2010年7月1日木曜日

夏桔梗が咲けば、佐島の海では地蛸の季節

例年よりはやや遅い夏桔梗と半夏生、紫と白とコントラストが涼しい瑞泉寺の庭園 All Photo by TAKA
ふと思い立って、久し振りに鎌倉瑞泉寺を訪れた。ここ2年、機会が作れず夏桔梗を見ることが出来なかったが、大塔宮からバスを降りて鎌倉盆地の東端にあるこの寺へ向かうひなびた参道は、紫陽花が咲き乱れ、白から紫・紅への色のグラデーションを楽しませてくれた。谷戸の鬱蒼とした両端の森からは、鶯の鳴き声が何匹も重なり合い、涼風に゛さわさわ゛となる木立ちの葉の擦れる音を伴奏にして、一層の静寂を感じさせてくれる。古刹を訪れる人もちらほらいるが、ひんやりとした空気の中で、桔梗・半夏生・美容柳・鹿の子百合・紫陽花・露草などが咲き乱れる庭園をゆっくり見ることができた。庭園の手入れは、夏草たちの勢いに追いつかないのか、雑草もいささか生い茂り、これから花開く桔梗の枝も、草に埋もれていた。
鎌倉時代の面影を色濃く残すこの禅寺は、高台にある本殿に続く石段の両端に木立ちが生い茂り日中でも薄暗く、鶯の鳴き声と涼風に鳴る葉音に囲まれていると別世界のようで、しばし時間を忘れる。初春の水仙と秋の紅葉で有名なこの禅寺だが、関東地区でも夏桔梗を見られる花の名所として知る人は少ない。

最近増えた紫陽花の花、山の斜面にもびっしりと(左)、梅雨時に咲く美容柳も小花を沢山つけて(右)
鎌倉を訪れたときにはかならず寄る段葛の蕎麦屋゛こ寿々゛も、開店の11時半にはお客が待ち並んでいた。先取り注文をした店員に案内されて席に着くと、片口に並々と注がれた冷酒と、出汁巻き卵にそば味噌がついてテーブルに出てきた。まずは、冷酒を一杯口に含む。喉をするすると落ちていく旨酒に、゛う~ん、美味い!と呟きがこぼれる。焼きたての卵は、さっぱりとした出汁と柔らかな卵の味がこの店の特徴で、出し巻き卵の美味い蕎麦屋はいい蕎麦屋、という蕎麦屋評がうなづける。地元の佐島港で上がった小振りの蛸を茹でてぶつ切りにした゛蛸ブツ゛はこの店の名物だが、知る人ぞ知るの一品なのでメニューには載っていない。歯当たりのいい身を噛むと、美味さが口に広がる。そこでまた一杯...
手打ちの蕎麦は、江戸前のさっぱりとした味だが、しゃきしゃきとした歯ごたえが特徴で美味い。蕎麦湯には、薬味を少し入れ、一味を出してもらい少々振る。ゆっくりと飲む蕎麦湯は、至福のひとときである。




鎌倉は、いつ来ても良いね!と思いながら帰路の横須賀線に乗る。ただし、人混みが強くなる昼時には引き上げてしまうのが私流。早起きの効用で、久し振りの鎌倉小旅行を楽しんだ。

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