2021年10月11日月曜日

八ヶ岳南麓の楽しみ☆地産地消の食と清春芸術村

 


高原の朝は爽やかだ。今年5月に来たときは、コテージ横の野菜畑には何も植えられていなかったが、実りの秋に
トウモロコシ・サニーレタス・グリーンレタスがびっしりと育っていた。朝陽が差し込む畑の彼方には、間ノ岳・
北岳・斐駒ヶ岳(真中)が連なる南アルプスの高峰が臨めた。ウ~ン いい眺めだ! All Photo by Jovial TAKA




八ヶ岳の麓(清里や野辺山)で過ごす楽しみは、地元産の獲れたて野菜や乳製品・卵などが、近くの食品スーパー(ひま

わり市場など)や高原野菜直売所で入手できることだ。ホテルや旅館などの食事でも提供されるが、コテージの良さは

好きな時に好きな分だけ自分で調理して食べられることだ。ワインやお酒も地元産の美味しいものが、食事と共に

飲める。この決められた時間やサービスを受けずに過ごせる自由度が気に入っている。時には、地元の料理店に出か

けて、甲州牛の逸品やシェフの作ってくれるオリジナルな料理も楽しめる。ただし、車での外出となるので、ノンアル

・ビールやフルーツ・カクテルという飲料の制限はあるが...




手作りのサンドウィッチとドリップした熱いコーヒーをポットに詰めて出かけた2日目のお昼は、八ヶ岳の東麓に広が
野菜畑の一角にある「開墾記念碑」の近くでランチとした。中央に見えるのは、八ヶ岳最高峰の「赤岳(2,899m)」、
爽快な風が高原を吹きわたっていた。




サニーレタスが育つ南側を見渡せば、南アルプスの高峰(中央が北岳 3,193m)が連なって見える。360度ビューの
景色は、野辺山ならではの広がりだ。これが全部野菜畑というのもすごい。



今回の食事は、コテージで調理して食べるのがもっぱらだったが、食材を買い込み過ぎで余してしまうのも勿体ない

ので、サンドウィッチを作って出かけたり、近くの飲食店での食事も楽しんだ。休業日の兼ね合いで、以前訪れた古

民家レストラン「ふらここ食堂」(イタリアン)は行けずに、以前から前を車で通るたびに気になっていたイタ飯屋に

行ってみた。とても美味しかったので、食事の清算をする際に若女将に聞いてみた。「パスタはいいお味でしたが、

香りづけに醤油でも入れてますか?」『アサリの出し汁を加えています。』(コクのある味はそのせいか!)。「サラダ

のソーセージは香辛料が効いていて美味しかったですが、どこかで買えますか?」(連れ) 『地元のハム屋さんに作っても

らっている当店限定・特注品です。』(う~む 納得!) こんなこだわりのオリリジナルな味を手頃な値段で(2人で5,000円

以内)で提供してくれるのは嬉しいね、と思った。初日の昼飯時に寄った「コパン北杜店」(前回も帰りがけに寄ってい

る、ピザ・パスタ・サンドウィッチ・ハンバーガーと色々揃っている!)での食事も旨かったし、「玉ねぎとチーズの

ピッツァ」と「鳥の照り焼きバーガー」(付け合わせのフライド・ポテトが沢山)も堪能した。何度か通っている内に、

手頃で旨い店がわかってきたので食べる楽しみも増えた。



ほうとう・あわび茸(触感があわびに似た、しこしことした味の地元産茸)・長ネギ・春菊を入れた温か鍋。夜は10度
近くまで冷え込むので、身体が温まって美味しかった。合わせたお酒は地酒の純米酒「七賢風凛美山」(山梨銘醸)、
フルーティーな香りと爽やかな辛口の旨酒だった。食べた後で清里豚を入れ忘れたのに気が付き大笑い! コテージの
女将からの差し入れ(カボチャ煮と茗荷漬け)も美味しくいただいた。




608号(長坂小淵沢線)の若林交差点近く、黄金色の稲がたわわに実る田んぼが続く道路脇にこのイタ飯屋(トラットリア 
タダリコ)がある。観光地の常で、月・火・水がお休みの店が多いが、ここは日曜定休なのでとても助かる。2日目の夜
は予約して訪れてみた。注文は「からすみとちりめんジャコのパスタ」と「高原焼き野菜と地元豚のソーセージ
サラダ」、ぶどうジュースとジンジャーエールのカクテル。



あわせて、「信州鱒とほうれん草のピッツァ」。最近の養殖マスは、しこしことした歯ごたえでとても美味しくなって
いる。ピザ生地の薄いのも好みだ。3品とも美味しさ言うことなし。大いに堪能した。価格も手頃で、若い夫婦が切り
回しているお店だが、また来てみたいと思った(チョーク手書きのその日のメニューはまだまだ沢山あったから)。



お店の画像はHPより。



さて、旅の最後に寄ったのは、JR長坂駅近くの高台にある「清春芸術村」だった。3日間、清里のコテージをベースに

して、大泉町・野辺山・南牧村・川上村の各所を電チャリや車で廻ったせいか、最終日はこの美術館と広い芝生のあ

るスペースでゆっくりと過ごすことにした。もう10年以上も前、私は桜満開の時期にここに来ているが、その時の

印象がとても良くて再びの訪問となった。美術館(白樺派の常設展)や企画展(ピカソの写真展)を覗いてから、美術館前

の椅子(鉄製)に座り、沢山植えられた白樺の木の枝葉が、深い青空をバックにそよそよと揺れているのを飽きずにずっ

と眺めたりした。コテージを引き上げる際、気さくな女将は「畑で採れたての野菜を持ってって!」と言って、デカ

かぼちゃ・キャベツ・トマト・ピーマン・人参を、新聞紙に包んで我らに用意してくれた。恐縮しながらも有り難く

いただいたが、家に帰ってサラダや煮野菜にして食べたら、とてもいいお味だった。やはり高原のいい水と空気で育

った野菜は、殊の外美味しいのを改めて実感した。振りのくつろぎの休日だった。




芸術家の滞在アトリエとミュージアム・ショップのある「ラ・リューシュ」、16角形のこの珍しい施設はパリ万博
(1,900年)のワイン館として建てられ、後にシャガールやスーチンなど20世紀の巨匠たちを輩出したアトリエ兼集合
住宅と同じ設計だとのこと。



これも不思議な樹上建築物「茶室 徹」、設計は建築史家 森照信氏




広い芝生を自由に動き回って芝生を刈りこむ「HONDA 自動芝刈りロボット」、前回より芝生がえらいきれいに
なっていると思ったら、あんたのおかげね!





芸術村界隈の農家畑には、秋の日差しの中でコスモスが満開だった。やはり、コスモスは高原の気候でないと色鮮
やかに咲かないのだ。


<この項終わり>


2021年10月10日日曜日

八ヶ岳東麓巡り☆宇宙電波観測所と金峰山界隈

 


直径10mの「ミリ波干渉計」、『白い6台のアンテナをケーブルで繋ぎ同時に観測することで、最大直径600mの
電波望遠鏡に相当する解像力で天体画像を描き出す』という優れものだ。快晴の青空をバックに迫力ある情景を
見ることが出来た。紹介は、通称「野辺山天文台」HPより All Photo by Jovial TAKA



地図的には、清里は山梨県北杜市にあり、野辺山は長野県南佐久郡南牧村にある。コロナ感染状況も大分落ち着い

てきたが、昨年6月以来山梨県の北杜市や隣り合わせの長野県野辺山を訪れることが多く、数えてみたら今回で9回

目となっている(西麓の奥蓼科、甲府盆地の石和温泉も含めて)。車のドライブで1時間半ほどの近さ、現地で行動する

拠点としてホテルやコテージ等の快適な宿泊施設が利用できること、現地産の高原野菜や乳製品など安価で美味しい

食材が揃っていること、水と空気がとてもいいこと、飲食店での食事がとても美味しいこと、澄んだ流水と渓谷の

中で釣りが楽しめること等々...コロナ感染対策をしっかりやっている山梨県県の対応に好感と安心が持てるのもその

理由の一つだ。このブログにも連載「北杜に遊ぶ」と「八ヶ岳周遊」のラベルでその楽しさを紹介してきた。今回は、

お馴染みの貸しコテージ(清里ハーディング倶楽部)を拠点として、県境を行ったり来たりしながら3泊4日のゆっくり

滞在となった。




                                                                                                     Photo by Roco

世界最大級と言われる「45m電波望遠鏡」はド迫力もので、見学コース受付から彼方に見える大きさにびっくりする。
近寄るにつれて、その大きさは「はんぱない!」のがわかる。案内板に色々記されていたが、かなり専門的なことなの
で詳細は紹介できないが、この望遠鏡のおかげで宇宙の研究(電波による分析と映像化)が進み、数々の解明(銀河や
星々の存在、太陽・ブラックホールなどの生成状況など)が可能になったとのこと。詳しくは「国立天文台野辺山」の
HPをご覧あれ。https://www.nro.nao.ac.jp/public/




真下に立って見上げてみた。「とにかくでかいよ~ 首疲れるよ~!」。小さな望遠鏡(太陽電波強度偏波計や電波
ヘリオグラフ)から巨大なものまで、広い敷地に居並ぶ情景は国内では唯一無二のもの、どこか異国の地に来た趣き
がある。希少な景色を堪能した。観測所内部の施設には入れないが、見学コースが設定されいて、各種の望遠鏡を
れる。




好天に恵まれた2日目は、野辺山駅前の観光案内所で電チャリを借り(予約しておいた)、野菜畑の中に広がる農業道路

を、午前中の2時間半ほどゆっくりとサイクリングした。野菜出荷用の11トントラックや大きな農耕車が行き交う

広い舗装道路がどこまでも続いていた。予定では、縄文時代以前の原始時代(黒曜石を使って川魚や獣を狩猟した古代)

の資料を集めた「南牧村美術民族資料館」を覗いてみようと思ったが、月曜休館日で寄れず、また矢出川遺跡も結

構遠いのでパスした。結局宇宙電波研究所を見て、矢出川公園に寄ったら、乗り続けた電チャリの硬いサドルにお尻

が痛くなり、サイクリングは終了となった。広大な野菜畑(レタスやキャベツ)と八ヶ岳の山々が同時に臨める光景は、

北海道の様な360度ビューの広がりがあり爽快だった。連れはこの景色がとても気に入ったようだ。





金峰山川(きんぷざんがわ)の白い花崗岩石の間を流れる流水は、透明度も高くやや緑がかった色をしている。フライ・
フィッシャーマンたちの憧れの渓流だ。生息するイワナとの出会いを求めて、多くの釣り人が訪れる激戦地でもある。



この4日間の滞在中、八ヶ岳東麓の野辺山野菜畑を流れる清流各所を覗いてみた。すべて高原を流れ下る千曲川の

支流だが、141号(佐久甲州街道)の東側(千曲川寄り)と西側(八ケ岳寄り)で、「矢出川(やいでがわ)」・「板橋川」、

合流して「西川」。上流に八ヶ岳ロッジのある「杣添川(そまぞえがわ)」など。西川の千曲川合流点近くこそ水量は

あったものの、他の川は干上がって茶色の砂を被ったごろ石が覗けただけだった。杣添川の「千ヶ滝」に至っては、

川の水がところどころ溜まっているだけで流れていなかった。これでは滝も落ちていまいとスルーした。シーズン

最後渓流釣りを野辺山の高原川でやってみる目論見は、まったく裏切られてしまった。本当にがっかりだった。

初日の雨天候のため、瑞牆山麓の本谷川での釣りも叶わなかった。しかるに、高原の広大な野菜畑の水やり用に、畑

各所に水撒きポンプが設置されているのを見て、おおかた野菜のために流水は汲み上げられて使われているのを確認

した。高原の川では、渓流魚の生息は土台無理の様だ。

そこで、3日目に金峰山川と梓川を見に出かけた。釣りはもうあきらめて渓流の状況確認に徹した。金峰山荘の駐車

場に車を入れ(キャンプ場入場と駐車代で500円也)、トレッキングシューズに履き替えた。西俣沢に沿って設けられ

ている遊歩道を1時間ほど歩いてみた。途中、湧き水の沢にかかる丸太橋をいくつか渡ったりした。瑞牆山の岩山

から湧き出している本谷川・支流の沢と同様に、そこには金峰山の岩山から湧き出す澄んだ流水がタップリと流れて

いた。これぞ渓流だ! と納得したものだ。この川での来シーズンの釣りがとても楽しみとなった。

お昼は、キャンプ場の芝生にシートを広げ、持参したポット(沸かしたお湯入り)で即席みそ汁を作り、おにぎりを頬

ばった(コンビニ調達)。澄んだ空気と湿気のないさわやかな風、快晴の青空の元ではとても気持ち良い軽食となった。

その後、車で梓川まで移動し、中流域の町田市自然休暇村辺りを覗いてみた。金峰山川より規模は小さいが、澄んだ

流水の渓流であることを確認し、これも来シーズンの訪れを楽しみにすることとした。





この透明度では、釣り人から水の中のイワナを視認できるが、イワナたちからも釣り人の姿に気づかれてしまう、と
いうことになる。川を遡行するにつけては、釣り人の細心の注意が必要だ。




南佐久郡川上村村営の宿泊施設「金峰山荘」は、人気の「廻り目平キャンプ場」でのキャンプと渓流釣り・金峰山登山
の起点となっていて、観光客の受付・駐車場を一手に管理している。スイスのチロルにあるような山荘の趣きで、ごつ
ごつとした岩山頂上の金峰山を後ろに控える様は圧巻だ。




大弛(おおだるみ)峠<川上村と山梨市を結ぶ>に向かう「川上牧岡林道」の道路脇で、唐松の苗木を植林作業中の
地元森林組合の方たちに遭遇した。林道は悪路のため我らは引き返したが、山々は深く作業も大変と推察した。20年・
30年という地道な森林造りを垣間見た気がする。




予想外だったのは、金峰山川周辺や廻り目キャンプ場界隈には、白樺原生林が広がっていて、今年7月に八千穂高原
で見た白樺群生林の規模をはるかに上回る白樺林を見ることが出来た。ほとんど手付かずの状態で開発から免れていた。
この地域も国立公園(秩父多摩甲斐国立公園)内であることも、貴重な自然遺産が残っている要因と思われる。再び訪れ
てみたい自然を確認出来て、とてもうれしかった。




梓川(あずさがわ : 上高地を流れる犀川の支流と同名)やまめ橋から見下ろした川相、なかなかいい雰囲気だ。千曲川
の源流は、甲武信ヶ岳(2,475m)・国師ヶ岳(2,592m)・金峰山(2,599m)などの県境(長野・山梨・埼玉の3県)にまた
る山岳地帯から流れ出している。急流で大石・ごろ石も多く、険しい渓流が特色だ。





2日目の早朝、西川で毛鉤釣りを試してみた。川の水量はそこそこあったが、川底の石は苔と滑りで覆われていた。
人家の間を流れてくる里川はこんなものかもしれない。ライズもなく当たりすらなかった。今回の釣りはこの1ヶ所
1時間のみとなった。上空に見える橋は「川上大橋」、よくこんな立派な橋を作ったものだと感心した。




<この項つづく>