2019年11月23日土曜日

晩秋の信濃路・温泉三昧の旅(その1.めがね橋と別所温泉)




「碓氷第3アーチ」(めがね橋)の威容、130年近く経ってもびくともしない堅牢なレンガ造りは、当時の建設に携わ
った人たちの技術の高さと美的センスの良さを今も残してくれている。脇の階段からアーチの上に上り、廃線となり
整備された旧信越本線の遊歩道を、熊野平駅方向と横川駅方向に行き交うことが出来る。All Photo by Jovial TAKA



10月の台風19号・25号の暴風雨は、日本各地に甚大な被害をもたらし、関東・甲信越でも河川の氾濫(堤防決壊や

浸水被害)が多発した。そのため、秋の行楽も差し控えていたのだが、冬が来る前のラストチャンスということで、

馴染みの信州に出かけてみた。ただし、今回はすでに釣りシーズンも終わっているし(例年9月末で禁漁に入る河川

がほとんど)、音楽シーンも、10年以上続けていた「かようかい」も終了し、ライブ出演もひと段落しているので、

ゆっくりと温泉に浸かってこよう! という大雑把な目的だけで出かけた。一応、故郷長野の千曲川氾濫被害に遭った

観光地を応援しよう! という目論見もあったのだが、泉質の良い別所温泉と上山田温泉に宿を取り(連れが手配し予

約してくれた)、後は晩秋の信濃路をゆっくりドライブしようという予定だった。



めがね橋の上からの眺めは、また別の趣きがあってとても良かった。平日とは言え見物客が結構多いのにはちょっと
驚いた。紅葉も、晩秋とは言え各所に残っていて、もう終わりかな? と思っていた紅葉を見られたのは思いがけない
喜びだった。




当朝狛江の自宅に迎えに来てもらい、車は都内から練馬インターで関越自動車道に入り松井田妙義インターで降り

て、旧道18号道路(中山道)を登って横川を通過、2時間弱で碓氷第3アーチ(通称めがね橋)に着いた。この橋は、明治

25年(1892年、今から127年前)に、イギリス人と日本人技師の設計により竣工されたレンガ造りのアーチ橋で、信越

本線の急勾配鉄路を登るために、アブト式の車両に牽引されて客車は横川―軽井沢間を走った。その後、昭和38年

(1963年)に電化車両による新線と新橋が開通し、アブト式区間と駅は廃止されたのだが、当時の駅長(横川)や関係

者らの努力により、解体予定のこの橋と一部線路区間が保存され、現在その優れた技術による芸術的な歴史遺産と

して、多くの観光客を集める名所となっているのだ。私の大学生時代は、東京のから長野への帰郷の際は、列車は

横川で牽引車両を前に付けて゛ガチガチ゛というアブト式歯車の音を聞きながら、ゆっくりと急こう配の線路を登

って行ったのを今も鮮明に覚えている。その鉄路音で「あぁ、長野へ帰るんだなぁ!」という気持ちが強くなって行

ったのを思い出すのだ。50年以上も経ってから、このめがね橋を下から・上から見ることが出来たのはとても懐か

しくて楽しかった。




国道18号道路の碓氷峠・カーブ(全部で184あるという)には、カーブごとに番号標識が付されていて、このカーブ
は第97カーブだ。天然モミジのシーズン最後の輝きが、昼時の晴れた陽射しの中でとてもきれいだった。



しばし車を止めて、行きゆく秋の色を楽しんだ。高原の清涼な空気の中では、紅葉色もひと際鮮やかに見える。




晴天に恵まれ(この3日間ともに)、予想していた以上にめがね橋と碓氷峠の紅葉がきれいだったので、すっかり気分

が良くなった。軽井沢で昼食を取り(和食屋さんのランチだったが、なかなか美味かった)、18号道路を追分で浅間サン

ライン(県道80・79号道路)に入り、小諸・東御の山麓を快適に走って、しなの鉄道田中駅の手前で千曲川を渡った

ら、そのまま依田川もわたり、田園の中を走って別所温泉に3時半頃到着した。今夜の宿は、この温泉街の旅館組

合長氏が営む老舗「上松や」だった。

早速浴衣に着替えて温泉に浸かった。夕方の暮れ行く塩田平の景色を見ながら、ゆったりとお湯に浸かるのは実に

気持ちが良い。「あ~! 極楽、ごくらく!」と言いながら、湯船を出たり入ったり、半身浴と全身浴を繰り返したり、

長めのお湯を楽しんだ。宿の案内によると、泉質は弱アルカリ性の単純硫化泉で、豊富に湧き出る源泉をかけ流し

ているので、とても滑らか、美肌効果もたっぷり、とのこと。確かに湯上りした後もぽかぽかと身体が温まってい

て気持ちが良かった。




大浴場や館内各所には、真田家ゆかりの六文銭が随所に掲げられているのが興味深かった。温泉は、水色がかった
透明色で温度も高すぎず丁度良い。長湯していても茹だることもなかった。



露天風呂の打たせ湯で、肩をもみほぐすのも気持ち良し。



露天の釜風呂は、六文銭をあしらった赤作り、外の脇には色づいた柿の実がたくさんなっていて、季節の風情を
プラス。色々なタイプの温泉を味わえるのも、この宿ならではの趣向だった。3画像は旅館HPより。



さて、温泉には夕方・夜・翌朝と3回楽しませてもらったが、宿の食事もなかなかのものだった。夜は部屋での食事、

朝は宴会場で他のお客と一緒だったが、「料理思考室長 小西泰助」氏の設えた料理がお品書きとともに配膳され、

柔らかな和食の味がとても美味しかった。地産の食材(野菜や調味料・スモークサーモンや黒毛和牛、福味鶏や岩魚

・塩田産コシヒカリなど)をふんだんに使った献立は、とても食べ切れないほどだったが、ほとんどお腹に収めてし

まった。地産の「福無量」という純米吟醸酒も、香り良し・のどごし良しで、心地よく酔わせてもらった。

朝食の献立も種類が多く、「これは食べ過ぎてしまうね~」と言いながら大方平らげてしまったのだから、やれ

やれ相当食い意地が張っていたに相違ない。温泉と言い食事と言い、とても寛げた宿だった。たまにはこういう

大名旅行もいいね、と言いながら、食べ過ぎだけは要注意! と確認しあった。当館は「お一人様旅行」歓迎をうたっ

ている宿で、一人旅の方もちらほら、団体様のクラス会一行や熟年夫婦連れなど、宿はかなりにぎわっていたので、

千曲川大水害の影響も一応乗り切っておられるな、と得心した。




夕食の前菜「季節の七久里籠盛り」盛り合わせも美的だ。私的には、信州サーモンと岩魚の刺身(珍しい、なかなか
食べられない!)が美味しかった。



信州産黒毛和牛の鉄板焼きも焼き上がりが柔らかくて美味しかった。赤塩とわさび味噌・ニンニク醤油のつけ味
3種もよかった。



朝食の一部、山菜やキノコもたっぷり、馬肉の時雨煮は珍味だった。3画像は宿のHPより。



<この項つづく>


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