2020年8月22日土曜日

今秋の台風豪雨・浸水被害への備えは充分か?(台風19号多摩川氾濫 その10)




多摩川の「猪方排水樋管」に注ぐ排水路のマンホールにポンプ車のホースをつなげ、排水作業の手順を確認する
消防団員ら=狛江市駒井町で (Tokyo Web 2020/7/9より)



すでにこのブログで、「台風19号多摩川氾濫」のラベルで9回連載した記事の最新版です。今年2月から半年以上に

渡り、収まったようでぶり返し一向に終結する気配の見えないコロナ感染真っ只中であります。また、今年の梅雨

は例年になく長く、すでに多くの河川氾濫と浸水・家屋倒壊の被害も発生しています。加えて、8月に入ってからの

猛暑により、コロナによる死亡者よりも多くの方が熱中症で亡くなられており、世界各地と同じように日本列島は

感染と自然災害の三重苦の中にいるように見えます。この秋は、例年のごとくまた台風シーズンがやってきます。コ

ロナと併せての自然災害にどう備えていけばいいのか? 我々はしっかりと知恵を絞り、対策し行動しなければなりま

せん。





六郷と猪方両排水樋管には、水位計と監視カメラが新たに整備され、市民が情報を得られるように(市HPより)なる
とともに、市役所担当者による遠隔操作で樋管水門の開閉が可能となった。増水時の危険な現場での判断を回避
る方針がとられたものと思われる。狛江市広報(令和2年8月号)より。



このブログで(今年2月22日 川崎市検証委員会最終報告)述べたように、川崎市は多摩川増水時の水門開閉に関し

従来の手順を変更して、逆流が発生した時点で水門を全閉する、と改めた。また、逆流を即座に把握するための

観測機器(水位計・水流計)を排水管内に設置することを決めた。検証委員会の最終報告は、浸水被害発生直後に市

下道水課が実施した詳細な被害状況調査報告書に基づき、ファクト(事実)把握と今後の被害発生を防ぐポリシー

(方針)を決めアクション(行動)を促したものだと思う。恐らく、今回の浸水被害を受けた周辺自治体でも一番素早

い対応だったと言えるだろう。

一方、東急田園都市線二子玉川駅周辺で、無堤防箇所からの越水による浸水被害が発生し、また風雨と浸水で

水門閉鎖が出来なかった(市の説明)「等々力排水樋門」から逆流した水で、住宅街に浸水被害が出た世田谷区は、

今後の対策についての住民説明会を開いた(7月20日)。世田谷区も検証委員会(学識経験者と都・区職員ら)を作り、

浸水原因の検証とともに、今後の水防や情報発信のあり方を検討してきた。それによると、水門の開閉は操作盤

を増やし遠隔操作もできるようにし、堤防のない部分には大型土のうを設置し、土のう保管場所も増やすことに

した、ということだ。『来場した区民からは、水門開閉のタイミングや排水対策の強化などを問う声が上がり、担当

者は「水門は住宅街から多摩川へ排水している間は開け、逆流が始まれば閉めるのが基本」など説明した。』 

画像と記事は Tokyo Web 同日より。






我が狛江市では、7月末までに出るはずだった「浸水被害対策報告書」(浸水原因究明と今後の対策・外部の専門

業者に委託)は大いにずれ込んで(コロナ感染対策が理由?)、今年の9月末日まで延ばされてしまった。もう今年の

台風シーズンも迫っているのに、間に合うのかいな? 一応中間報告書(A4・55ページ)なるのものが4月末日に公表

されているのだが、よく読んでみても肝心の原因究明部分が抜けているので、いろいろなデータは載っているが

体をなしていないのだ。多摩川の濁流が堤防間際まで迫ったときに、両樋管(六郷・猪方)の水門を閉ずに市担当者

が開いたままで放置したことについては、水門につながる「排水路」がまだ流れていた、とか、水門を閉めれば

住宅街の排水路があふれるから、とかの説明を繰り返し未だに市側の責任を認めようとしない態度に終始している。

川崎市検証委員会の最終報告書報告書と世田谷区の説明会の内容を見ても、状況把握や訓練不足から水門の閉鎖

を素早く行えなかった事実(ファクト)をしっかり捉えて反省し、未曾有の自然災害発生時代に対応した施策(ポリシ

ーとアクション)を早急に行うことが大切だと思うのは、私だけではあるまい。

狛江市HP 令和元年東日本台風に伴う浸水被対策 中間報告書
https://www.city.komae.tokyo.jp/index.cfm/42...c.../chukanhoukoku.pdf

サムネイル画像



水位計・監視カメラとともに増量強化された可搬式排水ポンプによる水防訓練、狛江市・調布市の合同訓練と
なった。水門閉鎖時には排水路があふれ出す(内水氾濫)のを防ぐため、溜まり水を吸い上げて多摩川に排水しな
ればならない。調布市広報(6月16日)より。



市職員・消防署・地元消防団・警察署などの合同水防訓練は、有事に備えて定期的に実施されるのが望ましい。
大変な作業ではあるが、いざというときは頼りになる方たちだ。今年の秋の台風シーズンには、早くも出番がある
かもしれない。さほどに、異常気象による災害発生は、いつでも起こりうるご時世となっている。同HPより




この記事を書くに際して、いろいろ調べていたらとても興味深い記事に遭遇した。「台風19号 【東京・神奈川】

都市防災を徹底検証 防がれた【隅田川氾濫】【多摩川流域は浸水】なぜ?」(2019.11.22 Nスタ) 台風19号浸水

被害発生の2ヶ月後に、取材に基づく報道によって、逆流か内水氾濫かに戸惑って水門を開けたままにした川崎市

と狛江市に対し、確固たる方針で水門を閉鎖し、荒川から隅田川への氾濫を見事に防いだ岩淵水門管理者の対応

分かれ目を伝えたNスタの記事は、防災を考える上で大いに参考になった。



0 件のコメント:

コメントを投稿