2010年6月25日金曜日

第一回 和食と音楽のコラボ:椿珈琲店にて

   □食べかつ飲みかつ歌い奏でる今宵のメンバーたち、美味しくて楽しい会となった。All Photo by TAKA
前々からあたためていたアイデァが形となって、『マクロビィオテックな江戸料理と歌を楽しむ会』が、喜多見の椿珈琲店で開かれた(6/22.PM7:00~)。集まったのは、この店の常連客たち。シンガー・ソング・ライター、アレンジャーandピアノ奏者、ギター奏者、歌唄い好き、歌聴くの好き、酒好き...その中で今宵の私は、臨時板長役でレシピと調理を担当し、茂子ママにお手伝い頂いて皆さんに料理を振舞うのである。かつ、また私もギターを奏で歌うのである。寛いだホームパーティが始まった。
まずは、今宵の料理お品書き(全6品)を紹介しておく。()はブログ掲載日
➀前 菜      水菜に雑魚とおろし大根のせ
              ※特製ドレッシング(玄米黒酢+E.V.オリーブオイル+天然醸造醤油)


②お造り   鮭と白身魚の紫蘇・おぼろ昆布重ね(2009.1.2参照)


③お豆腐    ニンニク縮緬豆腐とオクラ縮緬豆腐にサンチェ添え(2008.5.4参照)


④煮 豆   白花豆と金時豆の黒酢・オリーブオイル和え・青海苔と粉チーズのせ
            (2008.4.23参照)


⑤焼き野菜    茄子の練り味噌焼き(シギ焼き茄子)


⑥お 肉         鴨肉の醤油実山椒漬け・クレソン添え(2009.1.28参照)

このブログでもマクロビォテックの理念と料理例を何度か紹介(2008.7.5)しているが、今回の料理もすでに紹介しているものがほとんどだ。「一物全体」、「身土不二」、「陰と陽のバランス」、という考え方は簡単に言うと次のとおり。食材は皮やアクまで丸ごと食べることで生命維持が出来る。生まれ育った土地で季節に取れた食材を食べ、気候や水、空気や土壌すべての環境を取り入れて体のバランスをとることができる。全粒の穀物を主食として、有機栽培の野菜・豆・果物・海草に天然の調味料で陰と陽のバランスを考えて調理し、砂糖・乳製品・肉・卵類は極力取らない。

江戸料理と名づけたのは、伝統的な日本の家庭料理が残っていた曾お婆ちゃんの時代とその先にある江戸時代をイメージしてであり、私の敬愛する料理家近藤文夫氏(池波正太郎の時代劇に出てくる料理の監修者にして、銀座・てんぷら近藤のオーナーシェフ)にあやかってである。ただ、あまり理念に囚われすぎず、料理を楽しむつもりで今回の食材も選んである。もちろん、今回も砂糖は一切使っていない。

以下、料理写真と簡単なレシピを紹介する。器はすべて椿珈琲店の備品からお借りして盛りつけた。調理する脇でライティングもなしで撮った写真なので若干画面が暗いのをお断りしておく。

 ➀水菜をざく切りにし、おろした大根とチリメン雑魚を載せる。ドレッシングは、玄米黒酢とエキストラ・ヴァージン・オリーブオイルと天然醸造醤油を1:1:1で混ぜたもの。このドレッシングは、色々なシーンで使える万能の優れもので、市販のものと較べ、体と健康によいのは間違いなしである。この前菜が好評だったのには私もびっくり。チリメン雑魚は、鹿児島産・築地中富水産のもの、たっぷり載せて食べていただいた。
②鮭の切り身(この時期国産はないのでノルウェー産を使用)と、さばいた宮崎産の真鯛の切り身に、紫蘇とおぼろ昆布をはさんで3~4層に重ねる。身崩れを防ぐために、予めラップシートを敷いてその上に重ね、折りたたんで包むとよい。
食べるときは、一層づつはがしながらいただく。トロッとした鮭とさっぱりした鯛の味に青紫蘇の香味と昆布の旨味が加わり、味の四重奏だ。極上の日本酒と共に味わうと゛味の五重奏゛となる。「味のクインテットかぁ~!」と思わず声があがった。
このお店のオーナー・茂子ママのご好意と乗り気で実現した今回の企画、今宵は私も江戸小紋の手ぬぐいを巻いて登場!いつものハンチング帽の趣きとはガラッと変わったので、皆さんから、こっちの短髪の方がずっといいとお褒めをいただき、すっかりいい気分。
TA子さんが持参した日本酒三種は、生酒・純米酒・超辛口吟醸酒と逸品ばかり。料理とマッチして杯が進むことすすむこと!
ご馳走、というのは、適宜な食材を求めて東奔西走すること。今回も食材探しには時間を要した。また、当日の調理場で出来ないもの(豆の水戻しなど)は、前日に仕込んでおいた。
③やや小振りの鹿児島産チリメン雑魚に、青森産にんにくをスライスして菜種油で揚げたものを加え、純米酒と天然醸造醤油で煮込んだもの(酒1・醤油1の煮汁)、隠し味に実山椒を入れて香りを出す。これがニンニク縮緬。もう一品は、同じく揚げたオクラ・スライスと輪に刻んだ赤唐辛子をチリメン雑魚加え、酒と醤油で煮込んだもの。国産絹豆腐に載せ、あるいはサンチェに包んでいただく。この縮緬煮はたんぱく質とカルシウム摂取に、常備采として大活躍する。ご飯に載せてもいいし、パンにはさんだり、スライス大根にサンドしたり...お好みでどうぞ。

④煮豆は、前の夜水にひたひたと漬けて一晩戻す。そのまま鍋にかけ、いったん沸騰したら灰汁を取りつつ弱火で40~50分、差し水をしながら柔らかくなるまで煮る(豆の固さや保存期間により、若干長くなることもある)。
煮上がったら、煮汁を取り出し(そのまま味噌汁や煮物の出汁に使える)、玄米黒酢とE.V.オリーブオイルを加えて和える。トッピングは、青海苔・粉チーズなどお好みで。豆本来の甘味と旨味が楽しめて美味しいし、整腸剤としても抜群である。人生、マメに生きようとする人は豆を食べるべし。幸せが向こうからやってくる。

⑤⑥宴も後半になると、歌とギター演奏に皆乗り乗りとなってくる。食べる方もやや進み加減が落ちたので、メインディッシュは、鴨・茄子・クレソンの盛り合わせとした。酒と醤油に実山椒を加えた漬け汁(水3・酒4・醤油3)、をいったん沸騰させ、脂身をはずした岩手鴨ロース肉を裏・表約1分位づつ煮てから、氷入りのボールに乗せてすばやく冷ます。鴨肉は全体に火が通りつつ、外は茶色、中は赤身色のままに仕上がる。刺身のようにこの漬け肉を切り、洗ったクレソンを添える。むっちり・ねっとりした噛み応えと味は鴨肉ならではのもの、みなさんに大好評であった。
小振りの茄子は、半切りした両面に胡麻油を刷毛で塗り(今回刷毛を持参し忘れ、P.タオルで代用)、オーブンで焼いてから身面に練り味噌をバターナイフで塗って、再び焦げ目が付く位に焼くと出来上がり。練り味噌は、天然醸造味噌・出汁・味醂・卵の黄身・刻んだ青唐辛子を混ぜて練ったものを使った。
夜も更けて、ひと通り料理とお酒を楽しんだ後も宴は続いた。NIさんが、小笠原を訪れた印象を歌ったオリジナル曲「父島・母島」を披露し、KNさんが、皆に請われて十八番の「ダンダン・シュビドゥビ・シュビドゥバ~」(懐かしのサントリーウィスキーのCMソング)を歌い、UDさんは「たそがれのビギン」をギターソロで奏で、私が伴奏したり...DSさんがオリジナル曲を歌えば、哲マスターも「京都から博多まで」を爪弾き、それをTA子さんが歌い。今宵風邪で喉を腫らして美声が出ないTKさんは、ニコニコと皆の歌を聴き、持参の赤ワインを飲みながらSAさんも皆の歌を聴いて楽しんでいた。

10人が参加した今回の料理と歌を楽しむ会は、参加者同士の親睦と洒落っ気を目論んで出来た会なので、酒はフリードリンク(持ち込み歓迎)で会費3,000円という破格値、茂子ママのご好意の賜物だった。調理を担当した私は、それなりに準備を要したが、会の始まりから終わりまでとても楽しかった。自身が探求する食の世界を、美味しいといって食べていただけたのは何よりの喜びであった。TA子さんの「次回は秋にやろうねぇ~」との一声で、また趣向を変えて第2回の゛和食と音楽のコラボ゛が実現できそうである。この夜の私の弾き語り曲は、ボサノヴァ演歌の「Antonico」で、このメロディを拝借して五木ひろしの「横浜たそがれ」をはさんで歌った。皆に好評だったことを付け加えておく。

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