2021年12月30日木曜日

女子シングルとアイスダンスは、実力が伯仲していた(全日本F.スケート選手権より)





ノーミスの高度な演技で優勝を勝ち取った坂本花織(金メダル)、230点台の高得点はロシア女子選手達とも十分に
戦える。好調を維持して五輪と世界選手権に臨んでほしい。画像はフジテレビと各スポーツ紙より。


右距骨疲労骨折の回復が見込めず、紀平梨花(日.19歳)は本大会を欠場し、北京5輪への出場もかなわなかった。圧倒

的な実力で女子フィギュア世界を席巻するロシア少女達(あまりの強さに゛絶望の壁゛というコメントもメディアには

ある!)と互角に戦える日本のカードは無くなってしまった。しかし、ヨーロッパ・アメリカ勢と共に、日本女子陣にも

その一角を切り崩す活躍が望まれるのだが...

坂本花織(日.21歳 優勝)は今シーズンの勢いをそのまま今大会に繋げ、表彰台のトップに上った。GP.スケートアメリカ

4位(総合得点215.93)・NHK杯優勝(223.34)・全日本選手権優勝(234.06)の成績は、上り調子の充実ぶりを見せてくれ

た。FS(フリースタイル)7本のジャンプがすべてノーミスで、特に3F+3Tの出来が素晴らしかった。最近のテレ

ビ解説ではジャンプの飛距離・高さ・スピードも見られるので、彼女のダイナミックで質の高いレベル(GOE:出来栄え

点のとれる)のジャンプを確認できる。高度な技術による4回転ジャンプのメリット(高得点が取れる)とデメリット(失敗

すれば大減点!)を考えれば、自己の持つ3回転ジャンプを徹底的に磨きハイグレードにすることも、一方で戦略的なア

プローチと言える。E.トゥクタミシェワ(ロ.25歳)は、3Aと磨かれた3回転ジャンプを武器に、ベテラン選手ながら

なお現役で、10代少女選手達と第一線で互角に勝負しているのを見ると、高度なジャンプを跳びはしたものの10代

終わりには第一線から消えて行ってしまうロシア女子選手達と、いったいどちらが幸せなのかを考えざるを得ない。

坂本選手には、ぜひ現役選手として長くフィギュア会を牽引していってほしいと思う。5輪と世界選手権での活躍を

期待したい。




悲願達成! 自身で納得のいく演技を表現できて歓喜に極まった樋口新葉、4年間の切磋琢磨を振り返り、試合後の
インタビューで負傷欠場の紀平梨花に「またチャンスはあるから!」と激励の言葉をかけたのがとても印象的だった。
苦節を経ての喜びは、観客を感動させた


「悲願!」という言葉が、今大会の樋口新葉(日.20歳 2位)には似合う。4年前の全日本選手権で右足故障のため4位

に沈み、平昌5輪への出場を果たせず号泣きした彼女が、試合後には喜びを爆発させて涙を溢れさせた。SP・FS

も安定した演技、特にFSでは7本中2本のジャンプに小さなミスがあったものの、すべてクリアに跳んだ。武器と

なっている3Aもほぼ完成してきたので、これからの活躍が大いに望まれる。体型的には筋肉質なタイプなので、FS

のテーマ曲「ライオンキング」のような、ダイナミックでリズムカルな曲が合っているように思う。スピード感あ

ふれるジャンプは彼女の魅力だ。




河辺愛菜、17歳ながらジュニアチャンピオンを得てシニアに上がってきた実力派。今後の成長に期待大。



河辺愛菜(日.17歳 3位)は、すい星のごとくトップグループに入ってきた現役高校生だ。5歳からF.スケートを始め、紀平

梨花を育てた濱田美栄コーチに指導を受け、3Aを習得した。2019年の全日本F.スケートジュニア選手権で優勝してい

るから、実力はしっかりと備えている。今大会でも3Aをきれいに決め、他のジャンプも出来栄え点で少しマイナスが

あるものの、全部クリアに跳んでいる。今後、ジャンプの質を磨き、表現力をしっかり身に着けていけば、日本女子

選手のトップを狙える位置にいる。まだ若いのでその将来性を買われ、5輪と世界選手権への出場権を得た。まさに、

シンデレラ・ガールだ。

さて、難病と体調不良を克服してカムバックしてきた三原舞依(日.22歳 4位)と、ベテラン宮原知子(日.23歳 5位)はと

もに、ジャンプにミスが出て表彰台には上れなかった。河辺・三原・宮原の得点は209.65~206.61の3点差の中だ。

いかに実力が伯仲していたかがわかる



 三原舞依のFSジャンプで、2Aコンビが1Aとなり、このミスが最後まで尾を引いて得点が伸びなかった。まさに
痛恨のミスだった。2A+3Tのコンビネーションを決めていたら(たら、の話だが)、5輪と世界選手権出場の切符
は得られたに違いない。ジャンプの質と正確さには定評がある。再チャレンジを期待したい。



ワリエワはどこまで行くのだろうか? 男子選手並みのスコアは何時まで可能なのだろうか?



最強ロシア勢の今季国際大会でのスコアは極めて高い。C.ワリエワ(ロ.15歳)は、スケートカナダ(優勝 265.08)・ロシ

ア杯(優勝 272.72)と驚異的。A.トゥルソ(ロ.17歳)は、スケートアメリカ(優勝 232.37)。A.シェルパコワ(ロ.17歳)は、

フランス杯(優勝 229.69)・イタリア大会(優勝 236.78)。ベテランE.トゥクタミシェワ(ロ.25歳)は、スケートカナダ

(2位 232.88)・ロシア杯(2位 229.23)と気を吐いている。昨シーズン好調だったA.コストロナイア(ロ.18歳)は、スケ

ートカナダ・フランス杯(221.85)ともに2位、最近の右手指2本骨折のためロシア選手権欠場、5輪・世界選手権出

場は無くなった。両試合とも230点を超える戦いになるだろう。坂本花織が全日本選手権の好成績を再現できれば、表

彰台の一角を得られる可能性はある。それにしても激戦区の試合となるだろう。なんとかロシア勢に一矢を報いたい

ものだ



「かなだい」コンビの村元哉中・高橋大輔は、アイスダンスで首位(得点178.17)と僅差の2位(176.31)となった。
コンビ結成2年目でこの急成長、5輪元メダリストの実力(高橋)は今でも健在だ。2人の息の合った楽しいダンス
を見るのも、観客にとってとても嬉しいこと。フィギュアスケートのマイナージャンルに新風と観客動員を果た
した役割は大きい。もうしばらく続けてほしいものだ。



全日本選手権4連覇の小松原美里・尊(たける)組、安定した演技で「かなだい」コンビを退け五輪・世界選手権
出場(日本枠は1組)を勝ち取った。試合内容とスコアは、どちらが勝ってもおかしくないほど伯仲していた。


<この項終わり>



コロナ禍による行動制限と新たな変異種の感染拡大に不安を余儀なくされたこの2年間、今年もその影響は収まら

ずに、゛集えず、動けず゛の一年でありました。幸いなことに私の周囲ではコロナの被害に逢った方はなく、平穏な

日々でした。このサイトを訪問頂いている皆様にとっても、来る年は健康で平和な毎日が過ごせることをお祈りして、

一年の締めといたします。ご愛読をありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。  ジョビアゥ・タカ




2021年12月29日水曜日

全日本選手権は、゛ハラハラ ドキドキ゛だった。(男子シングル)



戦うサムライのような緊迫の演技を終えて、天に向かって両手を突き上げる羽生結弦(日.27歳 優勝)、4A(クワッド
アクセル)は成功しなかったが、新次元への飽くなき挑戦を見せてくれた。画像はフジテレビと各スポーツ紙より。

2021年12月6日月曜日

火曜会(かようかい)、久しぶりの音楽三昧 !

 


ほぼ2年ぶりに集まった火曜会の面々、店主の心づくしの料理とお酒に大いに盛り上がった。
All Photo by Jovial TAKA



南アフリカから感染が広まった(と報道されている)「オミクロン株」が、あっという間に世界中に広がっており、日本

でも感染の拡大が警戒されているが、コロナウィルスの感染状況は日本では今のところ落ち着いている。先月(11月)の

下旬、椿珈琲店の店主茂子さんから連絡があり、久しぶりに「火曜会」をやりましょうといううれしい便りがあった。

メンバーに連絡したところ、予定している全員が参加 ! ということで、当日私も出かけてみた。ただし、ワクチン2回

接種ないし、陰性証明のある方の参加・大声を出さずに静かにお酒を飲むこと・午後3時半~7時までの時間厳守・

換気のため窓は開ける、という感染防止対策徹底を託宣された。




ペット吹きのサイトウさんも、久しぶりの歌と演奏で弾けました。



面々の歌と演奏は、演歌など昭和歌謡あり、ニューミュージックやPOPSあり、ジャズナンバーあり、オリジナル曲

あり... という具合で、午後から始まってあっという間に夜の7時になってしまった。メンバーからの差し入れお酒を

飲みつつ、茂子さんの料理をいただいて、皆でわいわい言いながら歌い・演奏する楽しさを存分に味わった。まだ、

ライブ活動をしているメンバーもいる(ダイスケやウッチー)が、コロナ状況の折なかなか大変であることには変わりな

い。ひと時集って皆と共に私も歌い・ギター伴奏しとても楽しんだが、今後またいつできるかは定かではない。願う

ならばコロナがすっかり落ち着いて、時折また集ってともに音楽を楽しみたいものだと思う。それが何時になるかは、

誰にもわからないのだ。




ドラマーのキリさんはメロディオンもこなす。ヤタベさんの十八番はビートルズナンバー。




一時病気入院していた茂子さんも、すっかり回復、髪も短くしてスッキリ。いろいろとお世話様でした。
またできるといいですね。





2021年11月23日火曜日

紅葉・温泉・会席膳を楽しむ ( 晩秋の甲斐路旅 )



河口湖の北側湖畔には、鮮やかに色づいた紅葉が沢山植えられていて、西湖・精進湖につながる街道沿いにも数々の
紅葉スポットがあった。あまり知られていない紅葉スポットを見つけられたのは幸運だった。富士山は、山梨県側
から眺めるのが一番稜線の美しさを楽しめる。Photo by h.k.


今年の秋も深まってきましたが、コロナ感染が落ち着いてきていることから、「ちょっと旅行に出かけたいね!」と

いう方々も多いことと拝察しますが、かく言う私も「やはり、きれいな紅葉を見て、温泉にゆっくり浸かって、何か

美味しいものを食べたいね!」という辺り、皆様と何ら変わらぬ嗜好であります。ということで、今年の春先に出かけ

てとても印象が良かった宿(湯めぐり宿笛吹川)を予約して出かけてみた。例によって天候の良いのを確認してからの平

日旅なので、宿OK・天候問題なしの近場旅となった。今年に入ってからも山梨県(北杜・野辺山・笛吹・勝沼+南佐久

など)にはよく出かけていて、数えてみたら6回もの小旅行を楽しんでいる。連れと二人で「私たち、かなり不良だ

ね!」と笑いあった。




昇仙峡の荒川沿いの遊歩道の一角、有明橋近辺が今回一番の紅葉スポットだった。鮮やかに色付いた紅葉の葉には、
緑残り・黄色・紅のグラデーションが秋の陽射しに映えていた。目の保養とはこのことだろう。
以下、All Photo by Jovial TAKA



今回は少しコースを変えて、中央道の大月から山梨南端の河口湖に廻り、湖畔の紅葉を見ながら精進湖(しょうじこ) 

→ 芦川渓谷を経て甲府盆地に入り、そのまま市内から石和温泉の宿に入るというものだった。河口湖湖畔の紅葉

スポットは、平日とはいえ人出も多かったが、西湖を通って精進湖に抜ける街道は紅葉が沢山見られて、なかなか

いい景色だった。一方、山を下る途中の芦川渓谷はこれと言って見られる物もなく、早々に盆地に入った。石和温泉

駅でお土産(゛巨峰サンド゛なる洋菓子や煎餅の゛千両餅゛)をゲットしてから宿に向かい、早めのチェックインとな

った。

翌日は、紅葉の名所と言われる゛昇仙峡゛を見てみようと繰り出した。着いてから解ったことなのだが、丁度1週間

前が紅葉のピークだったらしく、色が褪せたり葉が落ちたりしている紅葉もあったが、そこここに素晴らしい紅葉が

残っていてその美しさを堪能した。トップシーズンや週末は交通規制(通行止めや一方通行など)がされているので、

渓流荒川を見下ろす渓谷の道は、歩いて紅葉狩りをする人が多かったが、当方は1通の細道をゆっくり車で移動しな

がら、時折車を止めての紅葉観賞だった。トップシーズンには見物客が押し寄せるので、いい日取りとウォーキング

がよろしいのではと思われた。




渓谷の流水と紅葉のコントラストも各所で見られた。




 同じ有明橋辺りでの、紅に染まったモミジ。秋の木漏れ日で見るのも一味違う景色だ。



宿の温泉は、源泉かけ流しの大風呂(男・女とも露天風呂付)と、貸し切り小露天風呂3つが売りだったが、今年の春

新たに2つの貸し切り内風呂も加わって、7つの温泉を楽しめるというから楽しみにしていた。平日でお客もやや

少ないのが幸いして、一人で貸切風呂にゆったり浸かれるのはとても贅沢なことだった。湯質も単純アルカリ性の

なめらかなもので、湯上り後もぽかぽかと身体が温まっているのは、なかなか気持ちよかった。宿の女将も3月に

一度来ているのを覚えていてくれて、とても愛想が良かった。従業員の方たちのサービスも行き届いていて、何より

も部屋(客室やトイレ・洗面所など)が清潔で、和風の調度が洗練されている(材質・色合いや柄など)のが心地よかっ

た。浴衣やタオルなどにもそれが感じられ、なかなか万事行き届いた宿であることを感じさせてくれた。



宿の貸切風呂「燈籠の湯」、黒色陶器製の落ち着いた雰囲気。椅子や箱庭も季節の景色を楽しめる仕立てだ。画像は
宿のHPより


同じく、「色彩の湯」はひのきの浴槽(画像は新装当時のもので現在はやや色が落ち着いている)、とにかく湯量

豊富な源泉かけ流しなので、ザブンっと入れるのはいい。



さて、お目当ての夕食だが、今回は「霜月の会席膳」(料理長碓井氏あつらえ)なる和食で、連れは゛キスヴィン ブラン゛

のワインを、私は゛笛吹川゛本醸造本生の冷酒を飲みながらのゆったりとした食事となった。下にお品書きを載せ

ておくが、前回の「弥生の会席膳」と重なるものは「強肴」(しいざかな:メインディッシュのこと)のみであり、他7

品はすべて地産の食材を仕立てたこの季節ならではの逸品だった。これには、リピーターとしての喜びは大だった。

一品ごとの量は僅かなものの、素材・゛生 / 焼く /煮る゛の調理と味付け ・様々な器のあしらえなど、和食の粋を

尽くした料理長のこしらえは一級品だと感じた。連れは、最近の京都旅行で有名な会席料理店(かなり高価)で食べ

た内容よりも、味・価格(コスパ良し)・盛り付けともにこちらが上と言って感激していた。一品ごとにカメラ撮影を

した画像を、編集ソフトでコラージュしてみたが、器や盛り付けを愛でる楽しさが映し出されている(と私は思うの

だ)。合わせたお酒もすっきりとして美味しく、料理とお酒の゛マリアージュ゛が堪能できた。







「霜月の会席膳」では、甲州八寸(右上)・椀物(右下)・御造り(左下)・焼物(左上)の順にまず卓上にサービスされた。
案内係の料理紹介も丁寧に過ぎずまたわかりやすくて良かった。詳しくは上のお品書き一覧をご覧あれ! (あまりに
食材が多くてとても書ききれないので)



次には、蓋物(左上)・強肴(この下部)・お食事/止椀/香の物(下)・本日のデザート(右上)と、全十品のお膳だった。



甲州和牛とワイン牛2種のローストビーフは、旨いことこの上なし。



翌朝の食事は、ほぼ前回と同じメニューだったが、ご飯をお替りしてしっかり食べ昼食がほとんどいらなかったほど

だ。今回の小旅行では、河口湖湖畔の紅葉スポットを新たに発見できたし、最盛期は過ぎてはいたが、昇仙峡の素晴

らしい紅葉景色を味わえたし、ゆったりと温泉に浸かり美味しい料理を食べられたので、とても゛満足、満足゛の旅

となった。今後しばらくは降雪と氷結のシーズンとなるので、車での遠出は控えねばならないが、ここ3年程の近場

旅でいろいろな魅力あるスポットを体験できたので、また次のシーズンの楽しみにしたいと思う。コロナの感染状況

が大いに改善されることを願うばかりだ。




朝食も美味しかったので、なぜかしっかり食べてしまった。昨夜の会席膳は各品々が少量づつだったので、お腹には
ちょうど良かったのだが...要注意であります!




2021年11月18日木曜日

テンカラ 再び 事始め

 


再びのテンカラ釣り準備色々。竿(ロッド)はつるや〇製 毛鉤硅竹三.三(手前)、ライン・ハリ素・毛鉤をつけた仕掛け
2巻き(中段真中)、ミシン糸各種(遊び友のミシン材料から不用のものをゲット!)、羽各種(クジャク・オン鶏・メス雉
の尾羽ー上段)、毛鉤手巻きキット(バイス・ハサミ・接着剤・羽根・針などをコンパクトに入れて、持ち運びできる
箱入りキットーRestaffine Products製)、残っていた雉の剣羽・白色茶色の雄鶏羽はまだ使えるのが嬉しい。
All Photo by Jovial TAKA



渓流釣り(対象魚はイワナ・ヤマメ・ニジマスなど)は、今オフシーズンだ。例年10月から翌年の3月(県や漁協に

よっては2月中旬)まで、繁殖保護のため各地の渓流は禁漁となる。管理釣り場(釣り堀やフィッシング・センター)や、

河川一部のC&R(キャッチ アンド リリース区間)は通年営業となるが、冬季は水温も下がり魚の活性も落ちてしまうの

で、大方の釣り人は春の解禁を待ちながら、オフシーズンを過ごすこととなる。ここ2年間はコロナ感染の影響で、

県境をまたぐ移動や人との接触を避ける行動を余儀なくされて、満足のいく釣行ができなかった方々も多いと思う

が、かくいう私も渓流釣りを楽しむ機会がかなり減ってしまった。コロナの感染状況は昨今急激に収まってはいる

が、今後来年にかけて再びの感染拡大(第6波)があり得るかも知れないし、ワクチンや治療薬のおかげで大したこと

にはならないかもしれないし、そこんところは誰にもわからない。しかしこの冬場を、釣り人は水辺で過ごす至福

の時間をイメージしながら、次のシーズン到来を待つのだ。




昔巻いた毛鉤(左ケース上)は、針の大きさの割には胴や羽部がやや小さくバランスがいまいちだ。市販の毛鉤(ケース下)
を使った流し釣りでは、尺ヤマメやニジマスを釣り上げた実績もある。新しく巻いた毛鉤(コルク刺し)は、なんとなく
餌の虫らしく見えるのは、ちょっとひいき目か?



近所の多摩川での毛鉤流し釣り(オイカワ・ウグイ・アユなど)や、北アルプス山麓の渓流(姫川と安曇野の犀川支流)

での餌釣り・毛鉤釣り(イワナ・ヤマメ・ニジマス)、また神奈川県中津川でのヤマメ釣りや、山梨県北杜地区渓流で

の餌釣り・毛鉤釣り(ヤマメ・イワナ)など、ここ9年間ほど色々な釣りを楽しんできた。流水の中に立ちこんだり、

ごつごつ岩を乗り越えながら遡っていく渓流釣りには、体力もいるし身の危険も伴う。今後どんな釣りをやってい

こうかと考えた時、やはり一番シンプルな釣りに戻ろうかと思い至った。それは、竿と仕掛け糸と毛鉤だけで構成

されるテンカラ釣りだ。山間地区の貴重なタンパク源や、温泉宿の料理メニューとして、日本古来の職漁師がイワナ

やヤマメを釣るために考案し駆使してきた釣り方法だ。

しかし昨今、このテンカラ釣りが食糧確保ではなく、ゲーム・フィッシングとして渓流釣りファンの中で静かなブー

ムになっているのには驚いている。餌釣りやフライ・ルアー釣り師たちも、テンカラ釣りを併せて楽しむ人が増えて

いるのだ。これには、PCやスマホによるインターネット動画の普及も大いに影響があり、数多くのテンカラ釣りの

動画や映像を見られるのは喜ばしいことだ。私自身もテンカラの匠・石垣尚男氏や、源流居酒屋よーこ女子の山岳

渓流テンカラ釣りの動画を興味深く見たりしている。巨石などない穏やかな流れの河川で発達した欧米のフライ・

フィッシングでは、マス族の捕食する水中昆虫や羽化する成虫の生態研究から、数多くの毛鉤パターン(色や形・

素材)が考案され、実際に販売されたり釣り人自身が毛鉤を作ったりしている。それに比して、岩や石の多い急流

の中で淵や瀬が連続する日本の山岳渓流では、フライの様に長いラインは不要で、短めの竿にラインを結びその先

に毛鉤をつけて魚の居るポイントに落とす方が地の利にあっていると思う。




12サイズのバーブレスフック(返しなし)に巻いた自作の毛鉤6本、右から順に①黒ミシン糸の胴と茶の雄鶏羽 ➁クリーム
ミシン糸胴と白の雄鶏羽 ➂クリームミシン糸胴と雌雉(ヘンフェザント)の尾羽 ④薄茶ミシン糸頭に孔雀羽の胴・こげ茶の
雄鶏羽 ➄クリームミシン糸の頭に灰色雄鶏羽胴・雌雉の尾羽 ➅黒ミシン糸胴と黒茶の雄鶏羽。同サイズの針(#12)を使って
いるが、右2本は、小さめの#14サイズとして使う予定。



思い起こしてみれば、40年以上も前に渓流釣りにのめり込んでいた時に、私自身もテンカラ釣りを試みたことがあっ

た。当時京橋にあったつるや釣具店にしげしげと通い、渓流釣りの和竿を入手したり、ついでにテンカラ竿や毛鉤

キット・毛鉤材料を買い求めていた。雉(キジ)の剣羽・鶏の羽・クジャクの羽で毛鉤を作り、撚糸(テーパー)ライン

も作って渓流に繰り出したのだった。多くは餌釣りの合間にちょっと試してみるというレベルだったが、たまに釣

れるもののやはり餌釣りの釣果にはかなわないので、いつの間にか竿も毛鉤も使わずじまいになっていた。今、当時

の毛鉤制作キットや巻いた毛鉤を取り出してみると、キットも材料もまだ充分に使えるし、このオフシーズンにま

た何本かの新しい毛鉤を作ってみたくなった。

テンカラの匠・石垣氏(大学教授にして医学博士、専門のスポーツと視力の研究から、科学的にテンカラを解説した

著書も多い)によると、魚の視力は0.1程度でほとんどピンボケであり、水中のエサもぼんやりと見えているに過ぎ

ない。だから、餌と思しきものをとりあえず口にくわえ、違ったら吐き出すし、色彩も(白黒の明暗を除き)ほとんど

識別できない、とのこと。「つまり、渓流魚は毛鉤をセレクトしないという発想のテンカラは合理的である。」(『超明

快 レベルラインテンカラ』つり人社)、このコンセプトは驚きであると同時に゛眼からうろこ゛でもあった。つまり、

下手くそ・いい加減な造りの毛鉤でも、季節や時間帯・淵や瀬のポイントを的確に選べば、毛鉤の出来のいい悪い(?!)

は釣果と関係ないということになる。ふたたびテンカラを始めようという私にとっては大いに励みになるし、とても

気が楽になる言葉だった。



「超明快 レベルラインテンカラ」石垣尚男著・つり人者 2011年刊、テンカラの基礎から応用まで、テンカラ歴35年
の著者がわかりやすく解説した好著。今回大いに参考になった。


というわけで、このオフシーズンはいくつかの毛鉤を新しく巻き、ラインと竿のバランスを整えて、近くの野川で

キャスティングの練習などをしてみようかと目論んでいる。やはり、澄んだ流水と渕・瀬が続く山岳渓流で遊ぶに

は、北杜市の本谷川・南佐久の金峰山川・梓川辺りがいいなぁ、などと来シーズンの釣行予定に思いを馳せている

のだ。


2021年10月11日月曜日

八ヶ岳南麓の楽しみ☆地産地消の食と清春芸術村

 


高原の朝は爽やかだ。今年5月に来たときは、コテージ横の野菜畑には何も植えられていなかったが、実りの秋に
トウモロコシ・サニーレタス・グリーンレタスがびっしりと育っていた。朝陽が差し込む畑の彼方には、間ノ岳・
北岳・斐駒ヶ岳(真中)が連なる南アルプスの高峰が臨めた。ウ~ン いい眺めだ! All Photo by Jovial TAKA




八ヶ岳の麓(清里や野辺山)で過ごす楽しみは、地元産の獲れたて野菜や乳製品・卵などが、近くの食品スーパー(ひま

わり市場など)や高原野菜直売所で入手できることだ。ホテルや旅館などの食事でも提供されるが、コテージの良さは

好きな時に好きな分だけ自分で調理して食べられることだ。ワインやお酒も地元産の美味しいものが、食事と共に

飲める。この決められた時間やサービスを受けずに過ごせる自由度が気に入っている。時には、地元の料理店に出か

けて、甲州牛の逸品やシェフの作ってくれるオリジナルな料理も楽しめる。ただし、車での外出となるので、ノンアル

・ビールやフルーツ・カクテルという飲料の制限はあるが...




手作りのサンドウィッチとドリップした熱いコーヒーをポットに詰めて出かけた2日目のお昼は、八ヶ岳の東麓に広が
野菜畑の一角にある「開墾記念碑」の近くでランチとした。中央に見えるのは、八ヶ岳最高峰の「赤岳(2,899m)」、
爽快な風が高原を吹きわたっていた。




サニーレタスが育つ南側を見渡せば、南アルプスの高峰(中央が北岳 3,193m)が連なって見える。360度ビューの
景色は、野辺山ならではの広がりだ。これが全部野菜畑というのもすごい。



今回の食事は、コテージで調理して食べるのがもっぱらだったが、食材を買い込み過ぎで余してしまうのも勿体ない

ので、サンドウィッチを作って出かけたり、近くの飲食店での食事も楽しんだ。休業日の兼ね合いで、以前訪れた古

民家レストラン「ふらここ食堂」(イタリアン)は行けずに、以前から前を車で通るたびに気になっていたイタ飯屋に

行ってみた。とても美味しかったので、食事の清算をする際に若女将に聞いてみた。「パスタはいいお味でしたが、

香りづけに醤油でも入れてますか?」『アサリの出し汁を加えています。』(コクのある味はそのせいか!)。「サラダ

のソーセージは香辛料が効いていて美味しかったですが、どこかで買えますか?」(連れ) 『地元のハム屋さんに作っても

らっている当店限定・特注品です。』(う~む 納得!) こんなこだわりのオリリジナルな味を手頃な値段で(2人で5,000円

以内)で提供してくれるのは嬉しいね、と思った。初日の昼飯時に寄った「コパン北杜店」(前回も帰りがけに寄ってい

る、ピザ・パスタ・サンドウィッチ・ハンバーガーと色々揃っている!)での食事も旨かったし、「玉ねぎとチーズの

ピッツァ」と「鳥の照り焼きバーガー」(付け合わせのフライド・ポテトが沢山)も堪能した。何度か通っている内に、

手頃で旨い店がわかってきたので食べる楽しみも増えた。



ほうとう・あわび茸(触感があわびに似た、しこしことした味の地元産茸)・長ネギ・春菊を入れた温か鍋。夜は10度
近くまで冷え込むので、身体が温まって美味しかった。合わせたお酒は地酒の純米酒「七賢風凛美山」(山梨銘醸)、
フルーティーな香りと爽やかな辛口の旨酒だった。食べた後で清里豚を入れ忘れたのに気が付き大笑い! コテージの
女将からの差し入れ(カボチャ煮と茗荷漬け)も美味しくいただいた。




608号(長坂小淵沢線)の若林交差点近く、黄金色の稲がたわわに実る田んぼが続く道路脇にこのイタ飯屋(トラットリア 
タダリコ)がある。観光地の常で、月・火・水がお休みの店が多いが、ここは日曜定休なのでとても助かる。2日目の夜
は予約して訪れてみた。注文は「からすみとちりめんジャコのパスタ」と「高原焼き野菜と地元豚のソーセージ
サラダ」、ぶどうジュースとジンジャーエールのカクテル。



あわせて、「信州鱒とほうれん草のピッツァ」。最近の養殖マスは、しこしことした歯ごたえでとても美味しくなって
いる。ピザ生地の薄いのも好みだ。3品とも美味しさ言うことなし。大いに堪能した。価格も手頃で、若い夫婦が切り
回しているお店だが、また来てみたいと思った(チョーク手書きのその日のメニューはまだまだ沢山あったから)。



お店の画像はHPより。



さて、旅の最後に寄ったのは、JR長坂駅近くの高台にある「清春芸術村」だった。3日間、清里のコテージをベースに

して、大泉町・野辺山・南牧村・川上村の各所を電チャリや車で廻ったせいか、最終日はこの美術館と広い芝生のあ

るスペースでゆっくりと過ごすことにした。もう10年以上も前、私は桜満開の時期にここに来ているが、その時の

印象がとても良くて再びの訪問となった。美術館(白樺派の常設展)や企画展(ピカソの写真展)を覗いてから、美術館前

の椅子(鉄製)に座り、沢山植えられた白樺の木の枝葉が、深い青空をバックにそよそよと揺れているのを飽きずにずっ

と眺めたりした。コテージを引き上げる際、気さくな女将は「畑で採れたての野菜を持ってって!」と言って、デカ

かぼちゃ・キャベツ・トマト・ピーマン・人参を、新聞紙に包んで我らに用意してくれた。恐縮しながらも有り難く

いただいたが、家に帰ってサラダや煮野菜にして食べたら、とてもいいお味だった。やはり高原のいい水と空気で育

った野菜は、殊の外美味しいのを改めて実感した。振りのくつろぎの休日だった。




芸術家の滞在アトリエとミュージアム・ショップのある「ラ・リューシュ」、16角形のこの珍しい施設はパリ万博
(1,900年)のワイン館として建てられ、後にシャガールやスーチンなど20世紀の巨匠たちを輩出したアトリエ兼集合
住宅と同じ設計だとのこと。



これも不思議な樹上建築物「茶室 徹」、設計は建築史家 森照信氏




広い芝生を自由に動き回って芝生を刈りこむ「HONDA 自動芝刈りロボット」、前回より芝生がえらいきれいに
なっていると思ったら、あんたのおかげね!





芸術村界隈の農家畑には、秋の日差しの中でコスモスが満開だった。やはり、コスモスは高原の気候でないと色鮮
やかに咲かないのだ。


<この項終わり>


2021年10月10日日曜日

八ヶ岳東麓巡り☆宇宙電波観測所と金峰山界隈

 


直径10mの「ミリ波干渉計」、『白い6台のアンテナをケーブルで繋ぎ同時に観測することで、最大直径600mの
電波望遠鏡に相当する解像力で天体画像を描き出す』という優れものだ。快晴の青空をバックに迫力ある情景を
見ることが出来た。紹介は、通称「野辺山天文台」HPより All Photo by Jovial TAKA



地図的には、清里は山梨県北杜市にあり、野辺山は長野県南佐久郡南牧村にある。コロナ感染状況も大分落ち着い

てきたが、昨年6月以来山梨県の北杜市や隣り合わせの長野県野辺山を訪れることが多く、数えてみたら今回で9回

目となっている(西麓の奥蓼科、甲府盆地の石和温泉も含めて)。車のドライブで1時間半ほどの近さ、現地で行動する

拠点としてホテルやコテージ等の快適な宿泊施設が利用できること、現地産の高原野菜や乳製品など安価で美味しい

食材が揃っていること、水と空気がとてもいいこと、飲食店での食事がとても美味しいこと、澄んだ流水と渓谷の

中で釣りが楽しめること等々...コロナ感染対策をしっかりやっている山梨県県の対応に好感と安心が持てるのもその

理由の一つだ。このブログにも連載「北杜に遊ぶ」と「八ヶ岳周遊」のラベルでその楽しさを紹介してきた。今回は、

お馴染みの貸しコテージ(清里ハーディング倶楽部)を拠点として、県境を行ったり来たりしながら3泊4日のゆっくり

滞在となった。




                                                                                                     Photo by Roco

世界最大級と言われる「45m電波望遠鏡」はド迫力もので、見学コース受付から彼方に見える大きさにびっくりする。
近寄るにつれて、その大きさは「はんぱない!」のがわかる。案内板に色々記されていたが、かなり専門的なことなの
で詳細は紹介できないが、この望遠鏡のおかげで宇宙の研究(電波による分析と映像化)が進み、数々の解明(銀河や
星々の存在、太陽・ブラックホールなどの生成状況など)が可能になったとのこと。詳しくは「国立天文台野辺山」の
HPをご覧あれ。https://www.nro.nao.ac.jp/public/




真下に立って見上げてみた。「とにかくでかいよ~ 首疲れるよ~!」。小さな望遠鏡(太陽電波強度偏波計や電波
ヘリオグラフ)から巨大なものまで、広い敷地に居並ぶ情景は国内では唯一無二のもの、どこか異国の地に来た趣き
がある。希少な景色を堪能した。観測所内部の施設には入れないが、見学コースが設定されいて、各種の望遠鏡を
れる。




好天に恵まれた2日目は、野辺山駅前の観光案内所で電チャリを借り(予約しておいた)、野菜畑の中に広がる農業道路

を、午前中の2時間半ほどゆっくりとサイクリングした。野菜出荷用の11トントラックや大きな農耕車が行き交う

広い舗装道路がどこまでも続いていた。予定では、縄文時代以前の原始時代(黒曜石を使って川魚や獣を狩猟した古代)

の資料を集めた「南牧村美術民族資料館」を覗いてみようと思ったが、月曜休館日で寄れず、また矢出川遺跡も結

構遠いのでパスした。結局宇宙電波研究所を見て、矢出川公園に寄ったら、乗り続けた電チャリの硬いサドルにお尻

が痛くなり、サイクリングは終了となった。広大な野菜畑(レタスやキャベツ)と八ヶ岳の山々が同時に臨める光景は、

北海道の様な360度ビューの広がりがあり爽快だった。連れはこの景色がとても気に入ったようだ。





金峰山川(きんぷざんがわ)の白い花崗岩石の間を流れる流水は、透明度も高くやや緑がかった色をしている。フライ・
フィッシャーマンたちの憧れの渓流だ。生息するイワナとの出会いを求めて、多くの釣り人が訪れる激戦地でもある。



この4日間の滞在中、八ヶ岳東麓の野辺山野菜畑を流れる清流各所を覗いてみた。すべて高原を流れ下る千曲川の

支流だが、141号(佐久甲州街道)の東側(千曲川寄り)と西側(八ケ岳寄り)で、「矢出川(やいでがわ)」・「板橋川」、

合流して「西川」。上流に八ヶ岳ロッジのある「杣添川(そまぞえがわ)」など。西川の千曲川合流点近くこそ水量は

あったものの、他の川は干上がって茶色の砂を被ったごろ石が覗けただけだった。杣添川の「千ヶ滝」に至っては、

川の水がところどころ溜まっているだけで流れていなかった。これでは滝も落ちていまいとスルーした。シーズン

最後渓流釣りを野辺山の高原川でやってみる目論見は、まったく裏切られてしまった。本当にがっかりだった。

初日の雨天候のため、瑞牆山麓の本谷川での釣りも叶わなかった。しかるに、高原の広大な野菜畑の水やり用に、畑

各所に水撒きポンプが設置されているのを見て、おおかた野菜のために流水は汲み上げられて使われているのを確認

した。高原の川では、渓流魚の生息は土台無理の様だ。

そこで、3日目に金峰山川と梓川を見に出かけた。釣りはもうあきらめて渓流の状況確認に徹した。金峰山荘の駐車

場に車を入れ(キャンプ場入場と駐車代で500円也)、トレッキングシューズに履き替えた。西俣沢に沿って設けられ

ている遊歩道を1時間ほど歩いてみた。途中、湧き水の沢にかかる丸太橋をいくつか渡ったりした。瑞牆山の岩山

から湧き出している本谷川・支流の沢と同様に、そこには金峰山の岩山から湧き出す澄んだ流水がタップリと流れて

いた。これぞ渓流だ! と納得したものだ。この川での来シーズンの釣りがとても楽しみとなった。

お昼は、キャンプ場の芝生にシートを広げ、持参したポット(沸かしたお湯入り)で即席みそ汁を作り、おにぎりを頬

ばった(コンビニ調達)。澄んだ空気と湿気のないさわやかな風、快晴の青空の元ではとても気持ち良い軽食となった。

その後、車で梓川まで移動し、中流域の町田市自然休暇村辺りを覗いてみた。金峰山川より規模は小さいが、澄んだ

流水の渓流であることを確認し、これも来シーズンの訪れを楽しみにすることとした。





この透明度では、釣り人から水の中のイワナを視認できるが、イワナたちからも釣り人の姿に気づかれてしまう、と
いうことになる。川を遡行するにつけては、釣り人の細心の注意が必要だ。




南佐久郡川上村村営の宿泊施設「金峰山荘」は、人気の「廻り目平キャンプ場」でのキャンプと渓流釣り・金峰山登山
の起点となっていて、観光客の受付・駐車場を一手に管理している。スイスのチロルにあるような山荘の趣きで、ごつ
ごつとした岩山頂上の金峰山を後ろに控える様は圧巻だ。




大弛(おおだるみ)峠<川上村と山梨市を結ぶ>に向かう「川上牧岡林道」の道路脇で、唐松の苗木を植林作業中の
地元森林組合の方たちに遭遇した。林道は悪路のため我らは引き返したが、山々は深く作業も大変と推察した。20年・
30年という地道な森林造りを垣間見た気がする。




予想外だったのは、金峰山川周辺や廻り目キャンプ場界隈には、白樺原生林が広がっていて、今年7月に八千穂高原
で見た白樺群生林の規模をはるかに上回る白樺林を見ることが出来た。ほとんど手付かずの状態で開発から免れていた。
この地域も国立公園(秩父多摩甲斐国立公園)内であることも、貴重な自然遺産が残っている要因と思われる。再び訪れ
てみたい自然を確認出来て、とてもうれしかった。




梓川(あずさがわ : 上高地を流れる犀川の支流と同名)やまめ橋から見下ろした川相、なかなかいい雰囲気だ。千曲川
の源流は、甲武信ヶ岳(2,475m)・国師ヶ岳(2,592m)・金峰山(2,599m)などの県境(長野・山梨・埼玉の3県)にまた
る山岳地帯から流れ出している。急流で大石・ごろ石も多く、険しい渓流が特色だ。





2日目の早朝、西川で毛鉤釣りを試してみた。川の水量はそこそこあったが、川底の石は苔と滑りで覆われていた。
人家の間を流れてくる里川はこんなものかもしれない。ライズもなく当たりすらなかった。今回の釣りはこの1ヶ所
1時間のみとなった。上空に見える橋は「川上大橋」、よくこんな立派な橋を作ったものだと感心した。




<この項つづく>