2019年11月25日月曜日

晩秋の信濃路・温泉三昧の旅(その2.海野宿と上山田温泉)




旧北国街道沿いに続く海野宿の街並み。江戸時代に宿駅として開設され大いに栄えたが、明治時代になってから宿場
の機能は失われた。しかし、宿場時代の広い部屋を利用して、養蚕・蚕種業で復興し、養蚕業が衰退した後も家屋と
街並みが、現在まで残されている貴重な歴史遺産だ。(白鳥神社と海野宿案内より)  All Photo by Jovial TAKA



今回の旅は、予定があるようでないような旅なので、その日の行く先は宿の案内やエリアマップを見ながら決めて

行く、というアバウトなものだった。別所温泉界隈は以前来た時にお凡そ見ているので、まずは海野宿に行って見

ることにした。途中通った塩田平の里山風景:なだらかな丘陵地帯に広がる田畑(稲の刈り取りはとっくに済み)や

山並みの紅葉をゆっくりと眺めた。いかにも田舎の原風景という趣きで懐かしい思いがした。しなの鉄道大屋駅と

田中駅の中間地点、18号道路と鉄道線路の南側で千曲川に挟まれるように、海野宿の静かな佇まいの街並みがあっ

た。平日とは言え訪問客もちらほら、初めて訪れる宿場の連なり(伝馬宿と旅人宿合わせて80数軒が残っている)を

歩いてゆっくり見て廻った。街中を流れる水路は白鳥神社の湧き水が源で、旅人が足を洗ったり伝馬の飲み水とし

て使われたという。



伝馬宿のなごり、塩なめ石とは珍しや! ここに当時は貴重な原塩をたっぷり盛ったのだろう。



上部画像と反対側(南側)の街並み、板格子戸はこの宿特有の作りだ。道路に建てられたランドマークには、
舊(旧)北国街道の表示があった。



宿場町のはずれの白鳥神社の脇には、媒(なかだち)地蔵尊が鎮座されていた。「なかだち」というからには、
何かと「ご縁」にご利益在り! ということで、早速賽銭を上げてお参りをした。



食事処や手織り布を扱う民芸店などを覗きながら、街はずれまで来てみると古びた神社があった。平安の昔から

海野氏の氏寺として、またその子孫の真田氏により尊宗をうけた由緒ある歴史を持つ白鳥神社は、海野宿界隈の

鎮守神として土地の人々から崇められているのだ。境内には3本のケヤキ古木があり、御神木の1本には「推定樹齢

700年・樹高35m・幹回り5.8m」の看板が建てられていた。私もこんなケヤキの古木は初めて見た。




白鳥神社の鳥居から本殿を臨む。晩秋の青空から陽射しがさんさんと降り注いでいた。



御神木の裏側に廻ってみると、巨大な人鼻のような幹コブがちょっとユーモラスな眺めだった。



ケヤキの葉も、空気が清冽な土地ではこんなきれいな黄色に色づくのに感心しきり。



前夜宿泊した別所温泉の露天風呂に浸かっていたら、湯船に入ってきたおじさん(私もおじさんだが!?)から「田中橋

が崩落していたので、ずいぶん遠回りした来たよ。」との情報があった。白鳥神社を見終わって、すぐ脇を流れる

千曲川を覗いてみたら、河川敷では大規模な工事をしていて(ブルトーザーやクレーン車数台)、その先の橋が真っ二

つに崩れ落ち道路が無くなっていた! その隣に設けられていた駐車場も、道路と一緒に跡形も無く消えてしまっていた。

その後、今夜の宿泊先・上山田温泉に行く途中で、別所温泉に通ずる上田電鉄の鉄骨架橋が、今回の豪雨で落ちて

しまったのをニュースで知っていたので、怖さ半分・野次馬半分で見てみた。ここも工事中で車は止められないの

で、上田橋の脇にちょっと停車して覗いてみた。現在復旧工事が進められてはいるが、線路の土台と左岸の補強を

して開通に至るまでは、大変手間ひまがかかることが予想される。

田中橋(海野橋)と上田電鉄架橋の崩落場所を見ることが出来たが、未曽有の被害をもたらした台風の爪跡を確認する

こととなった。現地に来たら、都会では報道されていない被害場所に遭遇するだろう、というおぼろげな覚悟はあ

ったが、やはりそれは相当のものであった。時間をかけて復旧し、再び観光客が安心してこられる環境を整備して

もらうことを及ばずながら願った。



台風19号の豪雨により千曲川右岸が大水で浸食され、海野宿に繋がる橋(海野橋・田中橋とも言われている)と道路
の崩落に至った。画像は「しなの鉄道NEWS」(10/19)より。橋下の線路は無事だった。



豪雨により、千曲川左岸の鉄骨架橋の土台と一部が落ちてしまった上田電鉄路線、宙づりの線路が痛ましい。画像はKYODO NEWS(10/13)より。



あの豪雨による大増水がうその様に減水して静かな流れの千曲川、橋の復旧にはまだまだ時間がかかりそうだ。



その夜の宿泊先は、上山田温泉の「梅むら旅館うぐいす亭」という和風旅館で、如何にも温泉街の宿というこぎれ

いな雰囲気だった。連れは小学校のクラス会で食事を別のホテルでするというので別れ、宿の女将から案内しても

らった和食屋(臨時休業だったので、別の居酒屋で一杯)で食事し、ついでに教えてもらったカラオケスナックに出

陣し大いに歌いまくった。まだ早い時間だったので、店のママ相手に7~8曲、久し振りのカラオケタイムにスッ

カリ寛いだのだった。ご機嫌で帰還の後、宿の温泉にゆっくり浸かり、その夜は昼間大いに歩き回った疲れも出て、

早目にぐっすりと眠ってしまった。



当宿の大浴場、「泉質は低張性・弱アルカリ性質の単純硫黄泉」と案内されている。今年の6月に、私の小学校
クラス会をご当地の別のホテルで開いたが、その時もやわらかですべすべする泉質がとても気持ち良かったのを
思いだした。群馬草津温泉のややきつい硫黄泉(強酸性)に較べると、信州の温泉は身体当たりが心地よいと感じる。



湯元の源泉かけ流しで湯量もたっぷり。



朝食も和食で、今回はほんとによく食べた。普段はこんなに食べないので、恐らくしっかり体重を増やして帰ること
になったと思う(帰ってから計ったら案の定1㎏増えていた! )。3画像は宿のHPより




さて、旅の終わりのコースは、上山田から18号道路を走り、浅間サンラインの途中にある「雷電くるみの里」(こち

ら周りのコースでは必ず立ち寄る道の駅)に寄り、お土産の高原野菜とリンゴをたっぷり購入。小諸インターから

関越自動車道→佐久インターで中部横断自動車道で八千穂高原インターまで。その後は、野辺山でお馴染みのビッ

クリ市場でジャムなどを購入。長坂まで来てから、来年の渓流釣りのために釜無川の支流二つ(大武川と小武川)を

ちょっと覗いてから、韮崎で中央道に入り、調布まで一直線だった。野辺山から長坂に抜ける途中、何時もは雲に

隠れて見えない八ヶ岳の景色がとてもきれいだったので、八ヶ岳高原大橋で車を止め(駐車場がある)、しばらく快晴

の空の下に広がる八ヶ岳の山姿をじっくりと眺めた。これは、おまけのお土産だった気がした。




めったに見られない八ヶ岳の全容、ふもとの紅葉もきれいだった。


川俣川に架かる大橋は、全長490m・高さ100mで「黄色橋)と呼ばれているそうな。何度もと通っている橋だが、
車を止めて八ヶ岳を見たのは初めてだった。


<この項終わり>


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