2018年12月11日火曜日

紀平梨花の2018.GPファイナル制覇は、「A Beautiful Storm(美しい嵐)」だった。




ISU(国際スケート連盟)・GP(グランプリ)ファイナル戦の表彰台は、紀平梨花(金.日16歳)、アリーナ・ザギトワ
(銀.ロ16歳)、エリザベータ・トゥクタミシェワ(銅.ロ21歳)の3選手。技術レベルも高く表現力も引けを取らない3選手
だったが、高難度の3A(トリプル・アクセル)を成功させた紀平梨花が戦いを制した。画像はISUホームページより。



F.S.(フィギュアスケート)GPファイナルの女子S(シングル)戦で、驚異的な高得点をマークして優勝した紀平梨花の

偉業を評して、「浅田真央の再来! シニア戦初出場でGPファイナル制覇は13年振り!」とか、「ロシアから5年振り

にチャンピオンシップを取り戻した!」などとマスコミは沸いているが、私自身もこれだけ進化し続け優勝をさら

ってしまったことについては、シーズン入り当初ノーマークだった。ただ、ジュニア戦で3Aを成功した選手が出て

来た、位の認識しかなかったのだが。NHK杯とフランス杯を連破し、ファイナル戦も優勝だから文句のつけようは

何もない。ただ、脱帽であります。しかし、凄い!



武器の3Aだけでなく、他の5種類のジャンプやスピン・ステップの技術・表現レベルも高く、久し振りに総合力を備え
た本格的な選手の登場に観客は沸いた。コーチの濱田美栄も「全てのバランスがいい、柔らかすぎず、硬すぎず、バネ
もある。上半身も、日本人は弱い子が多いけどしっかりしている。」(スポーツ報知)とその強さの秘密を挙げた。


彼女の驚異的身体能力については、体脂肪率が6%というからアスリートで言えばイチローか本田圭佑並みだ!! 筋力

トレーニングをしながらTVのインタビューに答えて、私は「女マッチョ!」言って笑っていたが、腕もがっちり腹筋

は見事に割れていた。滑走技術を支える体力を徹底的に鍛え、プラスしてダンスやヨガで表現力を磨いているのを

見ると、アスリートとしての基本がとてもしっかりしているのを感じる。F.スケートに集中するために高校もインター

ットで学べる学校にした、と言うから覚悟が゛半端ない゛。今後の精進・努力によっては、日本の女子フィギュ

スケートを牽引していく存在となるだろう。将来がとても楽しみだ。





2018平昌オリンピック優勝以後身長が7㎝伸びた(ということは体重も増加し、胸や臀部も大きくなった)ザギトワの
SP(ショート・プログラム)・FS(フリー・スタイル)演技は、コンビネーションジャンプの失敗ひとつを除けばほぼ
完ぺきだった。しかし、紀平に勝てなかったことで、より高度なジャンプ(3Aや4T)をプログラムに入れてリベンジ
してくるだろう。



紀平梨花とA.ザギトワとの対決については、その演技内容のジャッジ・スコア(得点詳細)つまり、Base Value(基礎点)

+GOE(出来栄え点)のElement Score(技術点)と、Program Component Score(構成点)の合計が得点になるのだが、

その比較情報を解説者の佐野稔氏やスポーツ新聞各誌が伝えているので、ここでは詳細を省く。ただ、両者とも構成

点では遜色がなく、両者ともミスはあったものの3A成功させた紀平に軍配が上がった結果となった。今後も両者の対

決は続くと思うが、彼女はザギトワのリベンジを覚悟しているし、それ以上に女子シングル・ジュニア戦で表彰台に

上がったアリョウ―ナ・コストルナヤ(金.ロ15歳、4回転ジャンプは飛ばなかったがとてもバランスの良い演技で優勝)

とアレクサンドラ・トゥルソワ(銀.ロ14歳、3種類の4回転ジャンプにチャレンジ、4T:4回転トゥループを成功)らロシ

ア若手選手を見据えていた。北京オリンピックでの優勝を目指すために、4回転ジャンプのチャレンジに取りかかる

ことを明言した。こういう具体的な目標を持っている選手は強くなる。

紀平梨花のFSテーマ曲は、ジェニファー・トーマスのピアノ・ヴァイオリン曲だった。美しいメロディラインを

持つこの曲は、時に嵐の高まりを思わせる劇的な激しさと、風と波が治まった時の穏やかな静けさが交差する

「ネイチャー・コンチェルト」の不思議な魅力を持っている。このテーマ曲に乗って作りだした彼女の演技世界は、

奇しくも今シーズン、CSオンドレイネペラ杯 →GPNHK杯 →GPフランス杯 →GPファイナルを疾風怒濤のように

勝ち上がって偉業を成し遂げた「美しい嵐」のそのものだった。さらなる精進を続けて、フィギュア・スケーターと

して大成してほしいと思う。

岩肌の露出した浜辺と荒れる海をバックに、Behr Bro's & Co. のヴィンテージピアノを弾き、太古の趣を残す森林で

ヴァイオリンを奏でるJ.トーマスのイメージ動画は、You-Tubeで見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=ulYQOszNig8




トレーニングで身体を絞り3Aのジャンプと華麗な演技で復活したE.トゥクタミシェワは、成熟した女性のしたたかさ
を見せて再び表彰台に上った。10代の選手が中心となり、またジュニア戦から上がってくるさらに若い選手が増える
中で、彼女の演技はF.スケートの魅力を体現する貴重な存在だ。


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