2018年2月16日金曜日

カナダチームは総合力で金メダルだった。(平昌オリンピック フィギュアスケート団体戦より)




団体戦の優勝は、73点を獲得したカナダチームの圧倒的勝利だった。シングル男子・女子・ペア・アイスダンス
4種目に出場した10チームの成績結果に、10~1点のポイントが付いて総合点でメダルが決まる。画像はISUのHPより。



前回のソチオリンピックから新種目となった、フィギュアスケート各国チームの団体戦が終わった。普段はシングル

戦しか放映しないTVでも、今回はオリンピックとあって出場日本選手と共に各国チームの競技も合わせて見ることが

できた。ペアもアイスダンスも、演技する二人の呼吸の合い方や、2人で作る演技の形(フィギュア)が楽しめるので

なかなか面白かった。出場10チーム中、後半戦のフリー演技に残った上位5チームの成績結果を見ると、総て最下

(5位)だった日本チームに較べると、トップ金メダルのカナダチームは、ペア(メ―ガン・デュハメルとエリック・ラド

フォードでSP2位・FS1位)とアイスダンス(テッサ・バーチュとスコット・モイヤーでSP1位・FS1位)で39点を獲得し、

これが優勝の決め手になった。ちなみに銀メダルのOAR(個人資格で出場したロシアチーム)は、ペアで1位・3位、

アイスダンスで3位・3位となり合計34点、銅メダルのアメリカチームはペア4位・4位、アイスダンス2位・2位で合計

32点だった。シングル戦での成績よりもペアとアイスダンスの成績で表彰台が決まるという結果は、シングル戦に選

手層が偏る日本チームにとっては、団体戦ではなかなか表彰台は難しいと言える状況が明らかだった。




技術点でも演技構成点でも、抜群の好成績だったテッサ・バーチュとスコット・モイヤーのコンビ、完成度の高い
演技で観客を魅了した。カナダチームの優勝はこの2人の貢献が大だ。



団体戦男子シングルのSP演技の冒頭でいきなり転倒し(4T)、3Aでも転倒してしまったパトリック・チャンは、FSで
はジャンプを次々に決め、巻き返してトップに立ち面目を一新した。彼の復調は個人シングル戦でも怖い存在になり
そうだ。片や、ジャンプが決まらず低迷したネイサン・チェン(米)とミハイル・コリヤダ(ロ)の二人は、個人シングル
戦で巻き返しなるだろうか?




団体戦女子シングルSPで圧巻の強さを見せたエフゲニア・メドベデワ(ロ)、ミスのない完璧な演技で81.06の
高得点を叩きだした。女子シングル戦での金メダルを争うザギトワとの2人対決も現実味を帯びて来た。


 シングルFSでは、やはりノーミスの完璧な演技を披露し158.08の高得点をマークしたアリーナ・ザギトワ(ロ)、
ジャンプを全て後半に持ってくる構成も高得点源だ。演技構成点でもすべて9点台を獲得、メドベデワと表彰台を
争う可能性大だ。



オリンピック試合で3A(トリプル・アクセル)を成功させ、女子選手3人目(他は伊藤みどりと浅田真央と)の快挙を
達成した長洲未来(米)、キス&クライで喜びを爆発させた。




宇野昌磨のシングルSPは、冒頭の4F着地のバランスが乱れた以外はほぼノーミスの演技で、103.25の高得点を
マークして1位。個人シングル戦の表彰台獲得に弾みを付けた。ミスのリカバリーでもしぶとい戦い方ができるの
期待が持てる。



カナダチームの優勝を分析した記事によると(Number Web)、前回金メダルのロシアチームに後れを取った自チーム

の敗因を、「カジュアルな気分で参加してしまった」ととらえ、P.チャンとS.モイヤーが真剣に勝つための戦略を練っ

たという。その結果、ペア、男子、アイスダンスの3種目で2プログラムともトップ選手が出場するという

本気度で、念願の金メダルを手にした」と伝えている。選手層の厚みもさることながら、本気で勝ちに来て

いる差が明暗を分けた。オリンピックは結果がすべてだから「たら、れば、」はないけれども、シングル戦

に羽生結弦が万全の体調で出場して1位になったとしても、総合得点が4点プラスで54点、4位のイタリア

(56点)に日本チームは及ばないのだ。





日本チームの選手の皆さん、お疲れ様でした。ペアの木原龍一とアイスダンスのクリス・リードを除く全員が
初出場ながら、よく健闘されたと思います。世界トップレベルの男子シングル以外の種目(女子シングル・ペア・
アイスダンス)の強化については、スケート連盟・国家プロジェクトによるテコ入れと育成による選手層の厚みが
必要だと思いますが、オリンピック後半戦の個人戦での活躍を期待しています。




<略語内容>
F.S.:Figure Skate フィギュアスケート ▢ ISU:International Skating Union 国際スケート連盟  SP:ショート・プログラム  FS:フリー・
スタイル  6種類のジャンプ A:アクセル Lz:ルッツ F:フリップ Lo:ループ S:サルコウ T:トゥループ  ▢ P.C.:Program Components
(演技構成点) ▢ EL:Element Score(技術点) ▢ Co:コンビネーション・ジャンプ ▢ GOE:各演技の出来栄え点(+3から-3までのジャッジ
平均点)


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