2016年5月6日金曜日

花菜ガーデンのクレマチスは見頃だった・その2



『ミス東京』(パテンス系)、やや紫がかったラベンダー色の大輪早咲き種、剣弁の花弁(実際はガク片)は大振りで見応えがある。
花芯の紫色と淡い筋色も、全体にバランスが良く気品を感じさせる。 All Photo by TAKA


花菜ガーデンのクレマチス・ゾーンは、庭園北側のバラ園に続く場所にあるが、フェンス仕立ての遊歩道を回遊できるように

設計されていて、全てのゾーンがバリア・フリーになっている。そのため車椅子の見学者もちらほらと見られた。歴史ある

植物園や庭園は階段や急坂があったり、路面もデコボコしていたりして、障害者や高齢者に必ずしも親切になっていない

ケースが多い。その点では、新しい庭園は設計の段階から時代のニーズに対応していることが特色であり、この庭園も駐車場

から施設・各見学スポットまで、丁寧に作られているのに好感が持てる。




『雪おこし』(原種・風車系・日本)、蕾と開き始めは淡いグリーン色だが、開くに従って白色が増していく八重咲き種。
複層した花弁の重なりがヴォリューム感を出していて見栄えがする。



『クリムソン・キング』(ラヌギノーサ系)、咲き始めの花弁がふわふわと波立っているようなしわのある早咲大輪種。
濃い赤紫色の花弁には、ビロードのような艶がある





『ブルーライト』(ラヌギノーサ系・オランダ原産)、爽やかなスカイブルーの花色と花弁先のクリーム色が美しい早咲き大輪種。
この状態は一重の花弁に見えるが、咲き進むと中心の花が拡がり、二層からボリュームのある八重咲き/万重咲きと変化し、
長期間花姿が楽しめるという。前出(その1)の『ミセス・チョムリー』の変種。




『柿生(かきお)』(パテンス系・日本/小沢一薫作出)、先端が鮮やかな濃ピンク色・中心が白っぽくぼける大輪早咲種。
欧米では『Pink Champagne(ピンクのシャンパン)』と呼ばれているそうな。



クレマチス・ゾーンの案内板から「小沢一薫」氏のことを知り、少し調べてみた。詳しいことは良くわからないのだが、川崎市の

麻生区に在住し(農林省への品種登録がこの住所になっていて、ここの自家農場で育成された、とある)、クレマチスの品種

育成とその栽培技術に長年取り組まれた方のようだ。現在の日本のクレマチス第一人者と言われる金子明人氏(NHK・趣味の

園芸講師や静岡県長泉町の「クレマチスガーデン」の監修者として著名)や、クレマチス・ナーサリー「及川フラグリーン」の

主催者・及川洋磨氏等が師事した、日本のクレマチス研究と育成のパイオニア的存在とされている。長年の間、クレマチスは

接ぎ木によって増殖されていたが、小沢氏が挿し木による効率的な栽培方法を確立した(昭和30年代)ことにより、クレマチス

の品種改良と新種作出が飛躍的に進んだ、とのこと。その研究成果として彼が作出した品種には、自分の住んでいた近辺の

地名をもとに名前を付けたものが多く、『柿生(カキオ)』・『這沢(ハイザワ)』・『篭口(ロウグチ)』・『入生(イリウ)』・

『都築(ツヅキ)』・『踊場(オドリバ)』などの品種が、現在も日本だけでなく欧米でも育成・販売されているというではないか。

その小沢氏(2003年12月没)が作出したクレマチスに命名した地名の由来については、ブログの面白い記事があったので以下

紹介しておきます。興味ある方は覗いてみて下さい。「Souvenirs de la saison」(ブログ名)・『小沢一薫のクレマチス』

(タイトル)です。


 



12年前(2004年6月)に初めて訪れたクレマチスガーデンで見た『這沢』(ハイザワ・テキセンシス系・小沢一薫作出)の
不思議な形は今でも鮮明な印象で私の中に残っている。今回の花菜ガーデン訪問で、長年の疑問(どうしてこんな
風変わりなクレマチスがあるのか?という)が解けて、作出者の姿がおぼろげに分かったのは収穫だった。



つい先月、高尾のサクラ保存林で、江戸時代から16代続く「桜守・佐野藤右衛門」のことを知った。今回はこのガーデンで、

クレマチスの育成に情熱を注いだ「小沢一薫」を知った。そう言えば私の好きな素麺は、300年続く島原(長崎県島原市)の

「鬼塚林之助・寒製」だし、漬け汁にかける七味は長野市善光寺門前の老舗「根元・八幡屋磯五郎」謹製だし。何の脈絡も

無いように思われるかもしれないが、私自身の中には日本の伝統に脈々と受け継がれている「職人魂」(プロフェッショナルと

言ってもいい)、あるいは「ビルトォーゾ」(イタリア語の゛達人゛)に魅惑され限りない興味を抱かされる精神的傾向が

あるのかもしれない。まあ、言ってみればある種の「野次馬精神」であり、「知的興味」かもしれないが、それが意外と行動の

起点となっているように思うのだ。



庭園の一角で見つけたリンゴの花・『シナノゴールド』、白と淡いピンクの花色が、懐かしい信州のリンゴ畑の
春景色を思い出させてくれた。




HIさん宅のお庭で見事に咲いた『天塩』(パテンス系)、薄紫の八重花がたくさん花開いた。


<この項終わり>

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