▢J-POPSのスタンダード曲『黄昏のビギン』、洒落た永六輔の歌詞と中村八大の素敵なメロディは、1959年唄:
水原弘でリリースされた。その後ちあきなおみのカバー・バージョンで再び注目され、多くのアーチストがカバー
する名曲となった。ボサノヴァの普遍の名曲『Chega de saudade』(想いあふれて、曲:トム・ジョビン / 唄:
ジョアン・ジルベルト)の誕生年と奇しくも同じなのが驚きだ。
ウクレレで弾き語りできるボサノヴァ曲(ポルトガル語)を載せようと思ったのだが、原語で歌える人はかなり制約さ
れるだろうから、多くの人が知っていて歌えるJ-POPSの名曲を取り上げてみた。今もなお輝きを失わないこの曲な
ら、タイトルのごとくリズムは「ビギン」( ♪ン チャーチャ ンチャンチャ ~~♪ )でも、「ルンバ」(チャン トルルン
チャ スチャチャカ)でも、要するに゛バタ臭い゛ラテンのリズムなら概ねOKだ。ただし、ここでは「ショーロ(Choro)」
のリズムでチャレンジしてみる。映画『黒いオルフェ』の主題歌「Manhã de Carnaval」のサントラ盤や、『Carinhoso』
(Pixinguinha作の名曲)に使われているリズムで、♪ ンチャーチヤ ンチャーチャ ~ ~ ♪ をゆったりと繰り返す。8ビートで
2拍目と6拍目のダウンストローク Ⅴ を強めに弾くとメリハリがついてよろしいと思う。
この曲のコード進行は「揺れ感」を重視し、和音を奏でながら自らオブリガードを入れてゆくようなアレンジにして
ある。たとえば、「♪雨に濡れてた たそがれの街♪」の箇所は、Cコードを弾きながら1弦で「♪ド・シ・ラ・シ♪」
とサブメロディを入れるのだが、コードとしては、「♪ C CM7 C6 CM7 ♪」となる。他にも 「♪Dm F Dm F♪」
はレ・ド・レ・ド と奏で、ウクレレを弾きながら楽器も歌っている(Grooveする!)ような気分で唄を盛り上げてゆく
構図となっているのだ。この歌はサビで転調するメロディラインなので、ウクレレの弾き語りとしては上級編になる
と思うが、テンションコードを駆使して微妙でやや複雑なコード表現をものにすれば、奏でる人も聴く人もとても
心地よい気分に浸れること請け合いだ。
さて、ウクレレ・ジャズ・ボッサの弾き語りで、『Autumn leaves』と『黄昏のビギン』を取りあげてみたが、和音
をどのように組み立ててコード進行を作るかはアレンジャーによってかなり違ってくる。イントロや間奏・エンディ
ングを加えれば、その人の音楽感や個性によって、随分と違った味付けになる。それは、素材を生かして調理する
料理人の腕と味付けにも似ているかもしれない。長年に亘って数多くの人たちに愛されているスタンダード曲を、
自分のレパートリーとして唄や楽器で表現するには、やはり゛あの人ならでは ! ゛と言われるようなサウンドを実現
したいものだ思う。今回、それをウクレレでやってみようとチャレンジしたが、この小楽器にあった曲をこれから
も手掛けてみたいと思う今日この頃であります。
【 「黄昏のビギン」ライブ動画のご案内 歌と演奏は Taka and Roco 】
2019年5月 白馬アコースティックにて収録
<この項終わり>
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