2021年11月18日木曜日

テンカラ 再び 事始め

 


再びのテンカラ釣り準備色々。竿(ロッド)はつるや〇製 毛鉤硅竹三.三(手前)、ライン・ハリ素・毛鉤をつけた仕掛け
2巻き(中段真中)、ミシン糸各種(遊び友のミシン材料から不用のものをゲット!)、羽各種(クジャク・オン鶏・メス雉
の尾羽ー上段)、毛鉤手巻きキット(バイス・ハサミ・接着剤・羽根・針などをコンパクトに入れて、持ち運びできる
箱入りキットーRestaffine Products製)、残っていた雉の剣羽・白色茶色の雄鶏羽はまだ使えるのが嬉しい。
All Photo by Jovial TAKA



渓流釣り(対象魚はイワナ・ヤマメ・ニジマスなど)は、今オフシーズンだ。例年10月から翌年の3月(県や漁協に

よっては2月中旬)まで、繁殖保護のため各地の渓流は禁漁となる。管理釣り場(釣り堀やフィッシング・センター)や、

河川一部のC&R(キャッチ アンド リリース区間)は通年営業となるが、冬季は水温も下がり魚の活性も落ちてしまうの

で、大方の釣り人は春の解禁を待ちながら、オフシーズンを過ごすこととなる。ここ2年間はコロナ感染の影響で、

県境をまたぐ移動や人との接触を避ける行動を余儀なくされて、満足のいく釣行ができなかった方々も多いと思う

が、かくいう私も渓流釣りを楽しむ機会がかなり減ってしまった。コロナの感染状況は昨今急激に収まってはいる

が、今後来年にかけて再びの感染拡大(第6波)があり得るかも知れないし、ワクチンや治療薬のおかげで大したこと

にはならないかもしれないし、そこんところは誰にもわからない。しかしこの冬場を、釣り人は水辺で過ごす至福

の時間をイメージしながら、次のシーズン到来を待つのだ。




昔巻いた毛鉤(左ケース上)は、針の大きさの割には胴や羽部がやや小さくバランスがいまいちだ。市販の毛鉤(ケース下)
を使った流し釣りでは、尺ヤマメやニジマスを釣り上げた実績もある。新しく巻いた毛鉤(コルク刺し)は、なんとなく
餌の虫らしく見えるのは、ちょっとひいき目か?



近所の多摩川での毛鉤流し釣り(オイカワ・ウグイ・アユなど)や、北アルプス山麓の渓流(姫川と安曇野の犀川支流)

での餌釣り・毛鉤釣り(イワナ・ヤマメ・ニジマス)、また神奈川県中津川でのヤマメ釣りや、山梨県北杜地区渓流で

の餌釣り・毛鉤釣り(ヤマメ・イワナ)など、ここ9年間ほど色々な釣りを楽しんできた。流水の中に立ちこんだり、

ごつごつ岩を乗り越えながら遡っていく渓流釣りには、体力もいるし身の危険も伴う。今後どんな釣りをやってい

こうかと考えた時、やはり一番シンプルな釣りに戻ろうかと思い至った。それは、竿と仕掛け糸と毛鉤だけで構成

されるテンカラ釣りだ。山間地区の貴重なタンパク源や、温泉宿の料理メニューとして、日本古来の職漁師がイワナ

やヤマメを釣るために考案し駆使してきた釣り方法だ。

しかし昨今、このテンカラ釣りが食糧確保ではなく、ゲーム・フィッシングとして渓流釣りファンの中で静かなブー

ムになっているのには驚いている。餌釣りやフライ・ルアー釣り師たちも、テンカラ釣りを併せて楽しむ人が増えて

いるのだ。これには、PCやスマホによるインターネット動画の普及も大いに影響があり、数多くのテンカラ釣りの

動画や映像を見られるのは喜ばしいことだ。私自身もテンカラの匠・石垣尚男氏や、源流居酒屋よーこ女子の山岳

渓流テンカラ釣りの動画を興味深く見たりしている。巨石などない穏やかな流れの河川で発達した欧米のフライ・

フィッシングでは、マス族の捕食する水中昆虫や羽化する成虫の生態研究から、数多くの毛鉤パターン(色や形・

素材)が考案され、実際に販売されたり釣り人自身が毛鉤を作ったりしている。それに比して、岩や石の多い急流

の中で淵や瀬が連続する日本の山岳渓流では、フライの様に長いラインは不要で、短めの竿にラインを結びその先

に毛鉤をつけて魚の居るポイントに落とす方が地の利にあっていると思う。




12サイズのバーブレスフック(返しなし)に巻いた自作の毛鉤6本、右から順に①黒ミシン糸の胴と茶の雄鶏羽 ➁クリーム
ミシン糸胴と白の雄鶏羽 ➂クリームミシン糸胴と雌雉(ヘンフェザント)の尾羽 ④薄茶ミシン糸頭に孔雀羽の胴・こげ茶の
雄鶏羽 ➄クリームミシン糸の頭に灰色雄鶏羽胴・雌雉の尾羽 ➅黒ミシン糸胴と黒茶の雄鶏羽。同サイズの針(#12)を使って
いるが、右2本は、小さめの#14サイズとして使う予定。



思い起こしてみれば、40年以上も前に渓流釣りにのめり込んでいた時に、私自身もテンカラ釣りを試みたことがあっ

た。当時京橋にあったつるや釣具店にしげしげと通い、渓流釣りの和竿を入手したり、ついでにテンカラ竿や毛鉤

キット・毛鉤材料を買い求めていた。雉(キジ)の剣羽・鶏の羽・クジャクの羽で毛鉤を作り、撚糸(テーパー)ライン

も作って渓流に繰り出したのだった。多くは餌釣りの合間にちょっと試してみるというレベルだったが、たまに釣

れるもののやはり餌釣りの釣果にはかなわないので、いつの間にか竿も毛鉤も使わずじまいになっていた。今、当時

の毛鉤制作キットや巻いた毛鉤を取り出してみると、キットも材料もまだ充分に使えるし、このオフシーズンにま

た何本かの新しい毛鉤を作ってみたくなった。

テンカラの匠・石垣氏(大学教授にして医学博士、専門のスポーツと視力の研究から、科学的にテンカラを解説した

著書も多い)によると、魚の視力は0.1程度でほとんどピンボケであり、水中のエサもぼんやりと見えているに過ぎ

ない。だから、餌と思しきものをとりあえず口にくわえ、違ったら吐き出すし、色彩も(白黒の明暗を除き)ほとんど

識別できない、とのこと。「つまり、渓流魚は毛鉤をセレクトしないという発想のテンカラは合理的である。」(『超明

快 レベルラインテンカラ』つり人社)、このコンセプトは驚きであると同時に゛眼からうろこ゛でもあった。つまり、

下手くそ・いい加減な造りの毛鉤でも、季節や時間帯・淵や瀬のポイントを的確に選べば、毛鉤の出来のいい悪い(?!)

は釣果と関係ないということになる。ふたたびテンカラを始めようという私にとっては大いに励みになるし、とても

気が楽になる言葉だった。



「超明快 レベルラインテンカラ」石垣尚男著・つり人者 2011年刊、テンカラの基礎から応用まで、テンカラ歴35年
の著者がわかりやすく解説した好著。今回大いに参考になった。


というわけで、このオフシーズンはいくつかの毛鉤を新しく巻き、ラインと竿のバランスを整えて、近くの野川で

キャスティングの練習などをしてみようかと目論んでいる。やはり、澄んだ流水と渕・瀬が続く山岳渓流で遊ぶに

は、北杜市の本谷川・南佐久の金峰山川・梓川辺りがいいなぁ、などと来シーズンの釣行予定に思いを馳せている

のだ。


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