2019年12月30日月曜日

かようかいの忘年会で、今年の音楽収め




久し振りに大いにギターを弾き、歌いまくったメンバーたち、(左より)TA子さん・イズミちゃん・MAさん・kMさん・
ウッチー。Photo by Jovial TAKA



2010年春にスタートした「かようかい」は、世田谷喜多見の椿珈琲店で毎週火曜日の夜(途中一時的に土曜開催を

はさんで)開かれ、地元のミュージシャンたちと音楽好きが集まって歌会を続けてきた。何人かのジャズメンたち

とは、曲がセッションの様な演奏進行となり、ソロ弾き(吹き)やオブリガード入れ・ヴォーカルも入るという、ま

ことに楽しい参加スタイルが実現できた。また私の編集で、J-POPSやアメリカンPOPSの名曲・珍曲や、各メン

バーのオリジナル曲が、歌詞とコード入り曲集で3冊(150曲)、店主作成の歌詞本2冊・イズミちゃん作成の歌詞と

コード入り歌集が1冊と、歌本が多数常備されているのも便利この上なし。しかも、お店置きのギター・トランペ

ット・デジタルピアノ・打楽器各種もそろっているから、メンバーたちはほとんど楽器を持たずに店に集まるこ

とが出来る、という具合で、何人かビジターで訪れた方たちも、「こんなお店、めったにないよ!」と異口同音に

語るのであった。




(左より)トランペットをSAさんが吹けば、KNさんはマンドリンをつま弾く。キリさんと大ちゃんは、昭和歌謡を熱唱!



店主しげこさんのご厚意で、メンバーたちは毎週火曜日にはここに集って音楽を楽しむことがずっと続いて(数え

れば9年以上の年月の間!)いたのだが、今年の酷夏の折、しばらく休みたいとの申し入れが店主よりあった。メン

バーはほとんどおじさん達だし(おばさんや娘もいるが)、酒を飲みすぎて騒ぐおじさん達に嫌気がさしたのではな

いか? と心配する向きもあったが。夏が過ぎても一向に再開する気配がないので、場を提供してくれる店主がや

る気になるまで待つしかないと私は思っていた。その間、別所のライブハウスを2店訪れてはみたが、誠に音楽仲

間というものは得難いもので、一緒に音楽をやっていても、その親密な空気感はなかなか味わえないものだと痛

感した。喧嘩しようが、時には罵倒しあうようなことがあっても、そこはやはり仲間在ってのことなのだと、と

思える。

この夜は、ジャズナンバーあり、昭和歌謡あり、シャンソンあり、演歌あり、オリジナル曲あり、新曲発表あり

(SAさん)、という具合で、皆が歌い・楽器を弾き、差し入れのワイン・日本酒・焼酎を大いに飲み、店主特製の

料理を楽しんで一夜を過ごした。来年から、毎月1回の開催でかようかいを続けることが店主より託宣され、メ

ンバーたちは大いに安心したのだった。




冬晴れの空気の中では、冠雪の富士山が自宅ベランダからきれいに見える。今年もこれで暮れる。



このブログにアクセス頂いている皆様、今回で今年最後の記事となります。2008年3月にスタート以来(通算11年10

ケ月となりますが)、計616タイトル・アクセス数計108,271回となりました。人気の記事には、同じ記事に3,829回

(PAバランスの解決にDPA4009G~ 2011/07/24)などのアクセスもありますが、昨今スマホによる手軽なSNS(ツウィ

ーターやインスタグラムなど)が増え、PCによるブログは減少傾向にあるように思います。とはいえ、『タカの楽し

み』は、日々の生活の中で楽しめるあれこれを今まで通り探求しながら、もうしばらくは続けて行こうと思ってい

ます。

皆様のご愛顧に感謝しつつ、来たるべき新年がよりご多幸でありますことを願って、今年の締めといたします。

来年もまたよろしく! です。


2019年12月12日木曜日

4回転跳ばず、バランスの良い優美な演技でコストルナヤが勝者に(GPファイナル・女子シングル)




女子シングルの表彰台は、アリョーナ・コストルナヤ(ロ16歳 金)、アレクサンドラ・トゥルソワ(ロ15歳 銀)、アンナ・
シェルバコワ(ロ15歳 銅)のロシア勢3選手(少女たち)が独占した。画像はISUのHPより。



ロシア3選手たちと日本の紀平梨花との表彰台争い、230点から240点台の攻防、という試合図式の予想はぴっ

りと当たったが、終わってみればジュニアからシニアに上がってきたロシアの3少女たちに席圏されたGPファイナ

ルだった。フィギュアスケートの現状ルールからすれば、高難度のジャンプ(クヮド:4回転や3A:3回転半)に技

術点や出来栄え点の高得点が付され、相対的にスピンやステップの得点数が低いのだから致し方はないのだが、

身長が低い・体重が少ない・筋肉や脂肪が少ない体型=成熟した女性になる前のティーンエイジャーが有利なの

は誰もが理解できる。ロシアのコーチ陣は選手たちを、若年齢の時から徹底的に鍛えて、ここ数年(ソチ・オリン

ピック前後から)国際試合で表彰台を勝ち取ってきた。選手たちも激しい競争に打ち勝って、好成績を残してい

るのだから何も文句を言う筋ではないのだが、そこにはソトニコワ(ソチ五輪金メダリスト)・リプニツカヤ(ソチ

五輪団体金メダリスト)・ラジオノワ('15世界選手権銅メダル)・ソツコワ('17GPファイナル銀メダル)・サモデュロ

ワ('19欧州選手権金メダル)など、10代半ばで活躍した選手は居ないのだ。今回のGPシリーズでも、E.メドベージェ

ワ(世界選手権2連覇 19歳)も、A.ザギトワ(平昌オリンピック金メダル・'19世界選手権金メダル 17歳)も、GPファイ

ナルの表彰台には上がれなかった。若くして頂点を極めてしまった選手たちは、その後怪我や体型変化に苦しみ、

拒食症や精神疾患を患って、再び競技会の一線に戻れずにいる者もある。その高度な滑走技術だけでなく、表現力

や個性を磨いてバランスの取れた表現者になったら、どれだけ多くのフィギュア・スケートファンを楽しませてく

れたかを思うと、過酷な現状と技術主義偏重には疑問を覚えずにいられないのだ。




A.コストルナヤは、4回転ジャンプを飛ばずに、3本の3A(トリプルアクセル)と他の全てのジャンプをノーミス・
高評価で決め、ステップ・スピンも全体にバランスが良く、優勝を勝ち取った。SP(ショート・プログラム)・FS
(フリースタイル)の得点 85.45+162.14 計247.59 は、女子シングルの最高得点、文句のつけようがない勝利だっ
た。表現の美しさは計算しつくした練習の賜物だが、にじみ出て来る個性や感情表現はこれからの課題だと思う。



A.トゥルソワは、FSで5本の4回転ジャンプに挑戦してきた。◎4F(フリップ)-初めて・×4S(サルコーは2回転に)
◎4ℤ(ルッツ)・◎4T(トゥループ)・×4T(転倒)、2本は失敗したが本番の舞台で新たな挑戦は凄いと思う。表現力
の評価(PCS)はまだまだだが、これからどんなF.スケーターに成長していけるのかは興味深い。



最高難度の4Lz一本でGPシリーズを勝ち上がってきたA.シェルパコワが、FSでは4Tと4Fを見事に決めた(得意の
4Lzは失敗)。このしたたかさにはちょっと驚いたが、トゥトベリーゼコーチ陣営の戦術は度を抜いていると感じた。



紀平梨花(日17歳)は今回ジャンプの取りこぼしが多く、FSで4Sに挑戦したものの 計216.47で4位となった。今回の

GPファイナル戦予想で、「いずれにしても演技の正確さ・出来栄えがカギとなる。総合的に演技の質が高く美しい

選手に栄冠が輝くのではないか?」と私は書いたが、紀平も伸び代が沢山ある選手だから、一つ一つの課題をクリア

していけば互角に戦えると思うので、奮起を促したい。




紀平梨花のテーマ曲:SP「Breakfast in Bagdad」と FS「International Angel of Peace」、共にリズムや
擬音が多く情感に乏しかった。もっと流麗でメリハリのある曲が良いと思うが。



A.ザギトワの表現力はとても良くなってきていると感じた。もう大人の体型になってきたのだから、一度休養して
もっと体をシェイプアップしたらどうだろうか? そして新たなジャンプ技術に挑戦してもらいたいと思う。



最下位に沈んだA.ザギトワの結果をとらえて、ロシアのマスコミには「引退か?」というような記事も見受けられる

が、ロシアという国の体質が゛勝てば官軍゛、゛選手は消耗品゛というようなことでは、ますます成熟したF.スケ

ーターは育たないだろう。誰だってピョンピョン・ジャンプするだけの演技を見せられたくないと思う(ファンには

申し訳ないが)。質の高い・バランスの取れた個性を見たいと思っているのだ。F.スケートは競技であるとともに

エンターテイメントだから。一つの救いは、エリザベータ・トゥクタミシェワ(ロ22歳)の存在だ。今季GPシリーズ戦

でも、ブレディ・テネル(米21歳)・宮原知子(日21歳)・マライア・ベル(米23歳)と同獲得ポイント(22点)だった。総

合得点の多いテネルがGPファイナルに出場したが、4選手の実力差はない。


トゥクタミシェワは2015年の世界選手権を優勝した後、長らく怪我や病気(肺炎)のためひのき舞台に出てこられな

かった。復調は昨シーズン(2018ー2019)から、得意の3Aの安定度が増しキレのいい演技と妖艶な個性が戻って来た。

今季もスケートアメリカと中国杯でともに銅メダル獲得だ。ロシアのスポーツニュースによると、すでに練習で4T

(トゥループ)を成功させているという。成熟した女性体型になっても、身体をシェイプアップし高難度のジャンプに

も挑戦する姿勢は、なかなか頼もしいではないか。シニアのベテラン選手になっても、C.コストナー(伊)や鈴木明

子(日)のように、美しい滑降技術と表現力で観客を魅了する選手をファンは見たいと思っているのだ。



GP中国杯でのトゥクタミシェワの演技、観客を大いに沸かせた。


<この項終わり>


2019年12月10日火曜日

一糸乱れぬ演技で、ネイサン・チェンは圧勝した(GPファイナル・男子シングルより)




男子シングル表彰台は、ネイサン・チェン(米20歳 金)、羽生結弦(日25歳 銀)、ケビン・エイモス(仏22歳 銅)の3選手
だった。N.チェンは、SP(ショート・プログラム)・FS(フリースタイル)ともにノーミス、110.38+224.92 計335.30
の世界最高得点を獲得し、文句のない圧勝だった。画像は!SUのHPより。



!SU(国際スケート連盟)主催のGP(グランプリ)ファイナル戦はイタリアのトリノで開催され、すべての競技が

終了した。男子シングル戦についてはこのブログでも、前半3試合を終えた時点でファイナル戦を予想してみた

が(11月5日記事)、゛N.チェンと羽生結弦の一騎打ち゛という予想通りの結果だった。GPシリーズ戦でも、とも

に2回の優勝を経てきているので、その実力は2人とも他選手から抜きんでていた。アレクサンダー・サマリン

(ロ21歳)とK.エイモスの出場は予想通りだったが、ドミトリー・アリエフ(ロ20歳)はNHK杯で2位と頑張って出場

を果たし、同点ポイントの3選手(金博洋 中22歳、ジェイソン・ブラウン 米24歳、ナム・ニューエン カ21歳)の

で、中国杯を制した金博洋が出場となったのは予想外だった。しかしこの3選手とも実力差はほとんどない。






N.チェンのSPテーマ曲は「La Boème」、Ch.アズナヴールのシャンソン曲を見事に滑り切った。表現の幅も
広がっていて好感度アップ。


優勝したN.チェンの演技を振り返ってみると、SP・FS2試合で計7本の4回転ジャンプ(4T=トゥループ・4F=フリッ

プ・4Lz=ルッツ・4S=サルコー、コンビネーションを含む)を跳んだが、全てのジャンプをノーミスで成功させ、

GOE(出来栄え点)も4Lz 4.44 / 4F+3T 5.03 / 4S 4.16など、ほとんど完璧なジャンプだった。FSでも、映画「ロ

ットマン」のテーマ曲に乗って、きびきびとした演技でステップもスピンもレベル4の高難度をクリアし、全

的にスムースな流れに終始し、゛一糸乱れぬ演技゛で歴代最高得点を獲得した。FSのPCS(演技構成点)も9.5

以上が4つと、ほぼ満点に近い出来だった。ソチ・オリンピックで表彰台を逃し(5位)、その後たゆまぬ努力による

練習と、国際試合での好成績(11戦負けなし!)を重ねているうちに、押しも押されぬ真の実力者となっていたのを、

誰もが認めざるを得ない。20歳という上り調子の年齢と、高難度の4回転ジャンプを駆使する技術、そして演技全

体の高レベルな構成を見ても、ここしばらくはフィギュアスケートの王者として君臨するだろうと思われるのだ。





高難度のプログラムを滑り終えて、羽生はリンクに膝まづいたまましばらく起き上がれなかった。体力的にも
限界に挑みながら、更に高度な演技構成をするのは至難の技と思えるが。



オリンピック金メダルを2度取得し(14' ソチ・18'平昌)、世界選手権2度・GPファイナル4度を制覇している羽生結弦

にとって、N.チェンの存在はスケート競技を続けるうえで大きなモチベーションとなったが、今回は残念ながら

一敗地にまみれた。SP・FSともに、今までにない高難度のプログラ]を構成して、7本の4回転ジャンプ(コンビネ

ーションを含む)と3A(トリプル・アクセル)2本のジャンプを組み込んだが、3本のジャンプミス(4Tのコンビネーシ

ョン・3F・3A)が出て得点が伸びなかった。仮にもし、彼が全てのジャンプを成功させていたらどんな得点だったか

私的に計算してみたら(GOE3点として)、計326.07という試算でチェンには9点及ばない。それほどまでにチェン

の演技が素晴らしかったということで納得したが、試合後のインタビューを聞いても、羽生はまだまだ挑み続ける

気持ちの様だ。歴代勝者のパトリック・チャンもハビエル・フェルナンデスも、20代後半で競技人生を退いている

が、25歳を超えた羽生の再びのチャンピオン奪還(GPファイナル・世界選手権)はあるのだろうか?




160㎝と小柄ながら今季急成長したK.エイモス、コーチのシルビア・フォンタナと銅メダル獲得を喜び合う姿が
印象的だった。


2人の一騎打ちに花を添えたのが、今季充実した成績でGPファイナル戦に参入したK.エイモスだった。往年の欧

州勢の活躍振り(ステファン・ランビエールやブライアン・シュベール)を彷彿とさせるようなキレの良い演技は、

男性ヴォーカルのテーマ曲「Light House」に乗って、ゆったりとした中にエッヂワークを効かせた滑走だった。

やはり、ちょっと色合いの違った個性のあるスケーターが競技に入って来ると、他の選手のそれぞれの個性が

際立ってくるので、見ていても楽しくなる。まだまだ伸び代がありそうな選手なので、今後の活躍が期待できそう。


ロシア勢2人(アレクサンダー・サマリン 4位/ ドミトリー・アリエフ 5位 )は、果敢に4回転ジャンプ(4Lz・4T・

4F)に挑戦してきたが、ミスや転倒が重なり得点が伸びなかった。不思議なもので、サマリンのテーマ曲「Good 

News」とアリエフのテーマ曲「Sound of Silence」も、演技の出来具合が冴えないと、音楽とのマッチングも選

曲ミスの様に感じてしまう。これは相関関係だから、まとまった良い演技だったならば素敵なテーマ曲に聞こえ

たのかもしれない。2度の世界選手権銅メダリスト:金博洋も4回転ジャンプが決まらず6位に沈んだ。


GPファイナル戦の後は、各国選手権(12月~来年1月)を経て、欧州選手権(20'1/22~25)・四大陸選手権(20'2/6~2/9)

の結果で世界選手権(20'3/22~3/26 カナダ・モントリオールにて)出場者が決まる。シーズン後半戦の試合がこれ

からまた繰り広げられるが、各選手は練習と調整を重ねてひのき舞台にまた登場してくると思う。チェンと羽生

のバトルもも見物だが、他の選手たちもどこまで食い込んでくるかも興味深い。宇野昌磨の復調も気になるが、

日本勢にとってひとつ明るい話題と言えば、佐藤駿(15歳)と鍵山優真(16歳)がジュニアGPファイナルに出場し、

佐藤駿が金メダルの表彰台に立ったことだ。佐藤駿は、SP・FS合せて3本の3Aと3本のクヮド(4回転 4Lzと4T)を

すべて成功させ、ノーミスの演技だった。男子ジュニアの世界も、すでに4回転ジャンプがプログラムに複数以上

組み込まれる時代となった。




ジュニアGP男子シングルの表彰台は、佐藤駿(金)、アンドレイ・モザレフ(ロ16歳 銀)、ダニール・サムソノフ
(ロ14歳 銅)の3選手だった。


<この項つづく>


2019年12月1日日曜日

MY和竿を巡る渓流釣りの記憶(その7.竿かづの竿修理)




竿かづの6本繋ぎ山女魚竿の修理を快く受けてくれた「つるや釣具店」店内で、ぱちりと記念撮影。修理窓口と
なってくれた店長山城さん(画像も撮影)には大変お世話になった。今回の記事は「MY和竿を巡る渓流釣りの記憶
(その3.竿かづと尺山女魚)'19.8/31」の記事と併せてご覧ください。All Photo by Jovial TAKA



穂先の根元が折れて、穂持(並み継竿の先端から二番目の竿)の上部にめり込んだまま使用不能となっている山女魚竿

(4.5m)を、如何に修理したものか? と思案はしていたが、この渓流釣りシーズンオフに何とかしたいと思い動き始

めた。方法として、①竿を購入した(もう40年以上前!)釣具店に相談する、この場合すでに和竿の扱いや修理をして

いないこともあり得ると思った。では②として、「竿かづ」の技術を継承しているお弟子さんの工房に直接持ち込

んで修理してもらう、この二段構えで行くことにした。

京橋から浅草に移った「つるや釣具店」のホームページに、メールによる問い合わせの受付があったので、事情を

話して修理可能かを問い合わせてみた。この場合、穂持にめり込んだままの穂先を取り出せるものなのか? それが

できない場合は穂持を新たに作ることが出来るか? (まだ未使用の替え穂先が手元にあるので) それぞれ凡そ幾ら位

の費用がかかるものか? という質問だった。併せて、途中ブランクがあるものの、長年渓流釣りを楽しんできて、

何とかこの竿を再び渓流釣りに携えて行き、竿としての使命を全うさせてやりたい、とのコメントも添えた。

返事はすぐ翌日に来た。竿かづの技術を継承しているお弟子さんが竿師工房を営んでいるので、修理はできると

じます。穂持から折れた穂先の部分を抜き出すことは、多分出来ると存じます(費用3,000円ほど)。新たに穂持を

作る場合は、時間をいただきますが可能です(費用は35,000ほど)、いずれの場合も承りますのでよろしくお願いしま

す、とあった。短い簡潔な返事であったが、これほど相談者の意に充分に答えてくれた内容はめったにないことな

ので、とても安心した。とにかく、要修理の竿を持って店に行き、後はお店と竿職人さんに任そうと思った。来春ま

でに仕上がればいいのだから急ぐこともないし、竿が直って来れば、再び渓流に携行する楽しみが増えるのだから、

と、先が見えた喜びで気持ちが高まった。




浅草寿1丁目にあるつるや釣具店、トラウトをあしらった2枚看板が目印。フライフィッシング専門店としての営業
内容は、雑誌(Fly Fisher Online)のお店訪問記事があるので参照いただきたい。



10月の末にお店に持ち込んだ竿かづの竿は、約1ヶ月ほどして修理出来上がりの連絡がお店から入り、早速11月末

に引き取りに行った。穂先の折れた部分は穂持から取り出され、竿と竿を繫ぐ「すげ口」の甘かった部分も直して

もらい、使用中に曲がり癖が付いていた竿先部(穂先・穂持・穂持下)も、火入れしてほぼ真っ直ぐに治っていた。

当初お店訪問の際は、曲りなおしの火入れと併せて修理するともっと費用がかかる(倍くらい)との見積もりだったの

が、全部含めて3,000円とのとても良心的価格だったのには驚いた。竿職人さんも、先代師匠の竿を修理するとい

うことで、心意気の価格だったのかもしれない。山城店長も言っておられたが、「タナゴやハゼ釣りに、今も一部

和竿を使う方はいますが、渓流釣りはほとんどいないでしょうね!」と苦笑していた。「となると和竿を使い続ける

私などは、歴史遺産、はたまた歴史遺物の部類に入りますね」と笑い合ったものだが。




取り出された折れた穂先の一部(画像上部)、専門工具がないと素人には無理。



その時に、竿かづの引き取りがてらに、もう一つの竿を修理に持ち込んだのだが、ここ3年ほど使い続けた「俊行作」

の山女魚竿(4,5m)の曲がり癖を直すために、火入れと竿繫ぎの込み直し(漆塗りのすげ込みがしっかりすげ口に入

らないと竿が折れやすい)をお願いした。この竿も、曲がりが直ってすっきりすれば、また来春からの渓流釣りに携

えていける。これでまた、渓流釣りの新たな楽しみが加わることになるぞ! と今から心が浮き立ってくるのは、何と

も嬉しいことではないか。




綿製の竿袋は経年変化で経たり破れてしまったので、丈夫なポリエステル生地(エプロン生地を代用)で新しい竿袋
を作った。銘は字を起こしてゼッケンなどに使う糊付き生地にプリントし、アイロンで圧着。これで一安心。