイスダンスも好きで有力選手の動画はよく見ているが、世間的には日本選手の活躍が少なく、ま

たトップ選手でもなじみがないケースもしばしばなので、このブログ記事では触れるのは控えたいと思う。皆さんも

どうぞフィギュア・スケートを楽しんでください。


<略語内容>
F.S.:Figure Skate フィギュアスケート ▢ ISU:International Skating Union 国際スケート連盟  SP:ショート・
プログラム  FS:フリー・スタイル  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ
T:トゥループ ▢ FCSp:フライングキャメル・スピン ▢ LSp:レイバック・スピン ▢ CCoSp:チェンジフット・
コンビネーション・スピン ▢ StSq:ステップ・シ―クェンス ▢ GP:グランプリシリーズ戦 ▢

<この項終わり>


2018年1月22日月曜日

ザギトワの高得点は驚異的だった! F.S.欧州選手権2018(その1.女子シングル)




欧州選手権2018女子シングルの表彰台は、アリーナ・ザギトワ(ロ15歳!)が金メダル、エフゲニア・メドベデワ
(ロ18歳)が銀メダル、カロリーナ・コストナー(伊30歳!)が銅メダルの3選手だった。近年まれに見る質の高い好勝
負が楽しめた。画像はISU HPより。



モスクワで開かれていたF.S.欧州選手権は、全ての競技(シングル男子・女子、ペア、アイスダンス)を終えて試合結果

が明らかになった。日本国内ではTV中継や録画放送がないので(地上DやBS放送、ただし有料のJ-Sportsでは全競技の

放映あり)、有力選手の競技内容をUPしている「フィギュアスケートYouTube動画ブログ」で今回も試合を見ることが

できた。フィギュアスケート発祥の地として、欧州選手権は冬季オリンピックや世界選手権よりも歴史が古く(男子

ングルは1891年初回開催、世界大戦などによる中止を4度挟んで100年以上の歴史を持つ)、ヨーロッパ州の選手たちが

出場し技を競う大会なのだ。後に女子シングル・ペア・アイスダンスが順次加わり現在の競技会スタイルになったが、

ちなみに、ヨーロッパ州を除くアメリカ・アジア・アフリカ・オセアニア大陸の選手たちは、今週開催される「四大陸

選手権」に集結して試合をする。この二大競技会を経て、3月の世界選手権が開かれる。今年は平昌オリンピックが2月に

あるので、いずれにしてもこの二大競技会の上位選手が、オリンピックと世界選手権を制することは間違いない。その

意味から言えば、「前哨戦」と位置付けられるだろう。





世界ジュニア選手権2017優勝後シニア戦に今季から参戦し、A.ザギトワの6戦負けなしの連勝記録はすごい! ジャンプ
の安定性とレベル4のステップ・スピンで、SP/FS合計238.24の高得点を叩きだしたのにはビックリ! (歴代最高得点は
E.メドベデワが2017国別対抗戦で出した241.31)


今季、メキメキと力をつけて来たA.ザギトワの躍進ぶりは、210点台・220点台をホップ・ステップし230点台後半に

ジャンプして来た。FSのジャッジスコアをみても、高難度の3Lz+3Loのコンビネーション・ジャンプや3Lzなど、

全て後半に跳んだ7種類のジャンプ(採点は1.1倍となる)はノーミスかつ加点が付く出来栄え。スピンやステップも

FCSpLSpCCoSpStSqがすべてレベル4(最高難度)。技術点がすべて加点された上に、5種類の芸術点(Program

 Components)のすべてで9点台を獲得したから、計157.97の素晴らしい得点となった。FSテーマ曲・バレエ「ドン

キホーテ」に乗った流れるような滑りは、何の滞りもなく滑らかだった。本人の練習意欲もさることながら、コーチ

のエテリ・トゥベリーゼの指導が素晴らしいのだろう。同じ師を抱く世界チャンピオン・E.メドベデワは同門の姉弟子

だし、今年のロシア選手権で3位に入ったアレーナ・コストルナイア(14歳)は妹弟子となるし、トゥベリーゼコーチの

存在はまことに大きい。GPNHK杯3位のP.ツルスカヤも同門だし、今回の欧州選手権4位のM.ソツコワの存在も侮れな

いから、オリンピックと世界選手権でのロシア女子選手恐るべしだ。表彰台独占も現実味を帯びて来た。いやはや!





E.メドベデワの故障からの復帰を喜びたい。2ケ月の休養でよくここまで回復してきたと思う。今回はSPのジャンプ
2Aにミスが出たくらいで、他はノーミス。FSの芸術点はザギトワを上回っていたから、今後の二人の対決は見物だ。
復帰初戦で計232.86の得点は上出来だと思うが、ザギトワの成績が良すぎたのかもしれない。


F.S.10代女子選手にとって、身長と体重の増加との戦いは過酷なことだと思う。昨日まで飛べたジャンプが今日は

飛べなくなるという恐怖から逃れるため、厳しいダイエットを自らに課すあまり、摂食障害に陥ってしまう選手も

多い。メドベデワもそれを克服してここ2年間チャンピオンの座を守ってきたが、やはり蓄積疲労があったのだろう。

競技への調整方法としては、P.チヤンやJ.フェルナンデス、そして大先輩のC.コストナーに見習うところが大きいの

でないかと思う。量より質に切り替えていく必要がある。そして肝心な試合での集中力を高めることが大切だ。後に

触れるが、欧州選手権を6連覇したフェルナンデスはいいお手本だ。すべて勝つのではなく、肝心な試合は必ず勝つ。

そのためには他の試合を調整代わりにする場合もあるだろう。スタミナは無限ではないから、いつまでも10代のつ

もりで居てはいけないのだ。メドベデワの高度なスケーティング技術と、テーマ曲の世界観を表現する芸術性は秀逸

のものだと思う。これからもスケーターとして競技会で活躍するために、今回の休養はむしろ良かったのだと思う。

下からどんどん新人が上がってくるから、しっかりと受けて立ってもらいたいものだ。




C.コストナーの滑走を見ているだけで幸せな気持ちになれる。スケーティングのお手本のような、手先・足先まで
行き渡った身体表現の素晴らしさと、滑らかでメリハリの効いた滑走の美しさは、数々の苦難を乗り越えて来た上
での円熟味がプラスされている。今回のFSでは、ジャンプのミスが2つ出て210点台には乗らなかったが、銅メダル
はご立派の一言に尽きる。鮮やかなライトグリーンの衣装も素敵だった。


F.S.への関心が高まると共に、色々なニュースや試合速報で選手たちのコメント(試合前・試合後)も眼にするように

なってきた。そんな中で、SPで「行かないで」(Ne Me Quitte Pas Vo:セリーヌ・ディオン)のテーマ曲に乗った演技を

ノーミスで終え、78.30という高得点でパーソナル・ベストを更新したコストナーへの賛辞が多かった。私自身も、30代

(普通の選手はとっくに引退している)の彼女がまだまだ自己の技術と表現能力を磨いて前に進もうとしている姿勢に

感動している。15歳のザギトワと18歳のメドベデワの強さに目を丸くしながらも、

「若いロシアの2人は飛び抜けて最強だわ。私は彼女たちから学ばなければいけない。彼女たちは私にモチベーション

を与えてくれるの」(The Answerより)

とインタビューに答えているのが興味深かった。これからも続けられるだけ一線で活躍して行ってほしいと願うばか

りだ。


<略語内容>
F.S.:Figure Skate フィギュアスケート ▢ ISU:International Skating Union 国際スケート連盟  SP:ショート・
プログラム FS:フリー・スタイル  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ
T:トゥループ ▢ FCSp:フライングキャメル・スピン ▢ LSp:レイバック・スピン ▢ CCoSp:チェンジフット・
コンビネーション・スピン ▢ StSq:ステップ・シ―クェンス ▢ GP:グランプリシリーズ戦 ▢

<この項続く>

2018年1月3日水曜日

今年も、手作りお節を美味しくいただいた。




一乃お重には、数の子・田作り・昆布巻き・紅白なます、二乃お重には、鮭と白身魚のミルフィーユ・紅白蒲鉾
・海老のうま煮・黒豆をあしらって。毎年変わらぬ我が家のお節料理です。All Photo by Jovial TAKA



お正月のお節料理を作ることが恒例になってはや15年となる。介護施設に入っていた母親に正月は自宅に戻っても

らい、お節料理を味わって正月を過ごしてもらうことがきっかけだった。当時私は銀座7丁目にある会社勤めをして

いたので、歩いてすぐ行ける築地の外市場で好適な食材を得ることができた。自身の健康のためにも食事作りが課

題だったので、マクロビオテックな食材と調理に関心が高かった。日本本来の和食、とりわけ江戸時代の伝統料理

や戦前の家庭料理に興味があって、旬の食材入手や地産地消の食の在り方・ワインや酒とのマッチングなどを求め

て、日々食作りに励んだ。その探究というか工夫のあれこれは、2冊の料理レシピ(写真撮影入り)として座右の銘に

残してあるのだが...

前置きはともかく、適価でいい食材がますます入手困難になっていることを感じる。もっとお金を出せば、また築

地の市場に行けば、食材は入手できるかもしれないが、あくまで家庭で食べる正月料理だから、無理することはな

い。また、どこでも売っているお節(何時作ったかもわからない・馬鹿高い!)を買うつもりもない。分を超えずに、

頃合いの値で食材が買えることが肝要なのだ。そのために、暮れの3週間前位から準備に入る。黒豆煮のためのサビ

釘造り(着色でないきれいな黒色に仕上がる)、乾物類(昆布やとろろ昆布、干ぴょう・イワシ素干しなど)は早目に

手。生シャケ・白身魚・海老は物を見て買ってから冷凍保存しておく。野菜類(三浦大根・にんじん・大葉・スダチ

・三つ葉)は直前に、という具合。これらを、黒豆の水戻しから始まって、作った品々をお重に詰めるまでを暮れの

3日間で作り上げる。今年(昨年?)は煮物を早目に作ったので、HIさんに手伝ってもらった2家族分のお節は30日の午

前中には全部出来上がった。即席スタジオ(台所のテーブルに白紙と照明をセット)での撮影も昼過ぎには済んだ。



ひと回り小さなお重一杯に詰め込んだ8品のお節はHIさん宅分、これだけあれば暮れ・正月用に充分とのこと。



数の子は、無漂白で塩分控えめのものを手に入れたが、塩抜き(水750ccに塩小さじ一杯)を3度したら丁度いい塩梅

になった。粒のしっかりしたシャキシャキ味が楽しめた。2週間前に買ったその品は、その後店に並ぶことはなく、

漂白した大きな塩数の子が沢山並んでいた。田作りは、フライパンで湿気を飛ばさずに、デロンギ(オイルヒータ

ー)の上に布巾をかけて2時間ほど乾かしたら、ポキッと折れるようないい乾き具合となった。昆布巻きは、利尻昆

布を酒に浸して柔らかく戻してから(20分位)、中身の生鮭切り身を干ぴょうで巻くが、にしんと羅臼で厚く柔らかく

煮るよりも歯触りがよろしいのだ。煮物は、昆布出汁(30分冷水で浸し、煮たてた出汁が沸騰する前に昆布を取り出

して置く)に各1/10位のお酒・味醂・醤油を加えた煮汁で煮上げる。そうすると、素材の味がしっかりと出て美味し

い仕上がりが楽しめる。海老旨煮は、以前は国産の車海老を良く使ってきたが、年々入手困難となった。今年は、

輸入物の冷凍赤エビを使ったが、それも2日後に店に行ったらすべて売り切れていた。東南アジア産の頭なしの海老

なら沢山あるのだが...

紅白蒲鉾は、国産のいいものを入手したおかげで、とてもシコシコと美味しい味だった。赤にはナチュラルチーズ

と大葉を挟み、白にはスダチと明太子(薄塩味)を挟んで紅白のお祝いとした。鮭と白身魚のミルフィーユは、私のオ

リジナルの刺身お造りだが、今年のは鯛とオーロラサーモンとハマチを使い、大葉・鯛・おぼろ昆布・鮭(またはハ

マチ)を2段重ねする。食べる時は一枚づつはがしてそのまま食べる。新鮮な切身を入手して冷凍保存したものだが、

ナチュラルな魚の味が楽しめた。黒豆は、例年のごとく丹波の黒豆だが、一晩水戻しした後煮汁(水に味醂・塩・醤

油・てん菜糖少々)にサビ釘を入れて80分程煮ると柔らかく食べ頃になった。紅白なますの材料はHIさんが持参して

くれたが、三浦大根も人参も新鮮だったので、とても歯触りのいい仕上がりとなった。スライサーで薄切りした2品

を細く刻み、塩もみをして水気を絞ってから玄米黒酢とメープルシロップで味付け、ゆずの皮を刻んで混ぜ合わせた。







お正月の花は、黄と赤の千両、実付きがよく色鮮やかだった。



お節料理には、和食作り基本が沢山詰まっているので、手順を確認しながら一つ一つ作っていく。素材の味を引き

出す調味の仕方は、インスタント料理の様にはいかないが、「噛んで善し、のど越しも善し、胃に落ちてなお善し」

の旨味を楽しめるのは、ていねいに作った和食ならではの味だと言えるだろう。年越しと元日に、何処へも出かけ

ずにお屠蘇やお酒とともに作った品々を味わい、新たらしい年を迎えられたことに感謝してお節料理を楽しんだ。

元日の夜は実弟が来て(毎年恒例だが)、「うまい、うまい!」と言いながらお重の中身をほぼ平らげていった。




我が家の建物最上階から臨める初富士の姿、冬晴れの雲一つない青空と丹沢の山並みの向うに冠雪した富士山が
くっきり。今年もいい年でありますように!


2018年1月1日月曜日

2018年(平成30年)・謹賀新年



迎  春

新しき年のご多幸とご健康をお祈りいたします。
本年もよろしくお願いします



ニオイコブシ・薬師池公園にて Photo by jovial TAKA


平成30(2018)元旦 Jovial TAKA 


http://jovialtaka.blogspot.jp  YouTube:takasantafe neo