2017年10月25日水曜日

ISUフィギュアスケートGPSシリーズ・ロシア杯より(その2.女子シングル)




総合成績231.21の高得点(SP:80.75/FS:150.46)で優勝したE.メドベデワ(ロ・17歳)、ジャンプの安定性とステップ・
スピンの細部まで行き届いた演技表現は、今シーズン出だしも抜群の強さを見せた。上は、『ノクターン』(ショパン
ピアノ曲)のテーマ曲で滑降するSPの優雅な演技。FSの最後のジャンプ2Aを転倒して苦笑いをしていたのも愛嬌か。
画像はZIMBIO他より。



今回の女子シングルの表彰台は、総合得点で200点を越えた3選手となった。GPSファイナル戦や世界選手権では、

220点越えの争いとなると予測される。現在、ロシア選手権2連覇・GPSファイナル2連覇・世界選手権2連覇の実績

を誇る一強メドベデワの存在を脅かすのはかなり難しいと思われる。3Aを除く5種類ジャンプを正確に跳ぶ安定

・手を挙げての高度なジャンプ・着氷姿勢の滑らかさ、テーマ曲世界を表現するステップやスピンのドラマチック

性、若干17歳にして総合的な表現力のレベルがとても高いのだ。この牙城をどう崩していくのか、それが当面の

他選手の課題だろう。



昨シーズンから競技会に復帰し、今回表彰台2位に輝いたC.コストナー(伊・30歳 )へ、フィギュアスケート・ファン
は大きな拍手を送った。2年間のブランクがあるとはいえ、30歳の女子選手が活躍する姿は、過去にもあまり例がない
だろう。できる限り現役を続けて、スケーティングのいいお手本を後輩たちに見せ続けて欲しいものだ。


やはり特筆すべきは、C.コストナーの存在だろう。長身(169㎝)の長い手足の細部まで行き届いた身体表現は、優雅

でしかもスピード感がある。SPのテーマ曲『Ne Quite Pas』(行かないで)の世界は別れを表現するドラマ性がたっ

ぷりだったし、FSのテーマ曲『牧神の午後の前奏曲』(ドビュッシー)では、ゆったりとしたリズムと薄紫色の衣装

が素敵だった。彼女も3Aを除くすべての3回転ジャンプをミス無くきれいに決めた。コンビネーションの出来栄えも

よく着氷も優雅だった。体力面から言えば、10代や20代前半の若い選手には及ばないと思うが、滑降技術の正確さと

完成度では充分に戦えると思う。私も10年以上前からコストナーファンの一人なので、彼女の活躍を今シーズンも

見られるのは大いに楽しみではある。



高校生の樋口新葉(日・16歳)は、きびきびとしたキレの良い演技で3位を勝ち取った。なんか、゛豆タンク゛の様な
元気ハツラツ振りが良かった。SPのテーマ曲『ジプシーダンス』(バレエ・ドン・キホーテより)も、演技とイメー
ジが合っていて好ましかった。FSのジャンプにミスが出た(3Sと2Aのコンビネーション)のが惜しかったが、今後の
成長が楽しみだ。



5位の坂本花織(日・17歳)は、FSのジャンプに転倒と細かなミスが続き得点が伸びなかった。E.ラジオノワ(ロ・

18歳)は、昨シーズンまでの表彰台常連の安定した成績振りが影を潜め、今回はジャンプに安定性を欠き4位に留ま

った。6位のマライア・ベル(米・21歳)は、やはりジャンプの着地にミスが幾つも出て、表彰台に届かなかった。

ジャンプの正確さと出来栄えに重きを置く現行の採点基準からして、6種類のジャンプを如何に正確にきれいに飛

ぶかは、勝敗を分ける大きなカギとなるだろうと思う。3A(3回転半)をプログラムに組み込む選手は現在はいない

が、過去には浅田真央(日)・E.トゥクタミシェワ(ロ)等6選手が3Aを成功させているから、いずれこれに挑戦する

女子選手が出てくる可能性は大きい。



さて、これからのGPSシリーズ戦を展望してみると、各試合に登場してくる有力選手(男子・女子)の動向が気に

るところだ。カナダ杯には、宇野昌磨と無良嵩人、本田真凛と本郷理香、P.チャンとK.オズモンドが出場、中国杯

には、田中刑事と三原舞、H.フェルナンデスと金博洋、A.ザギトワが出場予定している。宮原知子はNHK杯から

だが、今回ロシア杯を含めて、各選手とも6試合中2試合にはエントリーし、その総合得点で上位6選手がファイナル

に出られることになる。今後の試合を楽しみながら、今シーズンの試合を観戦したいと思う。


<この項終わり>


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