▢白沢峠から眺望される北アルプス連山の絶景、左より鹿島槍ヶ岳(2,889m)・五竜岳(2,814m)・唐松岳(2,696m)・白馬鑓ヶ岳
(はくばやりがたけ 2,903m)・杓子岳(2,812m)。一番高い白馬岳(2,932m)は右端の樹影に隠れて見えない。晴れた午前中の
景色は、空気が澄んでいて、新緑の森と棚引く白雲そして雪渓の残る北アルプスの雄姿は、100万ドルの価値があった。
All Photo by TAKA
翌朝、朝食に出された蕎麦の実雑炊を美味しくいただきながらも、「やはり、魚無里だったかぁ~!」と独り言ちていたら、HIさん
から随分前だった(30年位?)けれど、鬼無里から白馬に抜ける山道の峠で北アルプス連峰を見たことがあり、とてもいい景色
だったので、白馬方面へ行ってみよう、という提案があった。白馬まで18㌔程度なので、それもいいかも~と乗ったのだが、
これがこの小旅行のハイライトとなるとは私は全く予想しなかった。9時過ぎには宿を出て県道406号線を一路白馬に向かった。
くねくねと曲がる狭い山道を登りつめ、トンネルを抜けると車数台程度の駐車スペースがあった。そこが白沢峠だった。そこから
見た北アルプス連山の景色は、恐らく生涯忘れられない位素晴らしいものだった。都内を発つときの天気予報とは打って変わ
って、晴れた青空からさんさんと陽光が降り注ぎ、澄んだ爽やかな大気の向うに、紫がかった山並みが白い雪渓を残しながら
続いていた。手前に棚引く白い雲が、ゆっくりと北方向へ動いて行く。しばらくは言葉も無くこの絶景を眺め続けた。
▢北信濃は丁度初夏のシーズン、山道の両側には野生の藤が沢山生育していて、薄紫の花房を豪快に垂らしていた。
峠からの眺めにすっかり満悦して気分を良くし、「これだから旅は止められないよぉ~!」などと軽口も出て、再び山道を下って
白馬駅を目指した。山間の何~にも無い鬼無里と違い、スキーリゾートの町白馬は、高原の開けた明るい景観で気持ちも
軽くなった。山道を降りたところに駐車場があり、大出公園の案内があったので一休みすることにした。すぐ先の橋下を流れる
川が「姫川」だとわかり、橋から下の流れを見てびっくりした。川底の白い砂・苔一つないきれいな川石・雪解け水を集めて
流れる水色の住んだ川水...これぞ正に゛清流゛と呼ぶにふさわしい川の景観だった。この公園で吊り橋を渡ったり、花を撮影
したりして小一時間過ごした後、再び姫川の流れを見てびっくり。気温が上がるとともに雪解け水が増した川水は、茶色に濁り
始めていた。北アルプス山々に沢山残っている雪は、沢や支流に解け出し地下に浸透して多くの雪解け水を川に運ぶ。この水が
始めていた。北アルプス山々に沢山残っている雪は、沢や支流に解け出し地下に浸透して多くの雪解け水を川に運ぶ。この水が
全てを潤すことになるのを改めて認識したのだった。後で調べて分かったことだが、姫川は長野県白馬村が水源で、新潟県に
入り糸魚川と名前を変えて日本海に注ぐが、流域の勾配が急なため豪雨による土砂災害も多く、暴れ川と呼ばれているそうな。
しかし、アルプスの豊富な雪解け水を水源としているので、国土省の一級河川水質調査でも、平成12年と13年は水質ランキング
の1位を獲得し、何度もベスト5に登場しているとのこと(国土交通省HP:姫川概要より)。日本有数の清流を見ることが出来て
私はとても嬉しかった。
▢姫川支流の松川の流れ、水色の澄んだ川水がきれいだ。支流の小滝川流域にはヒスイ(翡翠)を産出する
「ヒスイ境」があるという。 画像出典:flyfisher-note.at.webry.
「ヒスイ境」があるという。 画像出典:flyfisher-note.at.webry.
▢姫川の大出橋脇に咲くアヤメの紫色が、雪解け水を運ぶ川の白い飛沫に映えていた。
▢黄花コスモスも、明るい光の中で輝いていた。
この大出橋近辺には、車でドライブする人やストックをつきながらトレッキングするグループも散見され、夏山シーズンに入っ
た観光地の趣が感じられた。そこから白馬駅に移動し、駅前の観光案内所で近辺のビュー・スポットを聞いてみたら、白馬
さのさかスキー場近くに「姫川源流自然探勝園」があるからと教えてくれた。車で白馬駅から10分程度なので程なく現地に
着いたのだが、これがまた、白沢峠からの北アルプスの眺め以上の自然探索体験をすることになったのだ。旅の途中に見知
らぬ土地で発見する驚きというものは、まことに得難いものだと改めて感じたのだった。
▢大出橋から仰ぎ見た北アルプスの山々、身近な距離から見ると相当高いのが実感される。左から、頂上が雲に隠れた
爺ケ岳(2,670m)・鹿島槍ヶ岳・五竜岳の連なり(写真上)。その雪渓の中から現れた地肌の姿は、ソフトボールを
投げ込む女子選手の様なイメージだった(写真下)。
投げ込む女子選手の様なイメージだった(写真下)。
<この項つづく>
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