2019年11月25日月曜日

晩秋の信濃路・温泉三昧の旅(その2.海野宿と上山田温泉)




旧北国街道沿いに続く海野宿の街並み。江戸時代に宿駅として開設され大いに栄えたが、明治時代になってから宿場
の機能は失われた。しかし、宿場時代の広い部屋を利用して、養蚕・蚕種業で復興し、養蚕業が衰退した後も家屋と
街並みが、現在まで残されている貴重な歴史遺産だ。(白鳥神社と海野宿案内より)  All Photo by Jovial TAKA



今回の旅は、予定があるようでないような旅なので、その日の行く先は宿の案内やエリアマップを見ながら決めて

行く、というアバウトなものだった。別所温泉界隈は以前来た時にお凡そ見ているので、まずは海野宿に行って見

ることにした。途中通った塩田平の里山風景:なだらかな丘陵地帯に広がる田畑(稲の刈り取りはとっくに済み)や

山並みの紅葉をゆっくりと眺めた。いかにも田舎の原風景という趣きで懐かしい思いがした。しなの鉄道大屋駅と

田中駅の中間地点、18号道路と鉄道線路の南側で千曲川に挟まれるように、海野宿の静かな佇まいの街並みがあっ

た。平日とは言え訪問客もちらほら、初めて訪れる宿場の連なり(伝馬宿と旅人宿合わせて80数軒が残っている)を

歩いてゆっくり見て廻った。街中を流れる水路は白鳥神社の湧き水が源で、旅人が足を洗ったり伝馬の飲み水とし

て使われたという。



伝馬宿のなごり、塩なめ石とは珍しや! ここに当時は貴重な原塩をたっぷり盛ったのだろう。



上部画像と反対側(南側)の街並み、板格子戸はこの宿特有の作りだ。道路に建てられたランドマークには、
舊(旧)北国街道の表示があった。



宿場町のはずれの白鳥神社の脇には、媒(なかだち)地蔵尊が鎮座されていた。「なかだち」というからには、
何かと「ご縁」にご利益在り! ということで、早速賽銭を上げてお参りをした。



食事処や手織り布を扱う民芸店などを覗きながら、街はずれまで来てみると古びた神社があった。平安の昔から

海野氏の氏寺として、またその子孫の真田氏により尊宗をうけた由緒ある歴史を持つ白鳥神社は、海野宿界隈の

鎮守神として土地の人々から崇められているのだ。境内には3本のケヤキ古木があり、御神木の1本には「推定樹齢

700年・樹高35m・幹回り5.8m」の看板が建てられていた。私もこんなケヤキの古木は初めて見た。




白鳥神社の鳥居から本殿を臨む。晩秋の青空から陽射しがさんさんと降り注いでいた。



御神木の裏側に廻ってみると、巨大な人鼻のような幹コブがちょっとユーモラスな眺めだった。



ケヤキの葉も、空気が清冽な土地ではこんなきれいな黄色に色づくのに感心しきり。



前夜宿泊した別所温泉の露天風呂に浸かっていたら、湯船に入ってきたおじさん(私もおじさんだが!?)から「田中橋

が崩落していたので、ずいぶん遠回りした来たよ。」との情報があった。白鳥神社を見終わって、すぐ脇を流れる

千曲川を覗いてみたら、河川敷では大規模な工事をしていて(ブルトーザーやクレーン車数台)、その先の橋が真っ二

つに崩れ落ち道路が無くなっていた! その隣に設けられていた駐車場も、道路と一緒に跡形も無く消えてしまっていた。

その後、今夜の宿泊先・上山田温泉に行く途中で、別所温泉に通ずる上田電鉄の鉄骨架橋が、今回の豪雨で落ちて

しまったのをニュースで知っていたので、怖さ半分・野次馬半分で見てみた。ここも工事中で車は止められないの

で、上田橋の脇にちょっと停車して覗いてみた。現在復旧工事が進められてはいるが、線路の土台と左岸の補強を

して開通に至るまでは、大変手間ひまがかかることが予想される。

田中橋(海野橋)と上田電鉄架橋の崩落場所を見ることが出来たが、未曽有の被害をもたらした台風の爪跡を確認する

こととなった。現地に来たら、都会では報道されていない被害場所に遭遇するだろう、というおぼろげな覚悟はあ

ったが、やはりそれは相当のものであった。時間をかけて復旧し、再び観光客が安心してこられる環境を整備して

もらうことを及ばずながら願った。



台風19号の豪雨により千曲川右岸が大水で浸食され、海野宿に繋がる橋(海野橋・田中橋とも言われている)と道路
の崩落に至った。画像は「しなの鉄道NEWS」(10/19)より。橋下の線路は無事だった。



豪雨により、千曲川左岸の鉄骨架橋の土台と一部が落ちてしまった上田電鉄路線、宙づりの線路が痛ましい。画像はKYODO NEWS(10/13)より。



あの豪雨による大増水がうその様に減水して静かな流れの千曲川、橋の復旧にはまだまだ時間がかかりそうだ。



その夜の宿泊先は、上山田温泉の「梅むら旅館うぐいす亭」という和風旅館で、如何にも温泉街の宿というこぎれ

いな雰囲気だった。連れは小学校のクラス会で食事を別のホテルでするというので別れ、宿の女将から案内しても

らった和食屋(臨時休業だったので、別の居酒屋で一杯)で食事し、ついでに教えてもらったカラオケスナックに出

陣し大いに歌いまくった。まだ早い時間だったので、店のママ相手に7~8曲、久し振りのカラオケタイムにスッ

カリ寛いだのだった。ご機嫌で帰還の後、宿の温泉にゆっくり浸かり、その夜は昼間大いに歩き回った疲れも出て、

早目にぐっすりと眠ってしまった。



当宿の大浴場、「泉質は低張性・弱アルカリ性質の単純硫黄泉」と案内されている。今年の6月に、私の小学校
クラス会をご当地の別のホテルで開いたが、その時もやわらかですべすべする泉質がとても気持ち良かったのを
思いだした。群馬草津温泉のややきつい硫黄泉(強酸性)に較べると、信州の温泉は身体当たりが心地よいと感じる。



湯元の源泉かけ流しで湯量もたっぷり。



朝食も和食で、今回はほんとによく食べた。普段はこんなに食べないので、恐らくしっかり体重を増やして帰ること
になったと思う(帰ってから計ったら案の定1㎏増えていた! )。3画像は宿のHPより




さて、旅の終わりのコースは、上山田から18号道路を走り、浅間サンラインの途中にある「雷電くるみの里」(こち

ら周りのコースでは必ず立ち寄る道の駅)に寄り、お土産の高原野菜とリンゴをたっぷり購入。小諸インターから

関越自動車道→佐久インターで中部横断自動車道で八千穂高原インターまで。その後は、野辺山でお馴染みのビッ

クリ市場でジャムなどを購入。長坂まで来てから、来年の渓流釣りのために釜無川の支流二つ(大武川と小武川)を

ちょっと覗いてから、韮崎で中央道に入り、調布まで一直線だった。野辺山から長坂に抜ける途中、何時もは雲に

隠れて見えない八ヶ岳の景色がとてもきれいだったので、八ヶ岳高原大橋で車を止め(駐車場がある)、しばらく快晴

の空の下に広がる八ヶ岳の山姿をじっくりと眺めた。これは、おまけのお土産だった気がした。




めったに見られない八ヶ岳の全容、ふもとの紅葉もきれいだった。


川俣川に架かる大橋は、全長490m・高さ100mで「黄色橋)と呼ばれているそうな。何度もと通っている橋だが、
車を止めて八ヶ岳を見たのは初めてだった。


<この項終わり>


2019年11月23日土曜日

晩秋の信濃路・温泉三昧の旅(その1.めがね橋と別所温泉)




「碓氷第3アーチ」(めがね橋)の威容、130年近く経ってもびくともしない堅牢なレンガ造りは、当時の建設に携わ
った人たちの技術の高さと美的センスの良さを今も残してくれている。脇の階段からアーチの上に上り、廃線となり
整備された旧信越本線の遊歩道を、熊野平駅方向と横川駅方向に行き交うことが出来る。All Photo by Jovial TAKA



10月の台風19号・25号の暴風雨は、日本各地に甚大な被害をもたらし、関東・甲信越でも河川の氾濫(堤防決壊や

浸水被害)が多発した。そのため、秋の行楽も差し控えていたのだが、冬が来る前のラストチャンスということで、

馴染みの信州に出かけてみた。ただし、今回はすでに釣りシーズンも終わっているし(例年9月末で禁漁に入る河川

がほとんど)、音楽シーンも、10年以上続けていた「かようかい」も終了し、ライブ出演もひと段落しているので、

ゆっくりと温泉に浸かってこよう! という大雑把な目的だけで出かけた。一応、故郷長野の千曲川氾濫被害に遭った

観光地を応援しよう! という目論見もあったのだが、泉質の良い別所温泉と上山田温泉に宿を取り(連れが手配し予

約してくれた)、後は晩秋の信濃路をゆっくりドライブしようという予定だった。



めがね橋の上からの眺めは、また別の趣きがあってとても良かった。平日とは言え見物客が結構多いのにはちょっと
驚いた。紅葉も、晩秋とは言え各所に残っていて、もう終わりかな? と思っていた紅葉を見られたのは思いがけない
喜びだった。




当朝狛江の自宅に迎えに来てもらい、車は都内から練馬インターで関越自動車道に入り松井田妙義インターで降り

て、旧道18号道路(中山道)を登って横川を通過、2時間弱で碓氷第3アーチ(通称めがね橋)に着いた。この橋は、明治

25年(1892年、今から127年前)に、イギリス人と日本人技師の設計により竣工されたレンガ造りのアーチ橋で、信越

本線の急勾配鉄路を登るために、アブト式の車両に牽引されて客車は横川―軽井沢間を走った。その後、昭和38年

(1963年)に電化車両による新線と新橋が開通し、アブト式区間と駅は廃止されたのだが、当時の駅長(横川)や関係

者らの努力により、解体予定のこの橋と一部線路区間が保存され、現在その優れた技術による芸術的な歴史遺産と

して、多くの観光客を集める名所となっているのだ。私の大学生時代は、東京のから長野への帰郷の際は、列車は

横川で牽引車両を前に付けて゛ガチガチ゛というアブト式歯車の音を聞きながら、ゆっくりと急こう配の線路を登

って行ったのを今も鮮明に覚えている。その鉄路音で「あぁ、長野へ帰るんだなぁ!」という気持ちが強くなって行

ったのを思い出すのだ。50年以上も経ってから、このめがね橋を下から・上から見ることが出来たのはとても懐か

しくて楽しかった。




国道18号道路の碓氷峠・カーブ(全部で184あるという)には、カーブごとに番号標識が付されていて、このカーブ
は第97カーブだ。天然モミジのシーズン最後の輝きが、昼時の晴れた陽射しの中でとてもきれいだった。



しばし車を止めて、行きゆく秋の色を楽しんだ。高原の清涼な空気の中では、紅葉色もひと際鮮やかに見える。




晴天に恵まれ(この3日間ともに)、予想していた以上にめがね橋と碓氷峠の紅葉がきれいだったので、すっかり気分

が良くなった。軽井沢で昼食を取り(和食屋さんのランチだったが、なかなか美味かった)、18号道路を追分で浅間サン

ライン(県道80・79号道路)に入り、小諸・東御の山麓を快適に走って、しなの鉄道田中駅の手前で千曲川を渡った

ら、そのまま依田川もわたり、田園の中を走って別所温泉に3時半頃到着した。今夜の宿は、この温泉街の旅館組

合長氏が営む老舗「上松や」だった。

早速浴衣に着替えて温泉に浸かった。夕方の暮れ行く塩田平の景色を見ながら、ゆったりとお湯に浸かるのは実に

気持ちが良い。「あ~! 極楽、ごくらく!」と言いながら、湯船を出たり入ったり、半身浴と全身浴を繰り返したり、

長めのお湯を楽しんだ。宿の案内によると、泉質は弱アルカリ性の単純硫化泉で、豊富に湧き出る源泉をかけ流し

ているので、とても滑らか、美肌効果もたっぷり、とのこと。確かに湯上りした後もぽかぽかと身体が温まってい

て気持ちが良かった。




大浴場や館内各所には、真田家ゆかりの六文銭が随所に掲げられているのが興味深かった。温泉は、水色がかった
透明色で温度も高すぎず丁度良い。長湯していても茹だることもなかった。



露天風呂の打たせ湯で、肩をもみほぐすのも気持ち良し。



露天の釜風呂は、六文銭をあしらった赤作り、外の脇には色づいた柿の実がたくさんなっていて、季節の風情を
プラス。色々なタイプの温泉を味わえるのも、この宿ならではの趣向だった。3画像は旅館HPより。



さて、温泉には夕方・夜・翌朝と3回楽しませてもらったが、宿の食事もなかなかのものだった。夜は部屋での食事、

朝は宴会場で他のお客と一緒だったが、「料理思考室長 小西泰助」氏の設えた料理がお品書きとともに配膳され、

柔らかな和食の味がとても美味しかった。地産の食材(野菜や調味料・スモークサーモンや黒毛和牛、福味鶏や岩魚

・塩田産コシヒカリなど)をふんだんに使った献立は、とても食べ切れないほどだったが、ほとんどお腹に収めてし

まった。地産の「福無量」という純米吟醸酒も、香り良し・のどごし良しで、心地よく酔わせてもらった。

朝食の献立も種類が多く、「これは食べ過ぎてしまうね~」と言いながら大方平らげてしまったのだから、やれ

やれ相当食い意地が張っていたに相違ない。温泉と言い食事と言い、とても寛げた宿だった。たまにはこういう

大名旅行もいいね、と言いながら、食べ過ぎだけは要注意! と確認しあった。当館は「お一人様旅行」歓迎をうたっ

ている宿で、一人旅の方もちらほら、団体様のクラス会一行や熟年夫婦連れなど、宿はかなりにぎわっていたので、

千曲川大水害の影響も一応乗り切っておられるな、と得心した。




夕食の前菜「季節の七久里籠盛り」盛り合わせも美的だ。私的には、信州サーモンと岩魚の刺身(珍しい、なかなか
食べられない!)が美味しかった。



信州産黒毛和牛の鉄板焼きも焼き上がりが柔らかくて美味しかった。赤塩とわさび味噌・ニンニク醤油のつけ味
3種もよかった。



朝食の一部、山菜やキノコもたっぷり、馬肉の時雨煮は珍味だった。3画像は宿のHPより。



<この項つづく>


2019年11月11日月曜日

水路逆流についての狛江市説明会は、責任逃れに終始した (台風19号多摩川氾濫 その6)




住民の質問に答える松原市長と市幹部職員達、市立第六小学校にて。画像は東京新聞(Tokyo Web)より



今回の、狛江市多摩川団地周辺(調布市染地と狛江市中和泉・西和泉地区)、および狛江市駒井・猪方地区の多摩川

増水による住宅地浸水については、狛江市が維持・管理する二つの排水樋管(六郷排水樋管と猪方排水樋管)の水門を

開けたまま放置したために、被害が拡大した恐れがある、市側は住民に対して十分な説明をするべきだ、との声が

高まり、狛江市は11月9日に市内二ヶ所で説明会を開いた。私自身は、狛江市民ではあるが居住個所の地形から浸水

被害には逢わなかった。しかし、いつ何時(多摩川堤防決壊や大地震などで)被害に合わないとは言い切れないし、昨今

の厳しい自然状況からしても、常日頃災害に備えなければならないと思っているので、この問題(水門開放放置による

水路逆流)についても大きな関心を抱いている。ということで、猪方排水樋管の説明会会場である第六小学校に出かけ

てみた。


市側は松原市長と幹部職員が出席し、小学校体育館に用意されたイスはほぼ満席(300人程)の住民が詰めかけ、市側から

は、被害が発生した日の気象状況(降雨量・多摩川の水位など)・排水樋管の役割とその日の操作状況・原因と今後の対

策について説明があった。その後、住民からの質問を市側の各担当者が応える形で、約2時間半程の説明会だった。会

場の住民からは、市側の説明に対し、怒号や叱責が飛び交い一時騒然となった。実際に浸水被害に遭った方達からす

れば、市側の説明がとても納得できないものだったためだろう。聞いている私も ? ? ? という答えが多かった。


話はちょっと変わって恐縮だが、私の生まれ故郷の長野でも、今回の台風19号の大雨で千曲川が氾濫し、堤防決壊

と浸水被害が甚大だった(TVニュースで新幹線基地の水没なども伝えられたが)。長野市の南側にある松代町(江戸時

代の真田藩統治)でも浸水被害はあったが、それは増水した千曲川の排水門を閉じたためだった。友人の話によると

内水氾濫はあったが、千曲川の堤防に設置された水門を閉じたことで、本流からの逆流を防ぎ、被害は最小限に抑え

られた、と聞いた。過去の水害経験を沢山経てきている所では、今でもその知恵がちゃんと生きているのを教えら

れた。


国土交通省(関東整備局 京浜河川事務所)作成の「多摩川河川維持管理計画」(平成29年3月作成) には、水門・樋門の

管理について以下のように規定されている。


「樋管・水門については、堤防としての機能、逆流防止機能、取水・排水及び洪水の流下 の機能等が保全されるよう、

維持管理するものとする。 樋管は、取水又は排水のため、河川堤防を横断して設けられる函渠構造物である。出水 時

にはゲートを全閉することにより、洪水の逆流を防止し、堤防としての機能を有する重 要な河川管理施設であること

から、連続する堤防と同等の機能を確保するよう常に良好な 状態を保持するものとする。」(66ページ)


狛江市の許可工作物として国から維持・管理を任された市担当者たちは、国と連携して、あるいは訓練・指導を受け

て、増水時の樋管管理を万全に実施できたのか? 大いに疑問である。排水樋管とは言え、第一に堤防である、という

ことを忘れたか? 


狛江市側の説明①樋管の役割について:「市内に雨が降っている場合は、その降雨により市内に水が溜まってしま

うため、樋管を閉めることで返って水害を引き起こしててしまう恐れがあるー 詭弁である。樋管管理の原則に

則っていない。


狛江市側の説明②猪方排水樋管の操作状況「石原の水位観測所水位が6mを越えたため、安全を考慮して職員

は退避(当夜19:30)。引き続き降雨が見込まれたこと、多摩川への流れが確認できたことにより、開門のままとした。」

ー 嘘をついている。多摩川の最高水位が続いている状況で、逆流こそあれ多摩川への排水はありえない。


狛江市側の説明➂浸水原因:「多摩川の水位が上昇したことに伴う、市内排水不良によるものと思われる。」

ー 開けたままの水門からの逆流によるもの、ということを認めようとしない。


狛江市側の説明➄今後の対策について:「多摩川の水位を下げることが根本的な解決策であるが、今回起きた事象

について原因を究明し、対策について検討を進める。」ー ピントがずれている。責任転嫁としか言いようがない


「もっと早く樋管の水門を閉じていれば、被害の拡大を防げたはずだが、誰が(閉門を)指示したのか?」の出席者の

質問に対し、狛江市側の説明➅樋管を開けたままにするよう指示した担当部長(下水課を統括する環境部部長)の説明

:「私が指示しました。」のみ。 判断ミスを認めようとしない。 


(赤文字はブログ本人の見解)。


説明会出席住民からは、猪方・駒井地区では市職員が退避したという19:30以前の17:00ころには、すでに下水管か

ら泥水が噴出していたという証言や、市職員が退避する前に逆流はあったという証言が相次いだ。被害を拡大させ


た市側の責任は免れないと思う。狛江市が維持・管理する2ヶ所の排水樋管の開閉問題については、大手メディア


の取材記事がなく、東京新聞だけがこの問題を追及して来た(同じ担当記者による)。その記事(11月10日)によると、


最後にこう書かれている。



 「説明会に参加した都水道局の元職員は「当時六メートルを超えていた多摩川の水位と排水路の高さを比べれば


水門を閉めるのは当然だ。賠償問題に発展する恐れがあるため、市は責任問題を回避し言い逃れに終始した印象だ」


と語った。



的を得ていると思う。市側は、45年前(昭和49年)の多摩川大水害(堤防決壊により19戸の家屋が倒壊し流された)の


後に起こった住民訴訟(18年の長きにわたって争われ、平成4年に住民側勝訴となった)の轍を踏むまいと、初めから


責任逃れをするために、色々な説明書類を用意してきたと思われても仕方ないだろう。市側は原因究明と対策を今


年度中にまとめる、としているが、被害をこうむった住民側からは、損害賠償の訴訟が起きる可能性は大だ。樋管


水門を開けたまま放置した責任を潔く認め、住民への補償を速やかに進めることが、一番の早い解決方法だと思う


が、行政はどう動くだろうか? 最近の国政の不祥事を何度も見せられ、責任を明確に採らない議員や役人たちを見


ると、事市政とは言え先行きが危ぶまれる。ただ一つの救いは、人的被害がなかったことだった。



東京新聞記事(11月10日)

2019年11月5日火曜日

GP前半戦からファイナル戦を予想する(ISUフィギュアスケート2019-2020) その2



今年3月のFS(フィギュアスケート)世界選手権女子シングルで、エリザベート・トゥルシェンバエワ(Kz19歳)が、シ

ニア戦で初めて4S(4回転サルコウ)ジャンプを決めて以来、女子FS国際競技会も男子並みの「4回転時代」に入って

しまった。ジュニア戦では、すでにロシア女子選手たちが4回転ジャンプをプログラムに組み込み、熾烈な戦いを続け

ていたが、今シーズンはそれがそのままシニア戦で展開されることになった。トゥルシェンバエワだけでなく、アン

ナ・シェルパコワ(ロ15歳)、アレクサンドラ・トゥルソワ(ロ15歳)、4回転は飛ばないが3A(トリプルアクセル)を駆

使するアリョーナ・コストルナヤ(ロ16歳)等がすべて、エテリ・トゥトベリーゼコーチ(サンボ70所属)の教え子たち

であり、1~3種類の4回転ジャンプをプログラムに入れて来ている。いやはや、大変な時代になってしまった。実際に、

前半戦のエントリーを分けて出場してきたロシア3選手は、GP3戦に各々勝利しているから驚くべき成績だ。画像はISU

・HPより




A.コストルナヤのフランス杯FS(フリースタイル)演技を見て、そのゆったりと安定した動き・クリアなエッヂワーク
に感心した。文句なく美しいのだ。ジャンプも3A+2T(トゥループ)、3A、3F(フリップ)+3T、すべてGOE(出来栄え
点)2点以上の評価だ。ジャンプの質の高いのは、減点(回転不足・明確でないエッヂ・悪いエッヂ)が皆無なことにも
驚く。合計得点236.00、若くして完成度の高い彼女の演技は、ファイナル戦でも表彰台に上がる可能性が高い



3種類4本の4回転ジャンプをプログラムに組み込むことなど、今までの女子シングルでは考えられない次元の演技を
見せてくれたA.トルソワ、しかもスケートカナダFS(フリースタイル)では、4T+3Tと2AのGOEはともに3点台の高評
だ。合計得点240.02は今シーズンの最高得点、しかもジャンプGOEマイナス評価なし。いやはや、とんでもない
が出て来たものだが、唯一死角があるとすれば4S(サルコー)のようなジャンプ失敗による転倒だろう。完璧に滑っ
たら誰も敵わないかもしれない。



A.シェルパコワは、初戦スケートアメリカで最高難度の4Lz(ルッツ)をプログラムに組み込んできた。コンビネーション
を含む2本のLzジャンプのGOEは3点台(1本は2.96)という高評価だが、他のジャンプ(3Loと3S)は回転不足の評価だった。
ここを修正して来れば、合計227.76という今回の得点を上回る可能性がある。いずれにしてもトゥトベリーゼ・コーチ
は、得意ジャンプも個性も違った選手たちを送り込んできた。そこに、したたかな戦略を感じるのは私だけではあるまい。




図式的には、「4回転ジャンパー VS 4回転を飛ばないジャンパー」という見方も出来るが、4回転を軸にする選手、

3Aを組み込んだ選手・3回転とコンビネーションで勝負する選手、いずれにしても演技の正確さ・出来栄えがカギとなる。

総合的に演技の質が高く美しい選手に栄冠が輝くのではないか? ある意味では、FS(フィギュアスケート)の王道を行く

選手が表彰台に立つだろう。大試合の緊張感の中で実力を発揮できれば、ロシア少女たちにも勝機はあるだろうが、

4回転ジャンプを飛ばないで演技の正確さと質で勝負する、完成度の高い選手達にも勝機はある。恐らく230点台、ある

いは240点台の攻防となるだろう。この高い得点レベルに達しない選手の表彰台は、かなり可能性が低いと思われる。

いずれにしても、手に汗握る面白い試合が展開されるのは、とても楽しみだ。




紀平梨花(日17歳)の勝機は、3Aの成功に掛かっている。もともと演技のGOEマイナス点がなく、ジャンプ・ステ
プ・スピンの演技バランスが良いタイプなので、スケートカナダの冒頭3Aの不首尾を修正して来れば、合計得点
230.33にプラスする可能性は高い。ぜひ、ロシア勢に一矢報いてほしいものだ。



女王アリーナ・ザギトワ(ロ17歳)のフランス杯演技は、4つのジャンプに回転不足があり得点が伸びなかった(計216.06)。
これをシーズン初めの仕上がり不足と見るか、それとも修正して巻き返してくるか? いずれにしても、今年の世界選手権
のように(得点237.50)、4回転を飛ばなくても演技の完成度を示せれば勝機はあると思う。



さて、3Aを武器とするベテランのエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロ22歳)、同じく3Aをプログラムに組み込んでき

た新星ユ・ヨン(韓15歳)、そしてフランス大会で気を吐いたマライア・ベル(米23歳)も、ファイナル戦に出場を狙う

選手たちだ。トゥルシェンバエワは今季欠場、日本女子選手(坂本花織・樋口新葉)も前半戦表彰台に上がれず出場は

難しい。ブラディ・テネル(米21歳)も2大会2位・4位(評価点22)では、可能性は低い。25点当たりが出場当確のボー

ダーラインだろう。10代半ばの女子選手たちが席券する女子シングルの状況を見ると、世界選手権2連覇(2016/2017

年)とGPファイナル2連覇(2015/2016)を達成したE.メドベ―ジェワ(ロ19歳)の姿は、表彰台にはない。この様に短命

な有力選手はロシアには特に顕著で、熟成されたスケーティング技術を表舞台で披露せずに消えていくのは、誠に残

念なことだ。勝負世界の運命と言えばそれまでだが、技術至上主義・試合に勝つことが選手とコーチの使命という状

況は、何時まで続くのだろうか? 30代になっても、美しい滑走技術と表現力で観客を魅了したカロリーナ・コストナー

(伊32歳)は、今どうしているだろうか?

 ともあれ、これからのGP後半戦とファイナル戦を、楽しみに観戦したい。


<この項終わり>