2017年5月24日水曜日

第26回浜美展を見て



宮田朱美作の抽象画『作品Ⅱ』(油彩20号)、丸や四角と破片の様な形状の配置が軽妙で赤や青・白の色合いの
バランスが面白かった。画面にある種の緊張感があり、リズムカルな雰囲気はクールジャズの様な音楽が聞こ
えて来るようだ。 All Photo by TAKA



田園都市線あざみ野駅近くの「アートフォーラムあざみ野ギャラリー」で、絵友HIさんが出展している『第26回

浜美展』が開催中ということで、初日に出かけてみた。このグループ展は第21回(2012年4月)以降毎年拝見してい

るので、今年で6回目ということになる。毎年の出品作が会員30数名による130点ほどが続いている、というから

なかなか大したものだ。聞けば80代半ばの会員も多くおられるし、70代はまだまだ若者だというから、高齢の方達

がお元気で大作にも取り組んでおられるのは結構なことだと思う。定期的な発表の場があって、それを目指して

作品を描き続けるというのも、確かな目標があっての創作活動となるので、気持ちの上でも張り合いがあってよい

だろうと思う



篠原陽子作の具象画『Fairy Tale』(油彩30号)、傾いだ建物が池面に映り、カーブする道や山の稜線などが、
不思議でメルヘンチックな世界を醸し出している。寒色系の色合いの中に赤みのある建物の屋根や空など
配され、色のハーモニーが心地よい。



会期中1,000人前後のお客さんが見に来られたということだが、私が訪れた初日の夕方はやや空いていたのでゆっく

りと作品を見ることができた。沢山の作品の中から、目に留まった作品の感想を載せてみますが、あくまでごく私的

なものであることをお断りしておく。




会を指導している松田高明先生作の大作『可視的なものから』(油彩100号)、窓枠に映る風景を切り裂いて配置
した断片が、ヨーロッパ中世の教会と城壁のようにも見えるし、重層的な記憶を呼び起こす不思議な風景だ。








HIさんの出品作3点中2点は、『ブルーモスク』(油彩30号・上)と『姫川』(油彩15号・下)、出来上がる
まで何度も描き方や色合いのバランスに苦心したというだけあって、なかなかの力作と拝見した。



小澤貞雄作『紅穂高』(油彩50号・遺作)、強烈な紅色一色の山景色を表現した大作にここ2~3年取り組
た後、展覧会の一週間前に急逝されたとのこと。人生の最終期に燃え上がる様な紅色景色を描き続けた
ご本人の心情や如何に? ...合掌! 
(各画像をクリックすると拡大して見られます。)


2017年5月16日火曜日

クレマチス天塩の開花と挿し木




クレマチス天塩(てしお)は、パテンス系(カザグルマの性質を持った品種)の早咲き八重の大輪で、5月頃開花する。
複層化した萼片の薄紫色が凛とした清涼感を漂わせるので、私の好きなクレマチスの一つだ。画像はHIさん宅の
お庭で見事に開花した今年の天塩。All Photo by TAKA



昨年鉢植えで入手したHIさん宅のクレマチス天塩は、蕾成長期と開花期に水やりが不足したため、新葉が縮れたり

花付も少なく細った小振りの花しか咲かなかった。そこで昨年の反省から、冬場の枝剪定(丈夫な新枝を残し支柱に

しっかりと結わえる)をしっかりやり、春から伸びた新枝の根元にたっぷりと水やりを施して、この開花期には朝夕

の十分な水やりしたため、蕾を沢山つけて見事な開花となった。



天塩の咲き始めは赤みがかった薄紫色で、八重の花が広がるにつれて青味が強くなり、後半は白味を帯びた
薄紫色となる。次第に開く複層花弁のせいか、開花時間も一重のクレマチスに較べて長く2週間ほど続く。
この花の作出者は、金子裕氏(1957年)と紹介されているが(住友化学園芸HP)、日本のクレマチス育成第一
の金子明人氏(NHK趣味の園芸講師などでもお馴染み)も、著書などでよく紹介している。


私が初めて天塩を見たのは、静岡県長泉町のクレマチスガーデンでだった(2004年6月だから、もう13年も前)。幾多

の種類のクレマチスの中で、一番心惹かれた種類だった。とんがり花弁が40枚程3~4層になって咲く様と、品のある

薄紫色花はとても清涼感が溢れていた。このガーデンへは2014年5月にも再び訪れているし、この時もきれいに咲き

揃った天塩を堪能している。その前の年の夏訪れた大船植物園では、たまたま湘南クレマチスの会が主催するクレマ

チスの園芸展でもこの花が出品されていて、どこかで苗を入手できないものかと思ったりした。ただ、私の自宅ベラ

ンダで育てている薄紫のクレマチスは、原種に近い青味がかった薄紫色8花弁・花芯はクリーム色の大輪で、開くと

20cm近くある。クレマチスの品種で調べても名前がわからないのだが(似たようなものが幾つもあるので)、挿し木で

増やしてすでに2鉢あり、これ以上は増やせないのでどうしたものかと迷っていた。


ところが、たまたま訪れたHIさん宅ご近所の園芸店でこの花の鉢植えを見つけ、HIさんが育ててみたいと早速入手

してお庭に鉢置きにし、支柱を組んでフェンスを作ってみた。それが今年見事な開花となったわけで、今度は私も

育ててみたくなったので、挿し木して増やすことにした。挿し木の方法は、開花して散った花首を切り下の葉付き

2節中下の1節は葉を落とし、茎を一晩水揚げをする。そして、赤玉土・腐葉土などを入れた苗用小鉢に挿すのだが、

水を張った大きな器にすっぽりと鉢ごと入れて挿し木するとよい。後は受け皿に水を切らさぬようにして、根付い

て節から芽が出るまで、半日陰で育てるのだ。

天塩の挿し木は、花が咲き終わったらやることにして、根着いた一鉢をいただいて我が家のベランダに置いて育て

てみようと思う。来年このクレマチスの開花を自宅でも見られるのが楽しみだ。




挿し木の時期は花後のこの時期が良く、元気な茎を使うと根着きもよく成長が早い。自宅のクレマチスを
挿し木してみた。根着きが上手く行ったら、欲しいという方もおられるのでお分けしたり、最近清掃を
けている公園の一角に植え付けてみようと目論んでいる。



昨年初冬に挿し木した苗鉢は5鉢作って1鉢しか根着かなかった。やはり時期が悪かったのだろう。でもその
1鉢が、今年はHIさん宅で見事に開花したのでほっとしている。


2017年5月13日土曜日

包丁研ぎとまな板削り




長年愛用の檜製まな板と包丁、砥石は中目、最近手に入れたLEC社製まな板削り Photo by TAKA


日々の食事はほぼ自分で作るし、友達と一緒に料理作りを楽しむこともある。仕事柄調理を教えたり、高齢や病気

ために包丁を握れなくなってしまった方の調理支援もする。だから日頃まな板や包丁の手入を怠りはしない。

現在使用しているまな板は、10数年前に生協の通販を利用して買ったものだ(料理好きの友達が紹介してくれたもの)。

「四万十川工房」の焼き印が押してある檜製の厚いまな板で、「14面体」と唱ってあった。つまり水切りをよく

るように2つの側面が山型5面づつにカットされていて、表・裏・他の2側面と合わせて14面ということだ。はじめて

このまな板を手にした時は、檜の香りが心地よく、不思議な形状にはびっくりしたが、左右が長すぎず洗う時には

軽くて持ちやすいので重宝してきた。日々これを使い、魚をさばく時も出刃でぶっ叩いているし、表面にたたき傷が

付いたり、やや黒ずんできたりするので、時折大きな四角のタッパーに漂白・除菌剤を水とともに入れて浸し天日干

し使ってきた。(T25×Y30×W2,5㎝がすっぽり入る大きな容器をわざわざ買ってしまった!)


このまな板の黒ずみと歯傷を直すには、表面をカンナで削り無傷の木肌を出すのが一番いいのだが、その方法として

①工房に送り直して削ってもらう②自分でカンナと削り台を用意して削り直す、のどちらかとなる。①は、送料と

り代を合計すると新品が買える位かかる(確か5,000位で入手したと記憶しているが...)。②だと、頃合いのカンナを

い、まな板を固定するしっかりとした削り台を自分で用意しなければならない。ということで、気になってはいる

だがどちらつかずでここ半年ほど放置したままになっていた。


ところが、だ。ある日これを解決するいい方法が見つかったのだ。家近くのホームセンターを買いもの中に、キッ

チン用品売り場で棚にぶら下がっている「まな板削り」なる商品があった。取説(取り扱い説明書)を読んでみると、

手のひらで握れるスポンジの硬いプラスチックの表面に研磨剤がコーティングされていて、水を流しながら木製

やプラ製のまな板をこすって削れる、とのこと。早速購入し、時間のゆとりがあったこの5月初めの連休中に使って

みた。結果は満足できるものだった。カンナで削った場合、表面は新しい木肌となるが、厚み(25㎜)が2㎜程薄く

なる。この話は、紹介してくれた友人が以前削り直して薄くなったのを聞いた覚えがある。このスポンジ研磨剤

だと深い叩き傷は薄っすら残るが、表面は滑らかになり、引き続き使うのには充分な仕上がりとなった。


ついでの話で、包丁と砥石についてだが、やはり使い始めてもう20年近くなる。ベティナイフと万能包丁はともに

J.A.HENKELS製で、合羽橋の調理器具専門店で入手した。ベティナイフは果物や小物切りに使っているが、良く研

いでいるので刃の真ん中がやや薄くなってきている。万能包丁は、野菜やお肉、魚やパンなど、なんでもOKだ。

よく研いであるので刺身を切るのにもこれを使っている(別に刺身包丁があるのだが、こちらの方が使いよい)。研ぐ

ときは、砥石(これも20年選手)と包丁をよく濡らし、両手でしっかり柄と刃先を持って片刃の手元・真ん中・先を数

回づつ押して研ぐ(引きはしない)。次に刃を返して裏の平面を反対に手元から先に1~2回こする様にして研ぐ。最後

に1回づつ、片刃と裏面をこする様にしてバリを取る。これで出来上がり、良く研いだ包丁は力を入れずともスッと

切れるので調理していても大変気持ちが良いのだ。

出刃包丁は築地の刃物屋さん(菊秀)で10数年前に入手したが、魚をさばく時(三枚おろしや骨切り、カブト割りなど)

に便利だ。普通の包丁だと骨切りしてもすぐ刃がこぼれてしまうので、極力出刃を使う様にしている。懸案だった

まな板削りが解決したので、愛用の包丁と砥石とともにこれからも調理を楽しんでいこうと思う。もう2~3回は、

この「まな板削り」のお世話になるかもしれない。


2017年5月12日金曜日

多摩川の若鮎遡上と鴨ファミリー




? クイズです。鴨ファミリーのコガモたちは何匹いるでしょうか? 最近雨が少なく、何時になく減水した多摩川
でしたが、一週間ほど前に卵からかえったコガモたちが川底の餌を食べていました。尻尾だけ出して頭から
潜って食べる仕草がユーモラスでした。(正解はこのページの最後で) All Photo by TAKA




昨週末に朝早起きし多摩川に出かけてみた。5月の雨の少なさから川は何時になく減水しており、普段だと流れの

中心は水量が多く、バカ長(腿まである長靴)を履いていても流水の強さに足を取られて危険なのだが、この日は流れ

の中心も膝位までしか水がなかった。川の中心で竹竿を振り、右に左に毛鉤仕掛けを流すのも気持ちが良かった。

春から初夏へのこの時期、河口から(ということは東京湾から)上ってくる若鮎が堰堤の脇に設けられた魚道を跳ねな

がら、上流へと遡上していく。従ってオイカワの産卵期が始まる6月までは、若鮎8:オイカワ2位の比率で針掛かり

することが多い。しかし6月初め頃からこの比率は逆転し、専らオイカワのオスとメスが釣りの主流となる。これに

時々ウグイやクロムツが混じるが、最近はかなり少なくなった。小物釣りの小さな毛鉤仕掛けなので、大きなコイ

やフナ、ルアー釣りでのブラックバスなどは対象外なのだ。



体長10㎝程度の若鮎、石に付いた緑苔を常食としているので唇が大きくて硬い。釣れた時の引きも強い
ので結構楽しめる。毛鉤へのアタックも旺盛だ。



秋に落ちアユとなって河口に下らず川に留まる鮎もいる。腹や尾鰭の黄色からして2年目の鮎だろう。
毛鉤りへの引きも強く、しばらく竹竿のしなりを楽しんだ。


この朝は、数は少なかったが3匹の鮎を釣り、若アユの遡上も確認できた。流れから岸辺に上がろうとしたら、

むらの中でじっとシャッターチャンスを待っている写真おじさんと顔を合わせた。しばらく雑談をしたのだが、

カメラの焦点の先にはなんと、鴨ファミリーが朝の食事中で、沢山のコガモが水中に潜ったり顔を上げたりして

餌を漁っていた。「釣り人は安全と思うのか逃げないですよ。」と話しかけながら、1週間前に卵からコガモが

孵ったらしく、ずっと通って写真を撮っているとのこと。合間に私の釣りも望遠で見ていたらしく、鮎が釣れ

したね、と宣った。もっぱら野鳥を撮影しているらしく、多摩川の鳥たち(シラサギ・カワウ・トビ・カモ等)が

対象とのこと。若鮎と鴨の皆さんたちと遭遇した初夏の朝だった。

<正解:鴨ファミリーのコガモたちは11匹です。画像をクリックすると拡大して見られます。>




おまけの画像:このオイカワのメスは、後日(5月14日)同じ場所で釣り上げたもの。もう産卵まじかで
お腹は卵で膨れていた。いよいよオイカワの産卵期がやって来る。