2018年1月22日月曜日

ザギトワの高得点は驚異的だった! F.S.欧州選手権2018(その1.女子シングル)




欧州選手権2018女子シングルの表彰台は、アリーナ・ザギトワ(ロ15歳!)が金メダル、エフゲニア・メドベデワ
(ロ18歳)が銀メダル、カロリーナ・コストナー(伊30歳!)が銅メダルの3選手だった。近年まれに見る質の高い好勝
負が楽しめた。画像はISU HPより。



モスクワで開かれていたF.S.欧州選手権は、全ての競技(シングル男子・女子、ペア、アイスダンス)を終えて試合結果

が明らかになった。日本国内ではTV中継や録画放送がないので(地上DやBS放送、ただし有料のJ-Sportsでは全競技の

放映あり)、有力選手の競技内容をUPしている「フィギュアスケートYouTube動画ブログ」で今回も試合を見ることが

できた。フィギュアスケート発祥の地として、欧州選手権は冬季オリンピックや世界選手権よりも歴史が古く(男子

ングルは1891年初回開催、世界大戦などによる中止を4度挟んで100年以上の歴史を持つ)、ヨーロッパ州の選手たちが

出場し技を競う大会なのだ。後に女子シングル・ペア・アイスダンスが順次加わり現在の競技会スタイルになったが、

ちなみに、ヨーロッパ州を除くアメリカ・アジア・アフリカ・オセアニア大陸の選手たちは、今週開催される「四大陸

選手権」に集結して試合をする。この二大競技会を経て、3月の世界選手権が開かれる。今年は平昌オリンピックが2月に

あるので、いずれにしてもこの二大競技会の上位選手が、オリンピックと世界選手権を制することは間違いない。その

意味から言えば、「前哨戦」と位置付けられるだろう。





世界ジュニア選手権2017優勝後シニア戦に今季から参戦し、A.ザギトワの6戦負けなしの連勝記録はすごい! ジャンプ
の安定性とレベル4のステップ・スピンで、SP/FS合計238.24の高得点を叩きだしたのにはビックリ! (歴代最高得点は
E.メドベデワが2017国別対抗戦で出した241.31)


今季、メキメキと力をつけて来たA.ザギトワの躍進ぶりは、210点台・220点台をホップ・ステップし230点台後半に

ジャンプして来た。FSのジャッジスコアをみても、高難度の3Lz+3Loのコンビネーション・ジャンプや3Lzなど、

全て後半に跳んだ7種類のジャンプ(採点は1.1倍となる)はノーミスかつ加点が付く出来栄え。スピンやステップも

FCSpLSpCCoSpStSqがすべてレベル4(最高難度)。技術点がすべて加点された上に、5種類の芸術点(Program

 Components)のすべてで9点台を獲得したから、計157.97の素晴らしい得点となった。FSテーマ曲・バレエ「ドン

キホーテ」に乗った流れるような滑りは、何の滞りもなく滑らかだった。本人の練習意欲もさることながら、コーチ

のエテリ・トゥベリーゼの指導が素晴らしいのだろう。同じ師を抱く世界チャンピオン・E.メドベデワは同門の姉弟子

だし、今年のロシア選手権で3位に入ったアレーナ・コストルナイア(14歳)は妹弟子となるし、トゥベリーゼコーチの

存在はまことに大きい。GPNHK杯3位のP.ツルスカヤも同門だし、今回の欧州選手権4位のM.ソツコワの存在も侮れな

いから、オリンピックと世界選手権でのロシア女子選手恐るべしだ。表彰台独占も現実味を帯びて来た。いやはや!





E.メドベデワの故障からの復帰を喜びたい。2ケ月の休養でよくここまで回復してきたと思う。今回はSPのジャンプ
2Aにミスが出たくらいで、他はノーミス。FSの芸術点はザギトワを上回っていたから、今後の二人の対決は見物だ。
復帰初戦で計232.86の得点は上出来だと思うが、ザギトワの成績が良すぎたのかもしれない。


F.S.10代女子選手にとって、身長と体重の増加との戦いは過酷なことだと思う。昨日まで飛べたジャンプが今日は

飛べなくなるという恐怖から逃れるため、厳しいダイエットを自らに課すあまり、摂食障害に陥ってしまう選手も

多い。メドベデワもそれを克服してここ2年間チャンピオンの座を守ってきたが、やはり蓄積疲労があったのだろう。

競技への調整方法としては、P.チヤンやJ.フェルナンデス、そして大先輩のC.コストナーに見習うところが大きいの

でないかと思う。量より質に切り替えていく必要がある。そして肝心な試合での集中力を高めることが大切だ。後に

触れるが、欧州選手権を6連覇したフェルナンデスはいいお手本だ。すべて勝つのではなく、肝心な試合は必ず勝つ。

そのためには他の試合を調整代わりにする場合もあるだろう。スタミナは無限ではないから、いつまでも10代のつ

もりで居てはいけないのだ。メドベデワの高度なスケーティング技術と、テーマ曲の世界観を表現する芸術性は秀逸

のものだと思う。これからもスケーターとして競技会で活躍するために、今回の休養はむしろ良かったのだと思う。

下からどんどん新人が上がってくるから、しっかりと受けて立ってもらいたいものだ。




C.コストナーの滑走を見ているだけで幸せな気持ちになれる。スケーティングのお手本のような、手先・足先まで
行き渡った身体表現の素晴らしさと、滑らかでメリハリの効いた滑走の美しさは、数々の苦難を乗り越えて来た上
での円熟味がプラスされている。今回のFSでは、ジャンプのミスが2つ出て210点台には乗らなかったが、銅メダル
はご立派の一言に尽きる。鮮やかなライトグリーンの衣装も素敵だった。


F.S.への関心が高まると共に、色々なニュースや試合速報で選手たちのコメント(試合前・試合後)も眼にするように

なってきた。そんな中で、SPで「行かないで」(Ne Me Quitte Pas Vo:セリーヌ・ディオン)のテーマ曲に乗った演技を

ノーミスで終え、78.30という高得点でパーソナル・ベストを更新したコストナーへの賛辞が多かった。私自身も、30代

(普通の選手はとっくに引退している)の彼女がまだまだ自己の技術と表現能力を磨いて前に進もうとしている姿勢に

感動している。15歳のザギトワと18歳のメドベデワの強さに目を丸くしながらも、

「若いロシアの2人は飛び抜けて最強だわ。私は彼女たちから学ばなければいけない。彼女たちは私にモチベーション

を与えてくれるの」(The Answerより)

とインタビューに答えているのが興味深かった。これからも続けられるだけ一線で活躍して行ってほしいと願うばか

りだ。


<略語内容>
F.S.:Figure Skate フィギュアスケート ▢ ISU:International Skating Union 国際スケート連盟  SP:ショート・
プログラム FS:フリー・スタイル  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ
T:トゥループ ▢ FCSp:フライングキャメル・スピン ▢ LSp:レイバック・スピン ▢ CCoSp:チェンジフット・
コンビネーション・スピン ▢ StSq:ステップ・シ―クェンス ▢ GP:グランプリシリーズ戦 ▢

<この項続く>

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