▢蓼科高原の女神湖へは初めての訪問、湖水廻りの紅葉(イロハモミジや広葉樹)もきれいだったが、周囲の山々に群生
するカラマツの黄葉がひときわ美しく見頃だった。All Photo by Jovial TAKA
10月に入ってから゛今年の紅葉をどこで楽しもうか?゛と思案していたが、連れが長年取り寄せていた信州リンゴの
入手が困難となっている(3年前の台風19号の千曲川堤防決壊による長野市のリンゴ農家被害のため)ので、新たな
入手先を見つけるのと合わせて、信州に出かけることとなった。2人とも生まれも育ちも信州ゆえ、大方の土地勘
と紅葉の名所は心得ているものの、2.000m級の高原から数百mの市街地までの標高差によって、紅葉の状況は刻々
と変わるので、ベストの紅葉地域を想定するのは結構大変なのだ。Tenki.jpの各地紅葉情報や今までの見頃データな
どを判断して、蓼科高原地区の紅葉(カラマツやモミジ)に的を絞ってみた。車移動の途中でも各所を回るので、あち
こちでもいろいろな紅葉が見られるのも楽しみにして出かけた。
おおよそのルートは、中央道(調布~長坂)から141号線で清里を越え八千穂高原まで、再び高速(中部横断-上信越)で
須坂長野東まで。須坂市外でリンゴ園探訪、その日は長野駅近くのホテル一泊。翌日は、再び高速(松代~上田菅平)
で上田まで行き、152号線で白樺湖まで。女神湖・夕陽の丘を巡って蓼科高原の紅葉・黄葉を楽しみ、ビーナスライ
ンと県道で諏訪南まで。後は中央道で帰ってくるという、走行距離およそ630㎞のドライブコースだった。
▢中条フルーツ農園の広大なリンゴ畑には、収穫時のシナノスイートの真っ赤なリンゴがたわわに実っていた。
幹の太さを見ても古木に相違なく、選定による枝張りも実に見事だった。リンゴ狩りもできるこの農園のリンゴ
の木を見て、2人とも一偏で気に入ってしまった。
近年しばしば訪れている清里高原(標高800~1100m位)の風景もなかなか気持ちいいのだが、県境(山梨→長野)を
超えると風景が一変する。やはり、より空気が澄んで、木々の葉色や山々の景色がスッキリ見えるようになる。紅
葉も、くすんだ色がなくなってより鮮やかになる。佐久・小諸・東御(とうみ)の道路から見える紅葉景色を楽しみな
がらの気持ちいいドライブだった。出かける時は何時も天気予報で「晴れ」の日を選んでくるので、この日も翌日
も秋晴れの快晴だった。「日頃の行いがいいからねぇ~」などと軽口も出る。東部湯の丸SAで昼食をとり、須坂の
街に入ったところでNAVIの調子がおかしくなり、あちこちうろついたがようやく403号(谷街道)沿いの中条フルーツ
農園にたどり着いた。事前に観光協会の案内図をコピーして持ってきたのだが、やはり初めての街はわかりずらく
て迷うものだ。
でも、この農園のリンゴ畑や車で来ている客たちへの店の人の応対、次々とリンゴとブドウを購入していく客姿を
見て、この農園がよさそうと察しがついた。お目当ての「サンフジ」は、11月下旬の完熟ということなので、注文
書をもらい後日発送してもらうことにした。これからも頼むことがあるので、いい農園が見つかってよかったと連
れもほっとしていた。売り場にあった「シナノスイート」と「シャインマスカット」をお土産に買ったが、獲れた
て・新鮮・値段も安く、いいお土産となった。帰ってから食べてみたが、リンゴもブドウも完熟でとても美味しか
った。
▢晴れた青空と真っ赤なリンゴの色は、幼いころからよく見てきた懐かしい風景だ。
その日の夜は、長野駅周辺のお店で食事しよう(ホテルは素泊まりプラン)とぶらぶら探していたら、小さなホテルの
1階にある「信州そばと地酒の店・小木曽製粉所」を見つけて入ってみた。゛そば屋にお任せコース゛(鴨肉の味噌
だれ煮・馬刺し・てんぷらなど7品)と地酒のひやおろし2種を頼んで食べてみたが、なかなか美味しかった。後で
調べてみたら、最近チェーン店展開で店を増やしている(長野県内他30店舗ほど)こだわりそばと郷土料理店で、そば
栽培・製麺・料理・店展開を一貫して手掛けている企業であることが分った。お値段も手ごろで、そばはとても美味
しかった。新しい元気な企業が出てきていることは、まことに好ましい。このレベルを保ってこれからも旨いそば
を提供願いたいものだ。また。朝食は駅ビルの一角にある「神戸屋」で、クロワッサンとコーヒーで済ませたが、
ホテルのバイキングなどに較べるとずっと美味しかった。
▢女神湖の駐車場で見かけたイロハモミジの紅葉、青空と白い雲と紅葉で絵にかいたような景色だった。後ろの
木々は葉を落とした白樺。
さて、白樺湖に向かう途中、152号沿いにある「マルメロの駅ながと」に立ち寄った。連れの話によると、゛とにか
くでかい道の駅たよ゛ということなので車を入れてみたら、ほんとにデカかった。農産物直売所・レストラン・土産
物店・温泉施設などが広い敷地に並んでいて、ここで帰りのお土産屋とお昼の手作り弁当まで購入してしまった。
観光バスも止められる広い駐車場もあるから、今後人気スポットになるかもしれない。
俗化した白樺湖はスルーして女神湖に行ってみると、湖水廻りの紅葉がちょうど見頃だった。そして、湖を囲む
山々にはカラマツの原生林が続いていて、きれいに黄葉した景色が臨めた。戸隠高原や軽井沢のカラマツもきれい
なのだが、近年気候変動のせいか早くに茶変・落葉してしまい、カラマツの黄葉をしっかりと見られないでいた。
けれども、この湖周辺やそれに続く蓼科高原の各所で、今回カラマツの黄葉を思う存分見られたのは、とてもうれ
しかった。もっと高所にある「御泉水自然園」(標高1.800m程)にも立ち寄ってみたが、こちらはもうカラマツも散
り始め、白樺は落葉だったので、季節の早さを感じることとなった。40号線やビーナスラインを巡りながら、この
高原がカラマツと白樺の大群生地なのを今回初めて知り、八ヶ岳周辺にはまだまだ知らない名所があることを改め
て発見できた。新緑の時期には、また白樺の新葉を見にくる楽しみもできた。
蓼科牧場からスズラン峠を越えて蓼科温泉郷に抜ける間に、夕陽の丘という高台からの景色が抜群だった。西側の
車山高原や霧ケ峰の手前には、カラマツの原生林が広大に続き、すべてが黄色に色付いた景色は、今まで見たこと
のない壮大なものだった。季節がもう1週間遅ければ、カラマツの葉は茶変し落葉したに違いない。ほんとにベス
トの状態で黄葉が見られたのはラッキーとしか言いようがない。大いに満足の黄葉だった。ほんとに出かけてきた
甲斐があったというものだ。
▢夕陽が丘の道路東側に続くカラマツ林、黄色に色付い葉が午後の日差しを浴びてきれいだった。
▢山の斜面はすべてカラマツ、鮮やかな黄葉もあと1週間くらいか?
▢西方の車山・霧ケ峰の連なりの目前には、広大なカラマツ林が広がっている。人を寄せ付けないカラマツの
原生林が、これだけの規模で続いているのも初めての眺めだ。まだまだ知らない景色というものがあることを、
今回痛感することとなった。