2012年3月19日月曜日

雨上がりの新宿御苑で、寒桜を見る


早咲きの寒桜はほぼ満開、曇り空の向こうにはDOCOMOのビルがそびえ建つ 新宿御苑にて All Photo by TAKA

前日の雨が上がった日曜日に、新宿御苑に出かけた。お目当てはこの苑に数本ある寒桜、例年だと、2月半ばには開花して、早春の花見客を喜ばせてくれるのだが、今年は遅れに遅れて彼岸の直前にようやく花開いた。寒桜は、大島桜と緋寒桜の種間交雑種といわれているが、一重で小振りの淡紅色の花を沢山つける様は見ごたえがあって、河津桜とともに早咲き桜として人気がある。

その年によって花の咲く姿は違うのだが、 今年は前日の雨で花弁が地面に散り敷いていて、不思議に美しい光景を見ることが出来た。開花の時期には、メジロが飛来して、その鶯色の羽と目周りの白で桜色とのコントラストを見せてくれるのが楽しみなのだが、その日蜜を求めて枝を飛び交うのは、鳴き声も゛グェ、グェ、゛という無粋なヒヨドリ等だった。





曇り空と地面から昇る湿気のため、昨日の雨がまだ花弁に残っていた。水滴をつけた花姿もまた珍しいものだった。寒桜は下向きに花開くので、花の下に位置して上を見上げないと花姿はよくわからない。しばらくイナバウァー状態でカメラを覗いていると、段々腰が痛くなってくる。気に入ったショットが撮れたので、苑の他の場所に歩いてゆっくりと移動した。




御苑の池周りに、サンシュユの木が数本植わっている。どの木もこの種としてはかなり巨木だが、樹高はせいぜい5mほど、小さな黄色の花をびっしり付けているので、そこだけ黄色のカーテンを拡げたような春色の景色だ。昨日の雨でしっとり濡れているせいか、黄色が濃く感じられた。陽射しの中だったら、もっと白っぽいだろう。
 サンシュユは別名「春黄金花・ハルコガネバナ」というそうで、秋には赤い実を付けるとのこと。 山茱萸の漢字名はグミから来ている。








サンシュユの隣りには、マンサク(満作)がお菓
子のモンブランのような花を咲かせていた。この花を見るたびに、「これが花なの?」と不思議な気持ちになる。
同じ種の「シナマンサク」は、ひげ状の花数が多く、色がもっと山吹色に近い濃い色だ。枝に枯葉が残った状態で開花するので、少々見映えが悪いのだが、マンサクはもっとすっきりした花振りに感じられる。でも、異形であることには変わりがない。







最後に、御苑の管理所の前庭にある三椏の大株を見て廻ったら、ちょうど満開で、大振りな黄色の半円花をびっしりとつけていた。丁子型の小さな花弁から辺りには蜜のような香りが漂い、芳醇な空気に包まれて花の黄色が広がっていた。ミツマタの花の香りは、バラを別格として、芍薬・藤とともに花香のベストスリーに挙げられると私は思っている。芍薬を「高貴」に例えれば、藤は「妖艶」、三椏は「濃密」と言えるかも知れない。小田急線の高座渋谷駅近くに゛常泉寺゛という花のお寺があって、境内の参道には、黄三椏・紅三椏の大株が数十本植えられていて三椏の名所として名高い。何度か私も訪れているが、今年は再び出かけてみようかと言う気になっている。
遅い春ではあるけれども、淡紅色の寒桜と春色のサンシュユ・マンサク・ミツマタと出会えた。曇り空の下でも、また何時もとは違った花姿を見られたことが楽しかった。

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