2020年4月22日水曜日

配水管逆流時には、水門「全閉」に 川崎市検証委最終報告 (台風19号多摩川氾濫 その9)




台風19号の豪雨と氾濫後、多摩川越しに臨む武蔵小杉のタワーマンション群
NEWSポストセブン2019.11.7 時事通信フォトより



日本全国中が緊急事態宣言下であり、不要不急の外出を控えて゛コロナ籠り゛の日々だが、手洗い・うがい・

マスク着用で新型コロナウィルスを「もらわない・移さない」に気を付けて暮らしている。医療従事者のひっ迫

した状況や院内感染による病院機能の低下を心配しながら、何とか持ってほしいと願う日々でもある。日本全国

及び東京都の感染者数・死者数の推移をチェックしながらも、身近に迫っている感染危機にも神経を配っているが、

大手マスコミの報道では一部しか解らない地元(狛江市)や周辺自治体の情報をより得られるように、ネットのニュ

ースや自治体の広報・地元メディアの情報取得により多くの時間をかけるようにもなっている。直ぐ近くの保育園

で児童に感染者が出たり、その母親が働く介護事業所から自宅待機を指示されたり、など、市中に無症状の感染

者がごまんといるだろう状況からして、明日は我が身かもしれない!? が現実味を帯びてきたのだ。今日現在お隣り

の世田谷区が東京中最多の314人の累計感染者数、調布市26人・府中市33人(以上多摩っぷ)、川向こうの川崎市

202人(川崎市HP)となり、じわじわと増え続けている。




川崎市による報道発表資料(令和元年10月23日)1ページより



地元周辺のネットニュースをチェックしている最中、とても気になる情報にヒットした。それは、新型コロナ感

染情報ではなく、昨秋の台風19号の豪雨と氾濫(内水と逆流による)の折、多摩川に繋がる排水樋管が逆流して周

辺住宅街や駅前のタワーマンション街が浸水被害に逢った、川崎市の検証委員会(原因究明や対策を検討)の最終

報告書に関する記事だった。我が狛江市も、2ヶ所の排水樋管の逆流による浸水被害が起きたことは、このブログで

も6回に渡って載せてきたが(「台風19号多摩川氾濫 その1~6 」 2019.10/18~11/11)、第三者に委託した被害

検証委員会の報告は狛江市ではまだ出ていない。以下、「カナロコ」の記事一部を掲載させていただく。


「昨秋の台風19号による浸水被害を巡り、原因究明や対策の検討を進めてきた川崎市の検証委員会は8日、最終

報告をまとめた。多摩川の水が排水管を逆流して市街地にあふれ出た今回のケースを教訓に、排水管の水門の操作

手順を改定。今後は逆流が確認された場合には全閉するとした。逆流を即座に把握するため、今夏までに排水管内

に水位、水流計などの観測機器を設置する方針も盛り込まれた。」(神奈川新聞 カナロコ 2020年4月9日)



昨秋の台風19号による多摩川の豪雨と氾濫の際、戦後それまでの長期間小規模の内水氾濫はあったものの、堤防

の越水や決壊・危険水位を大幅に超える豪雨などを経験してきていない川崎市(他の自治体も同じ)では、樋管を管

理する水道局下水部の操作手順(樋管に設置された水門の開閉)ついては、降雨の恐れがある場合は「全開の維持」

を基本姿勢として来た。これは、狛江市の場合もそうだったが、多摩川に繋がる排水路が大量の降雨によって溢れ

るのを見て(すでに逆流が起こっているにもかかわらず)、下水管理者は水門を開けたままにして退避(放置)してし

まった。

しかし川崎市の場合、堤防の内側に拡がる元低湿地帯(以前は工場街がつくられていた)を再開発して、住宅街や

高層マンション街を立てた地域は、豪雨による多摩川大増水の時には川の最高水位水位よりもはるかに低くなら

ざるを得ない。全開のままの水門から、樋管内部とそれに繋がる下水管内に土砂を含んだ多摩川の濁流が、一気

流れ込んだに違いない。下水管から溢れ出る濁水を見た住民たちには、信じられない光景だっただろう。その

一つ、山王排水樋管に繋がる、横須賀線と東急東横線の武蔵小杉駅周辺のタワーマンション群と中原区住宅街へ

の浸水被害については、マスコミでも多く取り上げられたのでご存知の方も多いだろう。




川崎市による報道発表資料(令和元年10月23日)2ページより



この検証委最終報告の記事と合わせて、川崎市が発表したこの浸水被害に関する報道資料(すべて公開済み)をい

くつか見てみると、逆流浸水被害発生後のかなり早い時期に、担当者による詳細な報告書が作成されているのに

驚かされた。「台風19号による排水樋管地域における浸水被害説明資料(令和元年10月23日 川崎市水道局下水部

管理保全課作成 9ページ)」では、多摩川に繋がる川崎市管理の5つの排水樋管(宇奈根排水樋管・二子~・諏訪~

・宮内~・山王~)から逆流によって起きた浸水被害の概要が、地図と写真でまとめられている。山王排水樋管か

らの浸水の原因についても、当日の多摩川最高水位(AP9,992m)よりも地盤の低い地域で発生し、当地域での土

砂の堆積からも多摩川からの逆流が原因と報告している。


川崎市の下水道担当者による浸水被害説明資料(報道資料)と、検証委員会の最終報告書記事を読み解いてみると、

長らく経験しなかった多摩川大増水に際して、堤防を貫通する排水樋管の管理(水門の開閉)は、今後逆流を防ぎ

被害を最小限にするために水門を閉じ、堤防としての機能を優先する、という「まっとうな結論」に達したとい

うことだ。降雨時には、水門閉鎖による内水氾濫は当然起こり得るが、開いたままの水門からの逆流被害よりは

ずっと被害は少なくなるだろう。それは、河川氾濫による水害を有史以来受けてきた日本の先人たちの知恵であ

ったはずだ。「河川が大増水したら水門を閉めて、堤防の機能を果たす」というごく当たり前のことすらないが

しろになってしまった、日本各地の治水管理者たちには、今回の多摩川氾濫は大いなる警鐘になったと思う。こ

ういう被害はどこの河川でも起こり得るし、地球の気候変動が激しい昨今では、今年の台風シーズンだって警戒

が必要なのだ。

時間が掛かっている狛江市でも、一刻も早く多摩川増水時の排水樋管逆流による浸水被害の原因明確化と、今後

の対策としての水門閉鎖の手順をしっかり決めて、担当部署の訓練をしっかり行って、再び起こり得る災害時の

対応としてもらいたいと思う。



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