2013年3月20日水曜日

2013年世界フィギュアスケート選手権から、その①女子シングル

カナダのロンドンで5日間にわたって開催されていた世界フィギュアスケート選手権が終わった。今回はTV中継(録画)をすべて見ることが出来た。世界各地で行われた競技会の総決算であり、現時点での実力選手がほとんど出場してくるので、なかなか見ごたえがあった。ここに掲載した画像は、すべてインターネット・サイト Zimbio のものであることを、予めお断りしておく。
女子シングルの下馬評では、今シーズン好調の浅田真央が表彰台に立てるかが、日本のマスコミを騒がせていたし、前回の冬季オリンピックチャンピオンのキムヨナが、復帰してどこまでやれるのか、また、世代交代が顕著になってきた若手勢(ジュニア選手権上位陣)が、どこまで食い込めるか、などが話題になっていた。
金メダルに輝いたキムヨナ(韓)の演技は、ショート・フリーともにノーミスだった。ジャンプ・スピン・ステップのすべてにおいて、正確で滑らかに繫がるスケーティングの技術が素晴らしかった。ショートの「吸血鬼の接吻」、フリーの「レ・ミゼラブル」、ともにドラマチック性と優雅さを組み合わせた音楽に乗って彼女は滑った。キムヨナの端整で隙のない演技は、競技会においては高い技術点を得られるものだとおもう。その個性は素晴らしいと思いながらも、野次馬の私にとっては、もっと観客にアピールするエンターテイメントの要素が欲しいな、と感じさせるものだった。
しかし、いい得点を得られるのが優等生で、表彰台に上れるのもやはり優等生だから、フリー演技の終了30秒前から観客のスタンディング・オベイションが始まったのもうなずける。納得の金メダルだった。



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片や、銀メダルとなった昨年のチャンピオンのカロリーナ・コストナー、フィギュア好きの私はこのブログで何度か紹介しているが、キムヨナとは対照的に輝くばかりの個性と表現の芸術性に勝っていた。長い選手生活の中で、課題のジャンプも安定してきたし、スピンやステップでも、表情や足先・指先までに込められた感情表現が何よりも素晴らしかった。
ショートは映画「ヤング・フランケンシュタイン」、フリーはあの「ボレロ」がテーマ曲だったが、フリーの演技はメリハリが効いていてとても良かった。曲想にも体の動きが良く合っていた。演技入り直前に鼻血が出てしまうハプニングがあり、ジャンプも転倒があったりして得点が伸びなかったが、これからも活躍が期待できる選手だ。長身から繰り出す演技は迫力があり、優雅さとダイナミックさを兼ね備える彼女は、当分表彰台争いに絡んでくると思う。

今回銅メダルだった浅田真央を、キムヨナのライバルとして話題にするマスコミの報道は、ちと騒ぎすぎだと思う。スケートに取り組む姿勢が一生懸命でよいとは思うが、やはりまだ実力が追いついていないし、2010年の世界選手権優勝時からみたら、ジャンプの不安定さに課題も多いし、ステップ・スピンの技術力と世界観の表現力も、もっと必要だ。フリーの演技は、「白鳥の湖」がテーマ曲だったが、体の動きが硬かった。むしろ、ショートの方が、ジャズ曲の「I Got A Rythm」に乗って、軽快に楽しく滑れたと思う。トリプル・アクセルの成功と3回転コンビのジャンプ失敗があって、まだまだノーミスにはまとめられずにいる。







ショートもフリーもノーミスで、抜群の演技を披露できた村上佳奈子(4位)は、特にショートの演技が良かった。愛らしい明るいピンクの衣装で、全体に柔らかな流れるような滑走で観客を魅了した。テーマ曲・「Player for Taylor」(M.スミス)のバラード調の曲にも、体の動きが良く合っていた。フリーの曲は「ビアソラ・メドレー」、タンゴの小気味いいリズムにも、スケートが乗っていた。
技術点のレベルで見ると、まだまだメダリスト達には及ばないが、今後力をつけてきたら怖い存在になる。この点では、10代の選手達、例えばグレーシー・ゴールド(米17才)、ケイトリン・オズモンド(Ca17才)、アデリーナ・ソトニコワ(露16才)なども、表彰台を狙う選手達だ。次世代が着々と力を伸ばしているのが見られたのも、今回の選手権の楽しさだった。
昨年の選手権銀メダリストのアレーナ・レオノア(露)の姿も見られたが、残念ながら精彩を欠いた。鈴木明子も、ジャンプが正確に決まらず、全体の印象にもまとまりを欠いた。キーラ・コルピ(Fin)も、前哨戦でいい成績が残せず、選手権には出場できなかった。世代交代が進む中で、次の世界選手権には、誰が登場してくるのか? これからも目が離せないフィギュア・スケートだ。

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