2018年12月11日火曜日

紀平梨花の2018.GPファイナル制覇は、「A Beautiful Storm(美しい嵐)」だった。




ISU(国際スケート連盟)・GP(グランプリ)ファイナル戦の表彰台は、紀平梨花(金.日16歳)、アリーナ・ザギトワ
(銀.ロ16歳)、エリザベータ・トゥクタミシェワ(銅.ロ21歳)の3選手。技術レベルも高く表現力も引けを取らない3選手
だったが、高難度の3A(トリプル・アクセル)を成功させた紀平梨花が戦いを制した。画像はISUホームページより。



F.S.(フィギュアスケート)GPファイナルの女子S(シングル)戦で、驚異的な高得点をマークして優勝した紀平梨花の

偉業を評して、「浅田真央の再来! シニア戦初出場でGPファイナル制覇は13年振り!」とか、「ロシアから5年振り

にチャンピオンシップを取り戻した!」などとマスコミは沸いているが、私自身もこれだけ進化し続け優勝をさら

ってしまったことについては、シーズン入り当初ノーマークだった。ただ、ジュニア戦で3Aを成功した選手が出て

来た、位の認識しかなかったのだが。NHK杯とフランス杯を連破し、ファイナル戦も優勝だから文句のつけようは

何もない。ただ、脱帽であります。しかし、凄い!



武器の3Aだけでなく、他の5種類のジャンプやスピン・ステップの技術・表現レベルも高く、久し振りに総合力を備え
た本格的な選手の登場に観客は沸いた。コーチの濱田美栄も「全てのバランスがいい、柔らかすぎず、硬すぎず、バネ
もある。上半身も、日本人は弱い子が多いけどしっかりしている。」(スポーツ報知)とその強さの秘密を挙げた。


彼女の驚異的身体能力については、体脂肪率が6%というからアスリートで言えばイチローか本田圭佑並みだ!! 筋力

トレーニングをしながらTVのインタビューに答えて、私は「女マッチョ!」言って笑っていたが、腕もがっちり腹筋

は見事に割れていた。滑走技術を支える体力を徹底的に鍛え、プラスしてダンスやヨガで表現力を磨いているのを

見ると、アスリートとしての基本がとてもしっかりしているのを感じる。F.スケートに集中するために高校もインター

ットで学べる学校にした、と言うから覚悟が゛半端ない゛。今後の精進・努力によっては、日本の女子フィギュ

スケートを牽引していく存在となるだろう。将来がとても楽しみだ。




2018平昌オリンピック優勝以後身長が7㎝伸びた(ということは体重も増加し、胸や臀部も大きくなった)ザギトワの
SP(ショート・プログラム)・FS(フリー・スタイル)演技は、コンビネーションジャンプの失敗ひとつを除けばほぼ
完ぺきだった。しかし、紀平に勝てなかったことで、より高度なジャンプ(3Aや4T)をプログラムに入れてリベンジ
してくるだろう。



紀平梨花とA.ザギトワとの対決については、その演技内容のジャッジ・スコア(得点詳細)つまり、Base Blue(基礎点)

+GOE(出来栄え点)のElement Score(技術点)と、Program Component Score(構成点)の合計が得点になるのだが、

その比較情報を解説者の佐野稔氏やスポーツ新聞各誌が伝えているので、ここでは詳細を省く。ただ、両者とも構成

点では遜色がなく、両者ともミスはあったものの3A成功させた紀平に軍配が上がった結果となった。今後も両者の対

決は続くと思うが、彼女はザギトワのリベンジを覚悟しているし、それ以上に女子シングル・ジュニア戦で表彰台に

上がったアリョウ―ナ・コストルナヤ(金.ロ15歳、4回転ジャンプは飛ばなかったがとてもバランスの良い演技で優勝)

とアレクサンドラ・トゥルソワ(銀.ロ14歳、3種類の4回転ジャンプにチャレンジ、4T:4回転トゥループを成功)らロシ

ア若手選手を見据えていた。北京オリンピックでの優勝を目指すために、4回転ジャンプのチャレンジに取りかかる

ことを明言した。こういう具体的な目標を持っている選手は強くなる。

紀平梨花のFSテーマ曲は、ジェニファー・トーマスのピアノ・ヴァイオリン曲だった。美しいメロディラインを

持つこの曲は、時に嵐の高まりを思わせる劇的な激しさと、風と波が治まった時の穏やかな静けさが交差する

「ネイチャー・コンチェルト」の不思議な魅力を持っている。このテーマ曲に乗って作りだした彼女の演技世界は、

奇しくも今シーズン、CSオンドレイネペラ杯 →GPNHK杯 →GPフランス杯 →GPファイナルを疾風怒濤のように

勝ち上がって偉業を成し遂げた「美しい嵐」のそのものだった。さらなる精進を続けて、フィギュア・スケーターと

して大成してほしいと思う。

岩肌の露出した浜辺と荒れる海をバックに、Behr Bro's & Co. のヴィンテージピアノを弾き、太古の趣を残す森林で

ヴァイオリンを奏でるJ.トーマスのイメージ動画は、You-Tubeで見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=ulYQOszNig8




トレーニングで身体を絞り3Aのジャンプと華麗な演技で復活したE.トゥクタミシェワは、成熟した女性のしたたかさ
を見せて再び表彰台に上った。10代の選手が中心となり、またジュニア戦から上がってくるさらに若い選手が増える
中で、彼女の演技はF.スケートの魅力を体現する貴重な存在だ。


2018年12月6日木曜日

初冬の神代植物公園を歩く




神代植物公園・かえで園の紅葉は今が盛り、黄・橙・赤の色づいた紅葉が織りなす錦絵を楽しめた。
All Photo by Jovial TAKA



久し振りに神代植物公園に出かけてみた。ここ2~3年は信州白馬方面に出かけて渓流釣りや音楽ライブなどで時間を

過ごすことが多く、近隣スポットへの花巡りも出かける機会が少なかった。今年は師走とは言っても大分温かい。

木枯らしがピュンピュン吹いたり朝晩の冷え込みで息が白くなることも少ないので、関東地区の紅葉も大分遅れて

いるように思う。銀杏の黄色葉が、バラバラ舞い落ちてくるのをまだ見ないでいる。そんなことで、まだ見られる

かもしれない紅葉と冬バラの咲き残り、季節のサザンカ辺りを目当てに行ってみた。武蔵野の樹林の雰囲気を色濃く

残すこの園を歩きながら、デジカメ撮影を時折して2時間程過ごしたが、厚い雲に覆われた冬空から時折薄日がのぞ

く天気の中の気持ちいいウォーキングとなった。


電チャリに乗って、野川沿いの遊歩道をゆっくり走り、三鷹通りから深大寺の門前を抜けて植物園の深大寺門から

入園した。つばき・さざんか園に続く路の途中で、多くの人がかえで園の紅葉を撮影していた。紅葉具合は丁度い

いタイミングだった。10月末に白馬と奥裾花・真田の郷の紅葉をすっかり堪能していたので、どんなもんかな? と

思っていたのだが、頃合いにレイアウトされたかえで園のすべすべした樹々と紅葉はとてもきれいだった。柵を巡

らせた遊歩道もいい雰囲気だった。やはり人手をかけて手入れされている植物園を見るのは気持ちが良い。入園料は

安いが(シニア割引で250円)、それが管理の行き届いた景観に役立っているのはいいことだと思う。




「富士の峰」(寒椿系サザンカ)は大輪八重の白色、咲きっぷりがなかなか迫力あり



獅子頭(寒椿系サザンカ)の花色はいかにもサザンカらしい紅色だ。



まだ蕾だけのつばき園の一角でサザンカを見られたが、種類はさほど多くない。初冬から春先まで次から次へと咲き

続くサザンカは、ずっと私好みでなかった。やはり花は美しく咲いてはかなく散ってしまうのが花たる由縁と信じて

いるので、元気すぎる花と言うのは苦手なのだ。同じ理由で、夏花のムクゲ(槿)やサルスベリ(百日紅)も好みではない。

私の勝手な好き好きなので、これらの花を好む方には申し訳ないが...ま、しかし、花の少ない季節を彩ってくれ

る貴重な花という意味では、大いに存在価値があると思う。




かえで園からバラ園に歩いて行く途中、根をむき出しにして倒れている巨木に遭遇した。案内板によると樹高20m
程のユリノキの巨木がこの秋の台風24号の強風で倒された、とのこと。すでに数m毎に刻まれ寝かされていたが、
やはり途轍もない風が吹いたのだった。根元には深さ150㎝位の巨穴が開いていた。すげぇ~!




私の好きなバラ・「マチルダ」(仏作出・フロリバンダ系)、この季節まで咲き残ってやわらかなピンク色の中輪花
を開いていた。咲始めから咲終わりまで、花色が退色することなく咲き続くのが素敵だ。



「エスター・オファリム」(独作出・フロリバンダ系)は緋色がかった赤色、この植物園では初めて見た。



バラ園に廻って咲き残りのバラを見てみようと行ったのだが、初冬とは言えこの温かさなので、かなりの種類のバラ

が花開いていた。10月中頃が秋バラの盛期なので、流石に溢れんばかりのバラたちという雰囲気ではなかったが、

予想外のバラの花を見ることができ、来てみて良かったと思った。広いバラ園を廻って咲き残っているバラの花を見

ていたら、結婚式の後らしきカップルが、バラの花をバックに記念撮影していた。両親と思しき2人が、カメラのシャ

ッターを切っているという、珍しいウェディング・ショットに遭遇した。



 
曇り空のすき間から時折薄日が差していたが、もう少し晴れていればよかったのにね。お幸せに!



バラ園から深大寺門に戻る途中、せせらぎの小路を抜けていくと、池の水溜りの中で何やら網を持って動き回る人々

に出会った。「さては、TVの池の水抜く大作戦か?!」と思いきや、TV撮影ではなく、ボランティアの方達の搔い掘り

だった。しばらく見学しながらリーダーと思しき方に話を聞いてみた。東京都の委託で搔い掘り作業をしているとの

こと。見れば池脇のビニールプールには鯉が数十匹、ボートの様なプラケースには海老・メダカ・ザリガニなどの小

魚が沢山。カメが沢山いたのだが時期が遅いせいか池に続く土の中に潜り込んで冬眠に入ったらしく、一匹も掴まえ

てない、などと。小魚を捕獲し終わったら池の水を全部抜き、泥を搔き出して天日干した後在来種のみを池に戻すの

だ。寒い中本当にご苦労さんです!



搔い掘りボランティアの皆さんの小魚すくい



網ですくった小魚を仕分けする青年たち、根気の要る作業であります。


2018年11月14日水曜日

紀平梨花の3A(トリプル・アクセル)成功は女子4回転時代の幕開けか?ーISU GPS2018より(その2.)




GPS.NHK杯女子S戦で、3A(トリプル・アクセル)+3TのCOと単独3Aを2つ決めて優勝した紀平梨花(日.16歳)、
国際試合の女子Sでの成功で公式認定された7人目の女子選手となった。画像はISUホームページより。




浅田真央とE.トゥクタミシェワが国際競技会の第一線を離れて以来(共に3Aがが勝負の決め手だった)、F.S.(フィギュ

アスケート)女子S戦での高難度ジャンプと言えば、3Lz+3Lo(+2T)が最上位と言う状況が続いていたが、今シーズ

ンは状況が一変した。前述のNHK杯では、紀平梨花と復活したE.トゥクタミシェワ(SPで)2人が3Aを成功させ、1試

合で2人の選手が共にきれいな3Aジャンプを見せてくれたという、ハイレベルで希少価値の高い試合に観客は遭遇す

ることになった。「同一試合での複数選手による3A成功例は、史上3例目」(ジャッキー・ウォン米記者、ブログ・

ロッカースケーティング)と伝えられているが、過去の同様な事例としては、中野友加里とリュドミナ・ネリディナ

(2002年GPアメリカ杯)、もうひとつは中野友加里と浅田真央(2007年GPファイナル)、とのこと。いやはや、大変な

時代に突入したものだ。


男子シングル戦ではすでに「これからは4回転時代」と謳われ、有力各選手たちは4A(クド・アクセル:4回転半

ジャンプ)を残す5種類の4回転ジャンプとこれを入れたCoでしのぎを削っているが、これらをミス無くきれいに飛ぶ

ことが高得点に繋がることはいうまでもない。その状況が女子Sの試合にも影響を与えているのは間違いないこと

と思われる。女子S戦の過去における高難度ジャンプ成功例を振り返ってみると、中野友加里と浅田真央の他に、日

本人選手では伊藤みどり(1989年世界選手権優勝とアルベールビル・オリンピック銀メダル)の3Aがあるし、安藤

美姫(2007年と2011年世界選手権優勝)の4S(4回転サルコウ)があるのだ。女子ジュニア選手の中には、すでに3Aや

4回転ジャンプに挑戦し成功している事例も出てきている。




宮原知子(アメリカ杯優勝・NHK杯2位 日.20歳)の安定した演技は、GPファイナル戦でも充分表彰台を狙える。
課題はジャンプの精度を上げることだ(回転不足やエッヂエラー)。




アリーナ・ザギトワ(フィンランド杯優勝 ロ.16歳)は、ジャンプミスから今一つ得点が伸びていないが、改正された
ルールの中で本来の実力発揮なるか? 




新コーチ(B.オーサー)の下で、まだ改造途中の感がある元世界選手権王者のE.メドベデワ(カナダ杯3位 ロ18歳)、
今回ジャンプミスが目立ったがそれを修正して巻き返しなるか?



外信の伝えるニュースを「フィギュアスケート スポーツナビ」(Yahoo Japan)などで覗いてみると、ロシアのジュニ

ア女子選手のアレクサンドラ・トゥルソワ(2018年ジュニア世界選手権優勝 14歳)は、4T・4Sにつづいて4Lz(3種類)

の4回転ジャンプをすでに成功しているし、アンナ・シェルバコワ(2018年Jr.GPカナダ杯優勝 14歳)は、単独4Lzと

4Lz+3TのCoを国内大会ではあるが成功させたという。これゃまた、どえりゃーことになってきた! 2人ともモス

クワのサンボ70(E.トゥトベリーゼ・コーチ)に所属する選手だが、ジュニア時代から4回転ジャンプを駆使して試合

を戦っている現状が、いずれシニアの試合にも波及してくることは予想に難くはない。私自身は、軽業師の様なジャ

ンプが主体となってピョンピョン跳ぶ様な演技よりも、よりテーマ曲の世界を表現する技術や、ステップ・スピン

と組み合わされた高度な芸術表現を好むのだが、果たして女子S戦も4回転時代に移行していくのだろうか? 


<略語一覧>
ISU:International Skating Union(国際スケート連盟)  GPS:Grand Prix of Figure Skating(グランプリ・シリーズ)  F.S.:Figure Skating(フィギュアスケート)  男女S:シングル  FS:Free Skating(フリースケーティング)  SP:Short Program(ショートプログラム)  ChSq:Choreo Sequence(氷上に絵を描くように、ステップやターン、イナバゥアー・イーグル・スパイラルなどで構成される連続演技)  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ T:トゥループ  P.C.S:Program Components(演技構成点)  EL:Element Score(技術点)  Co:コンビネーション・ジャンプ  GOE:各演技の出来栄え点  BV:Base Value(基礎点)


<この項終わり>

2018年11月12日月曜日

羽生結弦のモチベーションとトゥクタミシェワの復活ーISU GPS2018より(その1.)




GPSフィンランド杯で、SP106.69 / FS190.43 計297.12の今季最高得点で優勝した羽生結弦。少年の日に憧れた2選手
のテーマ曲を使用して、新たな挑戦が始まった。画像はISUホームページより。



F.S.の国際競技会GPS戦も、はや4戦を終えてあと2戦とファイナル戦を残すのみとなった。2018年の戦いは、新人

(ジュニアからシニアに上がってきた選手)の台頭と中堅実力者の頑張り、そしてベテラン勢の踏ん張りでなかなか興味

深い試合が続いている。三つ巴えの競争でとても試合内容が充実してるので、見る人たちを楽しませてくれるは嬉しい

今季から採点基準となるルールが改正され、特にジャンプに偏重されていた得点が大きく変わった。男子Sの場合、

FS試合時間は30秒短縮されて4分となった。またFSジャンプ数も1つ減って7個なった。以下は男女共通で、ジャンプ

基礎点が3回転・4回転ともに減り、GOE(演技出来栄え点)は7段階評価(+3~-3)から11段階評価(+5~-5)となった。

その他、演技後半の1,1倍になるジャンプをSP:最後の1本のみ/ FS:最後の3本のみとし、くり返せるジャンプを4回転

は1回/ 3回転までは2回とした。そしてChSqは基礎点が2.0から3.0になった。言わば「より正確に、より美しく!」と

いう評価基準では、演技の質がより高いことが求められる。各選手は減った時間とジャンプ本数(男子)を踏まえて、

演技構成をどう組み立てて来るのかはとても見物なのだ。


羽生結弦にとって、オリンピックを2連覇し取るべき大きなタイトル(世界選手権・GPファイナルなど)もほとんど取っ

てしまった。23歳の彼にとって、早々に引退して解説者やコーチの道もあるだろうに、選手生活を続けて行くのはど

んなモチベ――ション(人が何かする時の動機・目的意識)によるものなのか? GPSフィンランド杯のSP後インタビュー

に対し彼は、「オリンピックが終わってある意味解放されて、自分がしがらみも関係なく滑りたいと思った曲を使っ

ています。小さい頃の自分が見たら、嬉しいだろうなというプログラム」と答えていた。SPのテーマ曲は、元全米

チャンピオンのジョニー・ウィアーが2004~2006年にFSで使用し滑っていた『秋によせて』(ラウル・ジ・ブラッ

シオのピアノ曲)、FSのテーマ曲は、皇帝と呼ばれたエフゲニー・プルシェンコが2003~2004年にかけて滑ったヴァ

イオリン曲『Origin』(ニジンスキーに捧ぐ、作曲・演奏ともにエドウィン・マートン)だ。YouTube動画で二人の演技

を見られるが、長身のJ.ウィアーの滑りはとても滑らかでキレもよく、スマートな羽生のものと雰囲気が似ているし、

E.プルシェンコの滑走は天才バレエダンサーの魂が乗り移ったように激しく刺激的だ。憧れのスケーターが使用して

いた曲を試合のテーマ曲に選んでいるが、2人には日本でのアイスショーの折に直接話し快諾を得たという。これは

素敵なことだなぁ! と思わずにはいられない。少年の時に抱いた憧れが、これから続けるスケーターとしてのモチベ

ーションになるなんて! 新たな挑戦というか、それも勝たねばならないという重圧から解放された、心にゆとりのある

アプローチなのがいい。



フィンランド杯の表彰台は羽生結弦(金.日23歳) / ミハイル・ブレジナ(銀.チェコ28歳) / チャ・ジュンワン(銅.Ko 16歳)、
中堅実力者・新人・ベテランの3名が並んだ。羽生とジュンワンはコーチが同じブライアン・オーサー、韓国にも
有望な新人が出て来た。



実際の試合では、SPは冒頭の4Sが素晴らしいジャンプ(GOE4.30 !!)で、続く3Aを成功させ、Coの4T+3Tも跳び、

スピン・ステップも高得点、計106.69の今季最高得点をあっさりと出してしまった。つづくFSでも冒頭の4Loと4番

目の4Tはやや回転不足だったが他のジャンプはきれいに決め、驚いたのは4T+3AのCoを世界で初めて試みたこと

だった (着地に乱れありだったが)!  P.C.S(演技構成点)はSP・FSともに全て9点台という高評価! 試合後のインタビュー

で、今のところは4A(4回転半)は封印していると言っていたが、より高度なCoジャンプやまだ誰も挑戦していないジャ

ンプを練習し準備しているというところに、彼の凄みを感じる。度痛めた足のケガを再発させぬよう、よくケア

しながら今後の試合に臨んでほしいと思う。

ネイサン・チェン(アメリカ杯優勝.米19歳)・宇野昌磨(カナダ杯・NHK杯連続優勝.日20歳)と羽生結弦3人の中堅実力


者達の表彰台争いは、合計得点290点台を巡ってがぜん真剣味を帯びてきた。それに続くベテラン勢のM.ブレジナ


(アメリカ杯・フィンランド杯連続2位)とセルゲイ・ボロノフ(アメリカ杯・NHK杯連続3位.ロ31歳)、キーガン・

メッシング(カナダ杯2位.カ26歳)充分表彰台を狙える位置に居る。加えて、C.ジュンワン(カナダ杯・フィンランド

杯連続3位)とマッテオ・リッツォ(NHK杯3位・アメリカ杯4位.伊20歳)新人2人の活躍もどこまで食い込んでくるか? 

有力選手たちの今後の戦いは興味深々だ。




3A(3回転半ジャンプ)を成功させカナダ杯優勝・NHK杯3位で完全復活したエリザベータ・トゥクタミシェワ(ロ.21歳)、
シェイプアップした身体から繰り出す演技はキレ味鋭く、大人の妖艶な雰囲気を合わせ持つ実力選手だ。



ロシア勢トップのアリーナ・ザギトワ(フィンランド杯優勝 ロ.16歳)とエフゲニア・メドベデワ(カナダ杯3位 ロ.18歳)

の熾烈な争いに割って入ってきたのは、ベテランのE.トゥクタミシェワだった。2015年世界選手権と2014年GPファ

イナル・2015欧州選手権を制した後、ケガのため3シーズンを低迷したいたが、今シーズンは本来の実力を発揮して表

彰台に上がってきた。今シーズンを怪我のため休養しているカロリーナ・コストナー(伊.31歳)が現役復帰した時のファン

の喜びにも増して、トゥクタミシェワのファンである私の嬉しさも倍増している! 

彼女の出身はロシア連邦のウドムルド共和国とあるが(Wiki)、仔細を私は知らない。でも2014年GPファイナルのFS

テーマ曲「Batwannis Beek」(アラビアン風)に乗って滑走した演技は、全身がバネの様な切れ味と、安定したジャンプ・

スピン・ステップを繋ぐ「間」の取り方が素晴らしかった。そのミステリアスな風貌としなやかな身体と指の動きで、

観客を魅了した。エキゾチックな風貌の黒髪・黒い瞳は、東洋系あるいはアラビア系の血を引いているようにも見え

る。紫色に金色の縁どりした衣装はシースルーで妖艶ですらあった。素晴らしい表現力を持った彼女が表舞台に復帰

してきて、俄然女子シングルの戦いも面白くなってきた。



2014年GPファイナル当時のトゥクタミシェワ、現在の身長158㎝は当時とほとんど変わらないが、身体を絞って
動きは以前にも増している。




さて、GPS戦女子Sの得点結果を現時点で見てみると、シニア戦初参加で3Aを二つ成功させた紀平梨花(NHK杯優勝 

日.16歳)が224.31でトップ、宮原知子(アメリカ杯優勝 日.20歳)が219.71でそれに次いでいる。E.トゥクタミシェワ

(NHK杯3位)が219.02、アリーナ・ザギトワ(フィンランド杯優勝 ロ.16歳)が215.29、坂本花織(アメリカ杯2位 日.18歳)が

213.96と続く。ここに、山下真湖(カナダ杯2位 日.15歳)とE.メドベデワ(カナダ杯3位 ロ.18歳)が付けているが、S.サモ

デュロワ(アメリカ杯3位 ロ.16歳)とS.コンスタンチノワ(フィンランド杯2位 ロ.18歳)のロシア新人2人も食い込んでくる

か? いずれにしても、有力選手のトップ争いは220点台を巡って表彰台を争う激しいものとなるだろう。女子Sの場合

は大きなルール改正はなく、GOEの評価段階と後半ジャンプ数のみの変更なので、得点は昨シーズンと大きくは変化

しないが、より正確で美しい演技表現が求められることに変わりはない。トップ選手たちの実力はほとんど差がない

ので、誰に幸運の女神がほほ笑むかはふたを開けてみなければわからないのだ。




NHK杯の表彰台は、紀平梨花(金)・宮原知子(銀)・E.トゥクタミシェワ(銅)の3選手だった。技術レベル・表現レベル
ともに高度で見応えのある試合だった。宮原と紀平はともに濱田見栄コーチのの指導を受ける教え子、この表彰台は
コーチ冥利に尽きる。


<この項つづく>


<略語一覧>
ISU:International Skating Union(国際スケート連盟)  GPS:Grand Prix of Figure Skating(グランプリ・シリーズ)  F.S.:Figure Skating(フィギュアスケート)  男女S:シングル  FS:Free Skating(フリースケーティング)  SP:Short Program(ショートプログラム)  ChSq:Choreo Sequence(氷上に絵を描くように、ステップやターン、イナバゥアー・イーグル・スパイラルなどで構成される連続演技)  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ T:トゥループ  P.C.S:Program Components(演技構成点)  EL:Element Score(技術点)  Co:コンビネーション・ジャンプ  GOE:各演技の出来栄え点  BV:Base Value(基礎点)

2018年11月6日火曜日

白馬・奥裾花・真田の郷 紅葉紀行(その4.真田氏ゆかりの郷巡り)




松代から地蔵峠を越えて上田市側に南下し始めてすぐ、沼入沢周辺の紅葉がとてもきれいだった。山里の紅葉を見る
と何故か懐かしい気持ちが湧いて来る。車を止めてしばし見渡した。All Photo by Jovial TAKA



ビジネスホテルの朝食は簡単なバイキングだったが、部屋の広さ・設備・温泉付きで申し分なく快適だった。4日

目の行程をどうしようか? と話した時に、地蔵峠を越えて上田市の真田の郷に行ってみよう、ということになった。

高速道路(上信越自動車道や長自動車道)が整備されるまでは、中央自動車道の小淵沢IC→白樺湖越え→大門街道(152

号線)を下りて大屋→上田の菅平側山麗→地蔵峠越え→松代→長野というコースが、八王子の自宅から長野へのドラ

イブコースだった。市街地を幾つも抜けて渋滞する18号国道を避ける山間の抜け道だったが、ややドライブ・テク

ニックを要するコースでもあった。それを想い出しての道程だったが、20数年も経つと道路はすっかり舗装・整備

されていて、秋晴れの中の気持ち良いドライブとなった。




人家の裏山が紅葉真っ盛りで、見上げると゛物見の岩゛の様な大石も覗けた。連れが前の畑で作業しているおばさん
に声をかけると、ニコニコと近寄って来て話をし始めた。



「とても紅葉がきれいなので見させてもらってます!」と言うと、「わたしら毎日見てるのであんまり感じないけど

ね~!」との返事。ほめてもらったお礼に野菜持ってきな~、と言いだし、葉付き人参と小さな青大根(後で調べたら

゛うえだみどり大根゛だった)を畑から引き抜いて数本づつ持って来てくれた。こちらは恐縮してしまったが、気の

良い方だったし、丁度車に積んでいたレジ袋があったので、それにに入れて2人分遠慮せずにいただいた。とっさに

何もないけどと言って、連れが袋入りののど飴をあげた。帰ってから両方とも皮をむいて生のままサラダで食べたら、

甘味がありとても美味だった。良い土で育てしかも庭先取り立てだから旨いに決まっている。なんか、いいお土産を

もらって、「田舎の人はいいね~!」とうなづき合った。





真田氏の上田城築城以前の居館であった真田氏居館跡は、現在も「お屋敷」と呼んで住民に親しまれているが、土塁跡と
皇太神社を残すのみで一帯が公園として整備されている。公園内に真田歴史館があるのだが、この日(火曜日)は定休日
休館だった。




件のおばさんが、ここで採れた野菜を真田館で販売してるんだよ~ という言葉に導かれるように、上田市真田町の

歴史館を目指して秋の光が注ぐ丘陵地帯の道路を走った。水はけのよい肥沃な土地は、野菜・果物・お米などの農

作物を育てるには格好の領地だったと思われた。途中道を訪ねながら到着した真田歴史館は、残念ながら定休日で

中を見学できなかったが、なだらかな扇状地に残る館跡を散策した。以下に載せる画像は、この辺り一帯に点在

する真田氏ゆかりの城址や神社を巡ったものだ。一昨年のNHK大河ドラマでTV放映された「真田丸」のおかげで、

上田の街や歴史遺産がずいぶん注目され、観光で訪れる人々も多かったが、話題にはならなかった多くの史跡が今

も残り、真田町の人々により大切に保存されているのを見て、とても心温まる気持ちになった。




公園の中の坂道階段を上り坂上に消えんとする人、若干一名。秋の木洩れ日がさんさんと注いでいた。



真田昌幸が上田城に移る際に勧請されたと伝えられる皇太神社は、今も静かな佇まいで公園内に祭られている。
タモリ散歩風に鳥居前に立つ人、若干一名。




戦国時代の昌幸以前の三代にわたる真田氏の居城だった真田氏本城(松尾城と呼ばれた)跡から、西方に拡がる丘陵と
上田の街が見下ろせる。



入口に木彫りの案内板があるが、今は館群はなく城跡を残すのみ。



本城跡を見た後、真田家ゆかりの墓所をお参りしようと真田神社を目指して行ったのだがなかなか見つからず、山裾

の山家神社(やまがじんじゃ)にたどり着いた。そこの案内板などを読み取ってわかったことは、昌幸・信幸・信繁

(幸村)の墓所は山の中腹にある長谷寺の公募所に安置されていること。山家神社はこの地に1,300年の長きにわたり

信仰されて来たと伝えられる真田氏ゆかりの神社で、この一角に真田神社が遷座されたのが大正八年、昭和25年に

は戦没者の慰霊が合祀されている、とのことだった。由緒ある山家神社と真田神社を一緒にお参りでたのは、幸運

だった。




真田神社の鳥居脇の六文銭石構え、小さな神社の軒からも六文銭の垂れ幕が掛かっていた。



片や、山家神社は古色蒼然とした山門と宮殿、鎮守の森も古木が連なって歴史を感じさせる。現在、社殿修復の
ための造営奉費が募られているとHPに記載されていた。



予定外だった真田氏ゆかりの郷を見て廻り、すっかり歴史遺産の恩恵にあずかったので、後は帰路を辿るのみとなっ

た。今年の白馬行きは、往路は安曇野の山麗線を通り、復路は上田・東御・小諸市の山麗線を通ることがとても気持

ち良いドライブとなるのに慣れて、例によって雷電くるみの里で昼食とお土産買いをして、北佐久から現在建設中

の中部横断道路(自動車専用道路で料金無料、近年中に韮崎に接続予定)で八千穂高原まで。清里を抜けて長坂ICから中

央自動車道で調布まで、というコースがいつものコースとなっている。今回は山道や峠越えが多かったせいか、3泊4日

で約800㎞の走行距離となった。日程がゆったりしていたので、大した疲れもなく都内の自宅まで帰って来れた。交代で

運転した連れもとてもバラエティに富んだ旅だったことを喜んでいた。次回は恐らく来春の4月下旬となると思われる。

まだ、山歩きもしてみたいし、渓流釣りやスケッチ・ライブ出演も楽しめそうだ。当分の間白馬通いが続きそうだ。





今回のお土産は、くるみゆべしと深赤の紅玉リンゴ(昔懐かしい品種、交配種の元となって久しく最近はめったに
見かけない)、沼入沢のおばさんが「持ってきな~!」と庭先から抜いてくれた上田青大根と人参。辛味たっぷりの
なんばん(黄緑の長ピーマン)と霜降りシメジ(奥裾花渓谷の売店のおやじお薦め)は、帰った夜に味噌炒めとお吸い物
にして美味しく食べてしまった(すごく美味だった!)。


<この項お終い>