2020年6月28日日曜日

八ヶ岳南麓湧水地を訪ねる(北杜に遊ぶ その1)




JR小海線伝いに、甲斐大泉から甲斐小泉を結び小淵沢に抜ける「いずみライン」(標高1,000~1,150m)の道路脇
森林の中(北杜市大泉谷戸)に、八ヶ岳の伏流水をこんこんと湧き出ずる『八右衛門門出口湧水(はちえもんでぐちゆうすい)』
がある。画面の左の小石の中からと、右の大木根元の石群の間から、絶え間なく湧き出す水は透明でとても冷たい(10℃
で入れている手がしびれて来る)。All Photo by Jovial TAKA



今年4月に予定していた北杜行きが、コロナ感染拡大自粛のために延び々々になっていたが、ようやく自粛が解除

され他県をまたぐ外出もOKとなったので早速出かけてみた。ここ4年間ほど信州白馬に出かけ、貸別荘に泊まり

ながら渓流釣りをしたり高原のトレッキングをしたり、また地元のライブハウスに出演したり音楽動画を録画した

りなどを楽しんできたが、何せ美味しい空気と水で育った高原野菜・お肉や卵・魚・ワインなどが殊の外美味しく、

貸別荘のキッチンで調理する楽しみも満喫してきた。その多くは、このブログで紹介してきたし、釣り動画や連れ

とデュオの音楽動画も、私のYouTubeサイト(takasantafe neo)に投稿してきたので、何時でも見て思い出すことが

出来る。



湧き出し口の水は勢いがある。観光化されていない小さな湧水なので、湧水量などの案内はなく、その代わりに
「八右衛門が山火事から助けた蛇の御礼にもらった楊枝を、土に挿したらそこから水が湧きだした」という言い伝
が、郷土史の案内板に記れていた。



湧水から南方に流れ下る水量はかなり多く、この丘陵地帯の田んぼの稲や畑の野菜類を育成する貴重な灌漑用水
なっている。私達がこの湧水を訪れていた時に、地元の方がポリタンクに湧水を溜めこみ、軽トラックで運んで
行くのに遭遇した。「とても美味い水だよ!」とのこと。



何度も楽しんできた白馬への小旅行は、ある程度あれやこれやが解ってきたし、今でも貸別荘へは行きたいとき

は何時でも行けるので、もう少し近場で楽しめないか? というテーマも出て来た。車で高速道路を使っても、白馬

へは片道3時間半ほどは掛かるし、近場旅行で1~2時間で行ければ、時間のゆとりも多くなるし疲れも少ない。清

地区へは何度か行っているが、北杜地区を少し探ってみたいと思った。コロナ感染対策と経済をまわす、を両立

するためにも、識者は海外からの旅行者を当てにせず、国内の近場への旅行を勧めているのも納得がいくものだ。

「北杜」という地名は、私の若い頃にはなかったものだが、調べてみたら平成16~18年にかけて、山梨県北巨摩

郡の8町村(明野村・須玉町・高根町・長坂町・大泉村・白州町・武川村・小淵沢町)が合併してできた新しい自治

体(市)なのがわかった。なるほど~!  山梨県北西部の八ヶ岳南麓の高原地帯、というロケーションになかなか魅力

を感じる。恐らく白馬と同様に、澄んだ空気と水で育った地元の食材も美味しいだろう。また、南アルプスの東

麓には、白州や武川に流れ出す釜無川-かまなしがわの支流(小武川-こむかわ・石空川-いしうろとがわ・尾白川-お

じらがわ)などの山岳渓流が多くあるし、釣りも楽しめるのでないか! などと皮算用もはじいてみた。




JR小海線・甲斐小泉駅のすぐ南側、整備された湧水公園の中に『三分一湧水』(さんぶいちゆうすい)がある。
湧水量1日8,500トン、水温は年間を通じて10℃前後(案内板より)。



勢いよく湧き出す八ヶ岳の伏流水は、周辺住民の上水道飲料水として、また高原の田畑を潤し農業の生計に欠か
せない貴重な水資源として利用されている。



「三分一湧水」の名前は、水資源を巡る周辺三農村の争いを収めるために、等分に゛三分の一゛づつ水利用を計
たことに由来している。その様な先達の知恵は、代々水元として坂本家に受け継がれ、26代当主静子さんの市
土地移譲(平成14年)により、湧水公園として整備され現在一般公開されている(同案内板)。升形の湧水溜めから三方
向に流れす水と、中心の三角形黒石が、水資源利用のコンセプトとして見事にデザイン化されているのに感心!





今回見て廻ったのは、宿となった貸別荘(八ヶ岳森林の家 標高1,000m位)近くの三つの湧水だった。JR小海線甲斐

大泉駅近くの、いずみラインにと交差する井富湖(いふこ)カラマツ通り脇には『井富湧水』があるのだが、溜め池

となっている「井富湖」に流れ込み、周りがネットフェンスで囲まれているため、しかと見られなかった。

上述の二湧水を見られただけでも大いに満足したのだが、八ヶ岳南麓にはまだ多くの湧水があるとのこと。女取

川(めとりがわ/南麓丘陵地帯を流れ下り大深沢川と合流し釜無川に注ぐ)の源流とされている『女取湧水』は、甲斐

小泉駅北方の古仙川(こせんかわ)近くの森林の中にある。また、その東方に流れる高川(こうかわ)の東側には、鳩川

湧水(はとかわゆうすい)があるというが、グーグルマップにも載っていないので、現地で聞いて調べてみるしかない

。小淵沢駅の東南方向には、大滝神社の境内に『大瀧湧水(おおたきゆうすい)』があり、豊富な湧水量で知られて

いる。





宿泊先近辺のマップ、湧水地は ⛲ 水色マークにて表示。その2で載せる「北杜の幸を食す」は にて表示。
八ヶ岳南麓マップ(ふるさと情報館八ヶ岳事務所制作・発行の一部)より



八ヶ岳に積もった雪や降った雨が、数十年かけて伏流水となり、麓の各所で清冽な湧水となって湧き出し、いく

つもの川やそれらを溜めた灌漑用水池となり、高原の田畑を潤しているのを真直に見ると、自然の恵みを大い

感じざるを得ない。ちなみに宿の飲み水も、地下の井戸から湧き出しているものだとのこと。やわらかでとて

美味しい水だった。高原の空気は爽やかだし、標高1,000mの気温は私の暮らす東京郊外とは4~5℃の違いがある。

梅雨の合間なので2日目の午後は一雨あったが、天気にも恵まれとても快適だった。




今回寄った「道の駅はくしゅう」でも、敷地内に湧水を飲んだりペットボトルに入れて持ち帰りできる『はくしゅう
の名水』が湧きだしていた。旧甲州街道沿いの台ヶ原宿周辺には、『弁財天の湧水』(銘酒「七賢」で知られる山梨
銘醸の敷地内に湧き出て、仕込み水にも使われている甲斐駒ケ岳伏流水)や、『台ヶ原宿の湧水』などがある。三湧水
ともに、日本の名水百選(白州尾白川系)に選ばれているというから、次回また寄ってみたい。八ヶ岳南麓マップ(同じ)より


<この項つづく>


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