2021年12月30日木曜日

女子シングルとアイスダンスは、実力が伯仲していた(全日本F.スケート選手権より)





ノーミスの高度な演技で優勝を勝ち取った坂本花織(金メダル)、230点台の高得点はロシア女子選手達とも十分に
戦える。好調を維持して五輪と世界選手権に臨んでほしい。画像はフジテレビと各スポーツ紙より。


右距骨疲労骨折の回復が見込めず、紀平梨花(日.19歳)は本大会を欠場し、北京5輪への出場もかなわなかった。圧倒

的な実力で女子フィギュア世界を席巻するロシア少女達(あまりの強さに゛絶望の壁゛というコメントもメディアには

ある!)と互角に戦える日本のカードは無くなってしまった。しかし、ヨーロッパ・アメリカ勢と共に、日本女子陣にも

その一角を切り崩す活躍が望まれるのだが...

坂本花織(日.21歳 優勝)は今シーズンの勢いをそのまま今大会に繋げ、表彰台のトップに上った。GP.スケートアメリカ

4位(総合得点215.93)・NHK杯優勝(223.34)・全日本選手権優勝(234.06)の成績は、上り調子の充実ぶりを見せてくれ

た。FS(フリースタイル)7本のジャンプがすべてノーミスで、特に3F+3Tの出来が素晴らしかった。最近のテレ

ビ解説ではジャンプの飛距離・高さ・スピードも見られるので、彼女のダイナミックで質の高いレベル(GOE:出来栄え

点のとれる)のジャンプを確認できる。高度な技術による4回転ジャンプのメリット(高得点が取れる)とデメリット(失敗

すれば大減点!)を考えれば、自己の持つ3回転ジャンプを徹底的に磨きハイグレードにすることも、一方で戦略的なア

プローチと言える。E.トゥクタミシェワ(ロ.25歳)は、3Aと磨かれた3回転ジャンプを武器に、ベテラン選手ながら

なお現役で、10代少女選手達と第一線で互角に勝負しているのを見ると、高度なジャンプを跳びはしたものの10代

終わりには第一線から消えて行ってしまうロシア女子選手達と、いったいどちらが幸せなのかを考えざるを得ない。

坂本選手には、ぜひ現役選手として長くフィギュア会を牽引していってほしいと思う。5輪と世界選手権での活躍を

期待したい。




悲願達成! 自身で納得のいく演技を表現できて歓喜に極まった樋口新葉、4年間の切磋琢磨を振り返り、試合後の
インタビューで負傷欠場の紀平梨花に「またチャンスはあるから!」と激励の言葉をかけたのがとても印象的だった。
苦節を経ての喜びは、観客を感動させた


「悲願!」という言葉が、今大会の樋口新葉(日.20歳 2位)には似合う。4年前の全日本選手権で右足故障のため4位

に沈み、平昌5輪への出場を果たせず号泣きした彼女が、試合後には喜びを爆発させて涙を溢れさせた。SP・FS

も安定した演技、特にFSでは7本中2本のジャンプに小さなミスがあったものの、すべてクリアに跳んだ。武器と

なっている3Aもほぼ完成してきたので、これからの活躍が大いに望まれる。体型的には筋肉質なタイプなので、FS

のテーマ曲「ライオンキング」のような、ダイナミックでリズムカルな曲が合っているように思う。スピード感あ

ふれるジャンプは彼女の魅力だ。




河辺愛菜、17歳ながらジュニアチャンピオンを得てシニアに上がってきた実力派。今後の成長に期待大。



河辺愛菜(日.17歳 3位)は、すい星のごとくトップグループに入ってきた現役高校生だ。5歳からF.スケートを始め、紀平

梨花を育てた濱田美栄コーチに指導を受け、3Aを習得した。2019年の全日本F.スケートジュニア選手権で優勝してい

るから、実力はしっかりと備えている。今大会でも3Aをきれいに決め、他のジャンプも出来栄え点で少しマイナスが

あるものの、全部クリアに跳んでいる。今後、ジャンプの質を磨き、表現力をしっかり身に着けていけば、日本女子

選手のトップを狙える位置にいる。まだ若いのでその将来性を買われ、5輪と世界選手権への出場権を得た。まさに、

シンデレラ・ガールだ。

さて、難病と体調不良を克服してカムバックしてきた三原舞依(日.22歳 4位)と、ベテラン宮原知子(日.23歳 5位)はと

もに、ジャンプにミスが出て表彰台には上れなかった。河辺・三原・宮原の得点は209.65~206.61の3点差の中だ。

いかに実力が伯仲していたかがわかる



 三原舞依のFSジャンプで、2Aコンビが1Aとなり、このミスが最後まで尾を引いて得点が伸びなかった。まさに
痛恨のミスだった。2A+3Tのコンビネーションを決めていたら(たら、の話だが)、5輪と世界選手権出場の切符
は得られたに違いない。ジャンプの質と正確さには定評がある。再チャレンジを期待したい。



ワリエワはどこまで行くのだろうか? 男子選手並みのスコアは何時まで可能なのだろうか?



最強ロシア勢の今季国際大会でのスコアは極めて高い。C.ワリエワ(ロ.15歳)は、スケートカナダ(優勝 265.08)・ロシ

ア杯(優勝 272.72)と驚異的。A.トゥルソ(ロ.17歳)は、スケートアメリカ(優勝 232.37)。A.シェルパコワ(ロ.17歳)は、

フランス杯(優勝 229.69)・イタリア大会(優勝 236.78)。ベテランE.トゥクタミシェワ(ロ.25歳)は、スケートカナダ

(2位 232.88)・ロシア杯(2位 229.23)と気を吐いている。昨シーズン好調だったA.コストロナイア(ロ.18歳)は、スケ

ートカナダ・フランス杯(221.85)ともに2位、最近の右手指2本骨折のためロシア選手権欠場、5輪・世界選手権出

場は無くなった。両試合とも230点を超える戦いになるだろう。坂本花織が全日本選手権の好成績を再現できれば、表

彰台の一角を得られる可能性はある。それにしても激戦区の試合となるだろう。なんとかロシア勢に一矢を報いたい

ものだ



「かなだい」コンビの村元哉中・高橋大輔は、アイスダンスで首位(得点178.17)と僅差の2位(176.31)となった。
コンビ結成2年目でこの急成長、5輪元メダリストの実力(高橋)は今でも健在だ。2人の息の合った楽しいダンス
を見るのも、観客にとってとても嬉しいこと。フィギュアスケートのマイナージャンルに新風と観客動員を果た
した役割は大きい。もうしばらく続けてほしいものだ。



全日本選手権4連覇の小松原美里・尊(たける)組、安定した演技で「かなだい」コンビを退け五輪・世界選手権
出場(日本枠は1組)を勝ち取った。試合内容とスコアは、どちらが勝ってもおかしくないほど伯仲していた。


<この項終わり>



コロナ禍による行動制限と新たな変異種の感染拡大に不安を余儀なくされたこの2年間、今年もその影響は収まら

ずに、゛集えず、動けず゛の一年でありました。幸いなことに私の周囲ではコロナの被害に逢った方はなく、平穏な

日々でした。このサイトを訪問頂いている皆様にとっても、来る年は健康で平和な毎日が過ごせることをお祈りして、

一年の締めといたします。ご愛読をありがとうございました。また来年もよろしくお願いします。  ジョビアゥ・タカ




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