2022年6月12日日曜日

縄文遺跡とイングリッシュ・ガーデン (上.信.甲州の初夏旅その4)



国宝の土偶「縄文のビーナス」(高さ27㎝、意外と小さい)、ハート形の顔と逆ハート形のお尻が、ふっくらとした
印象だ。妊婦の姿は、安産祈願や子孫繁栄を願ったもの、と言われているが、そのフォルムは単純化されたかなり
モダンな造形に見える。All Photo by Jovial TAKA



3日目は宿の朝食をゆっくり取ってから、親湯温泉を出発した。前日麦草峠を越えてから明らかに景色が変わり、

蓼科高原の道路を下ってきても、明るいリゾート地の景色が広がっていた。やはり、道路や建物(ホテル・ペンショ

ン・ショップなど)が、長年のリゾート開発の結果配されているので、木立の中の別荘地の趣きと言うかちょっと

洒落ているのだ。この点では、開発の手が少ししか入っていない八ヶ岳東斜面の、鬱蒼とした原生林の風景とは

大分違っていた。

尖石(とがりいし)遺跡は、小学校の時遠足のバス旅行で来たことがある(今から60年以上前!)。その時の施設の

様子などはほとんど覚えていないのだが、黒曜石の鏃(やじり)や縄文土器の数々を見て、「すごいなぁ~ 5,000

年も前だぜ!」と感心したことを思い出す。メルヘン街道やビーナスライン・エコーラインは、この方面に来た時

は良く通っているのに、今まで通過するのみで寄ることはなかった。それを今回旅番組を見たことで、再び寄って

みようという気になったとはいえ、きっかけが「菊池桃子のゲスト」というのも、かなりミーハーだね、と連れに

言われてしまったが... 連れも、NHK「ブラタモリ」の諏訪特集で、黒曜石文化での諏訪・茅野地区は大したもん

だ、というのを見て、尖り石遺跡に行ってみたいと宣ったのだからいいとこ勝負なのだ。でも、きっかけはどうあ

れ来てみて良かったと思った。日本の古代・縄文時代をイメージするには、なかなか充実した資料館だったから。




同じく国宝の土偶「仮面のビーナス」(高さ34㎝)、ビーナスに較べるとシャーマン(巫女)的色合いが濃く、逆三角形
の仮面を付けて祀りをする女性を表現したものと見られている。ビーナスと並べられた展示ケース(やや後方)に置か
れていた。



幾つかの展示室に沢山の縄文土器が展示されていたが、八ヶ岳山麓の縄文文化の盛期を思わせるような、装飾性豊か
で迫力充分の土器だった。



紀元前3,000年頃(縄文中期)の蓼科高原は、湧き水や河川に恵まれ山々も近いので、川魚や獣などの食料も豊富、木の

実や穀物もあり、出土する黒曜石を利用して狩りの道具(弓矢や斧)も作られた。また、縄文土器として出土した食器や

穀物入れもたくさん作られ、一大集落群(与助尾根遺跡・棚畑遺跡・中ツ原遺跡など)として人々が暮らしていたの

だろうと推察される。その暮らし振りは、「茅野市 尖石縄文考古館」で見ることができる。この3日間の旅行は晴天

に恵まれ、ここを訪れた朝も快晴の青空だった。ひと通り展示物を見てから、少し離れた林の中の平地にある与助

尾根の復元住居を見た。茅葺の竪穴住居が数棟あったが、手入れが行き届かずに骨組みの丸太だけが残っているも

のもあった。



与助尾根の復元住居、画像は「ハチ旅」より。



 出土品の中から、石器や黒曜石やじりを集めたコーナー。



さて、旅の最後には「バラクラ イングリッシュガーデン」を訪れた。尖石遺跡は、エコーラインから100m程東方

に入った場所にあったが、親湯温泉からビーナスラインで高原を降りて来る途中にこのガーテンはあったので、再び

少し引き返すことになった。私も名前は聞いていたが今まで寄る機会がなく、また連れは寄ってみたいと思ってい

たがなかなか機会がなく、まだ午前中なので、花を見てゆっくり昼食にしよう、と意見が一致した。

ガーデンの案内によると、人気のバラ・ガーデンは6月中旬から7月中旬がシーズンとのこと。残念ながらバラは

見られなかったが、開園以来30年を経ている庭園の風景は、花々と樹木・草々に溢れ、それらが混然一体となった

素晴らしいものだった。旅の最後に、こんなきれいな風景に出会えたのも、幸運の女神がほほ笑んでくれたからか

もしれない。




ネギ属の「アリウム」、そのネギ坊主状のムラサキ丸球が咲き乱れる様も一風変わっていて面白い。浮かぶ風船玉
の様な風景を楽しんだ。



入口脇のギリシャ神殿・エンタシス(円柱)を思わせるモダンな東屋、初夏の花々が咲き乱れていた。



高原では、オオデマリの花もひと際きれいに見える。



珍しい八重咲のオダマキ、紫花の色も濃い。



薄ピンク・四枚花弁のクレマチスは「モンタナ」だろうか? 壁面一杯に咲く様は自由奔放でとても愛らしい。この
花のような女性には、男どもは惑わせられっ放しになるだろうね!?




フォレストガーデンの緑濃い樹々の前庭は、イングリッシュ・ブルーベルの薄紫小花のジュータンとなっていた。
ちょうど真昼時の晴れた空から、光が差し込んでいた。この風景にインスピレーションを得て、旅から帰ってから
連れは新しい油絵の制作に取りかかった。




このガーデンでの昼食に食べた「ベーコン・エッグタルト」(キッシュ)のランチセット、卵入りの生地がふわふわと
美味しかった。併せた珈琲も、さっぱり味で良かった。画像はガーデンHPより。


<この項終わり>



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