2020年6月29日月曜日

地産地消の幸を食す(北杜に遊ぶ その2)




貸別荘での夕食、すべて地元産の食材だ。甲州牛の薄切り肉を塩・コショウでさっと焼き、高原野菜(トマトとレタス)
を添える。泥つきネギをじっくり焼き、たけのこキャベツ(小振りの筍状キャベツ)は、塩・コショウしてオリーブオイル
で焼き白ワインで蒸す。勝沼甲州の辛口白ワインを飲みながら、お惣菜(道の駅はくしゅうで購入)の山芋キムチや野沢菜
漬けを合わせて食す。旨さこの上なし! 炊いた梨北米コシヒカリも、米粒が立っていてとても美味しかった。調味料は、
べて持参だ。Photo by Jovial TAKA



北杜にゆっくり滞在するのは初めてのことなので、2泊3日とはいえ地元の様子が良くわかるまでは、あまり細かい

ことは決めずに出かけた。新鮮で美味しそうな食材があれば入手し調理して食べるし、地元のお店で良さそうな

店ならばそこで食べてもいいし、観光スポットに寄るも良し、良さげな渓流があれば竿を出してみるも良し。一応

道具や調味料などは携えて行ったが、下調べの小旅行という趣きだった。しかし、結果としては予想以上に良い

所だというのが分かり、今後また出かける楽しみができた。その魅力の幾つかをここに載せてみようと思う。あく

まで個人的な見解であることをお断りしておくが。




宿の案内でもおすすめだった「ひまわり市場」(北杜市大泉谷戸)は、地元でも有名店で、多くの買い物客がやって
来る食品スーパーだ。ここへ行けば、地元産の食材(野菜・果物・お肉・卵・魚・お米やパン・酒類など)がほとんど
揃う。どれも取れたて新鮮で美味しい。朝食用に入手した「白川郷の平飼いたまご」・「干しブドウ入りパン」・
「大玉ブルーベリー」も美味しかった。これ以後の画像は、HPや食べログによるものです。




初日の夜に夕食に出かけた「ふらここ食堂」(北杜市大泉谷戸)、築160年の古民家を修繕して生まれたモダンな
イタリアン・レスランだ。その取り合わせも珍しいが、地元食材を取り入れたオリジナルなメニューはその日
だけのものもあり、料技がささえる創作料理の趣きを楽しめる。とても美味しい!



焼きたてピザは、地元野菜とゴルゴンゾーラ・チーズの組み合わせを選んだ。大きな取手つき木板に乗せてテーブ
ルに運ばれてくる(画像は食べログからのため別種)。なが~く延びるゴルゴンゾーラの味を、連れとともに楽しんだ。



パスタは地元野菜と実山椒のミートソース和え、爽やかでツンとくる緑の取れたて実山椒とミートソースの組み合わ
せは初体験。山椒大好きの私はう~むとうなり、おおいに感激した。(画像は食べログよりのため別種)





「農家直営の挽きたて・打ち立てのそば」を詠う『そば処いずみ』(北杜市大泉谷戸)、そば打ち体験(要予約)もできる。
八ヶ岳高原・美味しい水・蕎麦の名所となれば、まず蕎麦を食さねばなるまい。この日の昼食時は午後から小雨模様
やや寒かったので、暖かい「鴨汁そば」を選んだ。予想に違わず旨し! そばは雑味のないすっきりとした歯ごたえとのど
越し、鴨は程よく脂が乗っていてやわらかだった。(画像はHPより)




店のメニューより「鴨汁せいろそば」鉄鍋入りだ。



もうひとつ、「海老のせかき揚げそば」、次回食べてみたい。一品メニューで、「トリモツ」もおいしそう!




前述の「道の駅はくしゅう」でも、新鮮な地元産の食材を入手出来るが、各地の道の駅(場所にもよるが)では、おば

ちゃんたち手作りのお惣菜を置いているのが魅力だ。炊き込みご飯・お寿司(五目やお稲荷さん)・漬物・野菜とお肉

の炒め物など、館内の飲食スペースや持ち帰りで食べれるので、必ずと言っていいほど買うことにしている。田舎

料理でもあるのだが、これがなかなか美味しいのだ(画像はHPより)。




突きたてお餅のゴマ・黄な粉・小豆セット、甘味とコクがあり美味しかった。



炊き込みご飯や五目太巻きも揃っている



具入りの稲荷ずしは、次回のお楽しみに。





「甲斐大泉温泉パノラマの湯」は、甲斐大泉駅のすぐ南側にある宿泊施設と日帰り温泉施設を併設した温泉だ。
晴れた日には前に富士山、後ろに八ヶ岳を望める絶景のロケーションにある。泉質はやわらかく「美肌の湯」と
言われるそうな。入浴利用した日は小雨が散らつく生憎の曇り空で、富士山は雲の中に隠れたままだった。ぬる
湯にゆったりと入ったら、身体がポカポカと温まった。(画像は山梨ネットより)




さて、渓流釣りについてだが、今回は渓相の下見に徹した。南アルプスの甲斐駒ヶ岳(標高2,967m)や地藏ヶ岳

(2,764m)から東方に流れ出している釜無川支流群は、平野の面積が狭く山裾を駆け上がる様に急傾斜の森林が続い

ているので、険しい渓谷の中を水流が下っている。過去の水害の歴史から、各渓流とも河川工事によるコンクリー

ト護岸や堰堤が続き、渓流魚の生息環境はなかなか厳しいようだ。尾白川・大武川・石空川・小武川・黒沢川を一

通り見て廻ったが、水質こそきれいではあるが、堰堤と砂利と小石に埋まった渓相にはため息が出た。各川とも上

流地区に行くには、林道や狭い砂利道を通るので、オフロードカーや四輪軽トラなどでないといけない場所がほと

んどだ。2日目の朝、石空川(いしうろとかわ)下流で餌釣りを試みたが、当たりはなかった。




宿近くの飲食スポットを印にて載せた。今回まだ訪れて無いお店もあるので次回の楽しみとしたい。八ヶ岳の南麓
・高原丘陵地帯を流れ下る川は、灌漑用水・生活排水のために両岸の護岸提と続く堰堤で固められているので、漁協
よる放流も案内されているが下流域を除いて釣りは難しかろうと思われる。小渕沢から清里にかけて、甲六川・
女取川・古仙川・高川・鳩川・甲川(かぶとかわ)・西川・須玉川など、とにかく川が沢山ある(ふるさと情報館冊子より)。




帰る日の午前中に、瑞牆山(みずがきやま 2,230m)を源流とする塩川の上流域(みずがき湖の上)をさっと見て廻った。

本谷川(ほんたにかわ)と釜瀬川(かませがわ)だ。黒森地区上流域の釜瀬川と、増冨温泉上流域の本谷川は渓相も素晴

らしく、大石と渕・瀬が連続するいかにも゛渓流゛らしい様相なので、次回はここで釣りを楽しんでみたいと感じ

た。南アルプス東麓の渓流にはがっかりしたが、瑞牆山山麓の渓流には期待が持てそうだ。交通の便や駐車スペ

スの確保も良いので、釣り人が多く訪れる激戦区かもしれないが。これも次回の楽しみとしたい。


<この項続く>


2020年6月28日日曜日

八ヶ岳南麓湧水地を訪ねる(北杜に遊ぶ その1)




JR小海線伝いに、甲斐大泉から甲斐小泉を結び小淵沢に抜ける「いずみライン」(標高1,000~1,150m)の道路脇
森林の中(北杜市大泉谷戸)に、八ヶ岳の伏流水をこんこんと湧き出ずる『八右衛門門出口湧水(はちえもんでぐちゆうすい)』
がある。画面の左の小石の中からと、右の大木根元の石群の間から、絶え間なく湧き出す水は透明でとても冷たい(10℃
で入れている手がしびれて来る)。All Photo by Jovial TAKA



今年4月に予定していた北杜行きが、コロナ感染拡大自粛のために延び々々になっていたが、ようやく自粛が解除

され他県をまたぐ外出もOKとなったので早速出かけてみた。ここ4年間ほど信州白馬に出かけ、貸別荘に泊まり

ながら渓流釣りをしたり高原のトレッキングをしたり、また地元のライブハウスに出演したり音楽動画を録画した

りなどを楽しんできたが、何せ美味しい空気と水で育った高原野菜・お肉や卵・魚・ワインなどが殊の外美味しく、

貸別荘のキッチンで調理する楽しみも満喫してきた。その多くは、このブログで紹介してきたし、釣り動画や連れ

とデュオの音楽動画も、私のYouTubeサイト(takasantafe neo)に投稿してきたので、何時でも見て思い出すことが

出来る。



湧き出し口の水は勢いがある。観光化されていない小さな湧水なので、湧水量などの案内はなく、その代わりに
「八右衛門が山火事から助けた蛇の御礼にもらった楊枝を、土に挿したらそこから水が湧きだした」という言い伝
が、郷土史の案内板に記れていた。



湧水から南方に流れ下る水量はかなり多く、この丘陵地帯の田んぼの稲や畑の野菜類を育成する貴重な灌漑用水
なっている。私達がこの湧水を訪れていた時に、地元の方がポリタンクに湧水を溜めこみ、軽トラックで運んで
行くのに遭遇した。「とても美味い水だよ!」とのこと。



何度も楽しんできた白馬への小旅行は、ある程度あれやこれやが解ってきたし、今でも貸別荘へは行きたいとき

は何時でも行けるので、もう少し近場で楽しめないか? というテーマも出て来た。車で高速道路を使っても、白馬

へは片道3時間半ほどは掛かるし、近場旅行で1~2時間で行ければ、時間のゆとりも多くなるし疲れも少ない。清

地区へは何度か行っているが、北杜地区を少し探ってみたいと思った。コロナ感染対策と経済をまわす、を両立

するためにも、識者は海外からの旅行者を当てにせず、国内の近場への旅行を勧めているのも納得がいくものだ。

「北杜」という地名は、私の若い頃にはなかったものだが、調べてみたら平成16~18年にかけて、山梨県北巨摩

郡の8町村(明野村・須玉町・高根町・長坂町・大泉村・白州町・武川村・小淵沢町)が合併してできた新しい自治

体(市)なのがわかった。なるほど~!  山梨県北西部の八ヶ岳南麓の高原地帯、というロケーションになかなか魅力

を感じる。恐らく白馬と同様に、澄んだ空気と水で育った地元の食材も美味しいだろう。また、南アルプスの東

麓には、白州や武川に流れ出す釜無川-かまなしがわの支流(小武川-こむかわ・石空川-いしうろとがわ・尾白川-お

じらがわ)などの山岳渓流が多くあるし、釣りも楽しめるのでないか! などと皮算用もはじいてみた。




JR小海線・甲斐小泉駅のすぐ南側、整備された湧水公園の中に『三分一湧水』(さんぶいちゆうすい)がある。
湧水量1日8,500トン、水温は年間を通じて10℃前後(案内板より)。



勢いよく湧き出す八ヶ岳の伏流水は、周辺住民の上水道飲料水として、また高原の田畑を潤し農業の生計に欠か
せない貴重な水資源として利用されている。



「三分一湧水」の名前は、水資源を巡る周辺三農村の争いを収めるために、等分に゛三分の一゛づつ水利用を計
たことに由来している。その様な先達の知恵は、代々水元として坂本家に受け継がれ、26代当主静子さんの市
土地移譲(平成14年)により、湧水公園として整備され現在一般公開されている(同案内板)。升形の湧水溜めから三方
向に流れす水と、中心の三角形黒石が、水資源利用のコンセプトとして見事にデザイン化されているのに感心!





今回見て廻ったのは、宿となった貸別荘(八ヶ岳森林の家 標高1,000m位)近くの三つの湧水だった。JR小海線甲斐

大泉駅近くの、いずみラインにと交差する井富湖(いふこ)カラマツ通り脇には『井富湧水』があるのだが、溜め池

となっている「井富湖」に流れ込み、周りがネットフェンスで囲まれているため、しかと見られなかった。

上述の二湧水を見られただけでも大いに満足したのだが、八ヶ岳南麓にはまだ多くの湧水があるとのこと。女取

川(めとりがわ/南麓丘陵地帯を流れ下り大深沢川と合流し釜無川に注ぐ)の源流とされている『女取湧水』は、甲斐

小泉駅北方の古仙川(こせんかわ)近くの森林の中にある。また、その東方に流れる高川(こうかわ)の東側には、鳩川

湧水(はとかわゆうすい)があるというが、グーグルマップにも載っていないので、現地で聞いて調べてみるしかない

。小淵沢駅の東南方向には、大滝神社の境内に『大瀧湧水(おおたきゆうすい)』があり、豊富な湧水量で知られて

いる。





宿泊先近辺のマップ、湧水地は ⛲ 水色マークにて表示。その2で載せる「北杜の幸を食す」は にて表示。
八ヶ岳南麓マップ(ふるさと情報館八ヶ岳事務所制作・発行の一部)より



八ヶ岳に積もった雪や降った雨が、数十年かけて伏流水となり、麓の各所で清冽な湧水となって湧き出し、いく

つもの川やそれらを溜めた灌漑用水池となり、高原の田畑を潤しているのを真直に見ると、自然の恵みを大い

感じざるを得ない。ちなみに宿の飲み水も、地下の井戸から湧き出しているものだとのこと。やわらかでとて

美味しい水だった。高原の空気は爽やかだし、標高1,000mの気温は私の暮らす東京郊外とは4~5℃の違いがある。

梅雨の合間なので2日目の午後は一雨あったが、天気にも恵まれとても快適だった。




今回寄った「道の駅はくしゅう」でも、敷地内に湧水を飲んだりペットボトルに入れて持ち帰りできる『はくしゅう
の名水』が湧きだしていた。旧甲州街道沿いの台ヶ原宿周辺には、『弁財天の湧水』(銘酒「七賢」で知られる山梨
銘醸の敷地内に湧き出て、仕込み水にも使われている甲斐駒ケ岳伏流水)や、『台ヶ原宿の湧水』などがある。三湧水
ともに、日本の名水百選(白州尾白川系)に選ばれているというから、次回また寄ってみたい。八ヶ岳南麓マップ(同じ)より


<この項つづく>