2020年9月20日日曜日

源流域のイワナは、すこぶる元気だった(北杜に遊ぶ その5)




源流域の落ち込みに仕掛けを流す釣楽人タカ、森の中を流れ下る渓流にすっかり溶け込んでしまった至福の
ひとときだった。Photo by Roco



禁漁前の今年最後の渓流釣りに選んだのは、釜無川の支流の上流の源流域だった。標高1,300m以上の沢なので、

空気は涼しく流れの水温も9月のこの時期でも13~15℃くらい(気温は日中25℃位)。両側を森に囲まれて、昼なお木

漏れ日が差すほどで暑さとは無縁だ。中流域の里川と違い、両岸を覆うボサ(芦や雑草)もなく、岩と砂地・落ち葉

がつづく岸辺は歩きやすいのも助かる。2泊3日の日程の中、初日と2日目の午前中計3カ所で竿を出したが,どの

ポイントにもこの沢育ちのイワナが数多く生息していて、とても楽しい釣りが出来た。昨秋と今年に放流された稚

魚(10㎝以下)・1年以上の小魚(10~15㎝)・成魚(15~25㎝)、いずれも釣り上げることが出来たが、餌釣りの6号針

には稚魚はなかなかかからず,途中でバレること多々あった。小魚が多かったが、3匹の成魚もつり上げ魚影の濃

さを改めて確認した。恐らく、交通の便もよいので,漁協による稚魚放流を各所で行える環境と、このような山間

の奥部まで足を延ばす釣り人は少ないことにもよるのだろう。
 



稚魚放流から2年以上、この流れで育ったイワナはすこぶる元気だった。針掛かりしてからの引きも強く、
私を喜ばせてくれた。All Photo by Jovial TAKA




ゴロゴロ石と落ち込みが続く中を流れ下る源流域の沢筋、渓相の良さでは他に類を見ない良渓だ。各所に釣り人が
訪れた形跡があった。



ただし、注意すべきは流れの両岸から張り出している木枝と葉だ。短めの竿(3,9m位)と仕掛けでないと、仕掛け糸や

竿先をとられる。現に、仕掛け糸や目印をからませた木枝が各所にあった。これはフライやルアー仕掛けも同じで、

常に頭上の木枝と自身の立ち位置を慎重に確認しながらの釣りとなるのだ。落ち込みのポイントを探りつつ2時間

ほども釣れば、もう充分な成果が得られた。小さな沢なので,大きな淵もなく大物狙いの釣り人には向かないと思

うが、次から次へと釣り餌にアタックしてくるイワナと遊ぶには、とても楽しめる沢筋だった。今年最後の釣行が、

こんなに実り多きことだったのに、とても満足できたのだった。まだまだポイントは数多くあるので,またの機会

に再び訪れたみたいものだ。惜しむらくは、今回修理がなった和竿2本(俊之作と竿かづ)を携えていったが、川幅の

狭い源流域では使いようもなく、これら和竿の登場は来春のシーズンに持ち越しとなった。




花崗岩質の岩や石・川底の砂地のためか、流水の透明度はとても高く、これも他に例を見られないものだ。その分、
釣り人の姿もイワナに悟られやすく、ささっと岩陰に逃げ込む魚影を何度も見た。注意深く釣仕掛けを流さなけれ
ならない。



実りの秋に、餌を沢山食べて肥えたイワナの腹は大きく膨らんでいた。川底の石を裏返してみると,小さな川虫が
さほど多くはないがちゃんと生息していた。


源流育ちのイワナは色鮮やか,白い斑点もはっきりしていて美しい。お腹と尾の朱色もくっきりとしている。

冷たい清流が育んだ賜物だ。


<この項続く>



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