2021年11月23日火曜日

紅葉・温泉・会席膳を楽しむ ( 晩秋の甲斐路旅 )



河口湖の北側湖畔には、鮮やかに色づいた紅葉が沢山植えられていて、西湖・精進湖につながる街道沿いにも数々の
紅葉スポットがあった。あまり知られていない紅葉スポットを見つけられたのは幸運だった。富士山は、山梨県側
から眺めるのが一番稜線の美しさを楽しめる。Photo by h.k.


今年の秋も深まってきましたが、コロナ感染が落ち着いてきていることから、「ちょっと旅行に出かけたいね!」と

いう方々も多いことと拝察しますが、かく言う私も「やはり、きれいな紅葉を見て、温泉にゆっくり浸かって、何か

美味しいものを食べたいね!」という辺り、皆様と何ら変わらぬ嗜好であります。ということで、今年の春先に出かけ

てとても印象が良かった宿(湯めぐり宿笛吹川)を予約して出かけてみた。例によって天候の良いのを確認してからの平

日旅なので、宿OK・天候問題なしの近場旅となった。今年に入ってからも山梨県(北杜・野辺山・笛吹・勝沼+南佐久

など)にはよく出かけていて、数えてみたら6回もの小旅行を楽しんでいる。連れと二人で「私たち、かなり不良だ

ね!」と笑いあった。




昇仙峡の荒川沿いの遊歩道の一角、有明橋近辺が今回一番の紅葉スポットだった。鮮やかに色付いた紅葉の葉には、
緑残り・黄色・紅のグラデーションが秋の陽射しに映えていた。目の保養とはこのことだろう。
以下、All Photo by Jovial TAKA



今回は少しコースを変えて、中央道の大月から山梨南端の河口湖に廻り、湖畔の紅葉を見ながら精進湖(しょうじこ) 

→ 芦川渓谷を経て甲府盆地に入り、そのまま市内から石和温泉の宿に入るというものだった。河口湖湖畔の紅葉

スポットは、平日とはいえ人出も多かったが、西湖を通って精進湖に抜ける街道は紅葉が沢山見られて、なかなか

いい景色だった。一方、山を下る途中の芦川渓谷はこれと言って見られる物もなく、早々に盆地に入った。石和温泉

駅でお土産(゛巨峰サンド゛なる洋菓子や煎餅の゛千両餅゛)をゲットしてから宿に向かい、早めのチェックインとな

った。

翌日は、紅葉の名所と言われる゛昇仙峡゛を見てみようと繰り出した。着いてから解ったことなのだが、丁度1週間

前が紅葉のピークだったらしく、色が褪せたり葉が落ちたりしている紅葉もあったが、そこここに素晴らしい紅葉が

残っていてその美しさを堪能した。トップシーズンや週末は交通規制(通行止めや一方通行など)がされているので、

渓流荒川を見下ろす渓谷の道は、歩いて紅葉狩りをする人が多かったが、当方は1通の細道をゆっくり車で移動しな

がら、時折車を止めての紅葉観賞だった。トップシーズンには見物客が押し寄せるので、いい日取りとウォーキング

がよろしいのではと思われた。




渓谷の流水と紅葉のコントラストも各所で見られた。




 同じ有明橋辺りでの、紅に染まったモミジ。秋の木漏れ日で見るのも一味違う景色だ。



宿の温泉は、源泉かけ流しの大風呂(男・女とも露天風呂付)と、貸し切り小露天風呂3つが売りだったが、今年の春

新たに2つの貸し切り内風呂も加わって、7つの温泉を楽しめるというから楽しみにしていた。平日でお客もやや

少ないのが幸いして、一人で貸切風呂にゆったり浸かれるのはとても贅沢なことだった。湯質も単純アルカリ性の

なめらかなもので、湯上り後もぽかぽかと身体が温まっているのは、なかなか気持ちよかった。宿の女将も3月に

一度来ているのを覚えていてくれて、とても愛想が良かった。従業員の方たちのサービスも行き届いていて、何より

も部屋(客室やトイレ・洗面所など)が清潔で、和風の調度が洗練されている(材質・色合いや柄など)のが心地よかっ

た。浴衣やタオルなどにもそれが感じられ、なかなか万事行き届いた宿であることを感じさせてくれた。



宿の貸切風呂「燈籠の湯」、黒色陶器製の落ち着いた雰囲気。椅子や箱庭も季節の景色を楽しめる仕立てだ。画像は
宿のHPより


同じく、「色彩の湯」はひのきの浴槽(画像は新装当時のもので現在はやや色が落ち着いている)、とにかく湯量

豊富な源泉かけ流しなので、ザブンっと入れるのはいい。



さて、お目当ての夕食だが、今回は「霜月の会席膳」(料理長碓井氏あつらえ)なる和食で、連れは゛キスヴィン ブラン゛

のワインを、私は゛笛吹川゛本醸造本生の冷酒を飲みながらのゆったりとした食事となった。下にお品書きを載せ

ておくが、前回の「弥生の会席膳」と重なるものは「強肴」(しいざかな:メインディッシュのこと)のみであり、他7

品はすべて地産の食材を仕立てたこの季節ならではの逸品だった。これには、リピーターとしての喜びは大だった。

一品ごとの量は僅かなものの、素材・゛生 / 焼く /煮る゛の調理と味付け ・様々な器のあしらえなど、和食の粋を

尽くした料理長のこしらえは一級品だと感じた。連れは、最近の京都旅行で有名な会席料理店(かなり高価)で食べ

た内容よりも、味・価格(コスパ良し)・盛り付けともにこちらが上と言って感激していた。一品ごとにカメラ撮影を

した画像を、編集ソフトでコラージュしてみたが、器や盛り付けを愛でる楽しさが映し出されている(と私は思うの

だ)。合わせたお酒もすっきりとして美味しく、料理とお酒の゛マリアージュ゛が堪能できた。







「霜月の会席膳」では、甲州八寸(右上)・椀物(右下)・御造り(左下)・焼物(左上)の順にまず卓上にサービスされた。
案内係の料理紹介も丁寧に過ぎずまたわかりやすくて良かった。詳しくは上のお品書き一覧をご覧あれ! (あまりに
食材が多くてとても書ききれないので)



次には、蓋物(左上)・強肴(この下部)・お食事/止椀/香の物(下)・本日のデザート(右上)と、全十品のお膳だった。



甲州和牛とワイン牛2種のローストビーフは、旨いことこの上なし。



翌朝の食事は、ほぼ前回と同じメニューだったが、ご飯をお替りしてしっかり食べ昼食がほとんどいらなかったほど

だ。今回の小旅行では、河口湖湖畔の紅葉スポットを新たに発見できたし、最盛期は過ぎてはいたが、昇仙峡の素晴

らしい紅葉景色を味わえたし、ゆったりと温泉に浸かり美味しい料理を食べられたので、とても゛満足、満足゛の旅

となった。今後しばらくは降雪と氷結のシーズンとなるので、車での遠出は控えねばならないが、ここ3年程の近場

旅でいろいろな魅力あるスポットを体験できたので、また次のシーズンの楽しみにしたいと思う。コロナの感染状況

が大いに改善されることを願うばかりだ。




朝食も美味しかったので、なぜかしっかり食べてしまった。昨夜の会席膳は各品々が少量づつだったので、お腹には
ちょうど良かったのだが...要注意であります!




2021年11月18日木曜日

テンカラ 再び 事始め

 


再びのテンカラ釣り準備色々。竿(ロッド)はつるや〇製 毛鉤硅竹三.三(手前)、ライン・ハリ素・毛鉤をつけた仕掛け
2巻き(中段真中)、ミシン糸各種(遊び友のミシン材料から不用のものをゲット!)、羽各種(クジャク・オン鶏・メス雉
の尾羽ー上段)、毛鉤手巻きキット(バイス・ハサミ・接着剤・羽根・針などをコンパクトに入れて、持ち運びできる
箱入りキットーRestaffine Products製)、残っていた雉の剣羽・白色茶色の雄鶏羽はまだ使えるのが嬉しい。
All Photo by Jovial TAKA



渓流釣り(対象魚はイワナ・ヤマメ・ニジマスなど)は、今オフシーズンだ。例年10月から翌年の3月(県や漁協に

よっては2月中旬)まで、繁殖保護のため各地の渓流は禁漁となる。管理釣り場(釣り堀やフィッシング・センター)や、

河川一部のC&R(キャッチ アンド リリース区間)は通年営業となるが、冬季は水温も下がり魚の活性も落ちてしまうの

で、大方の釣り人は春の解禁を待ちながら、オフシーズンを過ごすこととなる。ここ2年間はコロナ感染の影響で、

県境をまたぐ移動や人との接触を避ける行動を余儀なくされて、満足のいく釣行ができなかった方々も多いと思う

が、かくいう私も渓流釣りを楽しむ機会がかなり減ってしまった。コロナの感染状況は昨今急激に収まってはいる

が、今後来年にかけて再びの感染拡大(第6波)があり得るかも知れないし、ワクチンや治療薬のおかげで大したこと

にはならないかもしれないし、そこんところは誰にもわからない。しかしこの冬場を、釣り人は水辺で過ごす至福

の時間をイメージしながら、次のシーズン到来を待つのだ。




昔巻いた毛鉤(左ケース上)は、針の大きさの割には胴や羽部がやや小さくバランスがいまいちだ。市販の毛鉤(ケース下)
を使った流し釣りでは、尺ヤマメやニジマスを釣り上げた実績もある。新しく巻いた毛鉤(コルク刺し)は、なんとなく
餌の虫らしく見えるのは、ちょっとひいき目か?



近所の多摩川での毛鉤流し釣り(オイカワ・ウグイ・アユなど)や、北アルプス山麓の渓流(姫川と安曇野の犀川支流)

での餌釣り・毛鉤釣り(イワナ・ヤマメ・ニジマス)、また神奈川県中津川でのヤマメ釣りや、山梨県北杜地区渓流で

の餌釣り・毛鉤釣り(ヤマメ・イワナ)など、ここ9年間ほど色々な釣りを楽しんできた。流水の中に立ちこんだり、

ごつごつ岩を乗り越えながら遡っていく渓流釣りには、体力もいるし身の危険も伴う。今後どんな釣りをやってい

こうかと考えた時、やはり一番シンプルな釣りに戻ろうかと思い至った。それは、竿と仕掛け糸と毛鉤だけで構成

されるテンカラ釣りだ。山間地区の貴重なタンパク源や、温泉宿の料理メニューとして、日本古来の職漁師がイワナ

やヤマメを釣るために考案し駆使してきた釣り方法だ。

しかし昨今、このテンカラ釣りが食糧確保ではなく、ゲーム・フィッシングとして渓流釣りファンの中で静かなブー

ムになっているのには驚いている。餌釣りやフライ・ルアー釣り師たちも、テンカラ釣りを併せて楽しむ人が増えて

いるのだ。これには、PCやスマホによるインターネット動画の普及も大いに影響があり、数多くのテンカラ釣りの

動画や映像を見られるのは喜ばしいことだ。私自身もテンカラの匠・石垣尚男氏や、源流居酒屋よーこ女子の山岳

渓流テンカラ釣りの動画を興味深く見たりしている。巨石などない穏やかな流れの河川で発達した欧米のフライ・

フィッシングでは、マス族の捕食する水中昆虫や羽化する成虫の生態研究から、数多くの毛鉤パターン(色や形・

素材)が考案され、実際に販売されたり釣り人自身が毛鉤を作ったりしている。それに比して、岩や石の多い急流

の中で淵や瀬が連続する日本の山岳渓流では、フライの様に長いラインは不要で、短めの竿にラインを結びその先

に毛鉤をつけて魚の居るポイントに落とす方が地の利にあっていると思う。




12サイズのバーブレスフック(返しなし)に巻いた自作の毛鉤6本、右から順に①黒ミシン糸の胴と茶の雄鶏羽 ➁クリーム
ミシン糸胴と白の雄鶏羽 ➂クリームミシン糸胴と雌雉(ヘンフェザント)の尾羽 ④薄茶ミシン糸頭に孔雀羽の胴・こげ茶の
雄鶏羽 ➄クリームミシン糸の頭に灰色雄鶏羽胴・雌雉の尾羽 ➅黒ミシン糸胴と黒茶の雄鶏羽。同サイズの針(#12)を使って
いるが、右2本は、小さめの#14サイズとして使う予定。



思い起こしてみれば、40年以上も前に渓流釣りにのめり込んでいた時に、私自身もテンカラ釣りを試みたことがあっ

た。当時京橋にあったつるや釣具店にしげしげと通い、渓流釣りの和竿を入手したり、ついでにテンカラ竿や毛鉤

キット・毛鉤材料を買い求めていた。雉(キジ)の剣羽・鶏の羽・クジャクの羽で毛鉤を作り、撚糸(テーパー)ライン

も作って渓流に繰り出したのだった。多くは餌釣りの合間にちょっと試してみるというレベルだったが、たまに釣

れるもののやはり餌釣りの釣果にはかなわないので、いつの間にか竿も毛鉤も使わずじまいになっていた。今、当時

の毛鉤制作キットや巻いた毛鉤を取り出してみると、キットも材料もまだ充分に使えるし、このオフシーズンにま

た何本かの新しい毛鉤を作ってみたくなった。

テンカラの匠・石垣氏(大学教授にして医学博士、専門のスポーツと視力の研究から、科学的にテンカラを解説した

著書も多い)によると、魚の視力は0.1程度でほとんどピンボケであり、水中のエサもぼんやりと見えているに過ぎ

ない。だから、餌と思しきものをとりあえず口にくわえ、違ったら吐き出すし、色彩も(白黒の明暗を除き)ほとんど

識別できない、とのこと。「つまり、渓流魚は毛鉤をセレクトしないという発想のテンカラは合理的である。」(『超明

快 レベルラインテンカラ』つり人社)、このコンセプトは驚きであると同時に゛眼からうろこ゛でもあった。つまり、

下手くそ・いい加減な造りの毛鉤でも、季節や時間帯・淵や瀬のポイントを的確に選べば、毛鉤の出来のいい悪い(?!)

は釣果と関係ないということになる。ふたたびテンカラを始めようという私にとっては大いに励みになるし、とても

気が楽になる言葉だった。



「超明快 レベルラインテンカラ」石垣尚男著・つり人者 2011年刊、テンカラの基礎から応用まで、テンカラ歴35年
の著者がわかりやすく解説した好著。今回大いに参考になった。


というわけで、このオフシーズンはいくつかの毛鉤を新しく巻き、ラインと竿のバランスを整えて、近くの野川で

キャスティングの練習などをしてみようかと目論んでいる。やはり、澄んだ流水と渕・瀬が続く山岳渓流で遊ぶに

は、北杜市の本谷川・南佐久の金峰山川・梓川辺りがいいなぁ、などと来シーズンの釣行予定に思いを馳せている

のだ。