2015年4月19日日曜日

世界フィギュアスケート国別対抗戦2015より・その1



ランキング上位6ヶ国で争われた大会は、優勝アメリカ・2位ロシア・3位日本となった。
表彰台に上がった各国8人の選手達 Phpto by Yahoo Sports Navi and Zimbio


2014~2015年のフィギュアスケート競技を締めくくる大会は、国別対抗戦(ISU Figure Skating Team Trophy)

と呼ばれ、2009年から正式競技としてスタートし、冬季オリンピック種目にも加えられている。そのシーズンの

競技会(グランプリシリーズ・ファイナル戦と世界選手権)で得られる各選手の成績ポイントを合計し、上位

の6ヶ国が出場する大会なので、必然的に世界トップレベルの選手たちが集まり、国対抗で団体戦を競うのを

見ることが出来る。今年は、国立代々木体育館が会場となり、4月16日~19日に開催された。男子シングル、

女子シングル、男女ペア、アイスダンス4種目のショートプログラム(SP)とフリー・スケーティング(FS)、

8種競技の合計点で結果を争うので、その国のスケート競技総合力が問われる大会となる。


3月に開催されたフィギュアスケート世界選手権(3/23~3/29 中国上海市にて)については、このブログで

触れるつもりだったが、私自身のライブ明けとお花見シーズン突入のために機会を逃してしまったので、

今回国別対抗戦と併せて、新しい動向について述べてみたいと思う。

2014年のソチ・オリンピック(2/7~2/23)をひとつの契機に、フィギュアスケートの選手層はガラリと変わって

しまった。一言で言えば、若手選手の台頭だ。ここ数年間に活躍していたお馴染みの選手たちが第一線を

退いた。今回の国別対抗戦には、男子では高橋大輔、パトリック・チャンの名前はなく、プルシェンコも

ブライアン・シュベールもライザチェックもいない。女子選手では、浅田真央と鈴木明子は引退し、コストナー・

キム・ヨナ・安藤美姫もいない。辛うじて、A.レオノワの名前が見出せるだけだ。それに代わって、日本でも

ロシアでも、またアメリカや各国でも、ジュニア・クラスから上がってきた選手たちの活躍が目覚ましく、名前を

覚えるのにも一苦労するほどだ。中でも、ロシア女子選手の活躍ぶりと層の厚さは素晴らしかったと思う。





シングル・トップの羽生結弦(日)、現在誰もが認める世界NO,1のスケーターだろう。


男子シングルで1位(SP・FS共に)を獲得した羽生結弦は、今シーズンの紆余曲折を払拭するような素晴

らしい演技だった。ジャンプに小さなミスはあったものの、ステップ・スピンはほぼ完ぺき、成功させたほかの

すべてのジャンプは、身体の軸がぶれずにきれいに決まっていた。ジャンプの正確さと完成度では、彼の

コーチであるブライアン・オーサーの教える3選手:彼とハビエル・フェルナンデス(世界選手権優勝)、ナム・

ニューエン(今回7位・カナダ)に共通するもので、素晴らしいコーチに教えを受けている賜物だろう。演技の

テーマ曲については、私自身は『オペラ座の怪人』(FS)よりも、『バラードNO,1』(SH・ショパン)の方が、彼の

長身を生かした優雅なスケーティングにあっているように思う。ともあれ、今年20歳の彼が表彰台に上る

のは、当分続くのではないかと思われる。冒頭の4回転サルコウ・ジャンプは、誰もが美しいと思える完璧な

演技だったし、コンビネーションの組み立てや後半に難易度の高いジャンプを入れてくるなど、演技構成にも

高得点を得られるしたたかな戦略が見られる。




ジェイソン・ブラウン(米)の豊かな表現力は、スケーティングの楽しさを観客に伝えてくれる。

しばらく低迷していたアメリカ男子選手の中で、ジェイソン・ブラウン(米)が着実に力をつけて来た。彼の演技は、

高難度の4回転ジャンプで高得点を獲得することを狙わず、全体に流れるようなバランスの取れたスケー

ティングを持ち味にしている。しかし、ジャンプ・ステップ・スピンともに演技の切れがあり、なおかつダイナ

ミックだ。往年のライザチェックを彷彿とさせるスタイルで、SP3位・FS2位を獲得した。男子競技のポイントは

『ジャンプ4回転時代』に入っているが、彼の様な伸びやかなスケーティングを見ると、フィギュアスケートの

優雅な魅力というものを改めて感じさせてくれる。滑らかで淀みのない演技の連続は、何の違和感もなく観客

は楽しむことが出来る。極上のパーフォマンスとはこういうものだろう。テーマ曲の『トリスタンとイゾルデ』も、

エレジー(哀歌)をベースとしたリズムカルな曲なので、彼のスケーティングとうまく合っていると思う。





ベテランらしいメリハリのある演技と、コミカルな動きで味を出していたS.ボロノフ(ロ)

また、ロシアのセルゲイ・ボロノフ(27歳)とマキシム・コフトゥン(19歳)の健闘もなかなかのものだった。ボロノフ

(SP・FS共に5位)が、『マンズ・マンズ・ワールド』(RandBとJazzのテーマ曲)に乗った演技は、表現力が

素晴らしくとても乗りが良かったし、観客を大いに沸かせてなかなかのエンターテイナー振りだった。長身

(175㎝)のコフトゥンが、4回転ジャンプを決めると大変な迫力がある。ただ、このジャンプがまだ安定して

いないので、この課題をクリアしてくると、常時表彰台を狙える存在になる可能性大だ。





世界選手権2015を制したハビエル・フェルナンデス(ESP)、4回転ジャンプの成功率も高く、
演技構成もバラエティに富んでいる。総合力で羽生のよきライバルだ。今回エキジビション
に特別出演し、映画『黒い罠』の麻薬捜査官を演じたが、キレの良いステップで観客を魅了した。


さて、次のシーズン(2015年10月~2016年4月)を展望してみると、羽生結弦 、H.フェルナンデスと デニス

・テン(ともに国別対抗の出場権がなかった)のトップ選手たちに食い込んでくるのは、ロシア勢とアメリカ勢か?

日本の無良崇人・村上大介・宇野昌摩等の活躍も期待したい。フィギュアスケートはしばらくオフ・シーズンと

なるが、またこの冬の競技会を楽しみにしたいと思う。




小柄の体躯ながら、演技のスピードとキレを兼ね備えたデニス・テン(カザ)、ジャンプ・ステップ・
スピンのバランスも良く、オリンピック2014・ 世界選手権2015 共に3位の実力は健在だ。



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