□姫川源流域の流れは水量も多く、雪代(雪解け水)が始まっているとはいえ濁りも少なく澄んだ水色だった。細流が
流れ込むポイントの水温は10度C、北風が吹きこみ気温が下がった午後の一時、俊行の7本繋ぎ和竿に付けた仕掛け
をポイントに振り込む釣楽人タカ。この川育ちの2匹の山女魚が出迎えてくれた。All Photo by Jovial TAKA and HI
をポイントに振り込む釣楽人タカ。この川育ちの2匹の山女魚が出迎えてくれた。All Photo by Jovial TAKA and HI
北アルプスの山々には、まだたっぷりと雪が残っているこの時期に姫川釣行を思い立ったのは、3月解禁の渓流釣り
には何処へも行かずに良い季節を待っていたのと、例年梅雨明け頃(6月下旬)から9月末の禁漁前までのベストシーズン
を待ちくたびれたのと両方が理由だった。出かける前に姫川の漁協に電話し現地の状況を聞いてみたら、以外にも今
年は降雪量が少なく季節が例年よりも早目だ、と担当が話してくれたのもあった。直近の天気予報で4月中旬の3日間
(4/16~18)が良さそうだとの見込みを付け、宿を予約して出かけた。白馬地区は、スキーシーズンのピークも終わり、
今は夏山を迎える前のオフシーズンに当たるので、予約も簡単に取れた。
今回の旅の目的は2つあった。もちろん一つ目は姫川の源流域・上流域・支流松川でまだ食いの渋い(カゲロウの成虫も
幼虫の川虫も生育の盛期にはまだ早い)岩魚と山女魚の姿を確認すること。もう一つは、今まで釣り上げた魚をすべて
放流してきてはいるが、今回は安曇野と白馬の地元食材(野菜や山菜・お肉や卵など)を現地で入手し、釣れた魚と一緒
に料理して食べてみる、ということだった。そのために、宿泊も素泊まりで部屋にガステーブルや調理器具・食器類
を備えた゛コンドミニアム゛に決めた。ただし、調味料や食材は全部持ち込まなくてはならない。実際に宿泊して分か
ったことは、海外の長期スキー客の利用が多いことから箸が備えてなかったのだが、My箸を持参しておいたので事な
きを得た。地元の絵画グループに属して、定期的に絵画作品を制作・発表している連れにとっては、昨年展示発表し
た油彩「姫川」が好評だったことから、北アルプスと白馬村をテーマにした新たな作品取材を目論んだ旅でもあった。
ったことは、海外の長期スキー客の利用が多いことから箸が備えてなかったのだが、My箸を持参しておいたので事な
きを得た。地元の絵画グループに属して、定期的に絵画作品を制作・発表している連れにとっては、昨年展示発表し
た油彩「姫川」が好評だったことから、北アルプスと白馬村をテーマにした新たな作品取材を目論んだ旅でもあった。
□体長20㎝を越えた源流域の山女魚はすこぶる元気だった。針掛かりした途端上流に向かって素晴らしい勢いで水中
を走った。その夜の調理時に膨れた腹の中を確認してみると、カゲロウの成虫・幼虫の川虫・ミミズなどを沢山
捕食していた。やはり季節はもう動いているのを実感!
早朝に車で迎えに来てくれた連れのHIさんに代わり、私の運転で調布インターから中央道で安曇野インターまで走り、
途中双葉SAで朝食をとった時間を含め約3時間のドライブ。何時もは大糸線東側の「北アルプスパノラマロード」を
ゆったり走って木崎湖まで行くのだが、今回は西側山寄りの農道を通ってみた。信号も少なく田園地帯をのんびり走
れるこのルートが「安曇広域農道」という名前なのを後で知るのだが、とても走りやすい道路だった。このルート上
に「道の駅・アルプス安曇野堀金の里」があるので、ここに寄って地元食材を大方仕入れていこうという目論見だっ
た。実際新鮮取れたての地元産野菜がたくさんあって、トマト・サンチェ・やぐらネギ・独活など3日分を買い込み、
ついでに山菜入りお握りや稲荷すし・惣菜を昼食用に購入した。残りの食材は、白馬村の食品スーパーで入手するこ
とにして、一路目的地に向かった。安曇野は丁度桜の季節で、間近の山々はまだ緑の芽吹き前だったが、白馬まで田園
と里山の桜風景を楽しみながら時折運転を交代してドライブを続けた。
□体側の薄紅色のラインとパールマークも鮮やかな姫川源流域の山女魚、美しい魚体にしばし見とれてしまった。この川で
の成魚(岩魚・山女魚・虹鱒)放流はなく、すべて発眼卵か稚魚(体長9~10㎝、10g)放流なので、湧水地から流れ下るこの
清流育ちの魚と出会えるのはとても嬉しい。昨夏ここで釣り上げて放流したチビ山女魚が成長して再びお目に掛かった
のかもしれない。
の成魚(岩魚・山女魚・虹鱒)放流はなく、すべて発眼卵か稚魚(体長9~10㎝、10g)放流なので、湧水地から流れ下るこの
清流育ちの魚と出会えるのはとても嬉しい。昨夏ここで釣り上げて放流したチビ山女魚が成長して再びお目に掛かった
のかもしれない。
安曇広域農道をルートにしたのにはもう一つの目論見があった。それは、北アルプスの山々を源流にした幾つかの
渓流をちょっと覗いてみることだった。北上する順に、烏川・中房川・乳川・穂高川、橋を渡るその都度車を止めて
川相を確かめてみた。例年より降雪量が少なかったせいもあり、雪代による増水や濁りがなくやや水量が少なかった
が、どの川も澄んだ水が滔々と流れていてきれいだった。山岳地帯の岩間を流れる急流と違い、田園地区を流れる
ゆったりとした川なのでやや渓相に乏しいのだが、この冷たい水にも岩魚や山女魚は生息している。これらの川での
渓流釣りは、またの機会に譲ろうと思った。
さて、姫川源流域での釣りは、白馬さのさかスキー場付近の源流湧水地から下流1㎞は禁漁区なので、神城内山橋下流
からとなる。セブンイレブン神城店で2日分の入漁券を購入し、レジのアルバイト女性店員に川の様子を聞いてみた
ら、案の定「そういうことはわかりません。」との返事、要らぬことを聞いてしまった。堀金道の駅で入手した昼食
を済ませてから約2時間程、田園を流れる小川での午後の釣りを楽しんだが、両岸の草も枯れているので歩きやすかっ
た。真夏の時期ならば、腰丈以上の夏草(ボサ)が一面生い茂っていてとても釣りずらいのだが、この時期はそんな心配
は無用だった。用意した毛鉤2種(浮かせ仕掛けと沈め仕掛け)を流してみてもなかなか反応がなく、エサのブドウ虫仕
掛けに代えたりしながら当りを探ってみた。
□「山女魚のホイル包み香草焼き」、腸を出し身をよく洗って水気を取ってから、身と腹に塩・胡椒を振り、腹には
香草を詰める。今回は地元産の山葵菜を使用。オリーブオイルを適量敷いた大きめのアルミホイルに乗せ、周りを
香草(今回は地元産やぐらネギ)で囲む。アルミホイルの上部を重ね両端をひねって包む。フライパンの上で中火10
分程蒸し焼きし出来上がり。山女魚の身のきめ細かさとオリーブオイル・香草の香ばしさを堪能できる逸品料理!!
本流に山からの細流が流れ込むポイントで毛鉤仕掛けを流すと、いきなり「ピシャッ!」と毛鉤が叩かれ、薄紅色も
鮮やかな体側をひるがえして、魚体が水中に消えた。これは居るぞ! と思い、エサのブドウ虫仕掛けに代えてもう一度
水中を流すと、ガツン! という当たりとともに、魚体が上流へ力強く走った。竿を立てて慎重に寄せ、ランディングネッ
トに取り込むと、それはパールマークも美しいネイティブな山女魚だった。体長20㎝強、私の手のスパン(親指と小指
の広げた長さ)が丁度20㎝だから、これをちょっと越えていたのでそれがわかった。獲物の撮影を頼むべく、そろそろ
スケッチも終わる頃合いの連れに連絡すると、車を移動して来てくれた。車が付いた途端、もう一匹の山女魚を釣
り上げたので、それで今夜のメインディッシュ材料が揃ってしまった。
□山女魚のホイル包み香草焼きの付け合わせは、やぐらネギとハムの炒め(サンチェに包んで)・茹でた独活と新鮮
トマト、ご飯はレンジで温める地元米のパック、チキンコンソメ出汁の野菜とキノコ溶き卵スープ、白ワインで
ゆっくりと美味しくいただいた。
急遽白馬に出かけようと決めた時に、まだ山には雪があるだろうし、気温も関東地区とは違い大分寒いだろうし、
こんな早い時期では渓流魚だって釣れないだろうし...と心配していた連れも、2匹の釣果ときれいな食べごろ
サイズの魚体にはびっくり。早速釣りを切り上げて、予約した今夜の宿に向かった。コンドミニアムは、大糸線
飯森駅と白馬駅の中間地点の148号道路(千石街道)沿いにあるのだが、チェックインは白馬大橋近くの基幹ホテル
でするよう案内されていた。ホテルで手続きを済ませ、頃合いの地元の食品スーパーを訪ねると、A-Coopハピア
というお店を紹介してくれた。そこは地元の農協が経営する総合食料品店だったので、買い物は便利だった。ステー
キ用の白馬牛や卵、豆腐やパン・イチゴ・ヨーグルトなどを買い込んで車に詰め込み、今夜の宿に入室した。
□2日目の夕食は、白馬牛の焼肉・木綿豆腐焼きに蕗味噌(私が釣りしている間に連れが土手で採取したもの)のせ、やぐら
ネギの塩コショウ炒めに野菜サラダ、茹で独活の葉と茹で山葵菜、温めパックご飯に豆腐とネギのお味噌汁。塩・白
胡椒・オリーブオイルに天然醸造しょう油と玄米味噌、マヨネーズに八幡屋の七味、黒酢と和風だしとチキンコンソメ
など、普段使っている調味料を持参したのが良かった。一番活躍したのは、連れが持参したT-Falのフライパン、焦げ
付かないので色々な調理が出来て大活躍だった。
コンドミニアムでは、部屋の鍵も玄関の鍵ポケット(電源スウィッチを兼ねる)に入れてあるので、チェックアウトも
電話連絡し鍵ポケットにカギを入れたままで退室できる。後は食事も就寝も自分たちのペースで出来るので、ゆっ
たりと過ごせるのが良かった。金額も安い分、ちょっと安普請でベットのスプリングがキーキー鳴ったりしたのは
気になったが、概ね快適だったので助かった。連れと分担して食事を作り、ワインをゆっくり飲みながらの食事は
楽しかった。食事つきのホテルや旅館では、品数や食事量が多いのが普通でつい食べ過ぎてしまうことが多い。最近
の旅行で食べ過ぎて体調を崩すことがままあったので、自分たちの腹加減で適量の食事を用意できるのはとても良かっ
た。姫川で釣り上げたヤマメ料理も美味で、ウン10年振りの渓流山女魚の味を満喫した。初日で旅の目的をほぼ達成
してしまったので、眠りも心地よかった。
□姫川源流域の、のどかな風景スケッチ。松本・安曇野・白馬と北上するにつれて、エドヒガンやコヒガンの桜も、
咲き終わり→満開→3分咲きと移り変わり、山里を彩っていた。Drawing by HI
咲き終わり→満開→3分咲きと移り変わり、山里を彩っていた。Drawing by HI
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