2018年3月31日土曜日

城山・かたくりの里では、たくさんの春花が咲き揃っていた(その2)。




城山・かたくりの里を巡る遊歩道には、多くの草花・花木が植えられていた。気温も上昇して頃合いの春日和
だったので、一斉に開花した賑やかさだった。左は三椏(ミツマタ)、右にはミツバツツジと紅三椏、春爛漫の風景
 All Photo by TAKA



里内(苑内)に入る時、手書きの花マップをもらった。草花と花木の沢山の名前が案内されていたので、道を巡りながら

知らない花名を覚えるのも面白かった。花フォトもたくさん撮ったが、その一部をここに載せてみたい。撮影時に

いつも思うのだが、天気のいい日の午前中が一番画像がきれいだ。つまり、陽の光が注いでいて対象物の輪郭がはっ

きりしていることが大事で、光と影のコントラストがくっきりしていれば、色合いも自然と本来のカラーが出てくるのだ。




曲道の隅に咲いていた日陰躑躅(ヒカゲツツジ)、ボヤッとした色合いの淡黄色が如何にも日陰を好みそうな色だ。
ヤマツツジの一種。



一方、紅花八汐躑躅(ヤシオツツジ、八染とも)の花色は、如何にも明るくて華やかだ。これもヤマツツジの一種。
花が先で後から新葉が出てくる。



雪割草と一緒の時期に花咲く雪割一華(ゆきわりいちげ)、キンポウゲ科のイチリンソウ属。



このかたくりの里は、小規模の一山全体が開花期間だけ一般公開されているのだが、生育する草花や花木の手入れ

も良く(やたら切らないで自然のままがいい!)、斜面を周る遊歩道にも刻んだ竹の葉茎や木材チップが敷き詰められ

ていて、道がじめじめしていないのでとても歩きやすかった。用意のいいカメラマンは、ひざつきして花々を撮影

できるように、ビニールシート持参なのには感心しきりだった。公式ホームページ(http://blog.katakurinosato.com/)

を拝見しても、丁寧な開花情報と素敵な写真が沢山載せられているので、見るのがとても楽しい。




車で同行したHIさんも初めて見たという「日向みずき」、明るい黄色小花をこれでもか! という位沢山つけて
満開だった。同種の土佐みずきに較べて格段に花数が多い。これは枝を切らずに伸ばして自然のままにしている
からかもしれないが、とにかく見事だった。春晴れの青空との対比がきれい。



大輪三椏(ミツマタ)の花も、下向き加減の花弁を満開にしていた。辺りには濃厚な花の香りが漂っている。
実際に新梢の三椏に花が開くのが面白い。



開園と共に入場し車を止めた広い駐車場は、昼前に帰る時にはほぼ満車だった。2日前に雪とみぞれが沢山降ったせい

か、山裾の低地には湧き水が沢山溢れ、小さな水路はきれいな水が滔々と流れていた。城山湖に近い相模原平野の一

角にこんな自然が残され、篤志家の熱意とそこへ訪れる人たちの交流があることに何だか豊かな気持ちになり、カタ

クリと春花の咲き揃った訪問先を後にした。




ほうき桃(花桃)の花も満開だった。かたくりの里HPより。


<この項終わり>



2018年3月30日金曜日

城山・かたくりの里は、かたくりの群生が見頃だった(その1)。




春の明るい陽射しが当たる「城山・かたくりの里」の山斜面には、かたくりが群生し沢山の花が開き始めていた。
久し振りに見る希少で見事な眺めだった。 All Photo by TAKA




関東地区に今年2度目の雪が降った週の週末(3/24)に、相模原市緑区川尻にある「城山・かたくりの里」を訪れて

みた。実はその前の週に1度ここを訪れていたのだが、かたくりの花はまだ咲き始めたばかりで、群生する花の見

ごろは丁度1週間後になることをホームページの情報で確認しての再訪門だった。ここを紹介するリーフレットに

は、「30万株の群生地・かながわの花の名所100選」とも謳われていたので、とても楽しみだった。関東地区でかた

くりの花が見られるスポットはかなり限られるが、以前(10年以上前か?)練馬区大泉町にある「清水山憩いの森」で、

森北斜面に群生するかたくりの花を私自身は見たことがある。土地開発の難を逃れて咲き残っているかたくりの

花を見るのはそれ以来のことだ。



下向きにつぼんだ花弁が開くと、外側に反り返って立ち上がるのがかたくりの花の特徴だ。カメラマンは
゛ヂベタリアン゛となって、地上10~20㎝の高さで上向きショットを撮らないと花は撮影できない。春の陽光
に透ける薄紫の花色がきれいだった。



広い相模原平野の一角にある里山がこのかたくりの群生地だった。田圃や畑の中に小高い山があり、その北斜面に

カタクリは咲いていた。「花守人 小林一章」とリーフレットにも記されていたが、普段は篤志家の個人が農業やガー

デニングを営みながら、このかたくりの花が咲く時期のみ群生地を一般公開されているのだ(有料)。かたくりの花は

通常の薄紫花以外に、白花や黄花もあり、残念ながら黄花は時期がやや早くまだ開花は見られなかったが、山全体

に遊歩道が巡らされ、珍しい花木がたくさん植えられていた。そのほとんどが自然のままで、剪定して切り詰めら

れることもなく咲いていたのは見事だった。雪割りいちげ・雪割草・岩かがみなどの野草、紅やしおつつじ・玄海

つつじ・ひかげつつじなどのつつじ類、日向みずき・紅みつまた・だん黄梅などの中木、さくら・梅・ほうき桃各種

...遊歩道を登り下りしながら、沢山の春花を見るのはほんとに楽しかった。





開園と同時に入山したこのかたくり群生地は、まだ陽の当たらない北斜面では夜露を葉の上に残し、下向きに花弁
を垂れる花が沢山見られた。日が昇って陽射しが当たれば、徐々に花弁を反転して上向きに反り返るのだ。とても
壮観で華麗な眺めだった。



かたくりの花には懐かしい思い出がある。信州長野の高原育ちの私は、小学生の頃の授業でギフチョウ(黒と黄色の

縞模様のアゲハ科蝶)の飼育と観察をしたことがあり、幼虫を採取してサナギまで育て、成虫に羽化して飛び立つまで

を飼育係として担当したのだ。そのため、幼虫が食べるカンアオイの葉を、裾花川の対岸にそびえる朝日山の北斜面

まで週3回位採取に行った。薄暗い森の斜面にかたくりの群生地があり、その一角にカンアオイも群生していた。少々

薄気味悪い思いをしながら素早く葉を積んで学校まで戻った記憶がある。でも、そこで見た薄紫のかたくりの花は、

とても幻想的できれいだった。ギフチョウはかたくりの花蜜を好んで吸う。カンアオイとかたくりがある場所は、

ギフチョウにとっては格好の生育地だったのだろう。日本各地から、宅地開発や住宅建設のため里山が切り開かれ

ると共に、かたくりの花も多くが消えていってしまった。現在数少なく残っているこの花の群生地は、環境保全の

ために行政が動いて残してているか、個人の篤志家が頑張って残しているかしかないのだ。




昼近くなって、かたくりの花はきれいに開花した。6枚のはなびらは、宙に飛び立つ小動物のようにも見える
不思議な形だ。ユリ科カタクリ属。



雪割草の可愛らしい花も丁度見頃だった。雪国では、溶け出した雪の下から春を告げる花だ。




残念ながら見られなかった黄花かたくりの花、城山・かたくりの里HPより。同じユリ科のエリスロニウム
(北アメリカ原産の西洋カタクリ)は、黄花で日本かたくりと似ているが葉は大きい。


<この項つづく>


2018年3月28日水曜日

ネイサン・チェンだけがノーミスだった! ( F.S.世界選手権2018その2 男子シングル戦より)




男子シングル戦の表彰台は、ネイサン・チェン(米18歳 金メダル)・宇野昌磨(日20歳 銀メダル)・ミハイル・コリヤダ
(ロ23歳 銅メダル)の3人だった。有力選手たちが4回転ジャンプの失敗をくり返す中で、N.チェンだけがノーミスの完
な演技だった。画像はISUのHPより。




平昌オリンピック・メダリストの二人(羽生結弦とJ.フェルナンデス)が欠場した今年の世界選手権・男子シングルは、

かなり混戦状態になるかと思われたが、ふたを開けてみれば4回転ジャンパーたちは転倒に次ぐ転倒で、オオコケ試合

となってしまった。有力選手達がこんな転倒試合を見せたのも珍しいことではあるが、やや荒れた試合に終始した印象

が強かった。その中で、一人気を吐いたのがN.チェンだった。オリンピックで表彰台を逃しはしたが(5位)、この試合

のFS(フリースタイル)ではジャンプをほぼノーミスで決めて215.08の高得点(出場選手中最高得点)を叩きだし、復調の

兆しがあった。




SP(ショートプログラム)では、ジャンプの着地がやや乱れたが転倒はなく(101.94の1位)、FSではテーマ曲
「小さな村の小さなダンサー」に乗って、6本の4回転ジャンプをすべてきれいに決めて(4Sのみ着地に乱れ)、
合計得点321.40の今シーズン最高得点を獲得しての優勝だった。




試合直前の公式練習で、ジャンプの軸になる右足を負傷した宇野昌磨だったが、FSのテーマ曲「トゥランドット」
に乗った演技では、4回転ジャンプを3本(4Lo・4F・4T)失敗しながらも、後半のコンビネーションをすべて決めて
リカバーした。失敗を物ともしないその精神力は脱帽に値する。



4回転ジャンパーたちの明と暗はくっきりと分かれた。SP4位に付けていた金博洋(Boyang Jin 中20歳)は、FSで冒頭の

4Lzを転倒してからすべての歯車が狂ってしまった。すべての4回転ジャンプで転倒し3回転コンビネーションも決まら

なかった。転倒と回転不足による減点は-9点という前代未聞のスコアだった。高難度の演技を構成に組み込むリスク

は、成功した時とは裏腹に大変大きな負の結果をもたらすことを、観客は目前で見てしまった。今回のザギトワの時

と同じように、転倒するごとに観客の悲鳴がリンクに響き渡った。SP3位の好位置につけたヴィンセント・ゾウ(米17

歳)も、6本の4回転ジャンプを組み込んだプログラムに挑戦したが、成功は1本(4T)のみで他は転倒と回転不足で沈ん

でしまった。観客だって、眼の前でコロコロと転び続ける試合などあまり見たくない、というのが偽りのない心情だろ

う。テーマ曲世界を表現する華麗で滑らかな演技とは程遠い゛荒れた試合゛という印象が残ってしまった。




M.コリヤダもFSテーマ曲「プレスリー・メドレー」に乗った演技では、前半3本の4回転ジャンプ(4Lz・4T・4T)
で転倒や着地ミスはあったものの、後半で巻き返し3Aやコンビネーションを全部決めた。銅メダルに残れたのは、
彼の修復力の為せる業だった。



さて、高難度のジャンプを多くは組み込まなかった選手たちの活躍も光った。アレクセイ・ビチェンコ(4位 イス

30歳)の元気でキビキビとした演技も良かったし、4回転を一本も飛ばずに完成度の高い3回転と流麗なスピン・ステッ

プを見せてくれたデニス・ヴァシリエフス(6位 ラト18歳)もよかった。それに加えて、FSの全てのジャンプをほぼ

ノーミスで演技し3位だった友野一希(5位 日19歳)は大健闘だったと言えよう。まだ演技の完成度(GOEやPCS)は十分

とは言えないが、これからが楽しみの選手となった。来年の世界選手権出場:日本3枠も、彼の頑張りが残してくれた

嬉しい結果だった。



コーチのステファン・ランビエール(オリンピック銀メダリスト・世界選手権連覇者)の指導で成長著しい
D.ヴァシリエフスも今後楽しみな選手になってきた。



今回大健闘の友野一希、細身の身体ながらジャンプの安定性には確かな物を持っている。スピン・ステップにも
磨きをかけて成長して行ってほしい。


<この項終わり>


2018年3月27日火曜日

ザギトワもコストナーも表彰台に上がれなかった! ( F.S.世界選手権2018その1 女子シングル戦より)




フィギュアスケート(F.S.)世界選手権2018を制して表彰台に上がったのは、ケイトリン・オズモンド(カ22歳 金)、
樋口新葉(日17歳 銀)、宮原知子(日19歳 銅)の3人だった。オリンピック金メダリストのアリーナ・ザギトワはフリー
スタイル(FS)でジャンプの転倒を繰り返し、ショートプログラム(SP)で首位だったカロリーナ・コストナーはジャ
プのミスが多く、共にメダルには届かなかった。画像はISUのHPより。




今シーズン(2017~2018年)をしめくくるF.S.世界選手権はイタリア・ミラノで開催され、総ての競技を終了した。男

子では、オリンピック・メダリストの羽生結弦とJ.フェルナンデスが欠場し、女子では同メダリストのE.メドベデワも

欠場、トップ選手たちを欠く世界選手権に興味はやや薄れていたが、いざ試合が始まってみるとスリリングな試合運

びがあり、幾つかのドラマが展開されるのを見たのでとても面白かった。




今シーズンの試合(GPSシリーズ戦やオリンピック)で表彰台を欠かさなかったオズモンドは、この世界選手権で
ようやく優勝を勝ち取った。SPでは3つのジャンプ中2つにミスがあったが、FSでは7つのジャンプ中6つをきれい
に決めて(ひとつのコンビネーションは着地に乱れ)、ただ一人得点計220点台(223.23)を獲得した。PCS(演技構成点)
すべて9点台というのも素晴らしかった。FSのテーマ曲「ブラックスワン」の衣装も素敵だった。


女子シングル戦での各選手のプログラム(演技構成)も相当高度になっているので、演技を如何にミス無くまた加点が

得られるような出来栄えでアピールできるかが、得点の分かれ目になってくる。その視点から言えば、金メダルの

オズモンドも銀メダルの樋口新葉も大きなミスがなかった。特に樋口若葉の出来栄えは素晴らしく、スピード感に

溢れたキレの良いジャンプを飛ぶごとに、会場の声援が高まっていくのが見られた。最近のF.S.ファンは、ジャンプ

の種類やスピン・ステップの演技にもよく通じているので、目の肥えたファンたちは国の違いにこだわらず、良い

演技を見わけて各選手を応援するし、素晴らしい演技には大きな拍手と声援が返ってくるのだ。恐らく、この日の

出場選手の中では、一番の盛り上がりだったように私は感じた。



演技終了後、達成感をあらわにしてのガッツポーズに続いて喜びの涙をながした樋口新葉、オリンピックの選に
漏れた悔しさをバネにリベンジを誓って切磋琢磨してきた努力が実った一瞬だった。すべて8点台だったPCSを9点
台に持っていくことが今後のテーマだろう。FSのテーマ曲「007スカイホール」では゛ワカバ・ボンド゛も映えた。




゛ミスパーフェクト゛と呼ばれる宮原知子にも取りこぼしはある。FSテーマ曲「蝶々夫人」では、ジャンプに2つ
の回転不足と1つの転倒があったが、この減点をPCSの高得点でカバーし銅メダルを得た。演技にやや硬さがあった
伸びを欠いたように見えた。しかし、樋口新葉と二人の健闘で来年の世界選手権3枠を勝ち取ったのはご立派! の
ひと言尽きる。



さて表題の二人だが、シニア戦に参入した今シーズン、A.ザギトワ(ロ15歳)の快進撃は6戦負けなしで、平昌オリン

ピック・欧州選手権・GPSファイナル戦など、国際試合での軒並みの優勝を続けて世界選手権にで出来た。特にFS

のテーマ曲「ドン・キホーテ」に乗っての演技では、7種類のジャンプを全て後半に持ってくるという高難度の構成

で組み立てられ、次から次へと繰り出すジャンプをノーミスで滑走する、という前例のない作戦だった。オリンピッ

クではこれが功を奏して、絶対女王と言われたE.メドベデワ(ロ17歳)を僅差で下して金メダルに輝いたが、今回はこ

れが裏目に出た。体調不良・準備不足・緊張感...色々な理由はあるかもしれないが、他選手が選ばない高難度の

構成にしたことが゛諸刃の刃゛となってしまった。一つのジャンプを失敗した後それを立て直す暇もなく、負の連鎖

に陥ってしまった。




ジャンプ転倒は自分でも信じられないことだったのか? 試合後ゥトベリーゼコーチの胸で泣き崩れる姿が印象的
だった。「10代のオリンピック金メダリストは大成しない」とのジンクスはあるが、タラ・リピンスキー(1998年
長野オリンピック 15歳)・アデリーナ・ソトニコワ(2014年ソチオリンピック 17歳)などの前例を覆して、ザギトワ
は今後さらにF.スケーターとしてのキャリアを深めていけるのだろうか?


転倒による減点4、回転不足(アンダーローテーション)による減点が4つという惨憺たる結果だった。また、次から

次に演技を繰り出す構成は、゛静と動をつなぐ゛という「間」もなく、すべて動という゛詰め込み過ぎ゛の構成

となり、息つくヒマもないという印象を与えてしまった。ザギトワは今後、演技構成についての根本的な立て直し

に迫られるだろう。ジャンプに転倒はあったものの、後半盛り返して「リカバリー」した宇野昌磨やM.コリヤダ

のしぶとさを学ぶ必要がある。選手と言えども人間は完ぺきではないのだから、失敗を最小限に抑える技術と精神

力が大切だということを痛感したドラマだった。



SP(テーマ曲 Ne Quitte Pas!)の冒頭ジャンプ3F+3Tをきれいに決め、ノーミスで身体のキレの良い演技を披露し、
80.27の高得点でトップに立ったカロリーナ・コストナー(伊31歳)、FSをミス無く終えれば世界選手権優勝のタイ
トルに一番近かったはずだったが..


゛F.S.界のレジェンド゛コストナーに、地元開催の世界選手権優勝という女神が微笑むのを多くのファンが期待した

が、残念ながら願いは叶わなかった。最終滑走・しかもザギトワがジャンプ失敗に沈んだのを目の前にして、優勝

のプレッシャーがかかったのだろうか? 何時になく硬い表情でリングに入場していったのを見たが、 冒頭のジャン

プ3Lzを失敗してからリカバリーに精彩を欠き、何時もの滑らかな演技は影を潜め、ジャンプ計3回の失敗で表彰台に

上れなかった。しかし現役女子最高齢のF.スケーターとして、今シーズンは国際試合で表彰台に上ることも多く、テー

マ曲に乗った華麗で滑らかな演技を見せ続けてくれたのは、ファンを大いに楽しませてくれたと賛辞に値する。それ

も、10代のトップ選手たちと互角に張り合ってのことだから、長い期間に渡って競技を続けていく素晴らしさを誰

もが感じていたと思う。彼女の競技活動引退の可能性も報じられてはいるが、できることならばその円熟したパー

フォマンスを一日も長く見られたら、その喜びに尽きるものはないと思う。



2018年3月19日月曜日

懐かしのコマソン(CM Song)を唄ってみた。




「なつかしのCM レナウン ワンサカ娘」YouTubeより

 作詞・作曲:小林亜星、唄:シルヴィ・バルタン(他にかまやつひろし・弘田三枝子バージョンなどもあり)、
昭和41(1966)年に発表されたもの。白黒幾何学模様のバックデザインもさえていたし、フレンチPOPSの
S.バルタンのを起用した唄も斬新だった。当時私は大学でフランス語を学び始めたばかりだったから印象が
よりったかも知れない。


私達の記憶については、聞いたその場ですぐ忘れてしまうものや、何度聞いても覚えられないものもあるかと思え

ば、何十年前のことでも昨日のことの様にはっきり覚えているものもある。最近、日常のある瞬間にふっと想い出

してしまった歌詞とメロディがあった。いわゆる「コマソン」(CM Song)なのだが、『レナウン ワンサカ娘』とい

う曲で、ファッションメーカー・レナウンのブランドをPRするテーマ曲だった。

  G                       G                   D7                                    G
♪ドライブウェイに春が来りゃ イェイェイェ イェイイェイ イェイェイェ イェ!
    G                     G                    D7                                     G           G
  プウルサイドに夏が来りゃ   イェイェイェ イェイイェイ イェ!    いいわ!
    C                              G               C                            G
 レナウン レナウン レナウン おしゃれでシックなレナウン娘が
    D                              D                               D7                          G
 わんさか わんさか わんさか わんさか イェーイ イェーイ イェイ イエーイ! ♪ (2番もあり)


小林亜星も、よくこんなリズムカルで軽やかなメロディと歯切れのいい歌詞をを作ったもんだと感心するが、バック

のモノトーンのアニメデザインや画面構成には、時代の息吹のような力強さが感じられてなかなかインパクトがある。

原曲はAbなのだが、Gにしてコードを付け、かようかい(毎週火曜日に喜多見の喫茶店に集って音楽を楽しむ会)で仲間

たちにGt弾き語りで歌って聞かせてみたら、さすがにこの歌はほとんど皆が知っていた。「イェーイ イェーイ イェイ 

イエーイ!」という乗りの良さで、一緒に歌っても楽しい歌だし、今でも新鮮だ。当時レナウンは、メンズブランド

「D'URBAN(ダーバン)」で人気フランス俳優のアラン・ドロンをイメージキャラクターに起用したり、アメリカ俳優

チャールズ・ブロンソンが男性化粧用品「マンダム」に登場したり、日本経済の高度成長期だったこともあって、世

の中元気で賑やかだった。





[CM] FAMILIA ロータリークーペ・ YuoTubeより

昭和43(1968)年、ファミリーカーで発売されていた MAZDA FAMILIA にロータリーエンジンを搭載した
スポーツバージョンが発売されたときのCM Song。布施明の力強く歌い上げるような曲がTVから流れると、
思わず聴き入ってしまったのを思い出す。作詞・作曲者不明(ご存知の方は教えて欲しい!)


 Am     Am/A7     Dm/G7  C/ E7         Dm     Am       B7      E7    
♪光あふれる 夜明けの中で  あなたのために 僕は生まれた
              Am               Dm/E7      Am
 ファミリア ロータリー クーペ
   Am                 C     Dm    E7      Am     Dm       E7              Am
 空を舞う小鳥よ 君の世界へ  僕はめざす 廻る 廻る ロータリー
   C                          D          G                   A
 トップ オブ クーペ  ロータリー クーペ ♪


この曲のイントロと出だしは、バラード風のアルペジオなのだが、後半は勢いのいい行進曲風で、日本のモータリ

ゼーション黎明期に、この車が日産のスカイラインGTRとカーレースを競った頃の熱気が伝わって来るような雰囲

気を持っている。布施明の原曲キーはCm、高音をシャウトするのは我々にはちょっと無理なので、コードはAmに

下げている。エンディングがメジャー音に変わっていくのもかなりシャレたメロディラインだ。残念ながら、この

コマソンを覚えている人は、かようかいのメンバーにはいなかった。その当時はまだ、車の運転免許を持っている人

も少なかったからなぁ。かくいう私も、会社勤めを始めてから3年目に運転免許を取得した。残念ながら私自身は、

ロータリークーペもスカジーも運転したことはなかった。





TOKYO FM 「ワールドオブエレガンス」1993年3月30日 E D 【細川俊之氏追悼】YouTubeより

ファッションメーカー・ワールドが提供していたお昼のFMラジオ番組テーマ曲、ナビゲーター細川俊之の
しっとりとした語り口と共に、クラシックピアノやフルートなどで奏でられる楽曲がオンエアされた。1976年
から1993年の17年間続いた人気番組だった。唄はジャン・ミッシェル・カラディック、作曲はいずみたく
(いずみたく作品集に収録)。原曲はGmだがDmでコードづけ。


    Dm                                  C                   Dm
 ♪ Pourquoi  mon  Dieu  ju  suis  né  en  mort?
    Dm                                  C             F
    Pourqoui  dont  suis  je  né  ici  pas?
    D7                    Gm       Dm       A7                Dm - D7
    Pour  tourjour   World   World  c'est  puor  te  connaître
    Gm                     Dm          A7                  Dm
    Tu  est  l'amour  eternelle  d'abord  de  l'amour  ♪



J.M.カラディックの初代オープニング曲は、「愛の世界」のタイトルで1976年から1982年までオンエアされたという

が、昼間のオフィスでまた移動中の中で、ふっと寛げる時間だった様に思う。ストリングスとGtに乗った美しい

ラブバラードを、今歌ってみるとなかなかいい曲だと感じる。かようかいのメンバーたちは、何処かで聞いたことが

あるとは言うものの、歌詞がわからないのでよく覚えてはいない、というのが大方の印象だった。




橋本国彦:お菓子と娘(西条八十) 唄:小川明子 YuoTubeより

「不二家フランスキャラメル」のCMソングに使われた「お菓子と娘」、原曲は昭和4(1929)年ビクターから
発売された戦前の歌曲。作詞:西条八十・作曲:橋本国彦、当のお菓子は昭和9(1934)年に発売された(不二家HP)
というが、私が覚えているのは1960年代のことだ。ずっとこの曲を使っていたのだろうか? 何時発売中止になった
かもよくわからないのだ! 原曲のコードCのまま。


 C          F            G7     C      C         F           G7          G7
♪  お菓子の好きな パリ娘  二人そろえば いそいそと
 F                           C
 角の菓子屋へ  ボンジュール
 C       F            G7     C            C         F           G7          G7
 選る間も遅し エクレール  腰もかけずに ムシャムシャと
 F                        G7     C
 食べて口拭く パリ娘
 C         F            G7           C       C        Am       Em     Am
 残るなかばは 手に持って  行くは並木か  公園か
 F                    G7       C
 空は五月の 水あさぎ
 C       Am           F         G        Am     Em         Dm        E7
 人が見ようと 笑おうと  小唄交じりで かじりゆく
 Am        Em          F        G7    F                       G7       C
 ラーマチーヌの 銅像の  肩でつばめの 宙がえり   ♪


詩人にして童話作家、童謡や歌謡曲の分野で大きな足跡を残した西条八十と、東京音楽学校(東京芸術大学)教授の

橋本国彦のコンビが作った歌曲が、洋菓子不二家の製品CMソングに使われた経緯は良くわからない。が、西条八十

がフランス留学中に体感した巴里の街角風景がベースになっているのは想像できる。「不二家フランスキャラメル」

のパッケージは、トリコロールのフランス国旗の真ん中に可愛い少女が描かれていた。とても洒落たPKGで、異国

情緒をおおいに醸し出していた。味は3味あって、バニラとチョコとコーヒーだったと聞くが、残念ながら私は食べた

ことはない。昨今の様なコンビニもなかった時代だから、お菓子屋に買いに行くのもはばかられたのだった。:現在

は発売していない。一度食べてみたかったなぁ! 「♪お菓子の好きなパリ娘~」の一節は、平易な言葉ではあるが、今

でも心に残るフレーズで時折ふと思い出してしまう。かようかいのメンバー達は、この曲を何処かで聞いたことが

あるなぁ!? と言いながら、仔細は知らなかった。そう言えば、「♪おぉ、チェルシー もひとつチェルシー♪」とか、

「♪美しい人生よ かぎりない喜びよ この胸のときめきを あなたに~♪」などもあったなぁ...