2018年10月25日木曜日

フィギュアスケートGPS戦2018を展望する。





アメリカ杯(10/19~21 ワシントン州エバレットで開催)の男子シングル表彰台は、ネイサン・チェン(金/米.19歳)、ミハ
イル・ブレジナ(銀/チェ.28)、セルゲイ・ボロノフ(銅/ロ.31)の3選手。ここに、今後羽生結弦(日.23)・宇野昌磨(日.20)・
ミハイル・コリヤダ(ロ.23)・金博洋(中.21)がどう絡んでいくのか? ブライアン・オーサー・チームに加わったジェイ
ソン・ブラウン(米.23)の動向も気になるところだ。画像はISUホームページより。



ISU(国際スケート連盟)のフィギュアスケートGPS(グランプリ・シリーズ)国際試合が、アメリカ杯(ワシントン州

・エバレット)を皮切りに始まった。アメリカ・カナダ・フィンランド・日本・ロシア・フランスの6ヶ国を転戦しな

がら、6試合のファイナル戦はカナダのバンクーバーで12月5日~9日に行われる。この10月下旬から12月上旬までは、

毎週末に試合があるので、TV観戦やYouTube動画で試合が見られる。有力選手やひいき選手の演技を楽しめるのだ

から、まことに嬉しいシーズンとなった。年明け2019年には、各国選手権を経て世界選手権(3月下旬に埼玉スーパー

アリーナにて)が開催され、大きな大会はシーズンを終える。これらに並行してジュニアの国際大会が行われるから、

シニア戦に入ってくる有力ジュニア選手の動向も気になるところだ。


このブログにF.S.の記事を載せ始めたのは、2009年の第1回開催F.S.国際対抗試合を代々木体育館で観戦したのが始

まりだが、あれから早10年近い月日が流れている。記事に合わせて選手たちの画像も掲載してきたが、すでに引退

し解説者やコーチとして活躍している方の懐かしい画像も沢山ある。ページ左のバナー・タイトルで「フィギュア・

スケート」を検索すれば見ることができる様になっているので、興味ある方はチェッしてみて頂きたい。


10年ひと昔、とはよく言ったもので、ここ10年の間にF.S.を巡る状況も大分変った。言わば、トップ選手たちの活躍

と試合のTV中継・マスコミの報道が増すにつれてファン層が拡大すると共に、幼児期からF.S.選手を目指す選手層も

かなり厚くなり、有力選手を輩出する状況が日本・ロシア・アメリカなど各国で出てきているのだ。スポーツとして

の隆盛はまことに結構なことであるが、10年前を振り返ると隔世の感がある。当時私がF.S.愛好者だと表明すると、

大抵の男性たちは「あんなお尻を出したような衣装で氷の上を滑っているのを見るとは、まったく!!」と色眼鏡で見

られたものだった。このスポーツの高度な技術性とテーマ音楽との融合性・表現性を話しても、なかなか理解されな

かったが、昨今では「4回転ジャンプ、凄いね!」などとそれらが当たり前に受け入られているご時世になった。







アメリカ杯女子シングルの表彰台は昨年と同じ日本勢の1・2フィニッシュ、宮原知子(金/日.20)と坂本花織(銀/日.18)、
シニア戦初戦のソフィア・サモデュロワ(銅/ロ.16)が食い込んできた。ブレイデイ・テネル(米.20)はコンビネーション
ジャンプの失敗で4位となったが巻き返しがあるか? 今後アリーナ・ザギトワ(ロ.16)とエフゲニア・メドベージェワ
(ロ.18)の対決も見物。カナダ勢は今季厳しい。日本の他若手選手もどこまで食い込めるか?



世界選手権や冬季オリンピックの覇者の推移を見ても、男子シングルではエフゲニー・プルシェンコ(ロ)とエバン・

ライサチェク(米)の対決、その後のパトリック・チャン(カ)と高橋大輔(日)の死闘を経て、羽生結弦(日)・宇野昌磨

(日)・ネイサン・チェン(米)の3巴え時代に至っている。女子シングルでは誠に入れ替わりが激しく、キムヨナ(韓)・

浅田真央(日)・安藤美姫(日)・カロリーナ/コストナー(伊)に続いてロシア勢が台頭し、アデリーナ/ソトニコワ(ロ)・

エリザベータ/トゥクタミシェワ(ロ)・エフゲニア/メドベデ―ジェワ(ロ)・アリーナ/ザギトワ(ロ)・ケイトリン/

オズモンド(カ)とトップが代わり、日本勢若手(宮原知子・坂本花織)も良い位置に付けている。


そんなトップ選手の変遷を見るにつけても、10代後半から20代後半まで表彰台に上がり続けるのが如何に難しいこと

かを実感するのだが、30代に入ってからも競技会の第一線で活躍し、若手では表現できない円熟した演技を見せて

くれる選手もいることはとても嬉しいことだと感じる。セルゲイ・ボロノフ(ロ.31歳)とアレクセイ・ビチェンコ

(イス.30)の2人はGPSアメリカ杯に元気に出場してきたし、カロリーナ・コストナー(伊)は残念ながら体調不良(左股

関節の痛みと右大腿直筋近位炎症のため)今季出場が不可能となったようだ。


以下F.S.ニュースが伝える有力選手の動向を載せるが、満を持して引退する選手・今期調整不良で休養する選手は競技

会で演技を見ることができないけれども、また体調を整えてリンクに現れるのを待ちたい。あらゆるスポーツに

共通して言えることだが、「心・技・体」を最高の状態に整えて試合に臨み、観客にベストの演技を披露することが

如何に大切なことであるかを誰もが心得ているが、それを実際に出来た者のみが表彰台の中心に輝くことができる

勝者の道であることも自明のことなのだと思う。今シーズンから改正となった評価基準による各選手の得点詳細(ISU

発表)を見てみると、「より正確で美しい演技を評価する」という傾向が顕著になっている。ジャンプ・スピン・

ステップの演技完成度が高いほど得点は伸びるが、ミス(転倒・エッジワーク・回転不足など)や正確さを欠いた演技は

大きく減点される。後半ジャンプの加点は3回までとなったし、その中で日本の宮原知子と坂本花織の演技は初戦に

も拘らずかなり完成度が高かったのは、今後に期待できる結果だった。


<有力選手の動向>

今期のGPS戦をスキップ(休養・欠場)する選手としては、男子ではH.フェルナンデス(SP.27歳  2019欧州選手権
出場後に引退予定) / ハンヤン(中.22)、女子ではアシュリー・ワグナー(米.27) / 長洲未来(米.25) / K.オズモンド
(カ.22 2018世界選手権優勝) / アンナ・ポゴリラヤ(ロ.21 体調不良)、カロリーナ・コストナー(伊.31 負傷) /
ガブリエル・デールマン(カ.20 メンタル対応)、エレーナ・ラジオノワ(ロ.19 調整不良)。

<引退を発表した選手>

男子ではパトリック・チャン(カ.27歳) / マックスアーロン(米.26) / ミーシャ・ジー(Uz.27) / 無良崇人
(日.27) / 村上大介(日.27)、女子ではヨシ・ヘルゲソン(Sw.)。


<略語一覧>
ISU:International Skating Union(国際スケート連盟)  GPS:Grand Prix of Figure Skating(グランプリ・
シリーズ)  F.S.:Figure Skating(フィギュアスケート)


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