▢澄んだ冷たい流水の山岳渓流に生息するイワナとの出会いを求めて、釣り人(フライマン・ルアーマン・テンカラ
釣り師など)のあこがれの地である金峰山川を今回訪れた。私にとっては、3度目の正直で実現したテンカラ釣りだ
った。All Photo by Jovial TAKA
金峰山(きんぷざん or きんぽうざん)は、山梨県と長野県にまたがる日本百名山の高峰(2,599m)で、金峰山川は
この山を源流として北方に流れ下り、川上村居倉で千曲川と合流する。長野県側読みでは「きんぽうざんがわ」
なのだが、ここでは慣れ親しんだ「きんぷざんがわ」と呼ぶことにする(県民のプライドもあってちょっとややこし
いのだ)。秩父多摩甲斐国立公園内の高峰としては一番高く、国師ヶ岳(2591m)・旭日岳(2,579m)・甲武信岳
(2,475m)などを連ねたけわしい山岳地帯にある。従って、民間の野放図なリゾート開発から免れた貴重な自然遺産
が残っており、金峰山荘や廻り目キャンプ場などの施設もすべて川上村の公共施設だ。周辺一帯は冬季には降雪も
多く、キャンプ場や登山道も4月末から10月一杯の運営となっている。
実際、昨年の秋(10月初め)にこの川を訪れた時は、支流西俣川に設けられた遊歩道を連れと歩いてみただけで、す
でに禁漁期間ゆえに竿を出すこともなかった。今年の4月初めに弟との旅行の折に、テンカラ釣りを試みるべく再度
この川に来てみたのだが、まだシーズンには早く金峰山壮とキャンプ場に続く路は、まだたっぷりの雪で覆われて
いてすごすごと引き揚げざるを得なかった。今回この川でテンカラ釣りをしてみて感じたのは、流水の冷たさ(晴天
の午前中で水温8℃)と透明度の高さだ。川底の石も白いので、釣り人からイワナの魚影が見られると同時に、岩魚
からも釣り人の姿がすぐ確認されてしまう。それ故、ポイントへの慎重なアプローチが必須だ。また、巨岩とゴロ
ゴロ石の川原を遡行するのも結構体力が要るし、浮石の上に不用意に乗ることも避けねばならない。
▢急峻岩山・金峰山と金峰山壮
▢花崗岩(白い御影石)のゴツゴツした岩山の頂上を持つ金峰山から流れ出す急流の、巨岩と大きなゴロゴロ石の間を、
イワナのポイントを求めて遡って行く。
▢深みのあるポイントは限られているが、イワナはしっかりと生息していた。
▢時には、両岸の樹枝に仕掛けを絡ませてしまい、毛鉤と針素を取られることもある。テンカラも短めの竿、サイド・
キャストが有効だ。フライやルアーも同様だろう。
渓流を上り始めたすぐに、流心脇のポイントがあり、対岸頭上の樹枝を避けるため竿のバネを利用して横から仕掛
けを振り込んだ。その直後しっかりとした当たりがあり、きれいな魚体のイワナがかかった。慎重に網に取り込
んだが、その時胸元に搭載したデジカメをまだスタートしてなかったことに気づいた。なんということか!! 従がっ
て、残念ながらヒットの瞬間の動画は取れず仕舞いだった。胸ポケットのスマホで、ネットに取り込んだイワナを
撮影したが、それが下の画像だ。
▢急流の白い泡巻く流心脇に、良いポイントがあった。
▢黒毛茶胴の毛鉤に食らいついてきたのは、源流育ちのピンひれイワナ。すっきりとしたきれいな魚体だった。体長
20㎝弱、「ようやく出会えたね!」とつぶやきながら流れに戻した。
ピンひれイワナに出会えたことで気を良くし、再び川を遡って行く。今度は、デジカメもずっと長廻しし、再びのヒッ
トチャンスを動画に記録すべく、ポイントに仕掛けを振り込み続けた。ほどなく2段の大きな堰堤があり、渕はやや
小石に埋まっていたが、ここは期待できると気持ちが高まった。右岸の下流からサイドキャストすると、毛鉤を追っ
て魚影がススッと近寄って来た。やや早合わせだったためヒットせず、再び慎重に仕掛けをキャストしたが、もう
相手は毛鉤を追わなかった。「見破られたかぁ~!」
1時間半・200m程の遡行で、釣り上げたイワナは1匹だったが、毛鉤を追う他の魚影も確認できたし、きれいな
渓流で釣りを楽しめたので大いに満足だった。最近は、1回の釣行で1匹に出会えればそれで恩の字! という心境
なので、その後調査を兼ねて本流に移動した。金峰山壮の案内所で、本流の東側にあるふれあいの森(キャンプ場や
バンガローなどの施設がある)への入場料を払い、ゲートを開ける鍵ナンバーを教えてもらい入場した。一部道が
凸凹なので、オフロードタイプの車でないと底をこする、と警告があったが、大丈夫だった。もう真昼時で陽光
も強く気温も上がっていたが、4~5ヶ所竿を出してみた。この時には毛鉤を追う魚体は確認できなかったが、岩
間を流れる流水と連続する渕がなかなかいい感じで、天候や時間を見て、またの機会に訪れたい思いを強くした。
コンビニで買ったお握りと、持参したポットのお湯でお味噌汁を作り、川岸での昼食とした。5月の風は爽やか
で湿気も少なく、恵まれた好天の下での食事はとても美味しかった(安上りだったけれど!?)。午後は、佐久甲州
街道に戻り、松原湖を抜けて麦草峠を越えた。峠付近の道路脇や山陰にはまだ雪がたっぷり残っていたのにはビッ
クリ! しかし、道路はよく整備されていて快適なドライブだった。その夜の宿は蓼科の親湯温泉、ある旅番組を偶
然見ていた私が、一度訪れてみたいものだと思っていた老舗の温泉宿だ。夕刻早目にチェックインし、源泉かけ流
しの温泉を早速楽しんだ。
▢今回のテンカラ釣りでは、堰堤は1か所のみ。多くの釣り人が竿を出して行くポイントだが、イワナは生息して
いた。それにしても水がきれいだ。透明度は、はんぱないのだ。
▢なかなか手強い相手だった。
▢竿(ロッド)は、短めの渓流テンカラ竿(3,3m)、両岸の樹枝対策に慎重なキャスティングが必要だった。
▢シーズン初期(通年かもしれない?)は、黒毛毛鉤が有効なのだ。
▢白毛毛鉤も用意して行ったのだが、今回当たり無し。川虫の羽化が始まり、水面を飛び交う様になれば、大いに有効
なのかもしれない。この辺りは、フライの毛鉤と微妙に違うようだ。
▢田淵義男氏(金峰山北嶺の山里で暮らした自然派作家・園芸家・薪ストーブ研究家・家具制作者)も愛したこの川で、
氏はフライ・フィッシングを楽しんだ。私も、このきれいな自然環境が何時までも残ることを願っているひとりだ。
▢今回のテンカラ釣り動画をYouTubeにて視聴できます。興味のある方は、どうぞアクセスしてご覧ください。
< この項つづく >
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